ロシア・アヴァンギャルドを絵画/美術のみならず、文学、演劇(逆に演劇のほうが比重が大きい)の観点から、更に切っても切れないロシア革命、その後の政治的動きと絡めて解説した本。
ロシア・アヴァンギャルドと一言で言っても、芸術史的には、美術ではスプレマティズムとかロシア構成主義とか立体未来派とか、文学的
...続きを読むにはフォルマリズムとかがお互いに影響を与え合い(他の主義への批判も含めて)、それが純粋に芸術的な論争だけでなく、政治的な(反革命的だとかプロレタリアに寄り添っていないだとか)もからめた芸術論争であった。斯程にロシア・アヴァンギャルドは政治と切っても切り離せない関連であることがわかる。
そして最後には社会主義的リアリズムの前におしなべて芸術がひれ伏しロシア・アヴァンギャルドが潰えていく様が描き出される。
芸術が政治に絡むと、兎角濁ったものと見勝ちになるが、そこを見ずしてロシア・アヴァンギャルドという潮流を知ることはできない、ということを学ばせてくれる本。