ちくま学芸文庫の検索結果
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霊魂の民俗学 ――日本人の霊的世界
出産・七五三・成人・結婚・葬送など日本人が経験する人生儀礼や、各地に伝わる習俗や祭りのなかには、いかなる「霊魂観」が反映されているのだろうか。本書は、ミロク信仰から都市伝説までの多様な事例とともに、霊魂という実在が「この世」と「あの世」のあいだを往還するという日本独特の世界像と、その移動にともなって不安定になる霊魂をおちつかせるためにも儀礼が必要とされたことを説く。迷信の一言では片づけられない、日本の生活文化にいまも息づくアニミズム的心性を解明した宮田民俗学の真髄。講演記録を中心に編集された、平明な語り口による一冊。 -
歴史
紀元前5世紀の古代地中海世界。スパルタ陣営との大激戦、ペロポネソス戦争で疲弊したアテナイでは屍が累々とし、人びとは疫病と困窮のなか、運命の手の弄ばれるままになっていた。この混迷から立ちあがった著者が綴った大戦の長大な記録が、本書『歴史』だ。四半世紀におよぶ激闘で諸国の力がぶつかりあうなか、何が失われ、何が生まれていったのか? 迷信や伝説を典拠としたヘロドトスと異なり、夥しい資料を駆使し、多様な視点を盛り込むことで実証的「歴史学」の礎を築いたとされるトゥキュディデスが、透徹した眼差しで古代地中海の姿を活き活きと記した不朽の名著。 -
歴史哲学最終講義
思想はここに極まる ヘーゲルの没年に行われた最後の講義。その筆記録を忠実に訳し、歴史哲学の実像を伝える。 ヘーゲル終焉の年に行われた「世界史の哲学」講義筆記録の新訳。歴史を通し精神の本質をなす自由はどう実現されたか。思想の最終到達点が示される。 === 「世界史は自由の概念の発展である」と主張し、その過程を縦横に語った講義「世界史の哲学」。長らくヘーゲルの入門書として読まれてきた『歴史哲学講義』は、恣意的な編集によって歪められたものであったため、多くの誤解を生んできた。アカデミー版全集に基づいた新訳は、真のヘーゲル像を明らかにする。10年間になされた講義のなかでも1830/31年冬学期の講義は特に重要だ。中国、インドなどの東方世界の歴史から、ギリシア、ローマ、ゲルマンへと辿り、フランス革命後の激動期を考察する。それはヘーゲル最後の国家論・政治哲学の卓抜な洞察であり、現代の自由主義論争にも大きな示唆を与える。 【目次】 訳者による序 凡例 訳注の凡例 世界史の哲学への序論 はじめに 一 世界史の哲学の普遍的な目的は客観的な目的 二 究極の目的設定の内容 三 世界史の歩み 世界史の哲学 一 地理学的三区分 二 世界史の時代区分 第一章 東方世界 一 中国 二 インド 三 ペルシア帝国 四 エジプト 第二章 ギリシア人 第一期 ギリシア世界の起源と形 第二期 ペルシア戦争からアレクサンドロス大王の東方遠征まで 第三期 ギリシアの没落 第三章 ローマ人 第一期 ローマの起源と強国への発展 第二期 第二次ポエニ戦争から帝政成立まで 第三期 帝政時代 第四章 ゲルマンの国 序 第一期 ゲルマン諸民族の登場 第二期 中世 第三期 近世 訳者あとがき 事項索引 人名索引 -
列島の歴史を語る
日本は決して「一つ」ではなかった! 中世史研究に新次元を開き『日本の歴史をよみなおす(全)』で多くの読者を魅了した著者が、日本の地理的・歴史的・社会的な多様性や豊かさをわかりやすく語った講演集。農業以外の生業の実態、外国との交易のありよう、神仏と金融、天皇や領主、神社の権力構造――。従来あまり取り上げられてこなかった実像を縦横に語るこれらの講演は1980~90年代、目覚しい活躍の起点となった時期のもの。のちに代表作として実を結ぶ内容に加え、歴史研究に対する鋭い問題意識や今後の課題も率直に語られる。歴史の常識を見事に覆す熱き名講演。 -
ロシア・アヴァンギャルド ――未完の芸術革命
既存の価値観に対する攻撃とともに、ロシアでは20世紀初頭に産み落とされた前衛芸術。1917年の社会主義革命に先行したその活動は、芸術革命に呼応するものとして政治革命に同調し、昂揚する民衆のエネルギーに支えられて、芸術運動を展開してゆく。これがロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる運動である。しかしそれはやがて、スターリン体制から「形式主義」として批判され、芸術の論理によらず粛清され抹殺されてゆく。マヤコフスキー、マレーヴィチ、メイエルホリドなど、激しい時代を生きた芸術家たちの活動に光をあて、その再評価の嚆矢となった20世紀美術史の名著。 -
ロシア中世物語集
ロシア史の最も古い時期を扱い「過ぎし年月の物語」という名でも知られる『原初年代記』、ロシア的キリスト教精神を築いた12世紀の『フェオドーシイ聖人伝』、『ニーベルンゲンの歌』などと並び称される傑作『イーゴリ軍記』など、名高いロシアの中世物語を集成。11世紀からピョートル1世登場前夜の17世紀末までの作品を、文学的な見地から幅広く編纂したものとして類がない。各作品解説に加え、ロシア中世文学の表現上の特徴やその史的展開についての概説も収録。世界文学の中に特異な位置を占めるロシア中世文学を知るための、色褪せない物語集。 -
ロック入門講義 イギリス経験論の原点
「人間の知識の起源と確実性を探求し、あわせて信念や意見の根拠を探求することが私の目的である」。ジョン・ロックは、近代哲学の基盤というべき「認識論」において、最初のアプローチを試みた一人である。しかし、その仕事に対しては誤読が重ねられ、真意は充分に捉えられてこなかった。例えば、ロックは心の直接的対象を観念と設定したため世界へのアプローチを不可能にしてしまったという批判等だ。イギリス経験論の原点となったロックの思想の真意とはどのようなものだったのか?社会思想・政治哲学でも知られるロックの形而上学的真価に迫る。平明な筆致による、書下ろし学芸文庫オリジナル。 -
ロバート・オッペンハイマー ――愚者としての科学者
理論物理学者のロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し、広島、長崎に災厄をもたらした原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、その開発に反対の意思を表明していた。本書は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝をつぶさに再検討し、その多くに異を唱える。豊富な史料をもとに、彼の足跡を丹念に辿り、政治に翻弄され、欺かれた科学者の実像に迫る。 -
論語
春秋時代の魯国、周王朝の復興を唱え、政治へのあくなき情熱とともに理想を追求した人、孔子。その言行録『論語』は、古来、多くの人々に人生の指針を与えてきた。孔子が弟子たちに教えたもの、それは学問、礼の実践、徳の涵養である。中心にあるのは徳であり、わけても「仁」を至上とした。仁とは、日常生活において状況に相応しい価値を適切に選び取れることを指し、それを体得した者が君子となる。本書は、「『論語』をして『論語』を語らしめること」を主眼に置き、何晏、朱子、仁斎、徂徠など、数多の解釈を比較考量。新たな書き下し文と明快な現代語訳、詳細な注と補説を付した決定版訳注書である。 -
「論語」の話
政治が乱れ、人の世が荒み果てていた時代、現在の人間に失望しつつも未来の人類に対して期待を抱き、人間の可能性に大きな信頼を持ちつづけた孔子。「論語」全訳・注釈を手がけた中国文学の碩学が二十篇五百章を自在に読みこみ、孔子の生き方と思想をわかりやすく解き明かす。「子曰く、仁遠からんや、我れ仁を欲すれば斯ち仁至る」。伊藤仁斎や荻生徂徠ら江戸の学者をはじめとする人々は「論語」をどのように読んだか。また、孔子が説きたかった仁とは何だったのか。諸国を旅して味わった失望や、弟子や民との対話を通して、孔子を語り、吟味する最上の入門書。 -
論証のレトリック ──古代ギリシアの言論の技術
聞き手が思わず納得してしまう、説得力のある議論とはどのようなものか。ある主張の当否を見極めるためにはどんな点に着目すればよいのか。その手掛かりは古代ギリシアの思想家たちの「言論の技術」にある。本書では、アリストテレスを中心とした古代ギリシアのレトリック(レートリケー)理論、問答弁証術さらには論理学などを幅広く紹介。議論を組み立てる際の骨格となる、論証の基本的な型を整理していく。「どんな事柄に関してでも、可能な説得手段を見つける能力」(アリストテレス『弁論術』)としてのレトリックを磨く画期的入門書。 -
私の憲法勉強 ──嵐の中に立つ日本の基本法
1950年代初頭、冷戦の激化を背景に起こった日本国憲法改正論。この動きに対し、シェイクスピアの翻訳で名高い英文学者が反応する。改憲派の主張は、アメリカによって押しつけられた憲法を廃し、日本人が自主的に憲法をつくることであった。しかし、かれらの主張は本当に妥当なのか。日本国憲法成立の事情を調べながら、浮かび上がった事実を平明率直にまとめたのが本書である。そこには国民がまたも騙され、個人の自由や権利が制約されることへの危機感があった。憲法という国民的利害の最も重大なものについて、われわれはどのように臨むべきなのか。著者の切実な訴えはいまも強く響く。 -
ヴァンデ戦争 ──フランス革命を問い直す
「自由・平等・友愛」を掲げて行われたフランス革命。その革命政府によって課された重税、徴兵令や、カトリック教会への抑圧などに反発して起こったフランス西部・ヴァンデ地方の民衆蜂起は、「カトリック王党軍」という反乱軍を組織して、共和軍との数年に及ぶ内戦へと突入した。革命政府は、ヴァンデ地方での無差別の大量殺戮をもってこれを弾圧し、1793年から96年にかけて革命の名の下に数十万の民衆が犠牲となる。ヴァンデの人々はフランス革命をどう捉え、何を目的に行動したか。史料に基づいて、「後進地域の狂信的民衆による反革命蜂起」とみなされてきた戦争の実態を克明に描く。