【感想・ネタバレ】老侍のレビュー

あらすじ

群雄割拠の戦国時代。武士たちは身命を賭して主君に仕え、家を守り、己の矜持のためにその生涯を生き抜いた。どんなに老いて体が衰えたとしても、その経験と智慧が輝きを失うことはない。
常に戦いの中に身を置き、死を傍らに感じる中で、武将たちはいかに考え、いかに生き残っていったのか。
最期の最期まで「侍」であることにこだわり続けた、六人の武将の生き様を描く作品集。


戦国時代に、「定年」はない――。

「意地の天寿」……龍造寺家兼(齢九十三)
「勝てば良かろう」……朝倉宗滴(齢八十二)
「不屈なれ」……長野業正(齢七十一)
「捨て身の思慕」……宇佐美定満(齢七十六)
「魂の檻」……武田信虎(齢八十一)
「過ぎたるもの」……島左近(齢六十一)

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Posted by ブクログ

戦国時代の“フル装備”という感じの甲冑で身を固めた、眼光鋭い武士のイラストの表紙に凄く惹かれる。
6篇を纏めた一冊に『老侍』(おいざむらい)と題を冠している。各篇の主人公達は何れも「老雄」とでも呼ぶのが相応しい、60代以上の人達ばかりである。
各篇の主人公は史上の人物達をモデルにしているということになるが、相当な高齢になっているにも拘らず、熱いモノを胸に行動する姿に何か心動かされる。単純に「高齢な人物が頑張って…」ということではなく、色々なモノを視て、考え、行動し続けて来た自身の裡の想いに考え至り、「衝き動こう!」とする“生き様”に心揺さぶられる感だ。
各篇の中、島左近(清興)を主人公とした『過ぎたるもの』が殊更に好かった。同じ作者による『治部の礎』の「収め切れなかった部分」という感も在った。
何れも面白い篇で、読み易い分量である。広く御薦めしたい。

0
2020年06月27日

Posted by ブクログ

戦国武将好きには堪らないラインナップの短編集。
・意地の天寿- 龍造寺家兼
・勝てば良かろう- 朝倉宗滴
・不屈なれ- 長野業正
・捨て身の思慕- 宇佐美定満
・魂の檻- 武田信虎
・過ぎたるもの- 島左近

火坂雅志さんの長野業正、島左近の作品、著者は忘れたが武田信虎の作品も読んだが、他の武将は今作で初めて読んだ。

老将というか老侍は個人的には大好きで楽しませて貰いました。

どれも面白くて満足でした。

短編、長編問わないのでもっと全戦国武将の小説を読みたい。

作家の先生方どうぞよろしくお願いします。

2022/5

0
2022年05月16日

Posted by ブクログ

 タイトル通りの老侍を主役とした短編6編。特に好きなのは、最初の『意地の天寿』の龍造寺家兼。息子、孫が亡くなる中、曾孫を立て再興・下克上を果たす壮大な力作。それゆえ、その後の短編があまり唆られず。唯一、最後の『過ぎたるもの』は島清興(左近)を主題としながら短い話の中で石田三成との友情がよく描かれていて非常に良かった。作者の『治部の礎』の三成も気になる。
 全体的な感想としては、やはりいつの時代も「老兵は消え去るのみ」前線を退いて後進育成に努めるべきだと思う。『魂の檻』の武田信虎はまさにその典型で力を失ってもなお王様気取りは序盤から苦笑を続けざるを得なかった。その他の朝倉宗滴、長野業正、宇佐美定満も話は綺麗な終わりだが、若い者からして彼らの好戦支援が良いものを与えたかと問われればそうは言えないと思う。

0
2023年05月30日

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