橘明美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書のタイトルを見て、眉をひそめた方も多いかもしれません。
「奴隷」などという理不尽な存在を「しつけ」るなんて、まるで奴隷制を正当化しているようではないか、と。
いえいえ、そんな意図は毛頭ありません。
奴隷制は今やどの国でも違法ですから、本書も当然、過去の「奴隷制」を扱っています。
しかも、それは当時、「当たり前」のものでした。
過去に「当たり前」にあったものを、現代の価値観で断罪する態度はいけません。
謙虚に受け止める姿勢が必要でしょう。
と、前置きがやや長くなりました。
ローマ帝国時代の奴隷制とは、実際にどのようなものだったかを紹介しているのが本書。
奴隷の買い方から活用法、罰し方まで、豊 -
購入済み
新聞の書評で見て よかった
ネタバレになるので あまり書けないけど、
アレックス ドキドキして、強さに驚き、愛おしくおもい、3部ですべてが分かると 悲しい
出てくる人物もみんな個性豊かなで 優しい
いい
話 今年始めてで 当たりの本でした。
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ネタバレ本書がピエール・ルメートルの最後のミステリーという売り文句で世に放たれていたのは知っていた。
だが、その後ルメートルの新作らしき本も見かけることがあり、どういうことだ?と思っていた。
なるほど「ミステリー」は最後ということらしい。
他に取り組んでいるという″歴史小説″の方を読んだことないので何とも言えないのだが、別にこれも「誰か分からない犯人が事件を起こして警察なり探偵なりが手掛かりを追い犯人を突き止める」といういわゆる王道なミステリーというわけではなく、ノワールとかサスペンスといった着想や展開の妙で魅せる類の作品。
わざわざ最後とか言う必要あるのかな。
着想はユニーク。
老齢を迎えた主人 -
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ネタバレ展開が読めない作品と聞いていたので、冒頭からアレックスは信用できない語り手かも…と色々疑いながら読み始めたが、まさか連続殺人鬼が獲物の身内に手を噛まれた構図から始まっていたとは思わなかった。
全編を通してアレックスは嘘を語っている訳ではないが、本当に吐露したい思いはモノローグでも発さなかったので、動機や目的がぼんやりしたまま最終章へ向かう。そこで浮かび上がってくる彼女の人生があまりに惨く、殺人は肯定できないが、環境が人をつくる典型だと感じた。
カミーユ警部サイドの同僚との掛け合いや、母親の肖像画を巡るエピソードにはほっと息をつけたが、正直それでは相殺できないくらい事件の全体像がどろどろでグロテ -
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著者はイギリス・ロンドン出身の人口学者。人口動態に影響を与えるテーマ(乳児死亡率、人口増加、都市化、出生率、高齢化、高齢者の増加、人口減少、民族構成の変化、教育機会の拡大、食料入手可能性の向上)に沿ってデータやエピソードもとに解説している。
1つ面白いと思ったのは、人口の高齢化によって世界的に暴力的紛争が減少していると指摘した点。血気盛んな若者ではなく中年が多数を占める世の中では、自分の身を賭してまで世の中を変えようとする気概が生まれないのかも知れない。
以前読んだ「2050年 世界人口大減少」も本書の中で紹介されており、サハラ南の人口増加がそれほどでもなく、世界の人口は今世紀末ではなく今世紀 -
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ネタバレ前回の読書会でお借りした本、その2。
読み始めたら止まらない系の小説。
暴力描写が結構エグいので、
万人にはおススメできないけど、
登場人物のキャラクターも話の構成も
本当に面白かった。
以下、ネタバレ。
3部構成になっていて、
1部ごとに主要キャラクターである
アレックスに対する印象が変わる。
2部くらいまでは、
TBS系のドラマ「アンナチュラル」
を思い出したりして
(あれより1部で遭遇した「酷い目にあう理由」
がどうしようもない悪意由来なので
かなりヘビーだが)、
ほうほう、なるほど、なるほど…、
と思いながらどんどんページをめくっていった。
1部の監禁されているシーンは、
翻 -
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フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇ミステリ作品『僕が死んだあの森(原題:Trois jours et une vie)』を読みました。
ピエール・ルメートルの作品は2年前に読んだ『炎の色』以来ですね。
-----story-------------
『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。
あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。
母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。
森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。
殺すつもりなんてなかった。
いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったこ -
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「その女アレックス」を読む前に
カミーユ・ヴェルーヴェン警部
シリーズ第1作を。
これがなかなかにヘビー。
ハヤカワ ミステリマガジン
21世紀翻訳ベスト!
第4位はピエール・ルメトールの
「その女アレックス」。
この作品を読む前に
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ
第1作にして、デビュー作の
「悲しみのイレーヌ」を読む。
フランスのミステリ小説界に
鮮烈な印象を与えた本作。
フランスでの発刊は2006年。
奇しくも翻訳ミステリベスト!
第2位のジェフリー・ディーヴァー
「ウォッチメイカー」と同年。
作者のピエール・ルメトールは
テレビドラマの脚本家から転身し、
この作品が第1作。 -
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ネタバレ前作でちらっと出てきたアンヌが大変な目に。またしてもカミーユの大事な人が…と同情するが、あまりにも次から次に下手を打つのでひたすらストレスフルだった。
先が読めなくてハラハラはするが、これまでのような驚きの展開というほどではなくて、少々物足りない。
しかもその後どうなったのか気になる終わり方ですっきりしなかった。
カミーユは優秀な刑事ではあるんだろうけど、よくよく考えるとシリーズ通して結局一度も殺人を未然に防げてはいないのよね。3作とも面白かったけど、最後くらいは勧善懲悪にしてほしかった。
強盗はすべて仕組まれた展開だったわけだけど、万年筆のインクが漏れて云々は結局なんだったの?予約した時計を -
Posted by ブクログ
ネタバレ不穏なタイトルにずっとハラハラしながら読んでいて、カミーユが最初の広告を出した時点で結末を確信、悲劇に向かって進んでいくのを苦い気持ちで読み進めていたのだけど、唐突に迎えた第一部の終わりには唖然。
このどんでん返しは面白かった。
実際の捜査はどんな感じだったのかが気になる。
この手の仕掛けのミステリは嫌いじゃないけど、とにかく犯行の残虐さが突き抜けているから、二度と読み返したくはない。
『その女アレックス』でネタバレされてるから絶対にこちらから読むように言われてそうしたのだけど、タイトルがすでにネタバレじゃない…?
まぁでもそれがないとイレーヌが出てくる時の緊張感がなくなって、ただの退屈なシ -
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読んだ本 わが母なるロージー ピエール・ルメートル 20250709
カミーユ・ヴェルーヴェン3部作の4作目がありました。作者の言だと、中編だから3.5部作だとのこと。3部作のどれもがあまりにも凄惨で読むのが苦痛だったんですが、3冊コンプリートしている以上、読まざるを得ないでしょう。
ということで覚悟を持って読んだんですが、結構普通に面白かったです。連続爆弾魔がカミーユや政府を脅かすんですが、その背景をカミーユが暴いでいく。結構息詰まる本格的なサスペンスで、残虐さがなくてほっとしたような、あれって言うような。
ラストも悲しいけど、景色としての後味の悪さはなかったかな。