山口謠司のレビュー一覧
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知らない言葉をたくさん知れる。しかも漢字の成り立ちから解説しているので分かりやすいし、より理解が深まる。私は生中(なまなか)な理解しかしていないかもしれないが、人のため臆面(おくめん)もなくレビューを書いている。紹介されている言葉は普段使いの言葉ではない。日常生活で使うと、相手からは「どういう意味?」って返されそうだ。とはいえ、的皪(てきれき)や秀雅(しゅうが)、厚誼(こうぎ)、寛解(かんかい)、起居(ききょ)、蒼惶(そうこう)、慨嘆(がいたん)などはどこかで使ってみたいと僭越ながら思うのである。さくっと読めて言葉の理解を深められる本である。
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<目次>
はじめに
第1章 本の読み方と「てんまる」の関係
第2章 「てんまる」は、いつから始まったか
第3章 明治時代以降の「てんまる」
第4章 現代文学の「てんまる」
第5章 マンガの「てんまる」
<内容>
山口先生の着目点が好きである。「ん」について追及したり…。今回は「てんまる」=「、。」である。まず結論的に言うと、「てんまる」を付ける際のルールはない。文科省も「読点は、意味と音調の両面から判断して打つ」と書かれているそうで(「おわりに」参照)、江戸時代までは、ルールすらなかった。幕末から明治の国学者、権田直助が研究の嚆矢で、その後も人によって定義も使い方もまちまちだし、作家本人の直筆にはない「てんまる」が、活字になるとつけられる、というように、誰が決めているのか、使っているのかもあいまいなのだ。
最終章の「マンガ」についても面白かった。小学館の少年・青年マンガのみが、「てんまる」をつけているらしい。でもその根拠はあいまい(かつて学年雑誌を出していたから?)。 -
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明治~昭和期の文豪たちの悪態な文を集め、背景等を解説。
〔第一章〕「馬鹿」「田舎者」・・・夏目漱石、尾崎紅葉等。
〔第二章〕文豪の嘆きとぼやき・・・永井荷風、小島政二郎等。
〔第三章〕喧嘩もほどほどに・・・太宰治、菊池寛、幸田露伴等。
〔第四章〕その「皮肉」も効いていますね・・・三島由紀夫等。
表題・文豪の語彙・文豪と相手の経歴での構成。
文に続き、言葉の意味からの導入は、ユニークです。
「しょげる」が江戸時代までは、どんちゃん騒ぎという意味とか、
これだけでも面白い。ですが、更に面白いのが、使う文豪さん。
文豪さんも人の子ですから、怒ったり嘆いたりすることがあります。
さすがに手は出ませんが、口をつく言葉、書く文章で表現します。
見事に相手の本質を、的確に表現しているものもあります。怖い。
永井荷風VS菊池寛。中原中也VS太宰治、あ、これは手が出てるか。
菊池寛VS中央公論社は書いた広津和郎のオロオロぶりがなんとも。
それだけではなく、文豪さんたち、パワハラ・セクハラ・DV等、
なんでもありで、現代だったらSNS炎上極まる行状が、あちこちに。
作品よりも評伝を読みたくなってしまったくらい、
凄まじいものでした。 -
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上田万年(かずとし)という人だけを扱ったわけではない、上田万年の伝記。明治時代~昭和初期にかけての、日本語の文字や表現をめぐるいろいろな事件が取り上げられていてとても興味深いし実際面白い本である。
板倉聖宜著『脚気の歴史』(仮説者)では、最後まで(自分が真っ先に勉強したからという自負心で)西洋医学のみにこだわってかえって脚気患者を増やしてしまった優等生の医学博士森鴎外(森林太郎)が、この本では、やはりこれまた文学博士として日本語の変革にブレーキをかける役をしていたことがよくわかる。誰彼かまわず論争を挑む姿は…自分が一番にならないとすまなかった超優等生が森鴎外だったんだなあ。悲しい人だ。ま、面白い作品は書いているけどね。
その点、上田万年は、なかなか頼もしい人だったようだ。
本書には、政治家や文豪など、名前も作品もよく知っている人、名前(作品題名)だけ知っている人、名前さえも知らない人たち有名人がたくさん出てくるよ~。みんないろいろつながっていたんだな。