橘明美のレビュー一覧
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12歳のアントワーヌは、森で衝動的に隣家の少年を殺してしまう。死体を隠して慌てて立ち去るが、幼い子供の失踪に村は騒然となり、やがて憲兵も訪ねてきて……。
追い詰められた少年の人生は、一体どこに向かうのか。
衝動的に隣家の子どもを殺してしまった12歳の少年の、罪と罰の物語。
保身に走り事件の隠ぺいを図りながらも、罪の意識に苛まれ人生を狂わせていく少年の心理が詳細に書かれていて、最初から最後までずっしりと重苦しい雰囲気。
自分が殺してしまった被害者が、いつしかどれだけ時間が経っても自分を責め苛む加害者へと変わってく心理描写など、細々と嫌~な気分になる表現が気分を沈ませます。ただ、ずっと暗いのにとても読みやすい。
どんどんと深みにはまっていくアントワーヌの姿は自業自得で自己中心的ではありますが、それと同時に痛々しく、どうかはやく自首をしてくれたら。あるいは、はやく真実が明らかになって捕まってくれたら。きっとそうはならないだろうとは思いつつも、そう願わずにはいられませんでした。
原題のほうは、直訳すると『3日間と人生』となるらしく、そちらも内容にぴったりの良いタイトルだなと思います。
ちなみに、推し登場人物は村の医師であるデュラフォア先生。陰鬱な空気の中、先生の見せる慈愛や密やかな優しさが癒しでした(倫理的に正しかったのか否かは別として)。 -
Posted by ブクログ
主人公は50代後半。失業して4年。今はアルバイトを掛け持ちしてしのいでいる。そのバイトさえ、主人公の感情的暴発により、失おうとしている。そんななか、再就職試験が一次二次と順調に進む。主人公は天にも昇る心地である。
主人公のヒリヒリするような失業状態への焦りと同時に再就職への渇望が痛いほど伝わる。
そこから始まる急展開。そこまでの流れで主人公の感情的暴発傾向を知っている読者は、いつ暴発するか、ハラハラ心配でしょうがない。主人公がどんなに追い込まれても見捨てない妻や娘たち、特に妻の深い愛に、なんと果報者かと思う。
やがて大団円。
就職試験については、こんなのあるか?とツッコミたくなるあり得なさだが、波瀾万丈、奇想天外なストーリー展開に目が離せない。分厚い文庫本ながら一気読みした。 -
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ネタバレふと気が向いてヴェルーヴェン警部シリーズ4冊まとめて買ったので1巻から順番に読むことにしました。
タイトルからなんとなくわかってたけどラストつらい…………。
奥さんの名前がイレーヌってわかった時点で嫌な予感はしたし、もうすぐパパになります!幸せです♡を押し出されるたびにとんでもなく嫌な予感はしてたけどあまりにもむごい……
一部がまさかまるまる小説だったとは。小説だったおかげで今までの情報をどこまで信じていいのかわからなくて、困惑しながら二部読んだけど差異はだいたい説明してくれたから特段疑う必要はなかったな……。
ラスト悲しすぎて……。
もーーーーーー最悪だよーーーーー夢でもうなされそう。
イヤミスってなるほどこういう作品のことをいうのか……。作品としてはすごくたくみで読ませる力に溢れてて良かったです。面白かった。江戸川乱歩の人間椅子と有名な石に泳ぐ魚/宴のあと事件を思い出しました。あのあとカミーユを主人公にした"作品"は出版されてしまうんだろうか……。
2巻のその女、アレックスの方が有名みたい?なので続きも楽しみ。
あとからフランスの原題が「travail soigné(丁寧な仕事)」と知って傷口がえぐれた。まあ、たしかに、そうだね……。 -
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ネタバレヨーロッパが植民地を作れたのは、人口急増とそれに伴う流出のおかげ。アメリカとソ連が超大国になったのも人口急増による。中国、インドが注目されるのも人口が多いから。
前近代では、妊娠出産は抑制されなかった=多産多死。多産少死で人口が急増=第一の人口転換。
少産少死で合計特殊出生率が2人強を割り込むのが、第二の人口転換。
世界は長寿低死亡率を享受し、出生率が人口の増減を左右している。
増加するグリーン=環境回復、
増加するグレー=高齢化
減少するホワイト=アフリカの急増とヨーロッパの減少
乳幼児死亡率の減少は教育の普及によるもの。
外国生まれの母親は乳幼児死亡率が下げ止まる。医療サービスにとどかない。
国家間の格差は減少しているが、国内での格差は広がっている。乳幼児死亡率も同じ。
サハラ以南では、まだ乳幼児死亡率と妊産婦死亡率が低下している状態。=人口拡大期。
チャド、ニジェールなど。
アフリカから外に出るには大金が必要。家族の期待を背負って出稼ぎに出る。誰かが移住に成功すると呼び寄せや受入れによってコミュニティが生まれて、その後の移住者のハードルが下がる。
アフリカ内の移動がはるかに多い。
冷戦の終了=歴史の終わり=「デンマークに到達すること」(フランシスフクヤマ)
アフリカの出生率次第で世界の人口が決まる。
文化の違いによって。死亡率が高いので多産がいいことだった。
インドネシアは人口ボーナスの状態。少し前までは出生率が高かった。今は2強。民主化と経済成長に成功した。
シリアはそうではなかった。
アフリカはまだ先の話。そのとき、インドネシア式となるかシリア式になるかにかかっている。
都市生活のほうがエネルギー消費は少ない。
都市化の後退は、パンデミック、技術の進歩による。
都市の盛衰が人口を決める。農村から都市への移動は第一の人口転換の始まり。都市では労働力としての人手がいらない。
インドでも大都市コルカタの合計特殊出生率は1.2。
シンガポールでも出産を奨励することは難しい。
女性の教育拡大と伝統的な男女観の組み合わせでは、出生率にとって致命的。
婚外子が増えると出生率が上昇する。
一度下がった出生率を再び上げるのはむずかしい。低出生率は自己強化ループになる。
家族を持つことは無理、または大家族は利己的、という考えが広がった。
最大の不確定要素はサハラ以南にある。しばらくは増え続けるが、そのうちピークチャイルドを迎える。
日本は高齢化社会の実験室。物価上昇と失業のとレードオフで進展する経済は人口増加を前提としている。
公的年金制度はボンジスキーム=人口増加を前提としている。
平均寿命は今後、男女間の差より階級間の差が問題になる。
移民は人口を支える第三勢力。
東京の郊外では高齢化と空洞化が進んでいる。今後50年でミニデトロイト化する可能性がある。
バングラデシュの奇跡=識字率の向上で人口の安定が見えてきた。教育の第一歩は識字率の向上。韓国、台湾、シンガポールを見習った。
中国の例は民主主義抜きでも高水準の教育を施すことができることを照明した。一般には教育と民主主義は連動すると考えられていた。
教育の否定的な面は、競争が激しくなること=韓国の例。ルワンダの大量虐殺でナショナリズムの間違った教育が原因となった。
大学進学率が半分を超えた時点で教育の投資利益率は減る。教育に傾倒することが経済成長鈍化の一因。
ゴミ収集、シーツの交換、共感、などはAI化の影響を受けない。
人口動態は、直感的な理解が難しいモノの一つ。
守勢率の改善にほんのわずかにしか変化しない政策でも、時間稼ぎとしては有効。その間に「個人の自由な選択と多産奨励主義が両立するような文化」をつくる。 -
Posted by ブクログ
ピエール・ルメートルは「その女アレックス」以来で
どんなスタイルの作家だったか忘れてしまっていたんだけど、まあ〜おもしろかった!
ラストは痛快すぎて、声を出して笑ってしまったほど。
ありゃ、こんなこと書いたら不謹慎で物騒な人間だと思われるかも?
何せ全編通して残虐で残酷。だけど根底にはユーモアが漂っている。
認知症を発症した63歳の女殺し屋という設定が
最初は無茶過ぎない?と思ったけど、
その心配はいらなかった。
前に読んだ本のテーマがバイアスだったのだけど、
今回もまさしくそれと同じ。
老人だから何もわかってない、何も出来やしないだろうという偏見を、鼻で笑うかのごとく危機をかいくぐっていく主人公が
同年代である自分には頼もしく思えた。
最近ほんとにいろんな場面で衰えを感じ、
自分に自信をなくしていたところなので。。
そしてこの作品には
もう1人の隠れた主人公がいる。
このお方にも拍手。
老いることが何?
深刻にならないで
今自分が出来ることをやろうよと言われてるようで
ちょっと勇気をもらえた。
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伝説の女性殺し屋が歳を取ったら…
このキャラクターの設定がとても面白い。
そして主人公、マティルドは容赦ない。
マティルドのカオスな心模様に次々と巻き込まれていく人々…
初めて書いた犯罪小説で、既にこんな才能を秘めていたとは、やっぱりルメートルだ。
チラッとSPY×FAMILYを連想しながら楽しめた。
人が歳をとるという現実をこれでもかと書き綴っているけれど、63歳じゃまだここまでヨボヨボにはならないかなぁ。
現実にはプラス10歳くらいのイメージ。
この作品はデビュー前に初めて書いたものだというから、当時のルメートルはまだ若くて、60代がとんでもなく老いぼれて見えてたのかも知れない。