橘明美のレビュー一覧
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未来を予測する確実な方法の一つが人口の推移を検討することである。日本の人口は減る一方、将来どうなるかの議論はある程度見慣れているが、世界に目を向けると様々な現象があって、非常に興味深い。例えば、アメリカではいわゆるWASPは減り、ヒスパニックが増えているというのが大勢だが、一部の宗教(ユダヤ教徒やモルモン教徒)は子沢山で、このような人たちが多く住むエリアは平均年齢も生産人口も多い。子供も同じ宗教を信じることが多いだろうから、長い目で身見ると、相対的にも絶対的にも影響力を増す、とか。また、先進国では、3つの指標のどれかを犠牲にする傾向がある。それは「経済力」「民族性」「エゴイズム」であるという。
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HHhH、言語の7番目の機能の著者ローラン・ビネによる歴史改編小説。インカ帝国がヨーロッパを逆に征服していたらという歴史ifもの。章ごとに記述方法がことなる年代記風の作品で、第1章をアイスランド人によるアメリカ大陸進出を読んだときは不慣れな歴史をベースにしていることもあり、つらいかと思ったけれど、コロンブスが登場する第2勝ぐらいから興に乗り始め、インカ帝国がヨーロッパに進出する第3章はめっぽう面白い。歴史的な知識がある方が楽しめるのは間違いなく、自分も完全に楽しめた自信はない。第4章はオマケみたいなものだけれど、セルバンテスとグレコ、モンテスキューの対話はモンテスキューの思想家としての面目躍如
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ネタバレカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ。
三部作で終わりかと思っていたこのシリーズ2作目と3作目の間の時系列でもう1作品発売されていたことを知り直ぐにゲット。
作者も述べているが、三部作に比べ短い小説なので三半冊だそう。
面白くて半日とかからず読み終えてしまった。
ピエール・ルメートルの作品の良さは読みやすさと描写の細さ。
翻訳者が上手いのかもしれないが難しい言葉がなくすらすらと内容が頭に入ってくる。
また、カミーユのコミュニケーションを取る相手に対しての洞察力についての表現がかなり細かく面白い。ルイが右手を使うか左手を使うかの流れが以前からとても好き。
今回は残酷描写はないので苦手な人で -
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ネタバレ三部作の三作目。
一作目は脳がざわざわし、二作目は爽快感、三作目はなんとも言えぬ複雑な感情を抱いた。
翻訳者の匙加減もあると思うが、海外の作品としてはかなり読みやすい。作者が心情や状態について本当に小説らしく紡いでるのもあると思う。
冒頭でアルマンの葬儀で死んだことに衝撃だったが、今作の犯人はマレヴァルだったことだ。
登場人物一覧にいるマレヴァルに疑問は感じたがこんなにしっかり絡んでいたとは。
タイトル通り傷だらけのカミーユで終わってしまった。
三部作全てどんでん返し的な要素満載で楽しめたので今作で簡潔なのが寂しい。
個人的にはシリーズ物としてカミーユ、ルイ、ル・グエンの物語をもっと -
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ネタバレ「HHhH」の著者の新刊と言うことしか知らないまま読んでみた。大帝国インカが寡兵の探検隊に滅ぼされた理由とされる「銃・病原体・鉄」をヨーロッパによる征服以前からインカ帝国が手にしていたらどうなっていたか、ある種の架空戦記モノ。
インカから漂着してヨーロッパを制圧したアタワルパの物語が中心でおまけみたいにその前後談かあるんやけど、やはりカール5世やフランソワ1世、ヤコブ・フッガーやロレンツォ・メディチといったヨーロッパ史のオールスターみたいな中で異物たるアタワルパが大暴れするところがええよね、と思いつつも、おまけでええからその後の近世、近現代史も読みたいと思ったり。 -
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風変わりなスゴ本。
奴隷のしつけ方というマネジメント本というよりは、古代ローマ時代の奴隷制度について生々しく語ったという仕立てで読み易い。奴隷を資産、物として扱い、時に足の骨を折り、目を潰し、ウツボの生き餌にしようとし、女奴隷には我が子を生ませようと好き勝手に振る舞いながらも、一部で感情移入して金品を与えたり、奴隷身分を解放してあげたり、師弟愛のような奴隷との家族感情を育む一面もあって、この辺りは現代人の感覚では容易に理解し難い。もっと理解に苦しむのは、奴隷に生ませた子も奴隷だという事。まさに、唯我独尊、欲望の真骨頂、ファミリアという独裁国家だ。
現代人も欲望の奴隷だとか、資本主義の奴隷な -
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著者の二作目をずっと待っていた。前作『ハリー・クバート事件』の面白さが忘れられなかった。待ってた甲斐があった今作。誰もが憧れるような伯父の電話から事態は始まり時間が前後しながら進む。裕福な伯父一家に羨望と嫉妬を覚えるマーカス。伯父の家族のヒレルとウッディ。三人の固い結びつきとアレクサンドラという女性の存在。青春小説の要素がとても鮮やかで、その輝きが増せば増すほどミステリー色が後半につれて強くなって様々な事件や悲劇を起こす。それぞれが守りたいものとすれ違いや誤解。過去にあった本当のこと。それを受け止めることの絶望感。たくさんの感情に揺さぶられっぱなしで結末まであっという間。多くの人に読んでもらい
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本作を読み進める上で、アレックスの人物像が2転3転どころか5転はしたと思う。狂気的であり、賢く、哀れなその女に同情していいのかわからず、複雑な心境で読んだ。
警察側の個性がすごく豊かで、緊迫感ありユーモアありのやりとりがとても面白かった。
ラストがあまりに衝撃的で、少し考えないと状況を読み込めなかった、面白い!
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おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕 -
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カミーユ大好き
悲しみのイレーヌ、その女アレックス、傷だらけのカミーユと順番通り読んでいたつもりが
こんな中編があったとは。。傷だらけのカミーユの前だから、アンヌの名前がちらほら。。わが母なるロージーは爆弾だけに時間軸で話が進み、ハラハラドキドキで読み進めました。最後はそうするしかなかったのかな、と思いながら切ないラストでした。