橘明美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった!
終盤に入って怒涛のごとくどんでん返しが続いて、ラストは一気読み
上下巻で1000ページくらいの長編で、時系列も複雑に入り組んでいてるし、登場人物も少なくはないのだけど、とにかくものすごく読みやすかったです。
読者に対して、出来事や人物の記憶や複雑な情報の整理の負担を極力かけないようにする書き方がとても巧い。
同じ場面を何度も繰り返し描くし、登場人物が誰なのか分からなくならないようにさりげなく説明が入るし、適度にここまでの整理みたいなものも入るんだけど、それがテンポを乱していなくて、説明的な感じもしないのがすごく良かった。割と複雑な内容なのに、前に戻ったり、人物紹介を確認したりする必要がほとんどなかったし。
ラストも真相が全部明らかになった後で、事件当日に起きたことを時系列でまとめてくれて、とにかくめちゃくちゃ親切。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ二作目にあたる『その女アレックス』を先に読み終えてからの本作
『その女アレックス』を読んでいる時に「これは一作目のネタバレか?」と思える描写で記憶に残っていた部分が二つありました
・どうやらカミーユの奥さんイレーヌは、前作の事件で殺されてしまったらしい?
・元々はカミーユの部下はもう一人いたが、前作の事件で何かあり退場してしまったらしい
と、イレーヌについては物語のオチまで察せる状態で読んだのに、最後の最後までスリリング
なんとか生きていてくれと思いながら読んでのあのラスト、あまりにもすぎる……
そしてさらには作中作設定
第一部がまるまる犯人の書いた物語
そして始まる現実としての第二部、でもそれすらも犯人の描いた架空の第一部のイメージをもって読み進めてしまう
なんなら、犯人の作った第一部を手に汗握り面白く読んでいた自分自身に対しても、何とも言えぬ罪悪感のようなものが芽生えてきてしまいます
表紙に書かれた原題を翻訳してみたら『丁寧な仕事』とでてきました
こわい、なんとも恐ろしいタイトルです…… -
Posted by ブクログ
『歴史が判断を下してから時が経った出来事を、こうしてあとから振り返ってみると、当時のことにはすべて意味があり、鳥の飛翔さえ確かな予言になっていたと思えてくる。しかしながら、刻々と過ぎゆく現在の真実〟というのは、もちろんあとから想像するよりずっと熱く、騒々しく、生々しいものではあるけれど、多くの場合"過去の真実"よりも、時には"未来の真実"よりも不確かな様相を呈するものだ』―『第三部 アタワルパ年代記/1 コンドルの落下』
ローラン・ビネの小説を読むのは、これで三冊目。訳者あとがきにも紹介のある通り、この作家の最大の特徴は歴史的事実と虚構の巧みな綯い交ぜにある。一作目の「HHhH―プラハ、1942年」ではナチスによるユダヤ人大量虐殺の首謀者とされるラインハルト・ハイドリヒ暗殺事件を取り上げ、続く「言語の七番目の機能」ではロラン・バルトの事故死を題材に、各々史実を織り交ぜた物語を巧みに描いていた。
一作目は、歴史的事実に完全に則した、いわば歴史小説であって、実在の人物たちの視点に立った話が暗殺事件に至るまでの時間の流れに沿って記される。暗殺の瞬間までの攻防によって緊張感が徐々に高まる展開の小説だった。二作目は、実際には事故死であったロラン・バルトの死に秘せられた理由があると想像を膨らませた空想小説で、実在の哲学者たちを数々登場させながら、ひょっとしたら高名な学者たちの間にそういう会話があったのかも知れないと思わせるような逸話を(実際の出来事の裏側で)描きつつ、その死の謎に迫る推理小説のような展開の緊張感を強いる小説だった。
面白いと思うのは、一作目よりも二作目の方が歴史的事実とは異なる空想が拡がり、三作目となる本書ではその空想の部分が更に膨らみ、スペイン人によるインカ帝国征服を逆転させ、新大陸の民族によるヨーロッパ支配という大胆な歴史反転小説へと、変化の度合が進んでいること。尚且つ、そこに実際の歴史的な事実や登場人物たちを散りばめ、歴史上の出来事というコインの裏表の偶然を逆転させた逸話でもう一つの在り得た正史を語るという構成は、中々に興奮を強いる構図だ。
但し、本の構成そのものが年表にある記載あるいは年代記風の文章と残された手紙あるいは手記の抜粋の混合で、かつ比較的短い章の連なりという形式故に、これまでの作品ほどの緊張感は読んでいても生まれない。読み始めて直ぐに、これは本当にあのローラン・ビネの小説なのかと思ってしまう程の緩さがあるのだが、前作同様に丹念な下調べによる歴史的事実の取り込み(とは言え、それを言わば裏返して提示するのだが)はやはりこの作家ならではの特徴だろうと思う。世界史に疎い自分は、各章末にある訳者による註を随時読みながら本文を読み進めて、なるほどと何度も思わされた。
読みようによっては、この本は反語的西欧文明批判と解釈できないこともないけれど、恐らくそれが本書の主題ではないような気がする。むしろ、歴史の偶然性あるいは可能性に対する思考実験に娯楽性を足し合わせた作品として読んだ方が面白いと思う。そんなローラン・ビネの思考実験の結果は、残念ながら現代にまで続くサーガとしては描かれないのではあるけれど、祖国を追われたインカの皇帝の年代記である第三部の展開、そして後日談的な第四部へと続く展開は、読むものを先へ先へと誘うことは間違いと思う。そして最後に、セルバンテスが新大陸でどんな物語を描き、エル・グレコがどんな絵画を残したのだろうかという余韻を残して本は閉じられる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレその女アレックス
文春、このミスで2014年版海外部門1位となったのでほとぼりが冷めたところで読んで見ました。
今まで読んだミステリーで最高の点数を付けてよいほどの出来栄えと感動でした。
このミステリーはネタバレをしてはいけません。ネタバレなどしたらほんと首絞められそうです。
物語はアレックスの誘拐事件としての第一部、その後のアレックスの物語としての第二部、そしてアレックスの過去が明らかになる第三部の構成ですが、構成も巧みで思わずうなってしまいました。
また、アレックスをはじめとして、刑事たちの面々も個性的で、感情移入してしまう筆運びも尋常ではありません。
ミステリーファンであれば、読み逃すと後悔しますよと強く進言したい本でした。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恐いもの見たさで読んで、監禁のシーン、アレックスの過去は読むのが辛かった。
アレックス視点は展開が気になり祈るように読んだ。
知ってはいたけど、一作目を読んでいたらカミーユ警部の復活の物語としてもさらに楽しめただろうとは思うが、一作目を読む勇気が出ないが、カミーユとルイ、アルマンの3人が出ているなら読んでみたい。けどなかなか…
被害者から加害者へ、または加害者から被害者への入れ替わりが見事。
刑事達は真相を見抜いていてもなお、アレックス側についたのか…。
でも、アレックスが最後、ホテルの部屋で踊りならが脱ぎ捨てたTシャツが畳んであったという描写があったのが謎。気のせいか。
アレックスがカミーユ達のおかげで少しは報われた事を祈りたい。