プロフィール

  • 作者名:山本周五郎(ヤマモトシュウゴロウ)
  • 性別:男性
  • 生年月日:1903年06月22日
  • 出身地:日本 / 山梨県
  • 職業:作家

1926年『須磨寺附近』が文壇出世作となる。『さぶ』、『赤ひげ診療譚』、『樅ノ木は残った』など多数の作品を手がける。『樅ノ木は残った』がNHK大河ドラマ化されたことをはじめ、数多くの作品が映画化、ドラマ化、舞台化されている。

作品一覧

  • 山本周五郎[未収録]時代小説集成

    山本周五郎[未収録]時代小説集成

    小説・文芸

    5.0
    1巻5,940円 (税込)
    「少年少女譚海」、「講談雑誌」、「新少年」などの雑誌に発表された人情譚、怪異譚、冒険譚――。 文豪・山本周五郎による、これまで単行本に収録されなかった作品、流布版との異同の多い作品を一挙集成! 長篇2作品、短篇19作品、幻の作品群が姿を現わす!  山本周五郎が戦前に発表した時代小説は、探偵小説ほど未発見の作品は多くない。それでも散逸が激しい「講談雑誌」や少年雑誌、注目される機会が少ないマイナー雑誌や専門誌などに掲載された作品は、埋もれたままになっている。  本書には、『山本周五郎探偵小説全集』にも、〈周五郎少年文庫〉にも収録されていない、周五郎が戦前に発表した時代小説の中でも特に珍しい作品ばかりを収録した。その多くは単行本未収録で、単行本が底本として流布している作品の初出誌版、逆に初出誌が底本として流布している作品の初単行本版なども収めた。興味のある方は、バージョン違いの作品を比較してみるのも一興である。(「編者解説」より)
  • 赤ひげ診療譚 全巻セット

    赤ひげ診療譚 全巻セット

    小説・文芸

    5.0
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第13巻は江戸・小石川養生所を舞台に、医長の“赤ひげ”と若きエリート医師の対立と成長を描く「赤ひげ診療譚」。黒澤明監督『赤ひげ』として映画化された名作の全巻セット完全版。 ■目次 狂女の話 駈込み訴え むじな長屋 三度目の正直 徒労に賭ける 鶯ばか おくめ殺し 氷の下の芽
  • さぶ

    さぶ

    小説・文芸

    5.0
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第1巻は「さぶ」。青年から大人になる微妙な時期の男の友情と成長を描いた傑作長編。
  • 山本周五郎 電子全集1
    完結

    山本周五郎 電子全集

    小説・文芸

    5.0
    全16巻199円 (税込)
    山本周五郎の名作・代表作を一挙収録した山本周五郎全集の決定版。※本書は全16巻中の1巻目です。 ●目次 夜明けの辻 新潮記 柳橋物語 楽天旅日記
  • 合本 山本周五郎名品館【文春e-books】

    合本 山本周五郎名品館【文春e-books】

    小説・文芸

    5.0
    1巻3,463円 (税込)
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができるシリーズ4冊を便利な合本で! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻「一丁目一番地のひと」(周五郎作品に登場する女性像を分析する。) 第2巻「彼らを輝かせるもの」(男女が貫く「意地」をキーワードに作品世界に迫る。) 第3巻「寒橋のまぼろし」(「情」の万華鏡とも言うべき作品世界の魅力を解き明かす。) 第4巻「悲と哀のあいだ」(微妙に意味合いの異なる「悲」と「哀」を、周五郎はいかに描いたか。)
  • 樅ノ木は残った(上中下) 合本版

    樅ノ木は残った(上中下) 合本版

    小説・文芸

    5.0
    1巻2,530円 (税込)
    仙台藩主・伊達綱宗、幕府から不作法の儀により逼塞を申しつけられる。明くる夜、藩士四名が「上意討ち」を口にする者たちによって斬殺される。いわゆる「伊達騒動」の始まりである。その背後に存在する幕府老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族・伊達兵部とのあいだの六十二万石分与の密約。この密約にこめられた幕府の意図を見抜いた宿老・原田甲斐は、ただひとり、いかに闘い抜いたのか。 ※当電子版は『樅ノ木は残った』(上)(中)(下)の全三巻をまとめた合本版です。
  • 山本周五郎中短篇秀作選集 1 待つ

    山本周五郎中短篇秀作選集

    小説・文芸

    4.8
    1~5巻1,100円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「待つ」とは未来を信じること、あるいは明日へ向かう強い意志。ひたむきに人を待つ美しさ、ひたすらに期(とき)を待つ凄まじさ…生に期する力を捉えた充実の名作11篇。『内蔵允留守』『柘榴』『山茶花帖』『柳橋物語』『つばくろ(燕)』『追いついた夢』『ぼろと釵』『女は同じ物語』『裏の木戸はあいている』『こんち午の日』『ひとでなし』収載。
  • 雨あがる

    雨あがる

    小説・文芸

    4.7
    1巻733円 (税込)
    貧しいながらも心優しい人々のお互いを信じ合う姿が深い感動をよぶ表題作「雨あがる」、その続編「雪の上の霜」、侍という生き方よりも人間らしい生き方を選ぶ主人公を描き、著者の曲軒ぶりがいかんなく発揮されている「よじょう」など、武家ものを中心とした名作全五篇を収載。生きにくい時代だからこそ浮かび上がってくる、“人間の人間らしさ”を描き続けた昭和の文豪・山本周五郎の魅力が光る、オリジナル名作短篇集。(編/解説・竹添敦子)
  • 春いくたび

    春いくたび

    小説・文芸

    4.7
    1巻594円 (税込)
    江戸末期、戦地に赴く信之助を泣きそうな顔で見送る香苗。再会の願いも空しく時は過ぎ、尼僧になった香苗は救護院に流れ着いた老人の姿に息を呑む(「春いくたび」)。貧にして餓死するは武士の本懐なり。亡父の教え通り、最後の一夜を迎える兄妹。しかし、そこに突然激しい剣の音が(「武道宵節句」)。昭和の少年少女のために、山本周五郎が心とことばを尽くした短篇の中から時代小説10篇を収録。
  • さぶ

    さぶ

    小説・文芸

    4.6
    1巻900円 (税込)
    才走った性格と高すぎるプライドが災いして人足寄場に送られてしまう栄二。鈍いところはあるがどこまでもまっすぐなさぶ、ふたりの友情を軸に、人の抱えもつ強さと弱さ、見返りを求めない人と人との結びつきを描き、人間の究極のすがたを求め続けた作家・山本周五郎の集大成。「どうにもやるせなく哀しい、けれども同時に切ないまでに愛おしい」(巻末エッセイより)、心震える物語。(エッセイ/高田郁、編・解説/竹添敦子)
  • 山本周五郎 作品集 一

    山本周五郎 作品集

    小説・文芸

    4.5
    1~91巻110円 (税込)
    時代小説の名手、山本周五郎が描いた人情話の傑作集。貧しさや虐げられた者たちが愛、悲しみ、怒り、慈しみ、恨み、嫉妬、義理などさまざまな感情を抱え、必死で生きていく姿に思わず胸が熱くなる。人生の喜怒哀楽を知り尽くした作家が描く庶民の生活。第一巻は「あだこ」「晩秋」「おたふく」の三本を収録※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 町奉行日記

    町奉行日記

    小説・文芸

    4.5
    1巻880円 (税込)
    着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。
  • さぶ

    さぶ

    小説・文芸

    4.5
    1巻693円 (税込)
    小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋をさぶが泣きながら渡っていた。その後を追い、いたわり慰める栄二。江戸下町の経師屋、芳古堂に住みこむ同い年の職人、男前で器用な栄二と愚鈍だが誠実なさぶの、辛さを噛みしめ、心を分ちあって生きる、純粋でひたむきな愛と行動。やがておとずれる無実の罪という試練に立ち向う中で生れた、ひと筋の真実と友情を通じて、青年の精神史を描く。
  • 酔いどれ次郎八

    酔いどれ次郎八

    小説・文芸

    4.5
    1巻616円 (税込)
    藩の名刀を奪い、役人を斬って薩摩藩に逃げ込んだ侍を上意討ちにする命をおびた矢作次郎八と岡田千久馬。二人は首尾よく本懐を遂げるが、薩摩藩士に取り囲まれ退路を断たれる。千久馬を逃がし、その場で死んだと思われていた次郎八が二年後に藩に姿を現した時、かつての許婚は千久馬のもとに嫁いでいた――。次郎八のとる意外な行動を描く表題作ほか、「与茂七の帰藩」など全11編を収録。
  • 日日平安

    日日平安

    小説・文芸

    4.5
    1巻825円 (税込)
    織田裕二主演の映画『椿三十郎』の原作「日日平安」を収録。無一文の浪人・菅田は、“切腹のマネ”をして通りすがりの男に飯を乞うがあえなく失敗……。しかし、この通りすがりの男、なにやら騒動を抱えている。聞くと、仲間9人で悪徳政治を行う家老らへの斬り込みを企てていた。これはいいツルだ……!! 菅田は仲間入りを志願。狙うはもちろん礼金! だったのだが……。無一文の空腹浪人の活躍をユーモラスに描く表題作をはじめ、ヒューマニズムあふれる名作全11編。「粋」が伝わってくる、時代小説初心者にもオススメの一冊!
  • おたふく 山本周五郎名品館I

    山本周五郎名品館

    小説・文芸

    4.4
    1~4巻896円 (税込)
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。 山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の決定版! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。 市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。 山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻は「一丁目一番地のひと」と題して、周五郎作品に登場する女性像を分析する。 本書の収録作は以下の9篇。 「あだこ」(絶望した武士を立ち直らせるけなげな娘) 「晩秋」(仇である老臣の立派さ) 「おたふく」(かわいい女) 「菊千代抄」(男として育てられた君主の哀しみ) 「その木戸を通って」(ふっと来て、ふっと消えた女) 「ちゃん」(酔っ払いだが腕のいい職人の父親) 「松の花」(妻に死なれて初めて知る妻の偉さ) 「おさん」(自分の性に翻弄される女を追って) 「雨あがる」(おおらかな浪人とその妻)
  • 扇野

    扇野

    小説・文芸

    4.4
    1巻781円 (税込)
    枯野の襖絵に点睛を加えるために、初めて会った芸妓に野原で扇を落させる流れ絵師。その後の二人の道行きと、その陰で力をつくす女のまごころを鮮やかに写し取った『扇野』。“三十ふり袖、四十島田”のたとえに流れる女の哀しみを、下町の人情と善意で救った『三十ふり袖』。なにげない会話や独白のなかに男女の機微と人生の深い意味を伝える“愛情もの”の秀作全9編を収録する。
  • おごそかな渇き

    おごそかな渇き

    小説・文芸

    4.4
    1巻737円 (税込)
    長年対面しつづけた宗教的課題を取り上げ、“現代の聖書”として世に問うべく構想を練りながらも絶筆となった現代小説「おごそかな渇き」。ほかに“下町もの”の傑作「かあちゃん」「将監さまの細みち」「鶴は帰りぬ」、“武家もの”の名品「紅梅月毛」「野分」「蕭々十三年」、“こっけいもの”の「雨あがる」、“メルヘン調の「あだこ」「もののけ」と、周五郎文学のさまざまな魅力を一冊に収めた。
  • 赤ひげ診療譚

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    4.3
    1巻796円 (税込)
    長崎で最新の医学を学び、江戸に戻った保本登は、突然小石川養生所に呼び出され、見習い勤務を命ぜられた。エリートとしての矜持を抱く登は、「赤鬚」と呼ばれる医長・新出去定の強引さに不満を抱き、激しい反発を覚える。だが、養生所を訪れる貧しい患者たちや、徒労とみえることに日々を費やす「赤鬚」とふれ合ううち――。病や死を通して“生”の重みを描き出した、山本周五郎渾身の傑作。(エッセイ/細谷正充、編・解説/竹添敦子)
  • 雨あがる 映画化作品集
    値引きあり

    雨あがる 映画化作品集

    小説・文芸

    4.3
    1巻357円 (税込)
    黒澤明、小林正樹、小泉堯史――。 世界に名だたる映画監督たちが惹かれてやまない、山本周五郎の世界。 ときに親身に、ときに邪険に。 山本周五郎の描く人間は様々な面を持ち、おそろしいほどに今を生きる人々と重なる。 本作では、黒澤明によって『赤ひげ診療譚』として映画化された「狂女の話」を初め、「深川安楽亭」「雨あがる」など名作六篇を収録。 名監督も惹かれた世界をご堪能あれ。
  • 日本残酷物語 1

    日本残酷物語

    ビジネス・実用

    4.3
    1~4巻1,494~1,601円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 日常的な飢え、虐げられる女や老人、掠奪やもの乞いの生涯、山や海辺の窮民…ここに集められた「残酷」な物語は、かつての日本のありふれた光景の記録、ついこの間まで、長く貧しさの底を生き継いできた人々の様々な肖像である。
  • 柳橋物語・むかしも今も

    柳橋物語・むかしも今も

    小説・文芸

    4.3
    1巻616円 (税込)
    幼い一途さで答えてしまった「待っているわ」という一言によって、一生を左右され記憶喪失にまで追いやられてしまう“おせん”の悲しい生涯を描いた「柳橋物語」。愚直な男の、愚直を貫き通したがゆえにつかんだ幸福を描いた「むかしも今も」。いずれも、苛酷な運命と愛の悲劇に耐えて、人間の真実を貫き愛をまっとうした江戸庶民の恋と人情を描き、永遠の人間像をとらえた感動の2編。
  • さぶ

    さぶ

    小説・文芸

    4.2
    1巻770円 (税込)
    小舟町の芳古堂に奉公する栄二とさぶ。才気煥発な栄二と少し鈍いがまっすぐに生きるさぶ。ある日、栄二は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。自棄になった栄二は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが――。生きることは苦しみか、希望か。市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
  • 赤ひげ診療譚

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    4.2
    1巻616円 (税込)
    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”と呼ばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は事あるごとに赤ひげに反抗するが、赤ひげの一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。
  • ながい坂(上)

    ながい坂

    小説・文芸

    4.2
    1~2巻825円 (税込)
    徒士組という下級武士の子に生まれた小三郎は、八歳の時に偶然経験した屈辱的な事件に深く憤り、人間として目ざめる。学問と武芸にはげむことでその屈辱をはねかえそうとした小三郎は、成長して名を三浦主水正と改め、藩中でも異例の抜擢をうける。若き主君、飛騨守昌治が計画した大堰堤工事の責任者として、主水正は、さまざまな妨害にもめげず、工事の完成をめざす。
  • 季節のない街

    季節のない街

    小説・文芸

    4.2
    1巻704円 (税込)
    “風の吹溜まりに塵芥が集まるようにできた貧民街”で懸命に生きようとする庶民の人生。――そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。そんな街の人びとにほんとうの人間らしさを感じた著者が、さまざまなエピソードの断面のなかに深い人生の実相を捉えた異色作。
  • ちいさこべえ 1
    完結

    ちいさこべえ

    少年・青年マンガ

    4.1
    全4巻693円 (税込)
    火事で実家の工務店「大留」が焼け、両親をなくした若棟梁・茂次は、「どんなに時代が変わっても人に大切なものは、人情と意地だぜ」という父・留造の言葉を胸に大留再建を誓う。 そこに、身寄りのないお手伝いのりつ、行き場を失った福祉施設の子供達が転がり込んできて……ひげもじゃ若棟梁の崖っぷち人生劇場幕開き―― 山本周五郎の名作時代小説「ちいさこべ」を望月ワールド全開で新解釈する挑戦意欲作!
  • 小説 日本婦道記

    小説 日本婦道記

    小説・文芸

    4.1
    1巻528円 (税込)
    千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。
  • 花杖記

    花杖記

    小説・文芸

    4.1
    1巻660円 (税込)
    何者かによって父を殿中で殺され、家禄削減を申し渡された加乗与四郎が、事件の真相をあばくまでの記録『花杖記』。どんな場合も二の矢を用意せず、また果し合いにもあえて弱い弓を持ってのぞむ弓の達人の物語『備前名弓伝』。ほかに『武道無門』『御馬印拝借』『小指』『似而非物語』など、武家社会の掟の中で生きる武士たちの姿に、永遠に変らぬ人間の真実をさぐった作品10編を収録。
  • 樅ノ木は残った(上)

    樅ノ木は残った

    小説・文芸

    4.1
    1~3巻825~880円 (税込)
    仙台藩主・伊達綱宗、幕府から不作法の儀により逼塞を申しつけられる。明くる夜、藩士四名が「上意討ち」を口にする者たちによって斬殺される。いわゆる「伊達騒動」の始まりである。その背後に存在する幕府老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族・伊達兵部とのあいだの六十二万石分与の密約。この密約にこめられた幕府の意図を見抜いた宿老・原田甲斐は、ただひとり、いかに闘い抜いたのか。
  • 大炊介始末

    大炊介始末

    小説・文芸

    4.1
    1巻781円 (税込)
    自分の出生の秘密を知った大炊介が、狂態を装って藩の衆望を故意にうらぎらねばならなかった悲劇を描く表題作。自分たちはおたふくであるときめこんでしまっている底抜けに明るく情味豊かな姉妹の物語「おたふく」。奇抜な視点と卓抜な文体で「剣聖」宮本武蔵を描き、著者の後半期の出発点となった意義深い作品「よじょう」など。さまざまな傾向の短編から代表作10編を選りすぐった。
  • 深川安楽亭

    深川安楽亭

    小説・文芸

    4.1
    1巻737円 (税込)
    抜け荷(密貿易)の拠点、深川安楽亭にたむろする命知らずの無頼な若者たちが、恋人の身請金を盗み出して袋叩きにされたお店者に示す命がけの無償の善意を、不気味な雰囲気をたたえた文章のうちに描いた表題作。完成されたものとしては著者最後の作品となった「枡落し」。ほかに「内蔵允留守」「おかよ」「水の下の石」「百足ちがい」「あすなろう」「十八条乙」など全12編を収録する。
  • 山本周五郎 愛妻日記

    山本周五郎 愛妻日記

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和5年、27歳の周五郎は、煩悶の日々を送っていた。世界大恐慌の煽りを受け、日本もまた出口の見えない不況にあった時代。文壇デビューは果たしたものの、思うような作品を生み出せずに苦しみ、焦り、金銭的にも追い詰められて、自暴自棄になる日もあった。しかし、転機は恋と結婚によってもたらされる。周五郎は、最愛の妻に貧しい暮らしをさせていることに心を痛めながらも、真摯に小説と向き合う過程で、「読んで面白い小説」に活路を見出していく。妻への愛情を糧に、自分の為すべき仕事に辿りつくまでの若き周五郎の日常と心情が赤裸々に綴られた、第一級の文学史資料。(監修・竹添敦子)
  • 五辯の椿

    五辯の椿

    小説・文芸

    4.0
    1巻921円 (税込)
    天保五年の正月、むさし屋喜兵衛の寮から火の手が上がり、焼跡から三人の焼死体が見つかった。三人は、長く結核を患っていた当主喜兵衛と、妻おその、娘おしのと認められる。一方その年の晩秋、江戸の町では殺人事件が相次ぎ、骸の傍らには必ず椿の花弁が残されていた。被害者はいずれも殺されて当然と思われるような悪名高い男たちばかり。この一連の事件に、与力青木千之助が捜査に当たる。聞き込みの末に若い娘の影を掴むが、果たしてその娘とは・・・・・・。法で罰することのできない、けれど到底許しがたい罪をどう裁くべきか――昭和の文豪・山本周五郎渾身の傑作長篇。(エッセイ/澤田瞳子、編・解説/竹添敦子)
  • かあちゃん

    かあちゃん

    小説・文芸

    4.0
    1巻733円 (税込)
    私も周五郎作品を読み返す度、失ったものを取り戻すような気持ちになる。それはかつての日本の風景であり、人の情であり、親から伝えられた仕来りであり、恥を感じる心でもある(宇江佐真理・巻末エッセイより)。女手でひとつで五人の子供を育てているお勝と、その家に入った泥棒との心の通い合いを描いた表題作をはじめ、山本周五郎が、人間の“善なる心”をテーマに遺した作品から、全五編を厳選。文庫オリジナル。(編/解説・竹添敦子)
  • おたふく物語

    おたふく物語

    小説・文芸

    4.0
    1巻628円 (税込)
    町人たちの暮らしの姿、現実を生きてゆく切なさに焦点を絞り、すぐれた「下町もの」を数多く遺した山本周五郎。本書は、自分たちを“おたふく”と決めこんでいる明るく元気のいい姉妹をいきいきと描いた「おたふく物語」三部作(「妹の縁談」「湯治」「おたふく」)をはじめ、身分の垣根を越えた人間の交流を情愛たっぷりに綴った「凍てのあと」、女性の妖しさと哀しさを濃密に綴った「おさん」の全五編を収載。江戸に暮らす女性たちの姿を見事に切り取った名作短編集。文庫オリジナル。 (編/解説・竹添敦子)
  • 時代ミステリ傑作選 逃亡記

    時代ミステリ傑作選 逃亡記

    小説・文芸

    4.0
    1巻704円 (税込)
    突如、命を狙われた武士とそれを助ける女。男が明かされた自らの素性と軍用金を巡る藩内の権力闘争。大きな渦に巻き込まれた武士は……。表題作にして名作「逃亡記」、南町奉行所を舞台に、左官職人を殺めた罪で投獄された女の取り調べを行うなかで浮かび上がる深川・しじみ河岸に生きる人々の姿を鮮烈に描く「しじみ河岸」など。市井に生きる人々の息づかい、生活、そして生き様を活写した名手の筆が光る江戸ミステリの傑作六篇。
  • 赤ひげ診療譚 合本版

    赤ひげ診療譚 合本版

    小説・文芸

    4.0
    1巻550円 (税込)
    山本周五郎の連作短編小説集。合本版で一気に読める。江戸時代、小石川養生所。長崎で修行した医師・保本登と、赤ひげこと新出去定との対立と葛藤。それぞれ事情を抱える患者たち。赤ひげの治療に対する熱き思いを知るうち、次第に理解するようになる。何度も映画化、ドラマ化された作品。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 樅の木は残った 全巻セット

    樅の木は残った 全巻セット

    小説・文芸

    4.0
    1巻440円 (税込)
    山本周五郎の長編の歴史小説。全巻セットで一気に読める。江戸時代。仙台藩伊達家のお家騒動を基にした歴史小説。何も語らない孤高の樅の木と、藩を守るため尽力した原田甲斐の人生を描く。藩内の権力闘争。伊達家の乗っ取りを企む伊達兵部。大名の弱体化を狙う幕府の重鎮酒井雅楽頭(酒井忠清)。張り巡らされた罠をかいくぐり、困難な状況のなか活路を見いだそうとする原田甲斐。何度も映像化、ドラマ化された作品。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 完全版 日本婦道記(上)

    完全版 日本婦道記

    小説・文芸

    4.0
    1~2巻715円 (税込)
    戦中、戦後に渡り書き継がれた名作「日本婦道記」。直木賞辞退作としても知られる金字塔、その31篇を網羅した完全版、初の文庫化。武家の体面を保つために自らはつましい生活を送くる女。その死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』や『髪かざり』『風鈴』などの連作短編集。山本周五郎の作品の根幹を成すテーマである、「慎ましく生き、苦しみ、働く」という姿勢を貫く、傑作小説集。
  • さぶ

    さぶ

    小説・文芸

    4.0
    1巻748円 (税込)
    なんでも器用にこなす栄二と、お人よしだが愚鈍なさぶ。二人は幼いころから仲良しで、いつも栄二はさぶの兄貴分だった。だが、無実の罪で栄二が石川島に流されたことをきっかけに、その関係性に陰りが見え始める。自分は陥れられた、ここを出たら復讐してやろうと世間を恨んでばかりいる栄二は、島の罪人とも口を利かず、会いに来たさぶのことも冷たく突き放した。しかし、大あらしから島を守るための防波堤を作る作業中、栄二はうっかり足をすべらせて生き埋めとなってしまう。普段は冷たく接していた罪人たちが、どうしてこんな自分のために危険も顧みず、躍起になって助けようとしてくれるのか。徐々に心を開いていく栄二だったが――。1人の男が精神的な成長を遂げる感動物語。
  • 美少女一番乗り

    美少女一番乗り

    小説・文芸

    4.0
    1巻594円 (税込)
    飛騨と信濃の国境、摩耶谷の山中。お弓は、父親を殺した掟破りの敵陣に馬上に薙刀を執って斬り込んだ(「美少女一番乗り」)。主君の遺言書を命がけで守る中小姓・数馬。武家の家督を巡る兄妹の選択(「和蘭人形」)。上杉景勝一万石の重臣・左内は、大変な倹約家。切り詰めすぎる生活に陰口が飛ぶが、その真意が明かされる(「戦国会津唄」)。冒険、活劇、勇気、友情、ロマン、哀歓を人間の成長と共に描く名作短篇集、全10篇。
  • 青べか物語

    青べか物語

    小説・文芸

    4.0
    1巻572円 (税込)
    根戸川の下流にある、うらぶれた裏粕という漁師町をふと訪れた「私」は、“沖の百万坪”と呼ばれる風景が気にいり、ぶっくれ船“青べか”をテもなくかわされてそのままこの町に住み着いてしまう。その「私」の目を通して、町の住人たちの生活ぶりを、巧緻な筆に描き出した独特の現代小説。
  • 怒らぬ慶之助

    怒らぬ慶之助

    小説・文芸

    4.0
    1巻616円 (税込)
    二の矢を携えず、ただ一矢のみを持って真剣勝負に臨む侍の姿を通し、 武士道の真髄を描いた表題作。従妹の許婚の悪行を知らされると同時に、従妹への恋情に目覚める「怒る新一郎」ほか「千代紙行燈」「武道絵手本」など。大正15年の「小さいミケル」から、昭和18年「日本婦道記」が直木賞に推されてこれを辞退した時期までの苦行時代を、新たに発掘された11編を含め跡づける短編集。
  • 朝顔草紙

    朝顔草紙

    小説・文芸

    4.0
    1巻528円 (税込)
    顔も見知らぬ許婚同士が、十数年の愛情をつらぬきとおし、藩の奸物を討って結ばれるまでを描いた『朝顔草紙』。徳川四天王、本多平八郎と同姓同名の臆病な青年武士が、戦場で名乗りをあげるたびに敵の第一目標とされ、あわてて逃げ出すという滑稽な設定の『違う平八郎』。いずれ劣らぬあわて者同士主従の不思議な心の通いあいを描いた『粗忽評判記』。ほかに『義理なさけ』など全12編。
  • 松風の門

    松風の門

    小説・文芸

    4.0
    1巻737円 (税込)
    幼い頃、剣術の仕合で誤って幼君の右眼を失明させてしまった俊英な家臣がたどる、峻烈な生き様を見事に描いた“武道もの”の典型「松風の門」、しがない行商暮しではあるけれども、心底から愛する女房のために、富裕な実家への帰参を拒絶する男の心意気をしみじみと描く“下町もの”の傑作「釣忍」、ほかに「鼓くらべ」「ぼろと釵」「砦山の十七日」「醜聞」など全13編を収録する。
  • 天地静大(上)

    天地静大

    小説・文芸

    4.0
    1~2巻660円 (税込)
    倒幕に揺れ動く幕末、若者たちは国の為に何をすべきかを模索していた。そんな中、東北の一小藩出身の杉浦透は、世間の流れに惑わされず昌平黌に入学し、学問の道に専念することを決意する。一方、水谷郷臣もまた、藩主の弟という立場に悩みながらも、己に忠実な生き方をしようと努力する。時代の動乱に巻き込まれながらも、懸命に生きる若者たちを描いた青春群像劇。
  • おさん

    おさん

    小説・文芸

    4.0
    1巻693円 (税込)
    純真な心を持ちながらも、女の“性”ゆえに男から男へわたらずにはいられないおさん――世にも可愛い女が、その可愛さのために不幸にひきずりこまれてゆく宿命の哀しさを描いた『おさん』。芸妓に溺れ込んでいった男が、親友の助力で見事に立ち直ってゆくまでを描いた『葦は見ていた』。“不思議小説”の傑作『その木戸を通って』。ほかに『青竹』『みずぐるま』『夜の辛夷』など全10編を収める。
  • 寝ぼけ署長

    寝ぼけ署長

    小説・文芸

    4.0
    1巻616円 (税込)
    五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。ところが、いよいよ他県へ転任が決ると、別れを悲しんで留任を求める声が市民たちからわき起った……。罪を憎んで人を憎まずを信条とする“寝ぼけ署長”こと五道三省が、「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、痛快奇抜で人情味あふれる方法でつぎつぎと解決する。山本周五郎唯一の探偵小説である。
  • 人情裏長屋

    人情裏長屋

    小説・文芸

    4.0
    1巻825円 (税込)
    居酒屋でいつも黙って一升枡で飲んでいる浪人、松村信兵衛の胸のすく活躍と人情味あふれる子育ての物語『人情裏長屋』。天一坊事件に影響されて家系図狂いになった大家に、出自を尋ねられて閉口した店子たちが一計を案ずる滑稽譚『長屋天一坊』。ほかに『おもかげ抄』『風流化物屋敷』『泥棒と若殿』『ゆうれい貸屋』など周五郎文学の独壇場ともいうべき“長屋もの”を中心に11編を収録。

ユーザーレビュー

  • 深川安楽亭

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    周五郎は、なぜ深川安楽亭の最後に客を登場させたんだろう。
    なんで富次郎を助けたんだろう。
    客の背景も分かる。
    水の下の石の人は助けなかったのに、富次郎は助けたんだろう。

    色んな考察をみたけど、いまだにしっくりくる考察がないし、自分の中でもしっくりきてない。
    歳のせいか、性格のせいなのか、性別なのか分からないけども。
    もし識者がいらっしゃれば、お知恵を貸してください。

    とても面白いことは間違いないです。

    0
    2026年09月29日
  • 樅ノ木は残った(上)

    Posted by ブクログ

    (上中下の感想をまとめてここに書きます)


    ▼有名な話ですが、この物語の骨格は歴史の実話です。江戸時代にあった「伊達騒動」。家老の原田甲斐が悪者とされていて、最後は幕府老中の屋敷で乱心して刃傷沙汰を起こして殺される、という。
     この史実が歌舞伎になりました。ヒット作。伽蘿先代萩という演目。原田甲斐は、二木弾正という名前になっている。これが悪役です。だから原田甲斐というのは、吉良上野介みたいな、悪役として有名だった。
     それを、山本周五郎さんが、「調べれば調べるほど、おかしい。原田甲斐は悪人では無かったと思う」という仮説?で書いたのがこの小説です。



    ▼再読です。でも、40年ぶりくらいの再読。たしか小6か中1くらいの頃に読んで以来。その頃に、

    「山本周五郎さんの中では、重厚な感動・・・な感触はあるんだけど、今一つ、物語の進行と、主人公の行動の必然性が分からん・・・」

    と、もやもやしたんです。50代に入ったから、そのあたりがかなり分かるかな?と思って再読しました。

    結果的に、

    「大変に面白かった」

    「が、やっぱりけっこう、腑に落ちなかった」

    という結果でした。
    ただ、こっちも歳を取ってますから、図太くなっています(笑)。

    「作者の思い入れが強いから、ちょっとそれが過剰で、主人公の行動と、最後の結果の説得性が、ちょっと欠けてるんだな。だけど、その全体の物語の旅路の見せ方、主人公の心情、ひとつひとつの事件や脇役たちの見せ方が上手で、大変に楽しめる。大変に素晴らしい小説だな」

    ・・・・と、理解しました。まあつまり、腑に落ちないけれど面白い。





    ▼江戸時代初期。初期と言っても1600年代の終盤くらい。つまり、家康とか伊達政宗とかはみんな死んじゃってます。大阪の陣が1614年、島原の乱1637とかですから、もう戦国を知ってる人はいない。
     主人公は、伊達家仙台藩(60万石だったか)の、家老の血筋の原田甲斐。つまりこれは、伊達藩の物語です。
     物語の背景には、この時期の歴史背景があります。

    ・戦国はもう過去。今は徳川の天下。

    ・徳川は、「外様大名の、大きな大名を、どんどん潰していた」という事実。福島正則の家とか。加藤清正の家とか。つまり、血筋的に徳川に縁の遠い大名を、いちゃもんをつけて取り潰すわけです。

    ・そういう意味では、伊達家も標的になり得る。

    という背景があります。



    ▼原田甲斐の伊達家に色々トラブルが起こります。伊達一族の中の、「わがままな叔父さん」である、伊達兵部という人が、無理難題をいっぱい言ってくる。トランプ大統領みたいな(笑)。
     家中は反感で割れる。騒動になりかかる。


     ここで、原田甲斐。親友ふたりと、計三人で密謀・密談・密約します。

    A <伊達兵部は、幕府の老中と繋がっている。わがまま非道を言い、伊達藩に騒動を起こして、それを原因にして幕府が伊達家を取り潰す。それが狙いに違いない>


    B <だから、兵部がわがままを言っても、非道を行っても、怒らずに、とにかく耐えよう。その方が伊達家は滅ぼされない。その間に、加賀前田とか、薩摩島津などの外様大藩と何かしらか連携して、打つ手を探そう>


    C <原田甲斐は、兵部の仲間になったかのように振舞う。その方が、相手の隙をつけるだろう。だから、友達とも絶交する。家中から嫌われてもいい>


    という内容なんですが、「打つ手を探そう」はかなり曖昧です。そんなことでいいのだろうか。





    ▼話の段取りで言うと、これ、10年くらいの期間の物語です。

    で、山本周五郎が描きたかったのは、兎にも角にも、上記の「C」なんですね。





    本当は、熱い正義の志を胸に秘めているけれど。

    黙って誰にも語らない。

    周りに誤解され、悪人と罵られ、唾を吐かれるが、黙って耐える。ひたすら耐える。言い訳しない。理解を求めない。





    もう、これをやりたかったんです。
    周五郎さんは。高倉健的ワールドです。ハードボイルド(実はべったりセンチメンタル)です。

    だから、そういう原田甲斐の姿、忍従、誤解され罵られ耐える、、、、そんなあたりの描写は、圧巻です。ぐっと来ます。ほんとに胸に熱いものが溢れます。


    ▼・・・・ちなみに、 

    「たったひとり、とある美少女だけが、何の説明もなくそんな原田甲斐の苦しみを直感的に、エスパーのように理解して、そしてプラトニックにひたすら原田甲斐を愛し続ける」 

     という、オジサン的にはスーパーご都合な要素が全編を貫きます。
     このくだりの、プラトニック具合がもう、あからさまにプラトニックすぎて却って厭らしいくらいなんですが・・・・・。




    ▼・・・って言うと、あんまり褒めていないようですが、ぶっちぎりに面白かったです。文句なく、★5個です。

    まあ、一番大きな理由は、読み手の自分自身がオジサンなんで(笑)、こういう、高倉健チックな

    「男は黙って滅びるぜ、美女に愛されカッコいい」 

    という、実に言ってしまうと身も蓋も無くてひたすらに恥ずかしいファンタジー物語が嫌いじゃない・・・・ということかと思いますが。


    でも、この小説の素晴らしさはそれだけではなくて(笑)。


    脇役の配置、世界観の作り方がもう、「さすが」ですね。





    ▼江戸時代の「政治向き」の話なんです。殿中でひそひそ話して。密書を奪い合う、みたいな。まあつまり、ツマラナイ(笑)。
     ところが、これは仮名手本忠臣蔵と同じくで、そのツマラナイ話を面白くします。



    ①市井のフィクションの人物を効果的に配置して、

    ②死んでいく者たちをネチネチと描いて、哀切な「別れの物語」として

    ③主人公をある角度から見れば人間的な「型破りな遊び人」として描く



    という3点です。特に①が秀でていると思いました。


    ▼浪人の柿崎六郎兵衛というならず者(腕は立つ)。
    その妹の、みや。

    このふたりの物語がオモシロイ。
    きっかけは、「みや」が伊達関係の家臣の妾だったことから。その家臣はお家騒動で殺されてしまう。みやは、江戸にもどる。兄のもとに。浪人で貧しい。
    ただ、、みやが、伊達家の家臣の顔を知っていることから、ふたりは伊達騒動に食い入ってくる。金目当て。伊達兵部の、犬のようになる。ならず者たちを集めて、関係者の拉致などをしようとする。だがうまくいかない。やがて兄は滅亡していく。ほとんど原田甲斐とは、交わらない。

    なんだけど、一方で主家のため、忠義のためにすべてを耐え忍ぶ、貴族の原田甲斐。
    命を懸ける原田甲斐。
    一方で、忠義なんてくそくらえ、明日の飯のために騒動に加わる浪人者。

    そこにはそこに、人生の地獄があり、喜びがあり、愛があり、別れがある。
    そんな柿崎グループの世界と、原田甲斐の世界が、たまにすれ違う。
    そんな作りが、「これは上手い・・・・」と脱帽です。

    一事が万事、ことほどさようにエンタメ的に良くて来ています(オジサン的にはですけれどもね・・・・これ、ミソジニーとフェミニズムの観点から見ると、実に異様な価値観に勝手に殉じて周りに迷惑をかける勘違いナルシスト男の不可解で醜悪なコメディなんじゃないかっていう気もしますが・・・)。









    ▼(ここから先は自分用です)最後に自分の備忘的に、「いまいち腑に落ちない」点を。


    最終的に10年くらいか、かかるんですけれど、

    その5年目くらいに、原田甲斐は、とある書状を手に入れます。
    それは、

    <老中・酒井雅樂が、伊達兵部と交わした密約書。中身は、伊達60万石を分割して、30万石を兵部にあげるよ、というもの>

    なんです。

    これが手に入ったなら、匿名でもいいから

    「この密約書を、いつでも明るみにだすぜ。お前さんが困るような相手に渡すぜ」

    と、酒井を脅せばええやんか、

    、、、、と思ってしまいます。
    それで、「伊達兵部を使っての悪だくみはもうできないな」になれば、それで、ええやんか、と。




    ところが。
    主人公・原田甲斐は

    「いやいや、相手は権力者だから、そんなことをしても何も響かないかもしれない。却って悪いことになるかも」

    と・・・・悪い奴らの言いなりにさせ続けます。耐え続けます。そして大切な仲間も死んでいきます。



    ところがですね。

    何年経っても、何も有効な「別の手段」は講じられないんですね。耐えるだけ。



    そうこうしているうちに、盟友のひとり「伊達安芸さん」が、

    「もう我慢できへんは。俺は江戸の幕府に訴えて出るわ。兵部を罰してくれって。甲斐ちゃんよ、お前さんは例の密書をちらちらさせてくれ」

    と。行動に出ます。これを、主人公・原田甲斐は、止めるんですね。

    「いやそんなあかんて。まだまだ耐えよう。耐えようよ」

    でも、伊達安芸さんの方が

    「もう堪忍ならへん。あしは行く。止めてくれるな」



    で、結局、甲斐さんは、考えて、

    「黒幕の、酒井雅樂ではない、ナンバー2かナンバー3くらいの、老中さん」

    に、密書を見せる。



    酒井雅樂は、こんな悪いことしてまっせ。

    ええんでっか?

    うちはこの密書を、あちこちに見せまひょか?




    みたいなことです。


    ・・・・で、これを、そのナンバー2さんが、酒井雅樂に告げる。

    「原田甲斐が、これこれな密書をうちに見せてんよ。酒井雅樂さん、あんたこれほんまでっか?ほんまやったらちょっとあかんのちゃいますか?」

    酒井雅樂はそれで、参っちゃうんですね。

    「これあ・・・あかんわ。もう伊達兵部を使って、伊達藩に嫌がらせする作戦は、終わりや。強引に進めても、うちが失脚してまうかもしれへんからな・・・」

    と、なります。


    ・・・・・だったら・・・
    密書が手に入った時にすぐその作戦やってればよかったやんかっ!

    ・・・・・さらには・・・
    今回だって伊達安芸が強引に動かなかったら、主人公、
    まだまだ無駄に耐えてたんやろ???・・・・阿保ちゃうか??




    ▼そしてさらに。
    原田甲斐は密書を胸に入れて、老中により聞き取りがあるので呼ばれます。
    酒井雅樂の屋敷。
    仲間の伊達安芸も一緒。
    ここで、控えの間に居る間に、酒井雅樂の手のものに斬られて死んでしまいます。
    原田甲斐も、酒井雅樂も。

    酒井雅樂としては、



    ・密書そのものをとにかく取り返す

    ・密書のことを知っている主だったものを口封じする



    という狙いです。これはまあ、分かります。
    そして、



    ・まあ、それはやるけれど、もうナンバー2にも知られちゃったから、
    伊達兵部を使っての悪だくみは、終わりにする。



    という心情。これもまあ、十分に理解できます。





    ▼原田甲斐は、斬られたときに、びっくりするけれど、上に書いたような酒井雅樂の心情を、一瞬で理解します。
    同じく斬られた仲間の、伊達兵部のところに這っていき、お互いに虫の息だけど、次のことを言います。


    ・良いですか、今起こったのは、私原田甲斐が乱心して、あなた、伊達兵部に斬りつけて殺した。私もその場で殺された。そういうことですぜ。それで、伊達家は安泰ですから。
    (そうじゃないと、酒井雅樂の家来に襲い掛かって殺された、みたいな嘘が言われてしまう。その方が、伊達家が懲罰を喰らいかねない。密書を気にして、関係者の口を封じる、われわれと殺すということは、幕府の大臣のナンバー2などの目を気にしてるということだから、伊達兵部を使った悪だくみは、もう終わりにする、というのが酒井雅樂の心情でしょう)


    で、これを、虫の息の伊達安芸が、駆け付けた人々に言う。

    人々の中には、例のナンバー2が居る。

    ナンバー2が
    「そうかなるほど、本当は酒井雅樂の家来に殺されたんだな。だけどそうは言えないものな。お前たちの忠義は素晴らしい。これで伊達家は潰されないぞ。安泰だ!」
    と、いうようなことを言ってあげる。それで原田甲斐と伊達安芸は死ぬ。


    これ・・・・ちょっと無理があります・・・・。

    だいたい斬られた瞬間に、「これでお家は安泰だ」と想像するのが全然分からない・・・。ああ、口を封じされて密書も奪われるから、悪事は止まらないのか・・・ダメだった・・・。  と、思ってもおかしくないのでは????



    ・・・・と、このあたりは、言いたくなります(笑)

    美しい精神の物語にするために、かなり・・・・かなり・・・・強引に「劇化」してると思います・・・。

    あっ、そういうことも含めて、仮名手本忠臣蔵、なのかも知れませんね。

    0
    2026年09月23日
  • 赤ひげ診療譚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     最近好きな夏川草介さんが影響を受けたと何かしらで見たので気になって読んだ。
     夏川草介さんの小説で描かれている世界ととても似た風景が描かれている小説だった。脚光を浴びるという風なものとは程遠い診療所に勤め、赤髭と貧しい患者を治癒しながら、自分の哲学を突き詰めていき、成長していく保本登がかっこよかった。

    0
    2026年09月21日
  • おごそかな渇き

    Posted by ブクログ

    安定の山本周五郎。時代物だけでなく、現代物(といっても戦後すぐくらい)の物語が含まれる短編集。いつもはスパッと切れ味の良い武士の忠義、親子、夫婦、兄弟の理想系などが中心だが、この一冊では、ちょっとドロドロした話、救いようがない人間像、無駄に生きるどうしようもなさなどが正直に描かれている感じ。理想だけじゃないんだよなあということをしみじみと思い出させる一冊で、これはこれで十分アリ。

    0
    2026年09月20日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    昔に読んだ時、内容は忘れてしまったけど、
    とてもよかったと言う記憶があり再読
    やはり最高!読むほどに人生への問いかけやメッセージが胸にグイグイと迫ってくる
    さぶと栄二、対照的な2人
    さぶや、おノブさん、与平などなど、
    周りの人に支えられながら、身に起こる困難を乗り越えながら成長して行く栄二、
    「ドジで、まぬけで能無し」でも純朴でまっすぐなさぶの思いや行いに胸打たれる
    読後、しばらく登場人物が頭を離れなかった
    周五郎素晴らしい
    しばらく周五郎でいってみる

    0
    2026年06月11日

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