ニクラス・ナット・オ・ダーグの作品一覧
「ニクラス・ナット・オ・ダーグ」の「1793」「運命と希望」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ニクラス・ナット・オ・ダーグ」の「1793」「運命と希望」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
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Posted by ブクログ
本当に……とんでもない傑作だ。
舞台は15世紀のスウェーデン。
ただでさえ、この時代、この土地を描いた物語はそう多くない。
けれど本書には、もう冒頭から読者を引きずり込んでしまう吸引力がある。
『運命と希望』ニクラス・ナット・オ・ダーグ
荒廃し、死に絶えた土地。
靴や背嚢に重たい砂利を入れて歩く一人の青年。
彼はなぜ、このような苦行を自らに課しているのか。
またある場面では、
若き反乱指導者と、彼に心酔する美しい青年が
静かに心を通わせている。
その傍らには、憎しみに燃えた目がある。
日本の小説ではなかなか味わえない、
壮大な歴史のうねりのようなものがどろりと押し寄せてくる。
『運命と希望』を読んでいるあいだ、
心は完全に中世スウェーデンへ飛んでいた。
✧
本書が特別なのは、
これが実際に北欧史に刻まれた
ある衝撃的な事件をベースにしているところだ。
圧政に苦しみ、民衆も貴族も疲弊しきっていたスウェーデン。
そこへ追い打ちをかけるように、
ペスト(黒死病)が猛威をふるう。
そんな腐敗した時代に、
民衆を束ねたのが
カリスマ性を持つ若き反乱指導者エンゲルブレクト。
そして彼を支えたのが、
貴族の息子モンス・ベンクトソンだった。
しかしこの美しい青年は、
心酔していたはずのエンゲルブレクトを
なぜか斧で殺害したという。
この歴史のミステリーを小説として紐解くのが、
なんと当事者モンスの子孫である著者、
ニクラス・ナット・オ・ダーグ氏だというのだから驚く。
✧
いつの時代も、どの国でも、
人間の営みはそう変わらない。
愛憎、自己顕示欲、自己犠牲、欺瞞、諦観。
人は、自分が生きることだけで精一杯だ。
本書では、さまざまな人間関係が描かれる。
モンスとエンゲルブレクトの、愛情にも似た依存関係。
モンスの親友であり、兄の代わりでもあるフィンとの主従関係。
クリスティーナが息子モンスに向ける異常ともいえる愛情。
その一方で、クリスティーナから見向きもされない娘ブリータ。
……あぁ、これ相関図を描いたらとんでもないことになるな。笑
きっと、いろんな矢印がモンスの方向へ伸びている。
ハードカバー600ページ弱という鈍器本ながら、
ヘレンハルメ美穂さんの翻訳は驚くほど読みやすく、
しかも文体がとても美しい。
中世スウェーデンの凍えるような冷たさを肌で感じ、
欲望と愛憎にまみれた生々しい熱を浴び、
最後には儚い喪失感と、
その先に見えるかすかな希望まで手渡される。
至福の読書体験でした。
そして、続編『Vargars lek(狼の戯れ)』が
2027年に刊行予定だと知って狂喜乱舞しています……!
この先の彼らの物語が紡がれる日が、
本当に待ち遠しい。
Posted by ブクログ
ニクラス・ナット・オ・ダーグの歴史ミステリ三部作。その第1作目。
とんでもなく重厚な小説。一作目の1793はミステリというよりは、殺人事件を題材とした歴史風俗小説の感が強い。本当に、匂い立つくらい当時の情景の描き込みがすごい。
4部から成り、1部は凄惨な死体が発見され、引っ立て屋のカルデルと病に侵された探偵セーシルが邂逅。2部はある青年が身を落とすまで、3部はありもしない罪を背負わされた少女、4部は1部の二人に戻る、という構成。
2部、3部が1部から過去の時間軸となるため、どのようにクロスするのかが非常に楽しめた。
ミステリとして読むと肩透かしかも。死体の状況と動機の繋がりが弱い気がした。ただそれを抜きにしても、重厚で、目を背けたくなるような凄惨な場面も多いが、読み応えはバッチリ。
3部作ということもあってか、裏で暗躍する組織、フランス革命の余波などはそんなに。2作目以降、決着がつくのだろう。ただ、あまりに重いのでちょっと間に違う本を入れてかな。。。
最後に、2部の青年、結構いい役回りだけど。後々思い出すと、妹に朝の快便具合を手紙で書く変態だったわ笑