草間さかえのレビュー一覧
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ゲイでない自分と、相手がゲイであり自分に好意を抱いている事の「境界線」は、相手との接点を切りたくない、と思わない限り飛び越えられないだろうし、普段の生活でこう言うちょっとした「選択」を誰しもやっていると思う。
学生時代に付き合っていた後輩と上手に付き合えなかった過去を持つ篠田は、なんでダメだったのか、恐らく答えが出せないまま大人になり、結婚もして、破たんして、と、その度に根本的な原因は理解せずにいる。理解しないと言うより、恐らく自分の方が悪かったのだ、で済ませている。年を重ねると、そう言う事が過去に何度もあって、未だになんでだったんだろう、と思わないではいられない事が自分にもあるのに気付く。や -
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BL界のめざましい進化には驚きを隠せません。すごいよ、このジャンル。そして海野センセさすがです。面白かった。
なんと今回のメインキャラは、理工学部経営工学科教授で、お世辞にもカッコいいとは言えないオヤジ教授の春井48歳です。フケ専というBLが当たり前になりつつあるのはうすうす感じていましたが、草間センセにここまで手加減なしにばっさりおじさんを描かれるとさらに実感します。
おちこぼれの避難所と揶揄されている春井の研究室に入ってきたのは、場違いにもほどがある優秀でクール美人の伊瀬。そして春井は偶然彼が書いていた恋文を見てしまうのですが、「好きです。だからやらせて下さい」なんていう、身も蓋もない文 -
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短編集。
担当さんからボツにされたり、到底書けないと思われたものを集めたもの。
…そのコンセプトに惹かれて発売日までドキドキしていました。市内にある大きめの本屋に発売日にいったらなくて、迷った末にネットで注文。
届いた瞬間にがっちり読みました。
「ちょっとだけ!最初のだけ読むだけだからね!」と思って開いたのに、雲田さんの足フェチマンガでスッコーーーンと落ち、15分かけて全部読んじゃいました……。
恐るべしダメBL…。
一人で立つぐらい自立した子なのに、なんだろうこの魔力…。
読んだ感想ですが…「どこがダメなのかさっぱりわからない」という…(笑)
たしかにアンケートはとれないかもしれない、 -
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ネタバレ草間さん以上に郷愁を感じるBL作家さんはいないんじゃないかと思う。
戦後間もなくの2人を描いた短編2本
(時代背景の描写が細かい上に、南国での日差しの強さと日本の色彩の柔らかさのコントラストがどうしてモノクロの漫画で表現できてしまうのか衝撃な作品)
幼馴染まつわる短編4本
(少しわかりにくい表現もあるけれど、1本目の性に対する目覚めの艶のある描写がたまらない)
短編1本
(茶道の先生と高校生の話。シンプル。どうしてもおまけ感が強い)
とにかく今回は装丁の美しさが印象深い。
購入する前にすでにこの鮮やかな青に目が覚めるようだった。
今までの草間さんになかった色彩の鮮やかさが新鮮 -
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手離しで大絶賛。短編なのにすごく印象的な4組のお話でした。
まずは表題作。あの枚数で、南方戦線の切羽詰った状況と、部下の早川と隊長の竹内が想いあっていることをドラマチックに描き出すテクニックはすごいと思います。
自分の頬を打たせる早川、聴力を失った振りをした竹内。はっきり言葉にしなくても、戦場という二人きりの楽園を見つけていたんですね。すごく、隠微です。
「パラダイムロスト」では、戦後のどさくさに他人の家に住み着く図太い家族のエピがリアリティ感抜群。ご近所の絆も優しさあふれていて懐かしい感じがいっぱい。
そして、なんといっても濡れ場が素晴らしすぎた。浴衣姿に和の艶がにじみ出てましたね…
そ -
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ただのしょたえろかと思えば、意外に純情!まあ、ぐちょぐちょだけど。
「何が悲しゅうて この歳で夢精か」「キスくらいさせろ!」「一緒に逃げよう どこでもいい」おっさん必死。普通に考えたらただの変態だけども、なんかかわいいな。さすが草間さかえ氏。しょたがあんまかわいくないからかな(笑)
表題作「てびき」シリーズ、「散髪唱歌」(やおい的ご都合主義!いい意味で)、「ピンナップ・スタア」(切ない、儚い、美しい、そしてえろ)、「雨のち晴れ、ところにより雪」(攻さんの言う人間関係のこつは正しいけど難しいよね。これくらい、悲壮感のない大人な受が好き)、「ばんごはん」(がちしょたえろ。なのに家族愛のオチがあ -
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ちょっとレトロなムードで哀感漂わせつつ、胸キュンあり、笑いありで、奥行きあるドラマが描ける草間センセ。
年下わんこ攻眼鏡×バツイチリーマン眼鏡。
という二人の設定、背景は読み進むうちに明らかになります。そうやって、読み解いていくのが毎回楽しみ。
二人だけの世界に、周りが絶妙に絡んでほのぼのしたり、クスリと笑わせる場面が続出。
セリフやちょっとしたエピソードに味があって、印象的なのも素敵です。
気に入ったのは、「俺は好きだ」って意味でかわいいって言ってます、と照れながら朝倉が言うところ。
男にはちょっと微妙な言い回しに、こめられた想いが感じられて、ぐっときます。
笑ったのは、元妻が「私を仏壇