吉川永青のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
裏関ヶ原のタイトル通り、通常焦点の当たらない人物に光を当てた短編集。派手さはないものの、それぞれ興味深く読んだ。黒田如水、最上義光の動きは知っていたが、佐竹義宣や織田秀信の戦いなどは初めて知った。
中でも細川幽斎の『細き川とて流れ途絶えず』が一番良かった。歌人である幽斎らしく関ヶ原の戦いを切り取る所が新しく、実に風流。幽斎と忠興、細き川が徳川という川に流れて力を与え、生き永らえる、そんなタイトルが非常に趣深い。
全体を通して、石田三成への作者の好評価を感じられ、三成好きとしては非常に嬉しい。特に三成に敵対した如水が彼を評価する場面から三成の政治家としての有能さを評価していることが窺えた。作者の『治部の礎』は未読で大事に積読していたが読んでみたい気持ちになった。 -
購入済み
鳥取城の干殺し関連で知っていた
名前で、凋落の山名には関心がなくスルーしていたが、この本に目がとまり読んでみた。読んでみると掘り出しもので大変面白かった。主人公豊国を秀吉、あるいは家康とも絡ませた興味深いやりとりが綴られている。この辺りは作者の創作であろうが、豊国の人生は概ね史実に基づいているようでドラマティックだ。
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ネタバレ 購入済み
この国の礎、如何に為すべきか。
2023年9月読了。
個人的に、「石田三成」が大好きである。自身の論理が冴え渡り過ぎて、其を理解に及ばない人達と「仲良く」する事が苦手だった、戦に不器用な、同じ職場に居たらさぞかし煙たがられる人だったと思っているが、その一途さえ故の儚さが、この武将の堪らない魅力であろうとずっと思ってきた。
秀吉の朝鮮出兵は、この小説にもある通り、秀吉独自の発案ではなく、当時から「遠い脅威」の予感がした〝南蛮〟と云う勢力が攻めてくる前に、日本,中国,朝鮮を一つの国として固めておくことが、未来の南蛮との戦いに「力を発揮する時が必ず来る」と云う、信長の発想が先にあったのだと感ずる。
国内統一も終わりきらないまま、直ぐに朝鮮行きを決めたのは、南蛮の力を、それだけ〝国家存亡の危機〟と捉えていたからではないか。しかし、信長も秀吉もその事にばかり焦るあまり、国政をしくじったのである。
確か、秀吉統治の時点で火縄銃の数は、日本が世界一に成っていた筈だが、「地球の反対側からやってくる」と云う勇気と猛々しい野心は、〝天下人〟の肝を冷やさせるのに充分であったろう。
先ずは貿易程度で付き合うが、いつか必ず「牙を向いてくる日がある」事を、二人の天下人は察知していたのだろう。
家康は幸いにして、先人二人の失敗を見ており、「戦わずとも〝鎖国〟してしまえば良い」と考えたのだろう。しかしそれは家康が聡かったからその策が当たったのではない。先人二人による〝日本国の武士は恐ろしい〟事を宣教師達の眼にしっかりと焼き付けさせて、本国へ「日本へは手を出すな」と云う報告が伝えられたからであろう。つまり、信長,秀吉の治世無くして、徳川政権も有り得なかったのである。
そんな〝日の本の国の礎〟たらんと、石田三成が考えていたのなら、自分としては嬉しいことこの上無い。
そんなことを考えさせられた一冊だった。
それから、西軍で〝動かなかった者達〟の言い訳を、一通り読んでみたいとつくづくと思う。 -
Posted by ブクログ
室町幕府最後の将軍、足利義昭を主人公とする歴史小説。
織田信長にいいように利用され、逆ギレして自滅した暗愚な将軍というイメージの足利義昭。が、本小説の義昭は知略に富み、時代を先読みし、信長と対等に敵対する。兵を持たない義昭は将軍の威光と書状で戦国時代の勝者を目指す。
特に将軍を心底、崇拝する者へのマインドコントロールは天才的。その術中にはまってしまったのが明智光秀。義明は光秀の心を巧みに操り、信長への猜疑心を植え付け、やがて本能寺の変へ。
足利義昭が優れた策略家であり、明智光秀は気が弱いお人好し。架空の設定ではあるが、義昭が戦国武将たちを言葉巧みに操って、世の中を渡っていく様は痛快。
信長、光秀の死後、秀吉の保護下で安らかに天寿を全うした実際の足利義昭は戦国時代の勝者の一人とも言える。