ニクラス・ナット・オ・ダーグのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレニクラス・ナット・オ・ダーグの歴史ミステリ三部作。その第1作目。
とんでもなく重厚な小説。一作目の1793はミステリというよりは、殺人事件を題材とした歴史風俗小説の感が強い。本当に、匂い立つくらい当時の情景の描き込みがすごい。
4部から成り、1部は凄惨な死体が発見され、引っ立て屋のカルデルと病に侵された探偵セーシルが邂逅。2部はある青年が身を落とすまで、3部はありもしない罪を背負わされた少女、4部は1部の二人に戻る、という構成。
2部、3部が1部から過去の時間軸となるため、どのようにクロスするのかが非常に楽しめた。
ミステリとして読むと肩透かしかも。死体の状況と動機の繋がりが弱い気がした -
Posted by ブクログ
余りの構成の巧みさに引きずり込まれてしまう面白さ。
3部作という事で重厚なスペクタクル的展開になって行くと思うものの、群像劇という感覚。
圧倒されんばかりの登場人物、多種多様、身分の上下があるし、種々の職業、生い立ちと家庭環境、犯罪歴すらも彩を添える。
時間の流れが複雑で、秋~夏~春・・そして2番目に来るはずの冬。
北欧サスペンスは手足が切り取られたり、眼球がえぐり取ってあったりが多い、今回もそう。
慣れたわけではないが、残虐さを感じんくなってしまうのは一種のマネキン人形的に被害者を見てしまわされるせいもある・・2部ではその切断シーンの描写が映画っぽく語られて行くし。次が気になるなるの連続で -
Posted by ブクログ
北欧を席巻した歴史ミステリー3部作とあっては、読まないわけにはいけません。4部構成。1部から3部までそれぞれ主人公が変わり、また各部の繋がりがまったくわからず、これは短編集かと思わされてしまいます。それもそのはず。目次をよく見ると秋から始まり、夏、春と遡っています。そして最後に、最初の秋の次の冬が来るという構成。1部では、手足が切り取られた死体が発見。2部では犯人が手足を切り取る様子が。3部は無実の罪を着せられた少女の刑務所からの脱出劇。残酷な場面もありますが、各部ともスリリングで、すっごく面白かった。最後のいわゆる解決編の第4部も、最後の最後まで楽しめる内容でした!
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Posted by ブクログ
とりあえず、感想を一言で言うなら
「早く1795翻訳出版してください」
三部作ラストが読みたくてたまらないからである。
今作において、隻腕の引っ立て屋カルデルと、不屈の女性アンナが健在なのは嬉しい。
アンナには、また、驚くべき事態が次々降り掛かってくるのだが、その全てを乗り越えていく姿は、これだけでも1つの作品にしちゃっていいんではないかと思うほどだ。
せーシルが前作で病死してしまい、どうなるのかと思っていた。
実は生きてましたーというのが望ましいと思っていたのだが、やはり亡くなっていたらしく、弟のエーミルが登場し新たな相棒となる。
しかし、この弟は、兄とは違う病を抱えている。
彼らが調査する -
Posted by ブクログ
四肢を切断され、舌を抜かれ、目を潰されながらも、数週間は生かされたと思われる死体が沼地で発見される。引き上げた風紀取締官のジャン・ミッケル・カルデルと、警察の臨時探偵を任されている法律家のセーシル・ヴィンゲが、即席のタッグを組み犯人探しに乗り出すが…。鍵となるのは、遺骸を包んでいた高価な布地。果たして二人は真相に辿り着くことができるのか。
舞台はそれぞれの作品の題名通り、国王グスタフ三世暗殺直後の混迷期のストックホルム。当たり前だが検死技術もDNA鑑定もない時代、且つ犯人と思われる人物は貴族で、無尽蔵の財力、そして事件を揉み消す権力もあるだろう。そんな無理ゲーには、ただひたすら足と頭を使い立