橘明美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ、第四弾。
カミーユ警部はかなり酷い目に遭っている。
いや、遭い続けている。
母を亡くし、父を亡くし、
妻と子を連続殺人犯に殺され、
親友を病気で亡くし、
昔の部下から罠にはめられ、
愛する女性に裏切られた。
なので、このシリーズの最後に作品に、
救いを求めてしまうのを当然ではないか。
だが、その希望はかなわなかった。
一応、また女性とつきあってるようではあったが。
不発弾を利用した時限爆弾が爆発した後、
あと6つ仕掛けたと名乗り出た爆弾犯が、
殺人で服役中の母親を釈放するように要求する。
爆弾はどこに仕掛けられているのか、
爆弾犯の真の狙いは何なのか -
Posted by ブクログ
仮託された著者マルクスは2世紀頃のローマ市民(軍人でない者はない)で名家の名に恥じぬ勲功を挙げ、現在はカンパニア(イタリア半島)とアフリカにある所領を管理している。日本でいえば江戸時代初期の大名か。カルタゴ戦争の記憶は生々しく、当時も蛮族との戦いが絶え間ない。もちろん帝国は勝利し、奴隷が発生するが、1世紀にもなると奴隷同士や主人の種などで家内出生した奴隷も多くなり、市場が設けられた/複数を使役するときには奴隷の出身地はバラバラにして共通語による共謀を避けるべきとか、食事は最低限であるべきで、たまに褒美に主人家族の食べ残しをやるぐらいがいいとか、なかなか参考になる
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Posted by ブクログ
スピーディーで予測のつかない展開、綿密なストーリー、さすがルメートル!とても面白かった。
失業中のおじさんが社会復帰するために必死に努力するが、やること全てが裏目に出て思いもよらぬ事態に発展してしまう。
主人公が最初から最後まで一貫していたのは、家族のために働きたいという想いだったのに…
仕事を勝ち取るために嘘に嘘を重ね、その大切な家族を傷つけ自分自身も追い詰められていく。
この人いったいどこまで堕ちてしまうのかと、ずっと心配しながら読んでしまった笑
追い詰められていたとはいえ、割とすぐに人を殴ってしまうところだけは共感できなかったけど、失業というテーマは他人事ではない。
本当に、安心し -
Posted by ブクログ
現代ミステリの最重要作家、2010年発表作。私の場合、購入した本はしばらく〝寝かせる〟のが常だが、ルメートルだけは早々に積ん読から外している。一旦、冒頭を読み始めたなら、最終頁に辿り着くまで片時も本から手を離せない。しかも、一度も期待を裏切られたことがない。本作もプロットの骨格自体に大胆且つ斬新な仕掛けを施しており、劇的変転の見事さに圧倒された。物理的/心理的トリックを偏重する旧態依然のミステリでは味わえない重量級の読み応え。先鋭的アグレッシヴさでは当代随一だろう。
アラン・デランブル、57歳。大企業で管理職にまで昇り詰めたが、会社買収であっさり解雇される辛酸を嘗めた。失業して4年目、雑多な -
Posted by ブクログ
4.2
容疑者が、二転三転、四転五転…(笑)
衝撃のドンデン返しによってまた混迷…
上巻に散りばめられた布石を拾い集め、
一つ一つ繋げてゆく…
下巻はかなり楽しめる。
処女作でベストセラー作家となり、一気にセレブの仲間入りを果たした主人公・マーカスが、ライターズブロックにより書けなくなる。
昔の恩師・ハリーを頼って行った田舎町で、偶然恩師の過去を知ってしまう。
三十代半ばのハリーと15才の娘・ノラの恋を…
そして、三十三年前のある事件によって忽然と姿を消したノラの遺体が、ハリーの自宅の庭で発見された事で、ハリーは瞬く間に尊敬される大作家からゲスの殺人鬼へと堕ちてゆく。
次々と明 -
Posted by ブクログ
邦題がイマイチなうえに、残酷な描写は今は見たくないな…と読むのをためらっていたけど、読み始めるとやっぱり止まらない。
ルメートルお得意の残酷シーンはなかったものの、怒涛の展開はさすがだった。
コロナウィルスによって人々の価値観と世界情勢が大きく変わった今だからこそ、痛烈な批判と皮肉を盛り込んだのかと思ったら、実は『その女アレックス』より前の2010年にフランスでは出版されたというのだから驚きだ。
同時に、エンターテイメントが求められる今、Netflixでドラマ化して配信中だというから、これまたぴったりだと思った。
ところで、フランス語の原題はなんというのでしょうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレ「傷だらけのカミーユ」を読み終え、ヴェルーヴェン警部シリーズの第1作が本作である事を知り、立て続けに読み終えました。
「その女アレックス」から著者の作品を読み始めましたが、驚くのは本作が著者のデビュー作であるということ。
遅咲きのデビューとのことですが、ストーリーの組み立てが実にうまい。
そして、著者自身もかなりの読書家なんだろうと勝手な想像をしています。
巻頭からの斬殺な殺害現場はJ・ケッチャムの「オフシーズン」を彷彿させるグロさがあり、そこから続く猟奇殺人とそこに隠された謎を第一部として描き、謎解きと共に新たな展開を見せる第二部。
謎が解き明かされ犯人が明らかとなると同時に、最愛 -
Posted by ブクログ
ネタバレデビュー作がヒットした後、次作が書けなくて苦しむ作家、マーカス・ゴールドマンは、恩師ハリー・クバートのもとを訪れアドバイスを得るが、小節を書くには至らない。
そんな時、ハリーの家の庭から白骨死体が発見される。
それは、30年以上前にハリーの前から姿を消したハリーの恋人、ノラのものだった。
誰がノラを殺して、ハリーの家の庭に埋めたのか。
ハリーが逮捕され有罪が濃厚になったとき、マーカスはハリーの無罪を証明するため事件を調査し、その過程を本として出版することにした。
下巻の3分の1くらいまでは予想できた。
でもその後、二転三転する事件の真相を知りたくて、寸暇を惜しんで読みました。
そのくらい、面 -
Posted by ブクログ
パリ警視庁犯罪捜査部カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ、2013年発表の〝番外編〟。翻訳文庫本で約200頁の中編のため、読み応えでは物足りない面もあるが、その分、全編を覆う緊張感はより濃密になっている。比較的シャープなプロットの中に、技巧派ならではのツイストを効かせ、〝三部作〟同様に読後感は重い。
夕刻、パリ市内で爆破事件が発生した。幸いにも死者は出なかったが、テロ行為も視野に入れた大規模な捜査が始まる。間もなくして一人の青年が警察に出頭、自ら犯人だと名乗り出た。ジャン・ガルニエ。不可解にも〝交渉〟相手にカミーユを指名した。仕掛けた爆弾はあと6発。要求は3つ。現在拘留中の実母ロージーの釈