山口謠司のレビュー一覧
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間違えやすい日本語や漢字が日本にやってきた経緯などがわかる本冊。
仮名の成り立ちや漢字が世間一般に広まるまでの流れが分かりやすく書いてあった。
また、間違えやすい日本語も正用と誤用が併記されていて、正用の元の意味や誤用されるようになった一因も書いてあり、理解しやすかった。
ただ、漢字の部分が割と序盤で終わってしまい、すぐに間違えやすい日本語に移行してしまったのがちょっと残念。遣唐使・遣隋使あたりまでの漢字の話は書いてあるが、それ以降がない。常用漢字の制定とか漢字についてももっと広げられたろうし、間違えやすい日本語もあそこまで列挙するなら「間違えやすい日本語」の本として単体で出してた方がいいん -
Posted by ブクログ
戦前の文豪たちの私生活で起こったトラブルとその顛末を紹介した本。人妻に恋をしてしまった北原白秋、当時はスキャンダラスな扱いをされた同性愛を経験した平塚らいてうと尾竹紅吉、教え子に惚れてしまった島崎藤村などなど。文豪たちがそのような気持ちを抱えながらそれを昇華しようと苦しんだ足跡が文豪たちの文章と共に紹介されている。文章は正直で面白い。
個人的には漱石の長女をめぐって松岡譲と争った久米正雄が地雷すぎて怖かった。「事件の真相に就いては、いずれ発表の機もあろう。僕がその書くなと云われても書かずにはいられない告白小説を、棺を蔽う先だって自ら屍を洗う覚悟を以て書く時、その時こそ書くも人の運命を狂わし -
Posted by ブクログ
特定の世代にしか通用しなくなってきている言葉たちに焦点を当てた一冊。
色々な現場で起きているであろうジェネレーション・ギャップを取り上げ「この言葉は伝わっていないですよ」をイラストを交えて紹介していく。
私でも知らない言葉、知ってるけど使ってない言葉、普通に使ってる言葉などなど、多種多様な言葉が収録されていて面白い。
言葉の本ではあるけれど、そこには「コミュニケーションの溝」という問題があって、それを解消していくには「伝わってあたりまえと思わない」という初歩にして重要なメッセージが込められている。
へー、こんな言葉があったのか!
語源こんなだったんだ!
など、言葉を一段深く掘り下げる一冊で -
Posted by ブクログ
「ん」という文字はいったいいつから、どういう目的で使われるようになったのか?
普通に昔から使っていただろうって?
しかし、例えば「源氏物語」の原文には「ん」が使われていない、いやこの当時は「ん」という文字がなかったから使えなかった。
そんな事ないだろうって?
「鳶」という鳥がいますが、なんと読みます?「とび」?
では、「鳶がクルリと輪をかいた」と言うときなんと呼びます?「とんび」ではないですか?
なぜ「とび」と「とんび」があるのか?不思議じゃないですか?
著者は日本の仮名のできる過程を古くは奈良時代にまで遡り、「上代特殊仮名遣い」の起源とその目的から語り始めます。
文字が中国から伝来した仏教 -
Posted by ブクログ
こういう死語(オッサン語?)辞典は複数出ているが、これは勘違いを2コマ漫画にしているのが新しい。
日本語ネイティブでない人と日本語で話す時に避けるべき表現集と捉えることもできる。
「同じ言語を話す若者たちなのに話が通じない」は古今東西言われていることであり、特に有名なのが18世紀イギリスの作家スウィフトの論説である。
この本の編者も若者の語彙の貧困化を嘆いているが、例えば「了解」を「りょ」とするような省略は造語法では普遍的な方法であり、この本に載っている「泥縄」なども同じ造語法である。
力のあるマジョリティが好んで使うか、(マジョリティから見下されている)マイノリティが生み出したかの違い。