角野栄子のレビュー一覧
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作家になるまでの「自伝」。
父のこと母のこと、どんな子ども時代だったか、どんな本に夢中になったか。早稲田では米文学の龍口ゼミ、就職・結婚後、ブラジルに移住、そこで2年、その後ヨーロッパを旅して帰国。出産と子育て。しかし、気持ちはふらふら、自分がほんとうになにをしたいのかがわからない。すでに30代も半ばになろうとしていた。
そこに龍口先生から一本の電話。本を書いてみないか。最初は躊躇したが、書き出してみると、おもしろくてたまらない。子育てしながら、首から下げた画板の上で書く。水を得た魚のよう、天職に行き当たる。
ただ、自虐的に「効率の悪い人生」と言っている。このことばは聞きたくなかったかな。
(p.s. イギリスの作家、「グリーン・ノウ物語」のルーシー・ボストンを訪ねる話も出てくる。リンボウ先生が下宿していた先、上橋菜穂子が高校の時に訪ねた先。なんだか聖地みたいだ。) -
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ネタバレ魔女の宅急便は2年目を迎え、町の人達にもすっかりおなじみになった。しかし、突然大問題が発生し、キキは魔女を辞めようかどうか悩んでしまう…。
『魔女の宅急便』の続きが読めて嬉しいです。キキがコリコの町に戻った後のエピソードがどんなものなのか知りたくて…。あのアニメ映画でも大問題が発生するシーンがありましたが、あの時は魔女を辞めようかどうか悩むのではなく、突然魔法が弱くなるというものでした。それが原因で、宅急便の仕事を休まなければならなくなって…。
アニメ映画に続きがありませんが、原作に続きがあってよかったです。新しい魔法を使えるようになったキキが今後どんな活躍をするのか気になるところです。 -
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ネタバレアニバーサリーで、遠藤達哉先生の描いたキキのブックカバーがついているのに惹かれて購入。目がキラキラで、躍動感あふれる可愛いキキ。
大人になって初めて読みました。きっとこどもの時に読んでいたら、夢中になって読んだだろうな。なんで読まなかったんだろう?
お仕事本 にしては、とてもささやかなお礼しかいただかない。
でも、仕事 の本質にすごく触れている物語だなあと思った。
誰かの役に立ちたいというきもち、
お客さんをめんどくさいなと思うきもち、なんとかしてあげたいと思うこと、
そしてひと工夫して見事に解決してみせるキキの腕前。
お届け物の人のラブレター読みたくなっちゃって、なくして書き直すシーン、なんとも純粋でおかしい。笑
ほのぼのとしました。 -
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『トンネルの森1945』の、小学生までのイコに続く物語。学校教師としてブラジルへ渡るまでが描かれる。
戦争が終わり、イコは中学生になった。
学校での友だちや、学校の外の世界で出会う人たちと出会い、終戦後の時代の変化を感じながら、イコは成長していく。
文体が自由で、なんだか落ち着かない。思春期のイコの心のままに描かれていて、こうだ、という結論に辿り着けないイコのもどかしさそのままだ。自由になって、好きな生き方をしていい戦後、だけど自由に生きることは責任が伴う。
好きなもの、好きなことをひとつずつ数えながら、イコは生活していくが、自分の将来をどうしていいかわからない。
本屋さんへ行って、洋書の香りがビスケットみたい、と感じたり、エドガー・アラン・ポーやエミリー・ディキンソンの詩に惹かれたりするが、歌声喫茶の雰囲気は良くないと感じる。そういうイコの「嗅覚」が、あちこちに感じられる。
みんなの心が、不思議な熱気にわしづかみにされている。何かが違う、何かが恐いと、イコの心の中で叫んでいる声がする。(241p)
これは自伝ではなく、あの頃の感性そのままに、角野栄子が、イコを描いた小説だ。
自伝よりもずっと自由な空気に溢れている。 -
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74歳の大冒険が、いつのまにか12歳の幽霊とのタンデムに。ちょっと不思議な旅の物語です。
主人公は74歳の女性。世間様からは立派な御老体である彼女は、思い立って顔もよく覚えていない母の生家を訪ねてみようと新しく買ったばかりのバイクに跨り、旅に出た。真っ赤な相棒と走る、これがバイク人生の『ラストラン』と決めて辿り着いたその場所は、古めかしい写真そのままの建物が残っていて、更にその写真に写っていた少女の幽霊までが出てきて――74歳の娘と12歳の母親(の幽霊)の奇妙で不思議な旅が始まる。
タイトルから想像していたものと、種類の違う物語でした。まさか幽霊との旅の物語になっていくとは思わず、逆に先の展開が読めなくなって楽しく読み進めることができました。おしゃまでよくしゃべる、ころころと機嫌の変わる幽霊のふーちゃんは可愛いし、途中で出会う幽霊たちもそれぞれ味があって面白い。人生、いろんなことがあるものだなあと思わされる出会いと別れの数々。軽快なテンポで進む物語が子気味良かったです。
幽霊は孤独。誰とも交われず、誰とも分かり合えず、ただ一人心残りに縛られている。そんな存在だった彼女との旅は新鮮で、意外性に満ちていたことでしょう。
読後も物語が続いていくことを感じさせる、楽しいお話でした。