角野栄子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幼い頃の感覚や思い出をとても大切にされている方で、
大人になるにつれ忘れてしまうことを思い出させてもらいました。
私も角野さんと同じく、 いつもワクワクと「扉」を待ち望んでいて、 あの角を曲がれば… このドアを開ければ…って 見えない世界の不思議を敏感に感じていた。
ある時点で自分の生きる場所はここなのだと決心してから
その世界は急に遠のいてしまったけれど。
寂しいけど、誰しもその世界に別れを告げて大人になっていく。
だけど、今でもたまに、後ろを振り返ってみることも…。
『魔女も明かりのある壁の内側で、みんなと同じ暮らしをすれば、
魔女なんていって引き摺り下ろされたり、
突き落されたりしなかったかもしれない。
でもそんな想像の喜びのない生き方なんて魔女は嫌だったのだ。』 -
Posted by ブクログ
【現在進行形ー人生はワンダーランドへの冒険!】
『魔女の宅急便』の原点となる角野栄子さんの自伝的小説で、『トンネルの森 1945』の続編。
本書を読んでいると、主人公イコの気持ちが伝染したせいか、不思議とウキウキ、ワクワクが止まりませんでした!イコと伴走しながら、まだ見ぬ世界を一緒に模索するように読み進めながら私の頭のなかでは、ずっとユーミンの『ルージュの伝言』が流れていました。♪♫
戦時下では「あれも駄目、これも駄目」と窮屈だったけれど、「これからは自由だ!何か良いことが起こりそう」という高揚感が伝わってきます。
英語の「〜ing(現在進行形)」に出会い、「もし英語ができたら違う世界が見える、ここではないどこかへ……」と願うイコ。
この祈りのような想いが、戦時下の体験と重なり、「ホウキにまたがって自由にあちこち行きたい!」という『魔女の宅急便』へと繋がっていくのだと思うと、本当に奥深いです。
でも、イコのやりたいことはまだモヤモヤしていて、迷路のようにあっちこっちフラフラ。「何をどうしたら形になるのか?」という焦燥感がヒリヒリと伝わってきます。それでも、分からないからこそ、その場その場で「今ウキウキするもの」にしがみつき、自分の気持ちに正直に「好き」を大切にする姿が印象的でした。
将来のやりたいことなんて、なかなか決められないもの。あっちこっちフラフラして当たり前じゃないかな、と思います。大半の人はどこかで妥協して生きているから、その中から本当に「好き」に巡り会えれば、それは奇跡。
だからこそ、未知のワンダーランドを現在進行形(ing)で冒険するイコの姿が、どこか羨ましく、最高に格好良い一冊でした。 -
Posted by ブクログ
【『魔女の宅急便』の著者が描くトンネルの
向こう側】
ラジオから流れる戦争に祭りのように浮かれる大人たち。
「お国のために、陛下のために、贅沢はしません勝つまでは」
そうして少しずつ我慢が増えていく。
いつしか食べるものもなくなり、大切な物、大切な人が周りから居なくなっていく……。
孤独感や寂しさ、不安が、ページをめくる度にひしひしと伝わってきました。
9歳の少女の目線で描かれていたのは、戦争という時代の息苦しさ、生きづらさ、そして目を背けたくなるほどの過酷な現実でした。
先の見えない真っ暗なトンネルの森。
森の中に現れる謎の兵隊さん。
「イコが通ります」の呪文は、未来が見えない暗闇を進むための心のバリア、そして魔法の言葉。
一見あっけなく終わってしまったように感じますが、これが時を経て、あの『魔女の宅急便』のキキの「魔法」へと繋がっていくのだと思うと深すぎます。
戦争という暗いトンネルの中で「自由」を奪われた経験があるからこそ、角野栄子さんは、ほうきで空を飛ぶキキのような「どこへでもいける自由」を願いあんなにも生き生きと描けたのかなと思いました。
最後にイコちゃんが掴んだあの光が、どうやって『魔女の宅急便』のキキの飛ぶ空へと繋がっていくのか。彼女のこれからを、続編の『イコ トラベリング 1948-』で追いかけてみたいと思います。