ピーター・バラカン
「持ち寄ったレコードを黙って聞き、意見を一切言わない。この極度のオタク行為に潜む意義はあるのか、答えはまだ出ませんが、一気に読んでしまいました」
直枝政広(カーネーション)
「明かされるタイトルだけを頼りに、読みながらプレイリストを作った。音楽の迷路に迷い込む気持ち良さを存分に味わった。答え合わせは後のお楽しみだ」
月曜の夜、パブの小部屋に3枚のレコード盤を持ち寄り、厳格なルールのもとにただ黙って聴く──ストイックな倶楽部は順調に育っていくかに見えたが、やがてライバルが出現し、分裂の危機に揺さぶられる……トマス・ピンチョンがデビュー作を賞賛、イギリスならではの乾いたユーモアの名手が送る現代社会の寓話。
作中には60年代以降のロック、ポップスのタイトルが無数に登場するが、ミュージシャンやバンド名はいっさいナシ。そんな意地の悪い小説だが、作者本人がSpotifyに“The Official Forensic Records Society Playlist by Magnus Mills”と題したプレイリストを公開中!
訳者・柴田元幸によるあとがき、注解とマグナス・ミルズの著作ガイドとともにお楽しみ下さい。
訳者あとがきより───
人物の過去も背景も示さず、ほかに何をやっているかも伝えず、ひたすらひとつの営みに携わるさまを、比喩などのレトリックにも頼らず描く。そうやって自主的に素材を貧しくすることを通して、この作家ならではの、オフビートな可笑し味が生まれてくる。無表情で可笑しいことを言ったりすることを英語ではdeadpanと呼ぶが、マグナス・ミルズほどdeadpan humourに長けた書き手もそうザラにいない。
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★エッセイで指南し、小説で実践してみせる。当代一の書き手によるゴシック入門。
エドガー・アラン・ポー、ウィリアム・フォークナーから始まり、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香、『鬼滅の刃』までのゴシック、ホラーの作品世界を、現代アメリカの最重要ゴシック作家のひとりブライアン・エヴンソンが語り尽くす。書き下ろしを含むゴシック小説4篇(うち3篇は本邦初公開)と、柴田元幸との対談も収録。完全英日バイリンガル本。
〈目次〉
まえがき ブライアン・エヴンソン
Introduction by Brian Evenson
1 幼いころに難解な物語を 聴くことの効用 ― たとえばポー ―
Having Poe Read to in Childhood
エッセイ ポーを読む(Reading Poe)
小説 ザ・パニッシュ(The Punish)
2 「よくわからない」が創作につながる
― 鬼滅の刃、内田百閒、伊藤潤二、柴崎友香 ―
Creativity of Not Knowing
エッセイ 何もかもわかってはいないことの効用(Not Quite Knowing What It All Means)
小説1 痕跡を残さぬ顔(A Face Leaving No Traces)
小説2 紫の野菜(Purple Vegetable)
3 ブライアン・エヴンソンはいかにして作られたか
The Making of Brian Evenson
ブライアン・エヴンソン、柴田元幸対談
A Conversation Between Brian Evenson and Motoyuki Shibata
4 総括篇
Conclusion
小説 ぐっすりお休み(Good Night, Sleep Tight)
訳者あとがき 柴田元幸
Translator's Afterword
装画 横尾忠則