吉川永青のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
三國志初心者にとっては非常に読みやすい小説だった。止めどなく登場する人名と地名に目眩を覚えながらも、物語の大枠は外さずに陳宮の三國志を堪能することができた。
特に序盤の展開に引き込まれた。一兵卒から曹操に見出され、頭角を現し、潜入して暗殺に成功する過程の堪らないわくわく感。一方で曹操を裏切ってからの閉塞感には常にイライラを覚えざるを得なかった。陳宮の自惚れには共感はできず、処刑されてようやく溜飲が下りる思いすらあった。とは言え、一歩間違えれば曹操を滅ぼしていたかもと思わせるほどの、その技量と戦略眼を見せつけるストーリーテリングは非常に見事だった。陳宮以外の視点からも同じ三國志をまた覗いてみたい。 -
Posted by ブクログ
自らを凡夫・非才と自虐する家康が、林羅山に竹千代のための遺訓を語る形式。とはいえ、林羅山パートは本のわずか。
家康がおそれた8名についての話を軸に、主に三方ヶ原~大坂の陣までの家康の半生を語っていく形式。半生を語らせるために無理矢理8人を引っ張り出した感はあるが、それは仕方のないものとして捨象すれば、家康物語を楽しく読めた。
対昌幸戦は、いわゆる天正壬午の乱~上田合戦を家康目線で見るもので新鮮。また、三成が集めた兵力に驚き、吉川広家の内通を信じ切れない姿も興味深いものだった。
慎重な狸親爺の姿から語られる家康であるが、とはいえことあるごとに凡夫であることを述べる家康の姿はあまりないような気がするので、非常に面白い本であった。 -
匿名
ネタバレ 購入済み戦国時代の東北陸奥、盟主の伊達氏の内乱から大小の武士が群雄割拠する状況にあった。
会津の蘆名氏もそのひとつで、葦名止々斎盛氏に仕える一門の金上盛備が本作の主人公。
何かと横やりを入れてくる伊達氏との戦に加え、止々斎の死後、望まれながら葦名氏の長には立たず
あくまで家老的な立場で会津をまとめようとする盛備は「会津の執権」と呼ばれるようになる。
かたや、伊達氏には政宗が生まれ、早くから天下を取ろう決意する。
政宗は早く陸奥を平定し、中央を窺いたいが、葦名が目の上のたん瘤になり果たせない。
盛備は織田信長や豊臣秀吉に会いに行くなど外交の才を発揮するが、家内をまとめきれず最終的に伊達と対決して敗れ、戦死するが、
政宗は結局天下取りをあきらめなくてはならなかった・・・。
まったく知らない人物と、大河ドラマの独眼竜政宗でしか知らない伊達政宗で、
時々話が見えなくなってしまったりしましたが^^;
調略の難しさや合戦シーンの描写が詳しく書かれていて興味深かった。 -
Posted by ブクログ
石田三成好きとしては非常に好ましい人物造形であったが、物語としては至って平凡という感想。
豊臣の忠臣ではなく、泰平の天下を実現するという大義を終始貫く三成像は面白い。例えば、朝鮮侵攻も国の利益とならない挙兵を早期に終結させるため、好戦派を陥れ停戦を急いだなど、視点が変れれば事件の印象も変わる。島清興・大谷吉継という二人の友の描かれ方も良い。無念の最後も三人で共通の思いを共有できているという事実は何よりも辛福だったのではないだろうか。最後の対家康への啖呵は痺れた。「1度の戦で豊臣を滅せよ」というセリフは初めて目にした。事実、家康が治部の礎で近世日本をつくり上げたというのは実に感慨深い。 -
匿名
ネタバレ 購入済み姉妹編の「義仲これにあり」が性善説的な話だったのに対し、
そちらにも出てきた鬼若こと弁慶が主人公のこちらは、なんというか、とても気持ち悪いお話、と言ったら失礼か。
多分意識して気持ち悪く書かれたんじゃないかなとも思うんですが。
主人公の弁慶の要望からして、片腕が短く四本指、片腕は長く六本指なうえ、疱瘡で片目がつぶれている身の丈七尺の大男。
生後すぐに捨てられ、鬼一法眼に拾われ養育され、修験者としての能力を得るも、その容貌から他人に疎んじられ虐げられ、
怒りと恨みしか知らずに育った。
世に恨みを抱いた弁慶は、復讐を考え、その旗頭として源義朝の遺児牛若を求めたが、
その牛若のひ弱さ加減に腹を立ててあっさり殺害、
山賊や掏摸など4人を集めて「義経党」をつくり、義経を騙らせて世にのさばろうとする、という感じですかね。
とにかく「イイヒト」が出てこないので、少々辟易とさせられる部分はあるけれど、
最後の段になって人の心を知ったことに気づいた弁慶に、少し救われた気がしました。