吉川永青のレビュー一覧

  • 雷雲の龍 会津に吼える

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    ネタバレ

    明治維新の話は、読んでいて辛い話が多いです。
    何故、戦わなければならなかったのか、何の為に戦うのか、殺し合うことしか道は無かったのか。

    正義と誠とは何なのか、考えさせられました。

    新選組も、これまで読んでいた本のイメージとは違った形で出てきたので、興味深かったです。

    立場は人を作る、という言葉が印象に残りました。

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    2022年02月25日
  • 治部の礎

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    ネタバレ

    多くの作品の中で描かれがちな豊臣第一としての姿ではなく、見方によっては豊臣家さえも道具として使っているように描かれており、全く新しい石田三成像だった。

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    2021年11月28日
  • 悪名残すとも

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    陶晴賢の一生を題材にした小説。
    敬愛していた主君が汚名を残さない為に謀反を起こして自分が悪名を被るという、一見矛盾した動機にも見えるがそこに至るまでの過程を通じて陶晴賢を作者独自の解釈で描いている。また当時の領国経営の実態や家臣団との派閥争いなど合戦以外にも見所が多い。毛利元就との関係が変化していく様は時代の流れに適応する者とそうでない者の比較になっていたと思う。

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    2021年11月08日
  • 毒牙 義昭と光秀

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    室町幕府最後の将軍、足利義昭を主人公とする歴史小説。

    織田信長にいいように利用され、逆ギレして自滅した暗愚な将軍というイメージの足利義昭。が、本小説の義昭は知略に富み、時代を先読みし、信長と対等に敵対する。兵を持たない義昭は将軍の威光と書状で戦国時代の勝者を目指す。

    特に将軍を心底、崇拝する者へのマインドコントロールは天才的。その術中にはまってしまったのが明智光秀。義明は光秀の心を巧みに操り、信長への猜疑心を植え付け、やがて本能寺の変へ。

    足利義昭が優れた策略家であり、明智光秀は気が弱いお人好し。架空の設定ではあるが、義昭が戦国武将たちを言葉巧みに操って、世の中を渡っていく様は痛快。

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    2021年09月25日
  • 新風記 日本創生録

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    神武天皇の東征と日本建国まで。清らかで志高い青年がやがて大王となるまでの話なのだが、戦の描写に難があり、キャラが少年漫画ぽい。ただ主人公の心の立て直しかたには惹かれる。関西弁をしゃべるキャラがいて弥生時代らしさがなく、邪馬台国の扱いも他の小説で読んだので斬新さがなかった。学説を取り込んだ歴史ファンタジーといった軽さ。展開が ラノベに近い。
    この著者の石田三成の小説もそうだが、やたらと溜め息をつくキャラがいて、爺むさい感じが鼻につく。
    古典の薫りに親しんだのでなくて、ゲームやアニメから歴史小説に入った作家さんなのかな?

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    2021年08月26日
  • 独眼竜と会津の執権

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    主人公の一人である金上盛備は、この小説で初めて知ったが、老獪でありながらうちに秘めたものの熱さも感じられ、とても興味をそそられる人物だった。また、もう一人の主人公である伊達政宗からの視点も描かれており、謀将と天才との知恵試しのように感じた。

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    2021年08月20日
  • ぜにざむらい

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    岡左内。蒲生氏郷、上杉景勝に仕えた。金が何よりも大好き。野山を駆け回り、猪を仕留めていたこともあり、感が鋭く、戦にはめっぽうつよい。
    生きたお金の使い方のわかる武将であり、あの直江兼続にその才能を惜しまれた。
    戦国時代、あまり他にみないタイプの武将であり、その生き様は、ある意味感動させられる。

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    2021年07月12日
  • 第六天の魔王なり

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    織田信長の小説は数あるが、これは信長の心境を切り口とした小説。
    うつけと呼ばれていたとき、人懐っこくもあり思いやりも豊かだった織田信長は、世の中の土台であろうとし、他人への情、人であれこても捨て去ろうとした。
    織田信長の心情の全てを察して、明智光秀は、お救いいたします、と優しねな声で、織田信長を討ち果たし、信長もまた、これで人間に戻れると微笑みながら死んでいく。
    新しい解釈、非常に面白い。

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    2021年06月21日
  • 闘鬼 斎藤一

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    新選組に関与するキャラクターとして、斎藤一は謎めいていて、個人の高いスキルの伝説だけが残っており、歴史の進行に個人として意味をなした人物でもないゆえに、小説家にとっては造形の自由度が大きいだろう。乾いてやや軽いタッチの現代的な剣戟シーンの書き方が印象的だった。
    その他、永倉、原田と近藤の反目についてこれだけ描写した小説は珍しいと思う。ただ、沖田と斎藤の「友情」めいたものがあったかのように描くのは、ちと違和感があり、現代受けを狙いすぎの気がする。

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    2021年05月15日
  • 闘鬼 斎藤一

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    ネタバレ

    余り描かれる事のない斎藤一の新選組物語。

    私は歴史を含めて新選組が好きなので、近藤勇が芹沢鴨亡きあと、増長した話等も知っていますが、改めて活字にされると(−_−;)

    人を斬ることに長けた男が組織の中で葛藤し、たどり着いた境地。それへ導いた友沖田総司も師である近藤勇もないのは、やはり切ない。

    生き残った隊士達はそれぞれの余生を過ごす中で、彼が残された事がよかったのか、悪かったのかはわかりませんが……。

    解説にもありましたが、るろうに剣心の斎藤さんに近いイメージがありました。

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    2021年05月01日
  • 毒牙 義昭と光秀

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    足利義昭の視点で、光秀と信長、ひいては、戦国の世の移り変わりをみていくもの。
    なかなかに面白い。たしかに言い得ている。光秀を人が好く、細やかに過ぎる人として捉え、武士としては頼りなく映るほど優しい心根であるからこそ、信長を信じられなくなり、光秀は本能寺の変を引き起こす毒牙となったのだ。
    本能寺の変をある意味、よく描いている作品でしょうね。

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    2021年04月17日
  • 雷雲の龍 会津に吼える

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    内容も知らず読んだが、好きな幕末の剣豪物で面白く読めた。

    主人公は北辰一刀流の開祖・千葉周作のもとで四天王のひとりと謳われた大剣士・森要蔵。要蔵は大のお酒好きで小藩の剣術指南で江戸で道場を開き多くの門下生を持つ身。時は幕末、藩主が会津の容保と近く戊辰戦争へ移り己の信じる「誠」に従って江戸を出て、門弟や息子とともに会津藩に与し、白河城を奪還する戦に参陣するそこで、土方、斉藤等の新撰組等とも共闘。
    幕府側の新撰組に思い入れが有り多くの本を読むが、ここにも心打たれる生き様をされた剣豪を知れて完読する。
    時代の趨勢に抗い、誠を胸に新政府軍に立ち向かい
    ひとたび戦えば、「雷雲を纏った龍のよう」と称され

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    2021年02月20日
  • 治部の礎

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    秀吉が死ぬまでが面白い。此処が描きたかったんだろうな。関ヶ原は意外とあっさり。
    まぁ、描き尽くされた感が有るからね。でもクライマックスは其処なんだから、もう少し力を入れて欲しかったかな。

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    2020年06月18日
  • 決戦!三國志

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    「奸雄遊戯」許攸
    「天を分かつ川」周瑜
    「応報の士」法正
    「倭人操倶木」操倶木
    「亡国の後」劉禅
    5つのエピソードからなる短編集。ある程度三国志に知識がある人には登場人物の個性が足されより深く三国志が楽しめる作品。

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    2020年05月07日
  • 毒牙 義昭と光秀

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    義昭主役、コイツはポンコツじゃない
    御行書や会話を毒牙に一人の心を蝕む
    久秀はステレオタイプだったが最新の
    研究成果に基づいた事実にそい適度な
    想像を加えてステキな物語に仕上げた
    大河のおかげで時代背景本読んだ成果
    により、この本の面白さが増した
    主役の三人は全員天下静謐目指してる
    信長との亀裂原因を北畠攻めにしてて
    タイミングで言えばそうなのですが、
    5ヶ条覚書内容が御行書中心と思う
    (物語的には北畠問題が正解)

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    2020年02月16日
  • 悪名残すとも

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    ネタバレ

    大内家に忠誠を誓いながらも国を統治するために主を殺し、然るも大内という旧体制の中で西国支配、果ては天下を狙っていた陶晴賢。史実がどうあれ、勝手に抱いていた自分がのし上がるために礼を無視して上に立った男ではないということはよく分かった。そして、序盤からの毛利元就との太い絆がどう転じていくのが先をめくる手を進ませる大きなポイントだった。

    最後にある通り、晴賢が大内に拘ったのは常に天下を見据えていたからかもしれない。旧体制を壊すのは簡単だが、全国という広い世界を収めるに「名」は何よりも大事だろう。事実、毛利は西国を手中に入れるに留まったのだし、愚かと悪名を残すとも評価に値するのではないかと思う。

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    2019年11月16日
  • 決戦!川中島

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    数ある合戦の中でも知名度が高く、上杉謙信と武田信玄がしのぎを削った川中島。複数の作家のオムニバスで、上杉方と武田方の視点を入れ替えての作品を楽しめた。謙信、信玄が本人であったのか影武者であったのか、史実を同定することは難しいが故の各作家の視点。それぞれの作家が史料に基づき展開するフィクション。時代小説を堪能する真髄があるように感じた。

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    2019年10月18日
  • 第六天の魔王なり

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    ネタバレ

    ここで描かれる織田信長は情に厚く優しい、世間のイメージとは少し離れた人物。その信長が浅井長政の裏切りをキッカケに鬼へと変わっていく姿を描く。

    ポイントは明智光秀との関係だろう。何事も合理的に物事を捉える知将の光秀を信長は気に入り、光秀もまた信長の心の底にある情に惚れ忠臣として仕える。信長が心を鬼にしていく中で、光秀はその変化を憐れみ、心から本当の姿に戻るよう願い、諭す。一方で、信長は天下のために自ら選んで殺した心をグサリと直球で刺す光秀に苛立ちを覚える。光秀の信長への愛情が却って信長を傷つけるという実に皮肉的で悲劇的な関係。その結果が本能寺の変に繋がるという流れも納得できる部分が多い。

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    2019年07月01日
  • 誉れの赤

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    武田の赤備えから、井伊の赤備えへ。「矜恃」とは何かを考えさせられる小説だった。いつか報われると信じて、自らの思いを大切にしながら、生きていきたいと思う。

    吉川永青さんのスタートとも言える作品。三国志物も読んでみたい。

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    2019年04月28日
  • 悪名残すとも

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    中国地方の雄大内家(義隆)、の家老:陶隆房(晴賢)が尼子氏との戦いの中武勇を捨て遊楽に勤む姿を憂い、力を付けた盟友-毛利元就(外様)との内通で悪名覚悟で主の義隆を亡き者にして大友家に出した義隆の養子の大友晴英を戻し担ぎ大内家の再興に努めるも当初お互いに認め合った毛利元就との考え方の違いから袂を分かち戦う。戦国時代西国の毛利元就の成上りを学べた子の戦略結婚での小早川、吉川との繋がり、家臣に福原貞俊が居た様だ。

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    2019年04月21日