【感想・ネタバレ】ん―日本語最後の謎に挑む―のレビュー

あらすじ

日本語には大きな謎がある。母音でも子音でもなく、清音でも濁音でもない、単語としての意味を持たず、決して語頭には現れず、かつては存在しなかったという日本語「ん」。「ん」とは一体何なのか? 「ん」はいつ誕生し、どんな影響を日本語に与えてきたのか? 空海、明覚、本居宣長、幸田露伴など碩学の研究と日本語の歴史から「ん」誕生のミステリーを解き明かす。

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Posted by ブクログ

[ん、ん?、ん!]日本語においてはそれから始まる言葉がなく、五十音図においてもポツンと一人ぼっちをかこっている「ん」。この音と表記はどこから来たのか、そして日本語においてどのような役割を果たしているのかを、様々な文献や先行研究から明らかにする一冊です。著者は、ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを務められた山口謠司。


それこそ意識することなく音に出しもすれば書きもする「ん」ですが、振り返ってみれば空海や最澄、さらにはサンスクリット語の世界にまで遡る、非常に奥深いものであったことに驚かされました。若干難解な部分もあるのですが、まさにそれこそが「ん」というものが日本語における不思議な存在であることを示す一例なのかもしれません。


「ん」がどう生まれ、捉えられてきたかという点も興味深いのですが、短いながらも読み応えがあったのは終章に当たる「ん」の日本語における役割の部分。言語が情緒と有する関係を紐解きながら、「ん」に思わず愛着が湧いてしまうような結論が導かれていました。

〜もしも、日本語に「ん」がなくなったとしたら、我々はおそらく日本語のリズムを失い、日本語が持つ「情緒」と「システム」を繋ぐ糸を断ち切り、日本のしっとりして深い文化を、根底から崩壊させることになるのではあるまいか。〜

読んでいる間、何度かゲシュタルト崩壊に近いものを経験したのはこの本が初めて☆5つ

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2015年08月12日

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言語オタクの真骨頂の塊(褒めてます)。
どこの世界でもこだわる人はホントに突き詰めるなあ。まさか「ん」で新書一冊語るとは。この一冊が書かれるために読まれた文書はどれくらいになるんだろう。

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2023年07月05日

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万葉仮名以降、日本語において「ん」の発音や表記がどのように変遷してきたかを1冊かけて解説した本。「ん」にも種類があって昔は使い分けていたといった興味深い話題がどんどん出てくるが、中でも空海が果たした役割が大きかったとのこと。おかざき真里「阿・吽」を読んでいて、空海と最澄の生涯についてイメージできるようになっていたので、わかりみが深かった。「阿・吽」ってそういうことだったのかと。本書をこれから読む人には併せて読むのをおすすめしたい。

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2019年04月01日

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書店で見かけて以来前々から読みたかった『ん―日本語最後の謎に挑む (新潮新書) 』を、電子書籍で購読。

五十音図から一文字だけ仲間はずれのようにされている「ん」の文字に関して、ひらがな書きとカタカナ書きの字体・字形の成立の歴史的変遷だけでなく、万葉仮名から文字の使い方で知ることの出来るこの文字の発音の歴史的変遷や、文字が内在している意味・概念の歴史をも解き明かしている良書。日本語に興味のある方には必読の本である。
なお、内容に多少専門的知識のいる書籍名なども含まれているので、一般的な教養という範囲をやや超えた内容の本でもあることに留意しておきたい。

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2016年01月20日

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「ん」の歴史についてものすごく詳しくて、
面白かった! 国語でもやればいいと思う。※
「ん」は始めは無かった。清音と濁音を繋ぐ音。
ここでも日本人の曖昧さが表れた。
いい悪いではなく、こういう文化なんだよ。

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2015年09月10日

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「ん」について。あんまり期待していなかったものの、存外面白かった。

「ん」の誕生とか誕生以前の表し方とか、突き詰めていくとこんなにも面白いのかと。国語学っていいかもしんない。

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2014年10月26日

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面白かったー。「ん」の起源、発展をめぐる謎。歴史のロマン。日本語から歴史とか文化を考えるってことに知的好奇心が刺激された。少し話がとっちらかってる感じがしたけど、何度も読んでちゃんと理解したいと思える本ではありました。

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2014年06月24日

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母音でも子音でもなく、清音でも濁音でもない、単語としての意味を持たず、かっては存在しなかった「ん」。「ん」とはいったい何なのか?「ん」誕生のミステリー。

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2012年10月30日

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ちょっと難解もありますが、「ん」は古事記の時代人はなかった、「ん」と阿形吽形、本居宣長と上田秋成の「ん」をめぐる論争など知的好奇心をくすぐられ面白いです。

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2012年04月14日

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[ 内容 ]
日本語には大きな謎がある。
母音でも子音でもなく、清音でも濁音でもない、単語としての意味を持たず、決して語頭には現れず、かつては存在しなかったという日本語「ん」。
「ん」とは一体何なのか?
「ん」はいつ誕生し、どんな影響を日本語に与えてきたのか?
空海、明覚、本居宣長、幸田露伴など碩学の研究と日本語の歴史から「ん」誕生のミステリーを解き明かす。

[ 目次 ]
第1章 「ん」の不思議
第2章 「ん」の起源
第3章 「ん」と空海
第4章 天台宗と「ん」
第5章 サンスクリット語から庶民の言語へ
第6章 声に出して来た「ん」
第7章 「ん」の謎に挑む
第8章 「ん」の文字はどこから現れたか
第9章 明治以降の「ん」研究
第10章 「ん」が支える日本の文化

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年05月22日

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昔の人が「ん」をどう書き表すかにこれほど四苦八苦していたとは意外でした。発音に関しては、中国語をかじった事のある自分にとっては非常に面白く読めました。

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2010年10月11日

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一学期に何人かの生徒が読んでいたので興味を持った本。「ん」を軸に国語の歴史をたどるけっこう真面目な本であった。特に面白いのは空海・最澄を軸に仏教の宇宙観と「ん」(阿吽の「吽」)について書かれた章と、江戸時代の国語研究論争について書かれた章。それにしても、空海という人は凄い人なんだな。この人についてもきちんと読んでみたい。

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2010年09月03日

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日本語には五十音図というものがあるが、そのなかで「ん」だけは、特別な位置にある。それには理由があるという。実は「ん」は、平安時代までは存在しなかったそうだ。もともと日本には文字がなかった。中国から感じが伝わり、万葉仮名というものがつくられた。そしてさらにひらがなやカタカナが作られ、
日本独自の発展をとげていった。
本書は仏教文化と共に発展してきた経緯を追いながら、「ん」に焦点を当てて、実に興味深い話が展開されている。
「ん」という文字の出来上がる経緯がわかると、その後の言葉遣いについてもうなづけることが多々ある。
なるほど~!

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2010年05月10日

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五十音図の外側におみそのようにくっついている「ん」とはなんなのか。書店で目について買ったものだが、思いのほかおもしろかった。「ん」は書き言葉大衆化の推進力だった、「んー」は「イエス」と「ノー」を保留してリズムを整えるなど、へーがたくさん

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2012年01月22日

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「ん」という文字はいったいいつから、どういう目的で使われるようになったのか?
普通に昔から使っていただろうって?
しかし、例えば「源氏物語」の原文には「ん」が使われていない、いやこの当時は「ん」という文字がなかったから使えなかった。
そんな事ないだろうって?
「鳶」という鳥がいますが、なんと読みます?「とび」?
では、「鳶がクルリと輪をかいた」と言うときなんと呼びます?「とんび」ではないですか?
なぜ「とび」と「とんび」があるのか?不思議じゃないですか?

著者は日本の仮名のできる過程を古くは奈良時代にまで遡り、「上代特殊仮名遣い」の起源とその目的から語り始めます。
文字が中国から伝来した仏教の今日を読むため、しかも中国語ではなく、その原点のサンスクリット語と同じ発音で読むために、その音の微妙な違いを表すために漢字が活用され、イやエといった現代では一文字、一音で表される文字が嘗ては微妙に違うバリエーションがあり、それを漢字を使い分ける事で表現していたというところから解説していく。

途中、そういう仏教の歴史的な話になってしまうところがあるが、それも含めてとても興味深い。

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2024年05月13日

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タイトルに惹かれ手に取る。改めて考えてみると「ん」は不思議な存在。五十音表記だと仲間はずれのように表から飛び出しているし。

東京メトロ「日本橋駅」のローマ字表記が”Nihombahi”とnがmとなっているのは知らなかった。(欧米の慣用表記では「m」「b」「p」の前は「n」ではなく「m」を使うらしい。)

「ん」誕生の歴史は、なかなかに興味深い項目もありましたが、こちらの知識不足で完全には追えず。無念…。

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2021年01月03日

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フランス人から見た(が聞いた)日本語の「ん」に始まり、『古事記』などの上代から日本語の歴史を追う。
万葉仮名、空海、最澄、サンスクリット語、上田秋成と本居宣長、「阿吽」の文字、幸田露伴。
話題は多岐にわたり、日本語と日本文化への知的好奇心が刺激される。
「そもそも日本語とは何なのか?」その問いかけが日本語への理解を深める。

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2019年01月24日

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「ん」について、歴史文学を通じて分析した本。平安後期までは、「ん」が書籍上は存在しなかったこと、その後も江戸中期までは、濁音と同じく「ん」も好まれなかったことは初めて知った。面白かった。

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2018年11月27日

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「ん」についてひたすら考察している本です。平安時代に片仮名や平仮名が生じますが、まだその頃は「ん」という文字はありませんでした。「ん」は時代がだいぶ降ってから現れたそうです。語の形が変化する過程で「ん」が入り込むのですが先人は「ん」という音を表現する文字を持っていなかったため「イ」や「レ」の文字で表現していました。興味深い。

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2017年09月03日

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ん、は確かに特殊だけど、歴史的にも言語学上特殊なようで、なかなか面白かった。音としては存在したけど、表す文字がない、または書かないなんて事を苦労しながらしてたなんて、興味深いですね。やや言語学的な説明もあるので難しさはありますが、知識として読んでおいてもいい本かと。

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2012年11月18日

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『日本語の奇跡―「アイウエオ」と「いろは」の発明』の続編のような書だが『ん』の発音や表記、意味について言及した書。

空海について多くの頁が割かれており、また、その内容も面白かった。
膨大な文献から、歴史的にも「ん」の有り様を解説されているが、なんとも難しかった・・・。

しかし、歴史の中でも「ん」について、多くの方が論じているのは興味深かった。
それらの考察をこの書にまとめてあるので、非常に内容の濃い本となっている。

現代では、あまりにも無意識に使われている「ん」が、こんなにも深く語られていることに驚きだった。

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【目次】
第1章 「ん」の不思議
第2章 「ん」の起源
第3章 「ん」と空海
第4章 天台宗と「ん」
第5章 サンスクリット語から庶民の言語へ
第6章 声に出して来た「ん」
第7章 「ん」の謎に挑む
第8章 「ん」の文字はどこから現れたか
第9章 明治以降の「ん」研究
第10章 「ん」が支える日本の文化
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2012年02月28日

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なぜか家に2冊あったw

日本語の「ん」って数学の「0」と同じだよね

いやー改めて考えると。

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2011年08月30日

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『天才と呼ばれる空海とて、時代という制約があった。』

「n」なのか「m」なのか。なぜ「ん」から始まる言葉がないのか。名実ともに日本語における最後を飾る「ん」の謎に迫る。「ん」の成り立ちがここまで仰々しいものだとは知らなんだ。読み物というよりも、学術書レベルで綴られている。漢文にアレルギーのある人には、ちょっときついかも。

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2017年05月01日

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「あいうえお」の50音表は、どこから来たのかわかったのはよかった。はっきりしてるわけじゃないんだろうけど。

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2010年08月02日

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そうだったのか!と思うところがいろいろあって、とても面白かった。(主の中古の)古文で「ん」は表記されないということに、前々からどういう事なのだろうと疑問を感じていたのだけれど、突き詰めて調べたこともなかった。「ん」という表記が実はいろいろな発音をひっくるめたものだということ、濁音や撥音は「下品なもの」だという言語感覚があったこと等々、なるほど!という知識の連続であった。ただ、まん中あたりで力を入れて論じられる密教との関わりは、正直論旨についていけなかった。「ん」と仏教思想がどう密接につながっているのか、にわかには理解しにくいのだが、これは私の知識が浅いためだろう。

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2011年09月06日

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言葉の成立は国の文化史、歴史と深く関わっていることがよくわかった。奈良平安時代の先端文化であった仏教の影響は今では想像もつかないほどだったのだろう。mとn区別、空海のサンスクリット語経典導入、本居宣長の国粋主義日本語純粋論による濁音撥音の否定、リエゾンによる「ん」の発生、和歌の中の濁音撥音回避、漢文内の「ん」による調子、阿から始まり吽で終わる宇宙論、

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2010年05月14日

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「ん」は
なんば、さんが、たんき
それぞれで発声が異なると言うことを別所で聞いたことから、興味をもっていました。
昔の日本には「ん」がなかった、など興味深い内容が載っています。

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2010年04月13日

Posted by ブクログ

ん、の話。

もうちょいテーマを広げていくかと思ったけど、ほとんどが「ん」の登場の歴史。仏教とか和歌とか国学者とかかなりディープな内容になっております。言語学は嫌いじゃないからなんとか読めた。きれいな日本語について考えた。

地元のJUSCOで購入。

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2010年03月19日

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