橘明美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
30代の美しい(そしてちょっと太りやすい)女性アレックスがおひとり様生活を満喫中。唐突に誘拐され、監禁され、嬲り殺されていく。彼女を探すのは同じく妻を誘拐で亡くした偏屈低身長刑事。間に合いますように、と願っていた。途中までは。アレックスが自力で脱出するまでは。
衝撃、驚愕、そしてものすごく深い深い悲しみが残り、2回読み返して更に悲しくなった。冒頭の楽しい買い物、おしゃれな食事、ひとりの晩酌。なぜ彼女はひとりなのか。なぜ彼女は恋愛を諦めたのか。なぜかつらを買い、太ったり痩せたりし、健康に気を遣って美しさを保ち、男を誘惑するのか。なぜ監禁されても心配する友人がいないのか。なぜ男を殺すのか。なぜま -
Posted by ブクログ
「日本は少子化問題で崩壊する」と予言している事に驚愕するが頷ける。それは本書にある人口動態での重要ポイント「経済力」「民族性」「社会的エゴイズム」があり、日本の現状は経済の低迷路線の選択と単独民族(単独民族の継承・移民不可)を継続していることだ。「崩壊」の主の理由である少子化問題は既に危険レベルにあり、幾ら労働者不足を科学技術で補おうと、また女性の地位と待遇改善を図ろうと手遅れに近いという。政治政策がこのままでは、日本の経済は成長が不可能で、若い夫婦が労働しても賃金的にも時間的にも子供を育てる環境がさらに失くなっていくと言うことだ。それは国家が増税と新税を繰り返しても、高齢者負担(医療・年金・
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『その女アレックス』から逆行して読みました。
既にカミーユに起こったこと、それが彼にどんな影響を及ぼしたのか、結末まで知っているのに怒涛のクライマックスまで一気に突き進むスピード感は凄まじく、引き込まれました。
何なら私も最後のパトカーに同乗していて、衝撃で頭がクラクラしているような気持ちになりました(笑)
……結局のところ、これはシュヴェンヌが獄中で完成させた小説を(手紙とともに)カミーユのもとへ送ってきた、この本はその全貌である、ってことなんでしょうか?
はたまた、既にそれが出版されていてあなたが読んでいるこの小説はそれですよ、ってことなんでしょうか。
(だとしたら二重トリックのようで面 -
Posted by ブクログ
面白かった〜
まさかこんなラストだなんて。:゚(;´∩`;)゚:。
そして何より、読みやすいのが嬉しい。
海外ミステリーって、初心者の私にはちょっとハードル高めだったりするの。
でもこれは全く問題なし!
ブク友さん達のレビューから、絶対に読みたかった一冊。
もちろん私はピエール・ルメートル作品初読みです。
63歳の殺し屋マティルドは、体重78kgで厚化粧www
そして、認知症…
その症状に気付いたのは、マティルドに殺しを依頼しているアンリ、70歳。
二人は旧知の仲だ。
マティルドの暴走をなんとか止めようとするが…
作中何度も〝太った高齢女性〟の描写が出てくるが -
Posted by ブクログ
おもしろかった‼︎
主人公と同世代の私…思い当たること続々。
やったこと次々忘れる、前のことが思い出せない、まあいいか、と次へいく。
私の忘れるのは洗濯機に洗剤入れたかな?とか、炊いたご飯冷凍したかな?とか、かわいいものだけど、主人公は殺人の武器を始末したかな?とか、死体を処理したかな?とかなので、恐ろしい!
笑えるし、身震いするほど恐ろしい。さらに別の認知症患者が絡んできて、予測不能、まさに奇想天外な方向へと終盤なだれこむ。
私のような高齢読者には思い当たるところありありだし、若い人は若い人で、えっ?こうなるの?と驚きの連続だと思うし、唯一無二のここにしかないルメートルワールドです‼︎ -
Posted by ブクログ
63歳の現役凄腕の殺し屋マティルドに少しずつ認知症の兆しが見え始める。
覚えていないことが増え、殺しも必要以上に過激になっていく。
彼女に殺しを依頼しているアンリは危機感を抱くのだが、マティルドはかつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく。
最初から最後までマティルドから目が離せない。
残酷すぎる殺しも躊躇わずに成し遂げるのは、やはり凄腕だからなのか…
冷酷さと殺しの技術を兼ね備えた彼女に誰も敵わないのか…
刑事すらものともせず、この暴走を止められる者はいるのか…と。
いた…死を恐れていない人間が、死の意味がわからない人間がいた。
ラストの惨劇は衝撃的であり喜劇ですらあった -
Posted by ブクログ
主人公のマティルドは63歳の未亡人で田舎で犬と悠々自適な生活を送っている。
職業は殺し屋。
若い頃はレジスタンスの美貌の闘士で、当時の司令官アンリから指示を受ける形で殺しを請け負っている。
そんな彼女に認知症の症状が現れ、殺し方が不必要に残虐になったり、ターゲットを勘違いしたり、組織との連絡方法や銃の処理を忘れたりと、任務に支障が出始めた。
マティルドを昔から密かに慕っていたアンリはそんな彼女の異常に気づき手を打とうとする…
歳をとってボケ始めた暗殺者のおばあちゃんというとコミカルな雰囲気だけど、思い込みが激しく感情も制御できず、生来の残虐さをあらわに暴走する凄腕の殺し屋ってところが怖すぎ -
Posted by ブクログ
六十三歳にして現役の凄腕殺し屋マティルド。しかし老いは容赦なく忍び寄り、彼女は自覚しないうちに認知症の症状に侵されていた。少しずついろんなことを忘れ、忘れたことも忘れ、自分の異変に気付かないままに残酷な殺しをやり遂げるマティルド。彼女の行動に危惧を覚えた司令官のアンリは、やがて苦渋の決断をすることになる。スリリングでハードボイルド、さらにブラックなユーモアも魅力的な、これはまさに残酷な喜劇といいえて妙です。
部屋が片付かない。凶器の始末を忘れる。標的を間違える(この間違え方が酷い!)。いろいろやらかしながらも、殺しの腕自体はまったく鈍っていないがゆえに、マティルドの危険さがとんでもないです。彼 -
Posted by ブクログ
★5 認知症の症状が出始めた凄腕の女殺し屋… 純真無垢な彼女の恐ろしい犯罪小説 #邪悪なる大蛇
■あらすじ
63歳の女殺し屋であるマティルドは、かつては冷酷非道の凄腕であったが認知症の症状が出始めていた。昔ながらの上司アンリから指示を受けながら仕事を続けるも、徐々に捜査の手が及び始める。アンリはマティルドを心配するが、肝心の本人はアンリへかつて抱いていた恋心が蘇ってしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
人間だれしも元気で健康的な生活を続けたと思ってる。しかしながら時間というのは残酷で平等、着実に老化や寿命はやってくるんです。社会の裏側で生きていた殺し屋が、認知症を患うとどうなってしまうの -
Posted by ブクログ
「僕が死んだあの森」で、筆を折ったと言われていたルメートルが、最後のミステリーとして出版した「邪悪なる大蛇」。ルメートルファンにとっては、涙が出るほどに嬉しいサプライズ!!
「現実の人生では理不尽なことが次々と起こるのに、なぜ小説家は手加減しなければならない?」と言うルメートル。そんな手加減なぞ俺様がするわけがない、とばかりに、この作品はカバーにあるとおり「アタマからラストまで、ひたすら加速する最悪と最速のスパイラル」だ。酸鼻の極みのルメートルミステリーでありながら、彼らしい喜劇性も含まれる。
あー、これで本当にルメートルミステリーとはお別れなのだな。たまらなく寂しい。