プロフィール

  • 作者名:山本周五郎(ヤマモトシュウゴロウ)
  • 性別:男性
  • 生年月日:1903年06月22日
  • 出身地:日本 / 山梨県
  • 職業:作家

1926年『須磨寺附近』が文壇出世作となる。『さぶ』、『赤ひげ診療譚』、『樅ノ木は残った』など多数の作品を手がける。『樅ノ木は残った』がNHK大河ドラマ化されたことをはじめ、数多くの作品が映画化、ドラマ化、舞台化されている。

作品一覧

  • 繁あね 美しい女たちの物語
    値引きあり

    繁あね 美しい女たちの物語

    小説・文芸

    -
    1巻352円 (税込)
    繁あねは女のエッセンスである。――山口瞳(作家)艶やかに、ときに凜とし、ときに意地悪く――。作家が見つめた女という生き方とは。木場の畔に暮らす作家の私。釣竿をおろす私に突然声をかけてきたのは、繁あねだった。年は十二、三、妹と二人両親に捨てられ、肌にはひどい腫れ物があり、その生い立ちのため人に対して好戦的であることから、町でもその娘を引き取る者はいなかった。少女から女に変わる途上の繁あねとの会話を通し浮かび上がる、その生の在り方や人間の美しさ。表題作「繁あね」のほか、「この女とは一緒にいてはいけない……」そう思い別れた女・おさんへの複雑な思いから、その消息をたずねる男。おさんは、移り住んだ家に次々に男を引き込んでいると聞くが……。女の生を通し、人の心、男女の想いのありようを艶やかに描き出した名作「おさん」など。女性の美しさ、その生の在り方を艶やかに描く名作七篇。
  • 山本周五郎 電子全集1
    完結

    山本周五郎 電子全集

    小説・文芸

    5.0
    全16巻199円 (税込)
    山本周五郎の名作・代表作を一挙収録した山本周五郎全集の決定版。※本書は全16巻中の1巻目です。 ●目次 夜明けの辻 新潮記 柳橋物語 楽天旅日記
  • 幽霊屋敷の殺人

    幽霊屋敷の殺人

    小説・文芸

    -
    1巻110円 (税込)
    山本周五郎の現代小説。名探偵春田龍介登場。幽霊に殺されると言っていた松川博士が実際に殺された。果たして死因は?幽霊はいるのか?邸のどこかに莫大な金貨はあるのか。「幽霊屋敷の殺人」他に「海浜荘の殺人」「殺生谷の鬼火」を収録。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 天地静大

    天地静大

    小説・文芸

    -
    1巻220円 (税込)
    山本周五郎の長編時代劇。幕末、黒船来航により日本中が揺れていた。公武合体、幕府に忠誠を尽くすか、尊王攘夷か。激しい時代の変化はそこまで迫っていた。東北の小藩に生まれた杉浦透は江戸で勉学に励むことで将来の日本に尽くそうとしていたが、周囲の人々は時代の渦に巻き込まれていく。あるものは信念のため命を落としたり、思想の異なるものを排斥しようとする。激動の時代に生きた若者の青春群像劇。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 山本周五郎 作品集 一

    山本周五郎 作品集

    小説・文芸

    4.5
    1~91巻110円 (税込)
    時代小説の名手、山本周五郎が描いた人情話の傑作集。貧しさや虐げられた者たちが愛、悲しみ、怒り、慈しみ、恨み、嫉妬、義理などさまざまな感情を抱え、必死で生きていく姿に思わず胸が熱くなる。人生の喜怒哀楽を知り尽くした作家が描く庶民の生活。第一巻は「あだこ」「晩秋」「おたふく」の三本を収録※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 青べか日記

    青べか日記

    小説・文芸

    -
    1巻275円 (税込)
    『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』『季節のない街』などで知られる小説家・山本周五郎が残した数少ないエッセイ集。この中には『青べか物語』のもととなった浦和での出来事を綴った日記のようなエピソードが全編に渡って収録されている。
  • 青べか物語

    青べか物語

    小説・文芸

    -
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第4巻は、うらぶれた漁師町を舞台にした自伝的現代小説「青べか物語」。公表された唯一の日記エッセイ「青べか日記」も収録した完全版。 ■目次 『青べか物語』 『青べか日記』
  • 青べか物語

    青べか物語

    小説・文芸

    -
    1巻275円 (税込)
    浦安がモデルとされている漁師町「浦粕」にて、“私”を通して出会った、独特で常識外れな地元の住人たちの人間模様を描いた、山本文学の到達点であり、日本近代文学の金字塔的作品。 著者の山本周五郎が、1920年代末に実際に暮らした浦安での体験などをもとに創られた背景を持つ。当時、貝や海苔を採る青いべか舟(一人乗り用の平底舟)を購入し、読書などを嗜みながら自らの病状や孤独を癒していた。
  • 青べか物語

    青べか物語

    小説・文芸

    -
    1巻220円 (税込)
    山本周五郎の現代小説。根戸川の下流の漁師町。そこに三年間住んだ蒸気河岸の先生の日常生活。みんなから軽蔑されていた青い「ぶっくれ舟」を芳爺さんから買ってしまう。純朴ながら狡猾、おおらかで微笑ましい浦粕の人々。庶民の生活を生き生きと描いた作品。しかし八年後には様変わりしてしまっていた。そして三十年後、私は再び訪れる。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 青べか物語

    青べか物語

    小説・文芸

    4.0
    1巻572円 (税込)
    根戸川の下流にある、うらぶれた裏粕という漁師町をふと訪れた「私」は、“沖の百万坪”と呼ばれる風景が気にいり、ぶっくれ船“青べか”をテもなくかわされてそのままこの町に住み着いてしまう。その「私」の目を通して、町の住人たちの生活ぶりを、巧緻な筆に描き出した独特の現代小説。
  • 赤ひげ診療譚

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    4.3
    1巻796円 (税込)
    長崎で最新の医学を学び、江戸に戻った保本登は、突然小石川養生所に呼び出され、見習い勤務を命ぜられた。エリートとしての矜持を抱く登は、「赤鬚」と呼ばれる医長・新出去定の強引さに不満を抱き、激しい反発を覚える。だが、養生所を訪れる貧しい患者たちや、徒労とみえることに日々を費やす「赤鬚」とふれ合ううち――。病や死を通して“生”の重みを描き出した、山本周五郎渾身の傑作。(エッセイ/細谷正充、編・解説/竹添敦子)
  • 赤ひげ診療譚 1 狂女の話

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    3.0
    1~6巻275円 (税込)
    『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』『季節のない街』などで知られる小説家・山本周五郎が残した連作短編時代小説。 江戸時代の小石川養生所を舞台に、青年医師の保本登と、小石川養生所の医長である「赤ひげ」こと新出去定(にいで・きょじょう)、患者との魂のふれあいが描かれる。 黒澤明監督が『赤ひげ』と題して、三船敏郎主演で映画化した(1965年)ほか、たびたび映像化・舞台化されている。
  • 赤ひげ診療譚 一

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    -
    1~3巻110~220円 (税込)
    江戸時代、小石川養生所。長崎で修行した医師・保本登と、赤ひげこと新出去定との対立と葛藤。それぞれ事情を抱える患者たち。赤ひげの治療に対する熱き思いを知るうち、次第に理解するようになる。第一巻は「狂女の話」「駈込み訴え」「むじな長屋」を収録。何度も映画化、ドラマ化された作品。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 赤ひげ診療譚

    赤ひげ診療譚

    小説・文芸

    4.2
    1巻616円 (税込)
    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”と呼ばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は事あるごとに赤ひげに反抗するが、赤ひげの一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。
  • 赤ひげ診療譚 合本版

    赤ひげ診療譚 合本版

    小説・文芸

    4.0
    1巻550円 (税込)
    山本周五郎の連作短編小説集。合本版で一気に読める。江戸時代、小石川養生所。長崎で修行した医師・保本登と、赤ひげこと新出去定との対立と葛藤。それぞれ事情を抱える患者たち。赤ひげの治療に対する熱き思いを知るうち、次第に理解するようになる。何度も映画化、ドラマ化された作品。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 赤ひげ診療譚 全巻セット

    赤ひげ診療譚 全巻セット

    小説・文芸

    5.0
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第13巻は江戸・小石川養生所を舞台に、医長の“赤ひげ”と若きエリート医師の対立と成長を描く「赤ひげ診療譚」。黒澤明監督『赤ひげ』として映画化された名作の全巻セット完全版。 ■目次 狂女の話 駈込み訴え むじな長屋 三度目の正直 徒労に賭ける 鶯ばか おくめ殺し 氷の下の芽
  • 朝顔草紙

    朝顔草紙

    小説・文芸

    4.0
    1巻528円 (税込)
    顔も見知らぬ許婚同士が、十数年の愛情をつらぬきとおし、藩の奸物を討って結ばれるまでを描いた『朝顔草紙』。徳川四天王、本多平八郎と同姓同名の臆病な青年武士が、戦場で名乗りをあげるたびに敵の第一目標とされ、あわてて逃げ出すという滑稽な設定の『違う平八郎』。いずれ劣らぬあわて者同士主従の不思議な心の通いあいを描いた『粗忽評判記』。ほかに『義理なさけ』など全12編。
  • あとのない仮名

    あとのない仮名

    小説・文芸

    3.3
    1巻737円 (税込)
    江戸で五指に入る植木職でありながら、妻とのささいな感情の行き違いがもとで、職を捨て、妻子も捨てて遊蕩にふける男の寒々とした内面を虚無的な筆致で描いて、周五郎文学に特異な位置を占める最晩年の傑作「あとのない仮名」、夫婦の変らぬ愛情を、枯死するまで色を変えない竹柏に託した武家ものの好編「竹柏記」ほか、「主計は忙しい」「桑の木物語」「しづやしづ」など、全八編を収める。
  • 雨あがる

    雨あがる

    小説・文芸

    4.7
    1巻733円 (税込)
    貧しいながらも心優しい人々のお互いを信じ合う姿が深い感動をよぶ表題作「雨あがる」、その続編「雪の上の霜」、侍という生き方よりも人間らしい生き方を選ぶ主人公を描き、著者の曲軒ぶりがいかんなく発揮されている「よじょう」など、武家ものを中心とした名作全五篇を収載。生きにくい時代だからこそ浮かび上がってくる、“人間の人間らしさ”を描き続けた昭和の文豪・山本周五郎の魅力が光る、オリジナル名作短篇集。(編/解説・竹添敦子)
  • 雨あがる 映画化作品集
    値引きあり

    雨あがる 映画化作品集

    小説・文芸

    4.3
    1巻357円 (税込)
    黒澤明、小林正樹、小泉堯史――。 世界に名だたる映画監督たちが惹かれてやまない、山本周五郎の世界。 ときに親身に、ときに邪険に。 山本周五郎の描く人間は様々な面を持ち、おそろしいほどに今を生きる人々と重なる。 本作では、黒澤明によって『赤ひげ診療譚』として映画化された「狂女の話」を初め、「深川安楽亭」「雨あがる」など名作六篇を収録。 名監督も惹かれた世界をご堪能あれ。
  • 雨のみちのく・独居のたのしみ

    雨のみちのく・独居のたのしみ

    小説・文芸

    3.0
    1巻440円 (税込)
    庶民への愛に貫かれた小説一筋に精進をかさね、また頑固一徹な言行によって“曲軒”とあだ名された山本周五郎。その独特な人生観・文学観と、すべてを創作に打ち込む厳しい日常をうかがわせてくれる、文庫版初のエッセイ集。本編には、名作『樅の木は残った』の取材ノートともいえる「雨のみちのく」などの紀行文に、日常雑感、それに十八番中の十八番、歳末随想を集める。
  • 雨の山吹

    雨の山吹

    小説・文芸

    3.7
    1巻660円 (税込)
    乳呑み児をかかえた家来と出奔した妹を斬るために遠国まで追っていった兄は、みじめな境遇におちながらも小さな幸福にすがって生きる妹一家と出会う。静かな結末の余韻が深い感動を呼ぶ表題作。逆境に生きてきた勝ち気の芸者と藩政改革の矢面に立つ若侍との障害をこえた愛「山茶花帖」。ほかに「恋の伝七郎」「いしが奢る」など、武家社会のさまざまな愛の形を中心に10編を収める。
  • 安政三天狗

    安政三天狗

    小説・文芸

    -
    1巻220円 (税込)
    山本周五郎の時代劇。勧善懲悪エンターテイメント小説。吉田松陰の密命により脱藩した鵜殿幸太郎。資金となる金山の探索と陸奥の諸藩に尊王倒幕の旗印を掲げるためだった。壱岐の島の浪人二人と共に痛快な旅を続ける。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 安政三天狗

    安政三天狗

    小説・文芸

    -
    1巻726円 (税込)
    鵜殿甲太郎は、吉田松陰の密命を帯び、尊皇討幕運動のさきがけとして陸奥に向かった。さらにもう一つの使命も託されている。甲太郎を仇として追う弟妹、同じく隻眼の少年剣士金太、さらに歴史を裏から操る山奥の謎の民巨勢一族。国難を打開する“資金”をめぐり、波瀾万丈の展開が…時局への抵抗も読み取れる長篇。
  • あんちゃん

    あんちゃん

    小説・文芸

    3.6
    1巻748円 (税込)
    妹に対して道ならぬ行為をはたらき、それを悔いてグレていった兄の心の軌跡と、思いがけぬ結末を描く『あんちゃん』。世継ぎのいない武家の習いとして、女であるにもかかわらず男だと偽って育てられた者の悲劇を追った『菊千代抄』。ほかに『思い違い物語』『七日七夜』『ひとでなし』など、人間をつき動かす最も奥深い心理と生理に分け入り、人間関係の不思議さを凝視した秀作8編を収録。
  • 怒らぬ慶之助

    怒らぬ慶之助

    小説・文芸

    4.0
    1巻616円 (税込)
    二の矢を携えず、ただ一矢のみを持って真剣勝負に臨む侍の姿を通し、 武士道の真髄を描いた表題作。従妹の許婚の悪行を知らされると同時に、従妹への恋情に目覚める「怒る新一郎」ほか「千代紙行燈」「武道絵手本」など。大正15年の「小さいミケル」から、昭和18年「日本婦道記」が直木賞に推されてこれを辞退した時期までの苦行時代を、新たに発掘された11編を含め跡づける短編集。
  • 生きている源八

    生きている源八

    小説・文芸

    3.8
    1巻572円 (税込)
    どんな激戦に臨んでもいつも生きて還ってくるために、臆病者とさえ誤解されながら、なおも生きつづける兵庫源八郎。その細心にして豪胆な戦いぶりに託して、“玉砕”が叫ばれていた太平洋戦争末期に作者の信ずるところを強く打ち出した〈日本士道記〉シリーズの表題作。かけ違った恋に衝撃を受けつつも、剣の道を貫く『藤次郎の恋』。ほかに『立春なみだ橋』『豪傑ばやり』など全12編。
  • 一人ならじ

    一人ならじ

    小説・文芸

    3.4
    1巻660円 (税込)
    合戦の最中、敵が壊そうとする橋を支える丸太がわりに自分の足を使い、片足を失う『一人(いちにん)ならじ』。敵の武将を倒しても首級(しるし)を掻き取ることをせず、すばやく次の敵を求めて前進する『石ころ』。ほかに『三十二刻』『殉死』『さるすべり』など、名を求めず、立身栄達も望まず、黙々としておのれの信ずる道を生きる無名の武士たちとその妻の心ばえを描いた“武家もの”の傑作全14編を収める。
  • 栄花物語

    栄花物語

    小説・文芸

    -
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第5巻は嫌われ者として語られることが多い田沼意次を、孤高不屈の改革者として描いた歴史長編傑作「栄花物語」。
  • 栄花物語

    栄花物語

    小説・文芸

    3.9
    1巻902円 (税込)
    徳川中期、時の先覚者として政治改革を理想に、非難と悪罵の怒号のなか、頑なまでに己れの意志を貫き通す老中田沼意次――従来、賄賂政治の代名詞のような存在であった田沼親子は、商業資本の擡頭を見通した進取の政治家であったという、新しい視点から、絶望の淵にあって、孤独に耐え、改革を押し進めんとする不屈の人間像を、時流に翻弄される男女の諸相を通して描く歴史長編。
  • 艶書

    艶書

    小説・文芸

    3.3
    1巻616円 (税込)
    宵節句の宴で七重は隣家の出三郎の袂に艶書を入れる。しかし、部屋住みでうだつがあがらないと思っている出三郎には、それが誰からのものかわからないまま、七重は他家へ嫁してゆく。廻り道をしてしか実らぬ恋を描く「艶書」。愛する男を立ち直らせるために、自ら愛着を断つ女心のかなしさを謳った「憎いあん畜生」。著者が娯楽小説として初めて世に問うた「だだら団兵衛」など全11編。
  • 扇野

    扇野

    小説・文芸

    4.4
    1巻781円 (税込)
    枯野の襖絵に点睛を加えるために、初めて会った芸妓に野原で扇を落させる流れ絵師。その後の二人の道行きと、その陰で力をつくす女のまごころを鮮やかに写し取った『扇野』。“三十ふり袖、四十島田”のたとえに流れる女の哀しみを、下町の人情と善意で救った『三十ふり袖』。なにげない会話や独白のなかに男女の機微と人生の深い意味を伝える“愛情もの”の秀作全9編を収録する。
  • 大炊介始末

    大炊介始末

    小説・文芸

    4.1
    1巻781円 (税込)
    自分の出生の秘密を知った大炊介が、狂態を装って藩の衆望を故意にうらぎらねばならなかった悲劇を描く表題作。自分たちはおたふくであるときめこんでしまっている底抜けに明るく情味豊かな姉妹の物語「おたふく」。奇抜な視点と卓抜な文体で「剣聖」宮本武蔵を描き、著者の後半期の出発点となった意義深い作品「よじょう」など。さまざまな傾向の短編から代表作10編を選りすぐった。
  • おごそかな渇き

    おごそかな渇き

    小説・文芸

    4.4
    1巻737円 (税込)
    長年対面しつづけた宗教的課題を取り上げ、“現代の聖書”として世に問うべく構想を練りながらも絶筆となった現代小説「おごそかな渇き」。ほかに“下町もの”の傑作「かあちゃん」「将監さまの細みち」「鶴は帰りぬ」、“武家もの”の名品「紅梅月毛」「野分」「蕭々十三年」、“こっけいもの”の「雨あがる」、“メルヘン調の「あだこ」「もののけ」と、周五郎文学のさまざまな魅力を一冊に収めた。
  • おさん

    おさん

    小説・文芸

    4.0
    1巻693円 (税込)
    純真な心を持ちながらも、女の“性”ゆえに男から男へわたらずにはいられないおさん――世にも可愛い女が、その可愛さのために不幸にひきずりこまれてゆく宿命の哀しさを描いた『おさん』。芸妓に溺れ込んでいった男が、親友の助力で見事に立ち直ってゆくまでを描いた『葦は見ていた』。“不思議小説”の傑作『その木戸を通って』。ほかに『青竹』『みずぐるま』『夜の辛夷』など全10編を収める。
  • おたふく物語

    おたふく物語

    小説・文芸

    4.0
    1巻628円 (税込)
    町人たちの暮らしの姿、現実を生きてゆく切なさに焦点を絞り、すぐれた「下町もの」を数多く遺した山本周五郎。本書は、自分たちを“おたふく”と決めこんでいる明るく元気のいい姉妹をいきいきと描いた「おたふく物語」三部作(「妹の縁談」「湯治」「おたふく」)をはじめ、身分の垣根を越えた人間の交流を情愛たっぷりに綴った「凍てのあと」、女性の妖しさと哀しさを濃密に綴った「おさん」の全五編を収載。江戸に暮らす女性たちの姿を見事に切り取った名作短編集。文庫オリジナル。 (編/解説・竹添敦子)
  • おたふく物語

    おたふく物語

    小説・文芸

    -
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を表現した時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第25巻は、朗らかで下町人情あふれる姉妹を描き、清々しい読後感を与える名作「おたふく物語」三部作(妹の縁談/湯治/おたふく)を完全収録。
  • 女は同じ物語

    女は同じ物語

    小説・文芸

    -
    1巻754円 (税込)
    城代家老の子息・広一郎の女嫌いは、許婚者に見向きもしないほどの徹底ぶり。ある日、家庭内で絶対的権力を持つ母のさしがねで、紀伊という侍女をつけられて――。ユーモアたっぷりに女性の主導の恋を描いた「女は同じ物語」をはじめ、藩を捨て、浪人となり裏長屋に安住の地を求めた信兵衛の人情味溢れる生き方を描いた「人情裏長屋」など、「人間の持つ愛憎、苦悩、悲哀、妬心、人情などの、感情の全てが描かれている」(今井絵美子・巻末エッセイより)周五郎作品から、名作全五篇を精選。文庫オリジナル。(編・解説/竹添敦子)
  • かあちゃん

    かあちゃん

    小説・文芸

    4.0
    1巻733円 (税込)
    私も周五郎作品を読み返す度、失ったものを取り戻すような気持ちになる。それはかつての日本の風景であり、人の情であり、親から伝えられた仕来りであり、恥を感じる心でもある(宇江佐真理・巻末エッセイより)。女手でひとつで五人の子供を育てているお勝と、その家に入った泥棒との心の通い合いを描いた表題作をはじめ、山本周五郎が、人間の“善なる心”をテーマに遺した作品から、全五編を厳選。文庫オリジナル。(編/解説・竹添敦子)
  • 花杖記

    花杖記

    小説・文芸

    4.1
    1巻660円 (税込)
    何者かによって父を殿中で殺され、家禄削減を申し渡された加乗与四郎が、事件の真相をあばくまでの記録『花杖記』。どんな場合も二の矢を用意せず、また果し合いにもあえて弱い弓を持ってのぞむ弓の達人の物語『備前名弓伝』。ほかに『武道無門』『御馬印拝借』『小指』『似而非物語』など、武家社会の掟の中で生きる武士たちの姿に、永遠に変らぬ人間の真実をさぐった作品10編を収録。
  • 家族物語 おもかげ抄

    家族物語 おもかげ抄

    小説・文芸

    -
    1巻693円 (税込)
    ひとつの家族には、ひとつの物語がある。何をするにも妻のことを最優先にする「甘次郎」と呼ばれる浪人の孫次郎。梶派剣術の使い手でもある彼は、ある日、多勢に無勢で追い込まれた武士を助太刀する。その縁から剣術指南として召し抱えられることになるが……。孫次郎の告白と、妻への思いを哀切を込めて綴った表題作「おもかげ抄」、流行の変化と職人気質の間に苦悩する男をあたたかく受け入れる家族を描く「ちゃん」、吝嗇家として町内でも噂される母親とその子ども達が必死になって働き続ける理由は……。本当の優しさとは何か、その問いに向き合い描かれた「かあちゃん」など、さまざまな家族の姿をとおし、それぞれの愛のかたちを浮かび上がらせる感動の七篇。
  • 髪かざり

    髪かざり

    小説・文芸

    3.5
    1巻616円 (税込)
    太平洋戦争中から終戦直後にかけて、著者は〈日本婦道記〉と題した短編を発表し続けた。初期の代表作となったこのシリーズには、未曾有の非常時にあって、古来、戦場の男たちを陰で支え続けてきた日本の妻や母たちの、夫も気づかないところに表われる美質を掘起こしたいとの願いが込められていた。本書には、「忍緒」や「二粒の飴」など、文庫未収録の本シリーズ作品のすべて、17編を収録。
  • 完全版 日本婦道記(上)

    完全版 日本婦道記

    小説・文芸

    4.0
    1~2巻715円 (税込)
    戦中、戦後に渡り書き継がれた名作「日本婦道記」。直木賞辞退作としても知られる金字塔、その31篇を網羅した完全版、初の文庫化。武家の体面を保つために自らはつましい生活を送くる女。その死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』や『髪かざり』『風鈴』などの連作短編集。山本周五郎の作品の根幹を成すテーマである、「慎ましく生き、苦しみ、働く」という姿勢を貫く、傑作小説集。
  • 完全版 日本婦道記 上下合本版

    完全版 日本婦道記 上下合本版

    小説・文芸

    -
    1巻1,265円 (税込)
    一九四二年、太平洋戦争の中に始められた連載「日本婦道記」。戦中・戦後の混乱期を通し、著者が描き続けた日本人の姿、生き方とは。直木賞辞退作としても知られる金字塔、名作31篇を網羅した完全版、初の文庫化。 武家の体面を保つために自らはつましい生活を送くる女。その死によって初めて明らかになるその生活を描いた名作『松の花』や『髪かざり』『風鈴』『不断草』などの連作短編集。山本周五郎の作品の根幹を成すテーマである、「慎ましく生き、苦しみ、働く」という姿勢を貫き、日本の美とはなにか、を問い続ける不朽の小説集。
  • 合本 山本周五郎名品館【文春e-books】

    合本 山本周五郎名品館【文春e-books】

    小説・文芸

    5.0
    1巻3,463円 (税込)
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができるシリーズ4冊を便利な合本で! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻「一丁目一番地のひと」(周五郎作品に登場する女性像を分析する。) 第2巻「彼らを輝かせるもの」(男女が貫く「意地」をキーワードに作品世界に迫る。) 第3巻「寒橋のまぼろし」(「情」の万華鏡とも言うべき作品世界の魅力を解き明かす。) 第4巻「悲と哀のあいだ」(微妙に意味合いの異なる「悲」と「哀」を、周五郎はいかに描いたか。)
  • 菊月夜

    菊月夜

    小説・文芸

    3.6
    1巻605円 (税込)
    四年間の江戸詰めの間に許婚・小房の父が狂死し家族は追放されるという運命に遭った信三郎が、事件の決裁に疑問をいだいて真相をさぐり、小房と劇的に再会するまでを描いた「菊月夜」。周五郎が年少の読者に向けて、母の愛とは何かを感動的に語りかけた「花宵」「おもかげ」。ほかに「柿」「一領一筋」「蜆谷」や、名作「青べか物語」の原型となった「留さんとその女」「蛮人」など全10編。
  • 季節の無い街

    季節の無い街

    小説・文芸

    -
    1巻220円 (税込)
    山本周五郎の現代小説。ある極貧の下町の長屋に住む人々を描いた群像劇。貧しいくも逞しい生活の日々。不幸、笑い、恋愛、不倫。社会の底辺から見る当時の世相。個性的な人物たちの切ない話や不幸の連続な境遇にもはや諦観するしかない人々。「季節のない街」他に「正体」「藪落し」を収録。※読みやすくするため現代の言葉に近づけていますが、作品の性質上、そのままの表現を使用している場合があります。
  • 季節のない街

    季節のない街

    小説・文芸

    -
    1巻248円 (税込)
    武士や市井の人々の喜怒哀楽、義理や人情を通して限りない人間愛を描いた時代小説、人情小説の名手・山本周五郎の長編全集。第9巻は、貧民街で懸命に生きる庶民の人生をユーモアとペーソスを交えて描いた異色作「季節のない街」。黒澤明監督『どですかでん』として映画化。
  • 季節のない街

    季節のない街

    小説・文芸

    4.2
    1巻704円 (税込)
    “風の吹溜まりに塵芥が集まるようにできた貧民街”で懸命に生きようとする庶民の人生。――そこではいつもぎりぎりの生活に追われているために、虚飾で人の眼をくらましたり自分を偽ったりする暇も金もなく、ありのままの自分をさらけだすしかない。そんな街の人びとにほんとうの人間らしさを感じた著者が、さまざまなエピソードの断面のなかに深い人生の実相を捉えた異色作。
  • 暗がりの弁当

    暗がりの弁当

    小説・文芸

    3.0
    1巻726円 (税込)
    食べ物、飲み物(アルコール)の話、またそこから導き出される話、世相に関する低い目線の真摯なエッセイなど。曲軒山周の面目躍如、はらわたに語りかけるような、素晴らしい文章。

ユーザーレビュー

  • 深川安楽亭

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    周五郎は、なぜ深川安楽亭の最後に客を登場させたんだろう。
    なんで富次郎を助けたんだろう。
    客の背景も分かる。
    水の下の石の人は助けなかったのに、富次郎は助けたんだろう。

    色んな考察をみたけど、いまだにしっくりくる考察がないし、自分の中でもしっくりきてない。
    歳のせいか、性格のせいなのか、性別なのか分からないけども。
    もし識者がいらっしゃれば、お知恵を貸してください。

    とても面白いことは間違いないです。

    0
    2026年09月29日
  • 樅ノ木は残った(上)

    Posted by ブクログ

    (上中下の感想をまとめてここに書きます)


    ▼有名な話ですが、この物語の骨格は歴史の実話です。江戸時代にあった「伊達騒動」。家老の原田甲斐が悪者とされていて、最後は幕府老中の屋敷で乱心して刃傷沙汰を起こして殺される、という。
     この史実が歌舞伎になりました。ヒット作。伽蘿先代萩という演目。原田甲斐は、二木弾正という名前になっている。これが悪役です。だから原田甲斐というのは、吉良上野介みたいな、悪役として有名だった。
     それを、山本周五郎さんが、「調べれば調べるほど、おかしい。原田甲斐は悪人では無かったと思う」という仮説?で書いたのがこの小説です。



    ▼再読です。でも、40年ぶりくらいの再読。たしか小6か中1くらいの頃に読んで以来。その頃に、

    「山本周五郎さんの中では、重厚な感動・・・な感触はあるんだけど、今一つ、物語の進行と、主人公の行動の必然性が分からん・・・」

    と、もやもやしたんです。50代に入ったから、そのあたりがかなり分かるかな?と思って再読しました。

    結果的に、

    「大変に面白かった」

    「が、やっぱりけっこう、腑に落ちなかった」

    という結果でした。
    ただ、こっちも歳を取ってますから、図太くなっています(笑)。

    「作者の思い入れが強いから、ちょっとそれが過剰で、主人公の行動と、最後の結果の説得性が、ちょっと欠けてるんだな。だけど、その全体の物語の旅路の見せ方、主人公の心情、ひとつひとつの事件や脇役たちの見せ方が上手で、大変に楽しめる。大変に素晴らしい小説だな」

    ・・・・と、理解しました。まあつまり、腑に落ちないけれど面白い。





    ▼江戸時代初期。初期と言っても1600年代の終盤くらい。つまり、家康とか伊達政宗とかはみんな死んじゃってます。大阪の陣が1614年、島原の乱1637とかですから、もう戦国を知ってる人はいない。
     主人公は、伊達家仙台藩(60万石だったか)の、家老の血筋の原田甲斐。つまりこれは、伊達藩の物語です。
     物語の背景には、この時期の歴史背景があります。

    ・戦国はもう過去。今は徳川の天下。

    ・徳川は、「外様大名の、大きな大名を、どんどん潰していた」という事実。福島正則の家とか。加藤清正の家とか。つまり、血筋的に徳川に縁の遠い大名を、いちゃもんをつけて取り潰すわけです。

    ・そういう意味では、伊達家も標的になり得る。

    という背景があります。



    ▼原田甲斐の伊達家に色々トラブルが起こります。伊達一族の中の、「わがままな叔父さん」である、伊達兵部という人が、無理難題をいっぱい言ってくる。トランプ大統領みたいな(笑)。
     家中は反感で割れる。騒動になりかかる。


     ここで、原田甲斐。親友ふたりと、計三人で密謀・密談・密約します。

    A <伊達兵部は、幕府の老中と繋がっている。わがまま非道を言い、伊達藩に騒動を起こして、それを原因にして幕府が伊達家を取り潰す。それが狙いに違いない>


    B <だから、兵部がわがままを言っても、非道を行っても、怒らずに、とにかく耐えよう。その方が伊達家は滅ぼされない。その間に、加賀前田とか、薩摩島津などの外様大藩と何かしらか連携して、打つ手を探そう>


    C <原田甲斐は、兵部の仲間になったかのように振舞う。その方が、相手の隙をつけるだろう。だから、友達とも絶交する。家中から嫌われてもいい>


    という内容なんですが、「打つ手を探そう」はかなり曖昧です。そんなことでいいのだろうか。





    ▼話の段取りで言うと、これ、10年くらいの期間の物語です。

    で、山本周五郎が描きたかったのは、兎にも角にも、上記の「C」なんですね。





    本当は、熱い正義の志を胸に秘めているけれど。

    黙って誰にも語らない。

    周りに誤解され、悪人と罵られ、唾を吐かれるが、黙って耐える。ひたすら耐える。言い訳しない。理解を求めない。





    もう、これをやりたかったんです。
    周五郎さんは。高倉健的ワールドです。ハードボイルド(実はべったりセンチメンタル)です。

    だから、そういう原田甲斐の姿、忍従、誤解され罵られ耐える、、、、そんなあたりの描写は、圧巻です。ぐっと来ます。ほんとに胸に熱いものが溢れます。


    ▼・・・・ちなみに、 

    「たったひとり、とある美少女だけが、何の説明もなくそんな原田甲斐の苦しみを直感的に、エスパーのように理解して、そしてプラトニックにひたすら原田甲斐を愛し続ける」 

     という、オジサン的にはスーパーご都合な要素が全編を貫きます。
     このくだりの、プラトニック具合がもう、あからさまにプラトニックすぎて却って厭らしいくらいなんですが・・・・・。




    ▼・・・って言うと、あんまり褒めていないようですが、ぶっちぎりに面白かったです。文句なく、★5個です。

    まあ、一番大きな理由は、読み手の自分自身がオジサンなんで(笑)、こういう、高倉健チックな

    「男は黙って滅びるぜ、美女に愛されカッコいい」 

    という、実に言ってしまうと身も蓋も無くてひたすらに恥ずかしいファンタジー物語が嫌いじゃない・・・・ということかと思いますが。


    でも、この小説の素晴らしさはそれだけではなくて(笑)。


    脇役の配置、世界観の作り方がもう、「さすが」ですね。





    ▼江戸時代の「政治向き」の話なんです。殿中でひそひそ話して。密書を奪い合う、みたいな。まあつまり、ツマラナイ(笑)。
     ところが、これは仮名手本忠臣蔵と同じくで、そのツマラナイ話を面白くします。



    ①市井のフィクションの人物を効果的に配置して、

    ②死んでいく者たちをネチネチと描いて、哀切な「別れの物語」として

    ③主人公をある角度から見れば人間的な「型破りな遊び人」として描く



    という3点です。特に①が秀でていると思いました。


    ▼浪人の柿崎六郎兵衛というならず者(腕は立つ)。
    その妹の、みや。

    このふたりの物語がオモシロイ。
    きっかけは、「みや」が伊達関係の家臣の妾だったことから。その家臣はお家騒動で殺されてしまう。みやは、江戸にもどる。兄のもとに。浪人で貧しい。
    ただ、、みやが、伊達家の家臣の顔を知っていることから、ふたりは伊達騒動に食い入ってくる。金目当て。伊達兵部の、犬のようになる。ならず者たちを集めて、関係者の拉致などをしようとする。だがうまくいかない。やがて兄は滅亡していく。ほとんど原田甲斐とは、交わらない。

    なんだけど、一方で主家のため、忠義のためにすべてを耐え忍ぶ、貴族の原田甲斐。
    命を懸ける原田甲斐。
    一方で、忠義なんてくそくらえ、明日の飯のために騒動に加わる浪人者。

    そこにはそこに、人生の地獄があり、喜びがあり、愛があり、別れがある。
    そんな柿崎グループの世界と、原田甲斐の世界が、たまにすれ違う。
    そんな作りが、「これは上手い・・・・」と脱帽です。

    一事が万事、ことほどさようにエンタメ的に良くて来ています(オジサン的にはですけれどもね・・・・これ、ミソジニーとフェミニズムの観点から見ると、実に異様な価値観に勝手に殉じて周りに迷惑をかける勘違いナルシスト男の不可解で醜悪なコメディなんじゃないかっていう気もしますが・・・)。









    ▼(ここから先は自分用です)最後に自分の備忘的に、「いまいち腑に落ちない」点を。


    最終的に10年くらいか、かかるんですけれど、

    その5年目くらいに、原田甲斐は、とある書状を手に入れます。
    それは、

    <老中・酒井雅樂が、伊達兵部と交わした密約書。中身は、伊達60万石を分割して、30万石を兵部にあげるよ、というもの>

    なんです。

    これが手に入ったなら、匿名でもいいから

    「この密約書を、いつでも明るみにだすぜ。お前さんが困るような相手に渡すぜ」

    と、酒井を脅せばええやんか、

    、、、、と思ってしまいます。
    それで、「伊達兵部を使っての悪だくみはもうできないな」になれば、それで、ええやんか、と。




    ところが。
    主人公・原田甲斐は

    「いやいや、相手は権力者だから、そんなことをしても何も響かないかもしれない。却って悪いことになるかも」

    と・・・・悪い奴らの言いなりにさせ続けます。耐え続けます。そして大切な仲間も死んでいきます。



    ところがですね。

    何年経っても、何も有効な「別の手段」は講じられないんですね。耐えるだけ。



    そうこうしているうちに、盟友のひとり「伊達安芸さん」が、

    「もう我慢できへんは。俺は江戸の幕府に訴えて出るわ。兵部を罰してくれって。甲斐ちゃんよ、お前さんは例の密書をちらちらさせてくれ」

    と。行動に出ます。これを、主人公・原田甲斐は、止めるんですね。

    「いやそんなあかんて。まだまだ耐えよう。耐えようよ」

    でも、伊達安芸さんの方が

    「もう堪忍ならへん。あしは行く。止めてくれるな」



    で、結局、甲斐さんは、考えて、

    「黒幕の、酒井雅樂ではない、ナンバー2かナンバー3くらいの、老中さん」

    に、密書を見せる。



    酒井雅樂は、こんな悪いことしてまっせ。

    ええんでっか?

    うちはこの密書を、あちこちに見せまひょか?




    みたいなことです。


    ・・・・で、これを、そのナンバー2さんが、酒井雅樂に告げる。

    「原田甲斐が、これこれな密書をうちに見せてんよ。酒井雅樂さん、あんたこれほんまでっか?ほんまやったらちょっとあかんのちゃいますか?」

    酒井雅樂はそれで、参っちゃうんですね。

    「これあ・・・あかんわ。もう伊達兵部を使って、伊達藩に嫌がらせする作戦は、終わりや。強引に進めても、うちが失脚してまうかもしれへんからな・・・」

    と、なります。


    ・・・・・だったら・・・
    密書が手に入った時にすぐその作戦やってればよかったやんかっ!

    ・・・・・さらには・・・
    今回だって伊達安芸が強引に動かなかったら、主人公、
    まだまだ無駄に耐えてたんやろ???・・・・阿保ちゃうか??




    ▼そしてさらに。
    原田甲斐は密書を胸に入れて、老中により聞き取りがあるので呼ばれます。
    酒井雅樂の屋敷。
    仲間の伊達安芸も一緒。
    ここで、控えの間に居る間に、酒井雅樂の手のものに斬られて死んでしまいます。
    原田甲斐も、酒井雅樂も。

    酒井雅樂としては、



    ・密書そのものをとにかく取り返す

    ・密書のことを知っている主だったものを口封じする



    という狙いです。これはまあ、分かります。
    そして、



    ・まあ、それはやるけれど、もうナンバー2にも知られちゃったから、
    伊達兵部を使っての悪だくみは、終わりにする。



    という心情。これもまあ、十分に理解できます。





    ▼原田甲斐は、斬られたときに、びっくりするけれど、上に書いたような酒井雅樂の心情を、一瞬で理解します。
    同じく斬られた仲間の、伊達兵部のところに這っていき、お互いに虫の息だけど、次のことを言います。


    ・良いですか、今起こったのは、私原田甲斐が乱心して、あなた、伊達兵部に斬りつけて殺した。私もその場で殺された。そういうことですぜ。それで、伊達家は安泰ですから。
    (そうじゃないと、酒井雅樂の家来に襲い掛かって殺された、みたいな嘘が言われてしまう。その方が、伊達家が懲罰を喰らいかねない。密書を気にして、関係者の口を封じる、われわれと殺すということは、幕府の大臣のナンバー2などの目を気にしてるということだから、伊達兵部を使った悪だくみは、もう終わりにする、というのが酒井雅樂の心情でしょう)


    で、これを、虫の息の伊達安芸が、駆け付けた人々に言う。

    人々の中には、例のナンバー2が居る。

    ナンバー2が
    「そうかなるほど、本当は酒井雅樂の家来に殺されたんだな。だけどそうは言えないものな。お前たちの忠義は素晴らしい。これで伊達家は潰されないぞ。安泰だ!」
    と、いうようなことを言ってあげる。それで原田甲斐と伊達安芸は死ぬ。


    これ・・・・ちょっと無理があります・・・・。

    だいたい斬られた瞬間に、「これでお家は安泰だ」と想像するのが全然分からない・・・。ああ、口を封じされて密書も奪われるから、悪事は止まらないのか・・・ダメだった・・・。  と、思ってもおかしくないのでは????



    ・・・・と、このあたりは、言いたくなります(笑)

    美しい精神の物語にするために、かなり・・・・かなり・・・・強引に「劇化」してると思います・・・。

    あっ、そういうことも含めて、仮名手本忠臣蔵、なのかも知れませんね。

    0
    2026年09月23日
  • 赤ひげ診療譚

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     最近好きな夏川草介さんが影響を受けたと何かしらで見たので気になって読んだ。
     夏川草介さんの小説で描かれている世界ととても似た風景が描かれている小説だった。脚光を浴びるという風なものとは程遠い診療所に勤め、赤髭と貧しい患者を治癒しながら、自分の哲学を突き詰めていき、成長していく保本登がかっこよかった。

    0
    2026年09月21日
  • おごそかな渇き

    Posted by ブクログ

    安定の山本周五郎。時代物だけでなく、現代物(といっても戦後すぐくらい)の物語が含まれる短編集。いつもはスパッと切れ味の良い武士の忠義、親子、夫婦、兄弟の理想系などが中心だが、この一冊では、ちょっとドロドロした話、救いようがない人間像、無駄に生きるどうしようもなさなどが正直に描かれている感じ。理想だけじゃないんだよなあということをしみじみと思い出させる一冊で、これはこれで十分アリ。

    0
    2026年09月20日
  • さぶ

    Posted by ブクログ

    昔に読んだ時、内容は忘れてしまったけど、
    とてもよかったと言う記憶があり再読
    やはり最高!読むほどに人生への問いかけやメッセージが胸にグイグイと迫ってくる
    さぶと栄二、対照的な2人
    さぶや、おノブさん、与平などなど、
    周りの人に支えられながら、身に起こる困難を乗り越えながら成長して行く栄二、
    「ドジで、まぬけで能無し」でも純朴でまっすぐなさぶの思いや行いに胸打たれる
    読後、しばらく登場人物が頭を離れなかった
    周五郎素晴らしい
    しばらく周五郎でいってみる

    0
    2026年06月11日

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