水野忠夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロシア・アヴァンギャルドを絵画/美術のみならず、文学、演劇(逆に演劇のほうが比重が大きい)の観点から、更に切っても切れないロシア革命、その後の政治的動きと絡めて解説した本。
ロシア・アヴァンギャルドと一言で言っても、芸術史的には、美術ではスプレマティズムとかロシア構成主義とか立体未来派とか、文学的にはフォルマリズムとかがお互いに影響を与え合い(他の主義への批判も含めて)、それが純粋に芸術的な論争だけでなく、政治的な(反革命的だとかプロレタリアに寄り添っていないだとか)もからめた芸術論争であった。斯程にロシア・アヴァンギャルドは政治と切っても切り離せない関連であることがわかる。
そして最後には社会主義的リアリズムの前におしなべて芸術がひれ伏しロシア・アヴァンギャルドが潰えていく様が描き出される。
芸術が政治に絡むと、兎角濁ったものと見勝ちになるが、そこを見ずしてロシア・アヴァンギャルドという潮流を知ることはできない、ということを学ばせてくれる本。 -
Posted by ブクログ
ずっと読みたかったのでやっと!
とにかくドタバタ劇が毎度の章で繰り広げられていて、そもそも名前が覚えにくいこともあり何が起こっているのか上巻の最後までほぼ分からず。
ドタバタの説明もとにかく細かすぎるくらい詳細に書かれていて、ハマる時は面白いのだが疲れてたりするとその細かさに頭が付いていけない。何が書かれてるのか本当に分からなくなる。
少しずつ誰が悪魔で、この小説はどんな構成なのかが見えてくる。登場人物の職業にも注目しないと話が見えてこなかったりも。
当時のロシア社会への理解を少し齧っておかないと、この小説の本当の面白さや狙いがわからないんやなと。
とりあえず何となくストーリーは掴めてきたので下巻に期待して。 -
Posted by ブクログ
古い権威の打破と新しい芸術の創造、よほどの古典礼賛者や体制順応派でもない限り、この手のことをぶち上げない、若くて才能あるアーティストなんていないはずである。ロシア・アヴァンギャルドの特異性はこうした芸術革命と政治上の共産主義革命が一致してしまったことにある。しかも、共産主義の理想や革命が幻滅で汚されてすり減る前の、ピカピカの革命と。 戦乱に巻き込まれて荒廃し、何もないモスクワのカフェで、にもかかわらず意気軒昂に怪気炎を上げまくるアヴァンギャルドたちのエピソードが伝える高揚感のすさまじさよ。しかも、この無名とまでは言わないが、少なくとも当時の第一人者ではなかった、口ばかり達者な若造たちが、革命政府の文化政策をほとんど丸投げされることになるのだ。後に革命の大儀なるものがどれほど地に墜ちようと、この輝きには目が眩んでしまう。最後は悲劇に終ることが分かっていても、ではなく、永遠に続くわけがないよなあ、こんなもの。
あと、解説でも振れられていたけれど、アヴァンギャルドたちの出身地としてウクライナやグルジア(ジョージア)などとあると反応してしまう。確かに彼らの起こしたムーブメントを「ロシア・アヴァンギャルド」と一括りにしてしまうことは、プーチンの汎=ロシア(スラヴ)主義にあいまいな是を与えることになるのかも知れない。じゃあ、となるとソヴィエトならいいのかとも思うが、ふとそもそもなんで「ソヴィエト・アヴァンギャルド」じゃなかったのかとも思う。この辺、ちんけな政治性がまつわりついてなければいいが。ほら、日本ではほとんど見かけないけど、欧米系の知識人で本来ソヴィエトと言うべきところでも、頑なに「ロシア」と言い張る人いるでしょう。あれなんなのかなと思うのだけれど。