経済 - 日経BP - 日本経済新聞出版作品一覧

  • 没落の東京マーケット 衰退の先に見えるもの
    5.0
    ◆止まらない日本市場の地盤沈下 2020年は日本にとって東京オリンピック開催など大きな転機となるが、アジアも同様だ。アジア各国が大規模な経済計画を打ち出す一方で、日本市場の存在感は日増しに弱体化している。ニューヨーク、ロンドンには大きく差がつけられていても腐ってもタイでアジアの中では君臨していると日本人の多くは思っているが状況はそれどころではない。外為市場ではシンガポール、香港、デリバティブズでは韓国、インドに、商品市場では中国と、アジア各国の後塵を拝するに至っている。本書は、日本人の多くがまだ実感できていない日本の金融力衰退という不都合な真実とアジア各国の急成長を明らかにするもの。そのような中で日本市場はどのように生き残るべきかを探る。
  • ボルカー回顧録 健全な金融、良き政府を求めて
    5.0
    「原著ペーパーバック版へのあとがき」を収録!  著者のポール・ボルカー氏は2019年12月8日に92歳で亡くなる前に1本のエッセイをしたためていた。『回顧録』の原著ペーパーバック版(2020年3月刊行予定)向けの「あとがき」である。その内容はまさに彼が鳴らした「最後の警鐘」と言える。 「伝説のFRB議長」による「最後の警鐘」 通貨・金融への信頼、政府への信頼回復のために何が必要なのか。 現代金融の同時代史にして、強い危機感をもとに書かれた未来への羅針盤。 ◆本書への賞賛 「ポール・ボルカーは私の知る最も偉大な人物だ……本書は、彼の人生を詳細に記述した以上のものだ。彼の信条そのものを描いたものだ」(マーティン・ウルフ、FTコメンテーター) 「ポール・ボルカーの発するメッセージほど重要なものはない」(ジミー・カーター元大統領) 「ポール・ボルカーはここ50年以上にわたり、世界経済をより良くするために誰よりもよく観察し、行動してきたアメリカのヒーローだ。この回顧録は必読の書だ」(レイ・ダリオ、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者、『PRINCIPLES』著者) 「本書は、50年以上にわたって世界の金融問題において中心的な役割を果たしてきた人物が打ち立てた金字塔だ」(ジャック・ドラロジエール、元IMF専務理事) ■世界で最も尊敬を集めるひとり、ポール・ボルカー元FRB(アメリカの中央銀行)議長が、ほぼ70年間にわたって関わってきた金融・通貨政策について回顧し、金融危機の到来に警鐘を鳴らし、また、公僕として行政に関わることの重要性を後世代へのメッセージとして伝える自伝的回顧録。 ■ボルカー氏本人による初めての回顧録です。ボルカー氏は誰もができなかった高インフレとの闘いに周囲や社会からの圧力に負けることなく勝利した伝説的な中央銀行家です。銀行危機や世界の債務危機を解決し、FRB議長を退いた後も、最も頼れる人物として数多くの公職に就き、内外の不正や腐敗をただす仕事を成し遂げてきました。 ■本書では、20世紀後半、ブレトンウッズ体制の崩壊にどのように対処したのか、FRB議長就任後のインフレとの闘いや内外の金融危機への対処が生き生きと描かれるとともに、インフレ目標に固執する金融政策、金融システムの抱えるリスク、金融危機発生への懸念について述べ、人々の政府への無関心ぶりへの危機感が率直に語られます。 ■ボルカー氏はFRB議長退任後、今日に至るまで、借金(負債)に依存した過剰な消費、過剰なリスクテイクとバブルの発生について、常に警告を発してきました。質実剛健な人柄、直裁な発言、信念を貫く清廉潔白な姿が本書から浮かび上がってきます。 ■本書は、じつは、次の世代に金融や通貨政策に関わる教訓、政府の役割の重要性、公共の仕事に就くことの意義を伝えたいとのボルカー氏の強い思いから執筆されています。「健全な通貨」「健全な金融」「良き政府」、この三つに世の中の真理はあるとするボルカー氏の信条を語る書でもあります。 ■20世紀のインフレとの闘いに劇的な勝利を収め、幾多の通貨・金融危機に対処してきたまさに偉大な元議長の回顧録は、現代の金融の世界を理解し、また、民主主義が危機の時代を迎える中で、大切なことは何かを考える上で、公共的な仕事に就いているひと、金融関係者、世の中に役立つ仕事をしたいと考える若い世代の人々にとって欠かせない1冊です。
  • ポストコロナの資本主義 挑戦される国家・企業・通貨
    3.0
    ●巨大な政府資金は自由主義のコストだ 新型コロナウイルスの蔓延は、世界の風景を一変させた。街からは人が消え、経済は急激に冷え込んだ。各国は巨大な財政支出でこれを再び浮揚させようと四苦八苦している。 現在の自由主義は、19世紀に確立した。フランスや米国は血と汗と涙で自由を獲得し、株式会社制度・中央銀行制度が確立したのもこのころだ。自由主義の発展で中間層の生活水準は押し上げられ、度重なる不況も政府資金によって乗り越えることができたことで、自由主義は最高のシステムとして認識されてきた。 ただ、今回の不況期では、巨額な財政支出が見込まれ、自由主義の存亡が問われている。本書は、10年先の国家・企業・通貨の関係を展望することがテーマになる。
  • ポストコロナの政策構想 医療・財政・社会保障・産業
    3.5
    ■オリ・パラ開催・観客論争、後手に回った感染拡大防止対策、PCR検査体制・医療体制の不備、ワクチン接種をめぐる縦割り行政、中央・地方政府間の連携の悪さ、医療専門家と経済専門家との不協和音、露呈したデジタル化の遅れ。さらに日本は、生産性・経済の低迷のために、長期衰退も、もはや絵空事ではなくなった。 ■日本はコロナ対応において、どこで、何を、どう間違ったのか。危機を突破する道はどこにあるのか。カギはガバナンス(統治構造)とリスクシェアのあり方を変えることにある。 ■経済学の知見をもとに、コロナ危機に対する数々の政策を早くから提言し続けてきた経済学者が、日本社会を立て直すための包括的な政策ビジョンを提示。コロナ対策をめぐる意思決定過程を間近で見てきた著者だけにしかなしえない観察、洞察にもとづき、豊かな構想力で描き出す。
  • マイナス金利政策 3次元金融緩和の効果と限界
    -
    「史上最強の政策」真の効果は? 賛否両論が渦巻く歴史的な大実験、マイナス金利政策。経済、マーケットへの影響は? 副作用は? 長期停滞論、ヘリコプターマネー論も交え、徹底検証。 2016年1月、日本銀行が導入を発表したマイナス金利政策。1999年のゼロ金利政策以来でいえば第5の非伝統的な金融政策であり、「史上最強の枠組み」と黒田総裁が称する、量的・質的金融緩和(QQE)の両軸にマイナス金利を加えた「3次元緩和」政策です。 少子高齢化が進行するもとで、デフレとの長期にわたる闘いの末に導入を決断したマイナス金利政策によって、日本経済はデフレから完全に抜け出し、成長経路に戻ることができるのか。それともネガティブな効果を経済に与えるのか。日本銀行は財務の健全性を保てるのか。3次元QQE政策はどこまで継続できるのか。 未踏の金融政策の効果とリスクを理論・実証両面から解明するとともに、日本経済が成長を取り戻すための方策を提案します。
  • マッキンゼーが読み解く食と農の未来
    3.7
    ●待望の農業戦略白書 日本農業が高齢化、農地荒廃に直面しているのは事実ですが、これから先どのような戦略を立てるべきなのでしょうか。世界の食糧事情・食習慣の変化、農業手法の革新、プレーヤーの状況の理解無しには、これからの日本農業の戦略は立てられません。本書は、世界的なコンサルティング企業マッキンゼーによる大局観が得られる農業戦略白書。 マッキンゼーというと日本では戦略立案のプロというイメージが圧倒的に強いのですが、その顧客に多くの世界的な農業関係企業を抱えていることもあり、食糧・農業動向の分析には実績があります。また、ここ数年の日本農業への法人参入を受けて農業ビジネス改革のレポートも公開してきました。本書は、これまで蓄積されてきたマッキンゼーの内外の食糧・農業関連の知見を初めて書籍としてまとめるもの。単に世界動向をまとめるのではなく、各動向が日本に及ぼす衝撃も解説する内容となります。 本書は、食と農のグローバル・メガトレンドを1大状況の変化、2アグリテックなどの抜本的な技術革新、3政策・規制の変化、4食習慣・ソーシャルファクターの影響、5農薬・種子・肥料など上流プレイヤーの変化、6消費者ニーズの変化、7代替品・代替手法の進化、8新規参入プレイヤーの8つのポイントで整理し、各々が日本農業にどのような影響を及ぼすのかを解説し、日本農業の生産性向上に何が必要か、進むべき方向と解決策は何かを提言します。マクロからミクロまでバランスの取れた内容になります。
  • マネジメント・テキスト ビジネス・エコノミクス 第2版
    4.3
    ◆吉野家の牛丼の値付け戦略のねらいとは? なぜコンビニは日本で定着したのか? なぜコストコは会員制なのか? なぜユニクロとニトリは流行るのか? なぜサントリーはセサミンをネットで販売したのか? なぜ業界1位の企業をひっくり返すのが難しいのか? ドトールとスターバックスの違いの理由は? ◆ビジネス界を代表する人々との豊富な接点をもち、企業の動向に詳しい伊藤元重教授が、価格、マーケティング、流通、競争、戦略、消費などをめぐる企業の豊富な事例をもとに、価格理論、ゲーム理論、情報の経済学、行動経済学、産業組織論などのミクロ経済学の基本コンセプトがどう応用されているのか、また、応用できるのか、やさしく、たっぷりと解説します。ビジネスの現場で日々起こっている興味深い現象の背後にある理屈が手に取るようにわかります。知的刺激を得られること間違いなしです。 ◆ビジネスの世界での事例をミクロ経済学の素材として提供することで、より血の通った経済学を学ぶことができる本です。また同時に、経済学の考え方を利用して、ビジネスの世界への関心を一層深めることのできる本です。
  • まるわかり関西ビジネス 注目企業の未来像×業界地図
    -
    2025年開催の大阪・関西万博に向け大変貌している関西。世界的大企業から日本の技術力を支える中堅企業まで46社を一挙紹介。さらに関西版業界地図18業界を網羅した決定版。 赴任者、新入社員、就活生などこれから関西で仕事をする人の必読書です。現地の取材記者だけが知っているディープな最新情報を満載しています。
  • マンション管理 修繕・建替え 徹底ガイド 2020年版
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ◆時代は“マンション管理2.0” 分譲マンションの管理にも、デジタル・トランスフォーメーションの波が押し寄せてきました。ドローンを使った外壁の点検や遠隔監視技術による防犯・防災対策、無人の管理人室など、ここ数年でデジタル技術を活用したマンション管理の事例が急速に増えています。AIによる資産査定やエネルギー効率を高めたスマートマンションといった新たな取り組みも進んでいます。202X年、修繕積立金はブロックチェーンで管理され、室内にいながら5G技術で医療や介護が受けられる――。マンション管理の可能性が拡がっています。 ◆政府が認定制度を創設 一方で、築年数が古いマンションでは管理が十分に行き届いていない物件も多くあります。古い物件は建物の老朽化と住民の高齢化から空き室が増え、管理組合が事実上、機能していないような物件もあります。そこで政府は今年、新たな対策を打ち出しました。「マンション管理適正化法」を改正し、適切な管理をしている物件を認定する制度の創設を決定。自治体が管理組合に関与する権限が強まり、管理が十分でない物件には指導や助言ができるようになります。認定制度は物件の資産価値にもつながるため、今回の法改正を機にマンション管理の質が底上げされると期待されています。 本書では、マンション管理の新しい取り組みを紹介するとともに、管理・修繕・建替えの実践的なノウハウを解説します。
  • みずほ、迷走の20年
    3.9
    ●経営陣がいっせいに交代する事態に  ATM障害が続いたみずほ銀行。2021年に発生した障害は8回を数えた。22年2月に木原社長が就任し、心機一転のスタートを切った。  みずほの障害は、東日本大震災直後にも大規模なものが発生しており、その後新しい基幹システムを投入したものの、防ぐことができなかった。システム部門のトップに、システムに不慣れな人が就き、また障害後も、店舗で迅速な案内ができず、人災と言われても仕方がない状況を招いた。金融庁の調査では銀行の行風として「言われたことしかやらない姿勢」も指摘された。  本書では、そこに「ガバナンス不全」を見る。銀行発足当初からシステム障害が発生し、その後、基幹システムの「旧3行」でのたらい回しも起きた。障害が起きるたびに専門社員が処分され、システムに強くない人があてがわれた。当然、社長・頭取候補と目された人も経営陣に戻ってくることはなかった。 ●みずほ20年の軌跡から未来を見据える  1989年には興銀、第一勧銀、富士がそろって時価総額で世界上位に入っていたが、これほどまでに米国に水をあけられてしまったのはなぜなのか。フィンテック、グローバル、グリーン分野が今後の反転のカギになるだろう。  現役・OBのみずほ関係者のインタビューからもストーリーを展開。実態を解き明かす。  本書では、企業風土や組織の問題を新聞記者の目線で取り上げる。
  • 未来経済都市 沖縄
    3.0
    日本が国家戦略として取り上げる沖縄の経済政策。沖縄経済界の重鎮が、グローバルな視点からその現状と未来図を描き出す、9割の日本人がまだ知らない沖縄経済の実力。 ●沖縄から4時間圏内に20億人のマーケットが眠っている 地球儀の見方を変えて、沖縄を中心に世界を見ると、ガラリと景色が変わる。1000kmの地点に台湾。2000km圏内には中国沿岸部の主要都市すべてとフィリピンが、3000kmではタイ、マレーシア、カンボジアまですっぽり入る。飛行機で4時間圏内に、世界人口の3分の1にあたる20億人の市場が眠っている。世界経済の6割を占め、大きく拡大するアジアに最も近い沖縄は、貿易・物流の重要な拠点として注目されている。 ●日本で唯一発展を続ける沖縄経済 「2009年以降日本で唯一人口が増えているのは沖縄」 「沖縄は『アジアのゲートウェイ』としての地理的優位性を持っている」 「観光客数も増加、2017年に沖縄を訪れた人はハワイを上回った」 21世紀は人とモノが移動する「物流の時代」。そして、人とモノが動けばお金と情報も集まる。沖縄が経済的に注目されるのは、これから成功するチャンスに溢れているからだ。 本書は、国際物流の拠点として沖縄に注目し上海・香港・バンコク・シンガポールなどに沖縄を中心とした国内4拠点、海外8拠点を築き、高速物流を実現していち早く動いたANAや、精密機械産業やIT企業の集積など、本土企業の動向も取り入れながら、今起こりつつある様々な動きを経済的側面から分析。ビジネスチャンスに溢れる沖縄の姿をわかりやすく解説する。
  • 民主主義と資本主義の危機
    -
    中国ですら敵わないほどの強力な敵、民主主義と資本主義の敵は内側にいる。 いま必要なのは、格差解消と中間層の復活だ。 * * * まずまずの豊かさ、わが子が機会に恵まれること、そして幸せな未来――。 ささやかな期待すらも実現しない政治とグローバル資本主義に民衆は怒っている。 世界金融危機後の中間層の空洞化は、先進国で既存体制への怒りに火を付けた。これから10年後、民主主義と資本主義は放棄されずに残るだろうか。 高所得の民主主義国で台頭する右派・左派双方のポピュリズムは、世界を暗黒に変えるだろうか。 * * * 20世紀はモンスターのような独裁者の世紀だった。いまふたたび独裁者が復活しようとしている。 権力者だけに奉仕する国家に希望はない。 20世紀、人類はそうなる運命を紙一重で切り抜けた。 21世紀もうまく逃げおおせるだろうか。 * * * FTのチーフ・エコノミクス・コメンテーターが描くいま求められる改革。
  • メカニズムデザインで勝つ ミクロ経済学のビジネス活用
    3.8
    メカニズムデザインは、オークションやマッチング理論などを含む、経済学での比較的新しいジャンル。応用例は幅広く、世界を見渡せば、不動産や学校選択など、社会での問題解決やビジネス実務に大きな貢献が期待される分野である。 本企画は、こういった経済学の知見を、日本でも実務に活かそうと立ち上がったワークショップのアウトプット(書籍化)である。元官僚や、IT関係者、金融マンなど総勢40名ほどで月1回程度で行われている。 進行は、この分野の第一人者とされ、関連の書籍が数多くある坂井豊貴慶應義塾大学教授が行い、実務での活用例は「オークションで不動産をデザインする」をモットーにする(株)デューデリ&ディールの事例などが紹介される。その間も「オークション参加者がフェイクの数字を申告していたら?」「その事例には汎用性があるのか?」など、細かいツッコミ質問が入り、参加者(読者)の理解を助ける。
  • MEGATHREATS(メガスレット)世界経済を破滅させる10の巨大な脅威
    5.0
    破滅は目前だ。平和と繁栄の好循環は終わった――10の巨大な脅威に備えよ! 金融・財政の緩和に過剰債務が重なった現在、1970年代のスタグフレーションとは比較にならないレベルの「大スタグフレーション債務危機」が待っている。 世界金融危機を予見した「破滅博士」が世界大混乱を警告。 【10の巨大な脅威(MEGATHREATS)】 ・過剰債務の罠とバブル ・過剰な財政出動 ・国際準備通貨たる米ドルの信用失墜 ・脱グローバル化 ・人口の時限爆弾 ・中国陣営と西側陣営の新冷戦 ・不平等の深刻化 ・気候変動による災害の激甚化 ……など 【本書に寄せられた賛辞】 「事前警告があれば、事前準備ができる。本書を読み、備えよ」――マーティン・ウルフ 「現在の経済状態に関する最も明快な解説」――ナシム・ニコラス・タレブ 「間違いなく見事な分析」――ケネス・ロゴフ 「楽観的な予想ではないが冷静な分析である。必読」――バリー・アイケングリーン 「本書の警告を無視するなら、命がけの覚悟で」――モハメド・エラリアン 「人類全体への警鐘」――イアン・ブレマー 「好むと好まざるとにかかわらず、危機は迫っている。人類が直面する巨大な脅威は世界を大きく変えてしまうだろう。 生き延びたいなら、見ないふりをしてはいけない。備えることだ」――本書より 【著者】 ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学スターン経営大学院名誉教授。クリントン政権では大統領経済諮問委員会(CEA)の国際問題担当シニアエコノミスト、ガイトナー国際金融問題担当財務次官の上級顧問を務め、アジア通貨危機と世界金融危機に対応。
  • 【メガトレンド】家計ファーストの経済学 消費する力が繁栄を左右する
    -
    ■日本経済新聞夕刊・経済コラム「十字路」の常連筆者として、また、国際的なネットワークをもち、長期的、国際的な視点からの独自の分析で知られる著者が、日本と世界経済の大変動を見通します。 ■レーガン、サッチャー革命以来、世界の経済は、マネー供給を拡大し続けることによって支えられ、リーマン・ショック後の超金融緩和のもとで、その傾向はさらに強まり、企業収益を優先させることで経済の浮揚を図る「企業ファースト」の政策が一貫してとられてきました。その結果、格差が拡大、ポピュリズムが台頭しています。 ■また、最近までの世界経済の好調ぶりは、ドルの過剰な供給に伴う資産価格の上昇、中国を筆頭とする新興国経済の工業化、ITによるイノベーションによってもたらされました。しかし、この好調なサイクルは限界に行き着くと著者は見ます。 金融正常化によりマネー依存時代が終わり、中国の工業化の終わり、経済サービス化の広がりにより、主要国の貿易依存度は低下、グローバル化時代が終焉し、経済のローカル化が進む、巨大IT企業がリードする時代も終幕を迎えると展望します。 この過程で世界の株高、ITバブル、中国など新興国バブルの「トリプル・バブル」が崩壊、リーマン危機を上回るほどの金融危機が生じるだろう、バブル崩壊は2018年後半から兆候が現れ、いつ大規模な崩壊が起こっても不思議ではない、と著者は見ます。そして、その後の経済の立て直しには、従来とはまったく異なる政策の考え方が必要だと著者は主張します。それが「家計ファースト」、人々の消費力を高める政策への転換です。なぜなら、経済サービス化のもとでは、一国の経済を左右するのは消費する力になる。消費力の高い国で企業活動は盛んになり、投資が活発化し、人々の所得も向上する時代になるからです。 ■本書は、綿密な経済データの分析を通して世界と日本の経済の大きな変化をいち早くとらえ、消費を活性化するための「家計ファースト」の政策を提示し、政策転換に成功すれば、日本は新たな成長へのチャンスを迎えると見通す、話題満載の経済書です。
  • MORE from LESS(モア・フロム・レス) 資本主義は脱物質化する
    4.0
    「経済が成長すれば資源の消費量が増えるに決まっている」 「資本主義と技術が進歩し、社会が豊かになれば、自然環境はダメージを受ける」 ――産業革命以降、人間が繁栄すればするほど、地球を壊してしまうという予想が無批判に信じられてきた。 * * * だが、実際にはどうであったのか。予想とはまったく逆のことが起きたのだ。 資本主義は発展し続け、世界中に勢力を拡大し続けているが、同時にテクノロジーが資源を使わない方向に進歩した。 人類はコンピュータ、インターネットを始めとして多様なデジタル技術を開発し、消費の脱物質化を実現させた。 消費量はますます増加しているものの、地球から取り出す資源は減少している。デジタル技術の進歩により、物理的なモノがデジタルのビットに取って代わられた。かつて複数機器を必要とした作業は、いまやスマホ一つで事足りる。 なぜ経済成長と資源の消費を切り離すことができたのか? 脱物質化へと切り替えられたのはなぜか? このすばらしい現象について、なぜそれが可能となったのかを解き明かし、どんな可能性を秘めているのかを記していこう。 * * * テクノロジーの進歩、資本主義、市民の自覚、反応する政府――「希望の四騎士」が揃った先進国では、人間と自然の両方が、よりよい状況となりつつある。この先の人類が繁栄し続ける道がここにある。
  • ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる
    4.1
    「ものつくり」こそお家芸、この路線さえ貫けば安泰という思いが強くなっている日本。しかし、システム思考を軽視し敗北した戦前の日本軍と同じ過ちを繰り返そうとしているのだ!日本型「ものつくり」の限界を明らかにし、普遍性を追求せず、暗黙知ばかり重視する「匠の呪縛」の危険性を明らかにする警告の書。
  • ものづくり興亡記 名も無き挑戦者たちの光と影
    -
    「失われた30年」は、ものづくり敗戦の30年でもあった。希望はないのか―― 現場を知る取材記者による迫真のノンフィクション。 大手企業から露骨なさげすみを受けながらもしたたかに生き抜き、国内トップにまで上り詰めた下克上企業・今治造船。悲願の国際旅客機計画に挑みながらも志半ばで潰えたMRJ。確かな技術力でオンリーワンの座に就いた「変態工場」=日立金属・安来工場がはまった落とし穴。周回遅れの日本の次世代モビリティの中で輝きを放つホンダ「空飛ぶクルマ」。
  • モビリティ・エコノミクス ブロックチェーンが拓く新たな経済圏
    4.0
    世界最大のコンソーシアム「MOBI」のトップが執筆。 これがニューノーマル/ポストコロナの切り札だ! いま、モビリティ業界が注目するのがブロックチェーン。 MaaSやCASEを本当に「儲かる」ものにするためのラストピースとして、 そしてスマートシティ構築の基盤技術として期待を寄せられている。 本書は、ブロックチェーンの基礎技術から最先端の活用事例までを解説。 国内外のトップランナーたちの動向も踏まえて展開する。
  • やさしいマクロ経済学
    4.0
    マクロ経済学を身近に感じられる1冊。ニュースやケースを交えて解説することで理解がさらに深まる。 ●マクロ経済学の基本の基本書 マクロ経済学はミクロ経済学と並んで、経済学の王道中の王道で、公務員試験で必須のほか、学生、一般の人も含めて読者の多い分野。これからの日本経済を考える上で、必要な知識。GDP(国内総生産)、財政政策、金融政策、為替などを、やさしい事例を用いながら解説。 ●なぜ、いまこれを考えるのか。ニュースなども交えて解説。 著者の塩路氏は、2015年に、経済学研究で名誉ある「日本経済学会・石川賞」を受賞するなど、日本経済学研究の第一人者である。本書では従来の本に多い、頭から理論を押しつける解説ではなく、「なぜ税金が必要なのか」「なぜGDPから考えるのか」など、読者に寄り添う形で解説しています。また、章末にはニュースを題材として取り込んでおり、理解が深まります。「国単位で考える」マクロ経済学はどうしても身近に感じられない場合も多いですが、日々のニュースを理解する上で必要な知識が得られるよう、随所に工夫を凝らしています。
  • 薬価の経済学
    -
    ◆国民医療費40兆円の4分の1を占める薬剤費。薬の価格は2年に一度、診療報酬の改定のときに専門家たちの緻密な計算と交渉によって決められてきたが、新薬開発や類似薬の発売、特許期間の設定、ジェネリック薬などがあり、全体が非常に分かりにくい状況になっている。 ただ、日本の薬価制度は仕組みがクリアで、膨張する社会保障関係費を抑制するための改革・改善のが進めやすいのではないかと期待されている。高額ながん特効薬オプジーボが話題になったこともあり、薬価の決まり方は改革が検討されている。 ◆一方で、医薬品産業はグローバル化で世界的な業界再編が進む。日本の医薬品企業は欧米の「後塵を拝している」のが現状である。医薬品の世界市場は2015年で約100兆円、今後5年は年率3-6%で成長することが見込まれる有望市場であり、帳尻合わせの薬価制度改革であってよいはずがない。また、iPSやゲノム等の新たな技術フロンティアを活用する医薬品市場において世界は激しい争奪戦を繰り広げているにもかかわらず、日本の医薬品企業がこの競争に完全に敗北することになれば、人工知能を活用したデータヘルス等の新産業や雇用創出を含め、その損失は計り知れないものとなろう。 ◆本書は、研究者や医療関係者で、薬価制度の分析と改革に最前線で取り組んできた第一人者たちがタッグを組み、現在の仕組みに内在する問題点を分析、ビッグデータ活用などイノベーションも紹介し、あるべき将来像を提言する。 ◆膨張する社会保障費に改めて注目が集まる中、注目の一冊
  • 「豊かさ」の誕生(上) 成長と発展の文明史
    4.5
    経済発展は、格差の歴史 人類に“持続的な富の増大をもたらした4条件に迫る! なぜ、我々は豊かな生活を享受できるようになったか? そしてなぜ、豊かさの誕生は1800年代以降に限られているのだろうか? 近現代に持続的な経済成長をもたらした「繁栄の4条件」を、膨大な資料と、法律、歴史、哲学、天体力学、神学、政策科学、社会学、経済学の観点から探っていく。 ●条件1 私有財産権。具体的な財産に関してのみならず、知的所有権や、自分自身の身体についても、市民の自由として確立されていなくてはならない ●条件2 世界を精査・解釈する体系的な手順としての科学的合理主義の確立 ●条件3 新製品の開発や製造に対して幅広く誰でもが投資できるような近代的資本市場の成立 ●条件4 大切な情報をすばやくやりとりできる通信手段と、人や物を迅速に運べる輸送手段 格差や不平等を決定づける「豊かさ」の歴史を明快に分析した骨太の大作を文庫化。
  • ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った
    3.7
    欧州経済の危機は終わらない――ユーロが抱える「構造矛盾」を看破し、欧州崩壊のシナリオを予見した名著! 平和と経済統合の理想から出発したユーロは、当初からの構造矛盾を克服できず、南欧諸国の経済危機を拡大させている。この経済・金融危機は全世界を震撼させる大恐慌へと発展する勢いだ。独仏伊など欧州各国の利害対立や、国際機関の行動、深まる危機の様相を明快に解説。
  • 「良い投資」とβアクティビズム MPT現代ポートフォリオ理論を超えて
    3.5
    すべての投資家の「合理的な判断」が、「良き社会」を求めるファンドを肥やす--。 押さえておきたい最新知識! 証券投資の未来を先取りする斬新な理論が読みやすい邦訳で登場。 知っておいて損はない!ESG投資が増えている理由、ESG重視は必須の経営課題と言われる背景にある“カラクリ”を、MPT(モダンポートフォリオ理論)の課題とともに解説する。
  • 良き社会のための経済学
    4.0
    ★ノーベル経済学賞が複数受賞可能なら何本受賞してもおかしくない、質量とも世界最高峰の業績を誇るティロール先生が、初めて一般向けに書き下ろした経済書! 良い社会をつくるために経済学はどう役立つのか、現実感覚に富んだスーパー経済学者が万人向けにわかりやすく解説します。 ★なぜ、経済学が社会の問題を解決するのに活用できるのか、というそもそも論から、社会の制度、環境や雇用・失業、金融危機などのマクロ的な経済問題、競争政策や産業政策、イノベーション、規制など、幅広いテーマを取り上げます。ティロール先生がこれまで積み重ねてきた知見が凝縮されている本であり、自らの学者としての生活を交え、一般の読者向けに解説します。数式は一切なく、経済学を知らない人でも読みこなせる。質が高く、広く長く読まれる良書です。 ★ティロール経済学の特色は、完全市場や完全情報などを前提とする従来の経済学とは異なり、不完全市場や経済的インセンティブだけで人は動かないなど、より現実的な前提をおいて、企業や個人、政府の行動を説明し、望ましい行動を促すための制度設計を提案する点にあります。「現実に使える経済学」「社会を良くするための経済学」です。 ★ジャン・ティロール教授は2014年ノーベル経済学賞を受賞した、「スターの中のスター」といわれる「知の巨人」。ゲーム理論を応用した産業組織論、金融論、バブル論など、広範なフィールドにわたってきわめて優れた研究を相次いで発表。ノーベル経済学賞は「市場支配力と規制」に関するテーマで受賞したが、他の分野での受賞も取り沙汰されたほど研究領域は多岐にわたります。また、優れた理論家であると同時に現実感覚に秀でた研究者と評されています。
  • 流通・消費2017 勝敗を決める18のルール 日経MJトレンド情報源
    4.0
    日経MJのキラーコンテンツ「小売業調査」「サービス業調査」などの独自調査を軸に、消費・サービス・流通のトレンドの変化を1冊にまとめた定番書「日経MJトレンド情報源」。 2017年版では、巻頭に「2017年はやりそうなものランキングベスト20」のような企画を検討中。これからも競争が激化する「見放題サービス」(映画、ドラマなど)や、円高による消費動向の変化等、MJ編集部総出の企画を考える。 巻末には、各種調査のランキング・データを収録。小売業調査、専門店調査、卸売業調査、飲食業調査、コンビニエンスストア調査、サービス業調査、百貨店調査の7つで、いずれも独自調査であり、設備投資額ランキング、バイイングパワーランキング、サービス業調査の業界別ランキングなどは、インターネットでも手に入らないユニークな情報です。
  • リージョナルバンカーズ 地域金融が勝ち抜く条件
    5.0
    ■金融界のエグゼクティブ・プロフェッショナルに向けたデジタルメディアのNIKKEI Financialが、日本経済新聞の全国金融機関への取材網、金融専門記者たちの金融庁・日銀への取材力を活かし、地域金融機関の事業モデル改革の成功と蹉跌の最前線を伝える。 ■地銀改革の光と影、実力を発揮する信金・信組、現れた新興勢力など、全国各地の地銀の動向を、当事者インタビューをまじえ細かく紹介。また、金融当局が取り組もうとしている企業金融改革の意図・実態・これからや、金融デジタル化、ESG金融への取り組みなど最新動向を伝える。
  • レジリエントな社会 危機から立ち直る力
    -
    【レジリエンスとは?】 「レジリエンス」はこれからの社会デザインを導く北極星だ。 レジリエンスの本質は、「樫と葦」の寓話にあるように、嵐を乗り切って回復する力にある。樫の木は頑丈で力強い、普通の風に吹かれてもまず倒れそうにない。対照的に、葦はほんの微風でも曲がる。だが、強い嵐が吹き付けたときには樫は弱い。葦は曲がるが折れない。これが、レジリエンスだ。 効率重視の「ジャスト・イン・タイム」から、万一に備える「ジャスト・イン・ケース」へ。冗長性は悪から善になる――。危機対応型のマインドセットに転換しよう! レジリエンスの定義、レジリエンス重視の社会契約の考え方から始めて、新型コロナウイルス・パンデミックからの教訓、コミュニケーション、イノベーション、ダメージ・コントロール、金融のレジリエンス、インフレ、高水準の債務、不平等などのマクロ的な問題、そして、新興国経済、地政学と世界経済、気候変動といったグローバルな問題に至るまで。気鋭のマクロ経済学者が、どうすれば社会は、ショックに直面しても危機から立ち直れる力を備えることができるのかを考察する。
  • 錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来
    4.0
    ★預金者から調達した資金が長期投資のために使われ、新たな価値を生み出すという、歴史的に続いてきた現代金融の仕組みはまさに「錬金術」だ。ところが、金融の「賢者の石」を追い求めるこの錬金術は、ハイパーインフレから金融破綻まで、経済に大惨事をもたらしてきた。市場経済の錬金術師である貨幣と銀行はなぜ、その「アキレス腱」になってしまったか。錬金術を終わらせて、健全な金融と経済を築くにはどうすればよいのか。 ★著者は、世界金融危機を収拾した立役者のひとりであり、「錬金術師」とも評された前イングランド銀行総裁。その豊かな学識、歴史への洞察、中央銀行総裁としての経験をもとに、現代の貨幣・銀行システムが生み出す危険性に対して痛烈な警告を発する。そして、大恐慌の再来を防ぐための新たなアイデアにもとづく金融システム、経済政策への移行を提示する。主流派経済学とは異なる観点からの大胆な問題提起のため、刊行されるや、メディア、学界などで議論を呼び起こしている。 ★著者は、安定した将来見通しが得られない不確実性と経済の不均衡が常に存在する現在、従来の金融の仕組みでは、必ず危機が再来すると警鐘を鳴らす。そこで、中央銀行の果たすべき新たな役割、危機を引き起こさない銀行システムを提案。世界経済の不均衡を原因とする、迫り来る危機に対処するには、短期的な処方箋である金融の量的緩和政策では効果がなく、新たな思想にもとづく経済学と政策の仕組みが必要だと力説する。 ★『ライアーズ・ポーカー』『マネー・ボール』著者、マイケル・ルイスが「この本が十分注目されれば、世界を救うかもしれない」と大絶賛。「経済学の本で、これほど知的興奮を覚える本に出会うことはめったにない――目がくらむほど、本当にすごい」(ジョン・プレンダー、フィナンシャルタイムズ紙コラムニスト)など、高く評価されている。
  • 労働時間の経済分析
    4.5
    現代日本人の働き方に関する事実や問題を、個票データを用いた緻密な分析によって幅広く検討した上で、今後の働き方はどうあるべきかを論じる労作。わが国労働市場分析の本格的決定版。オリジナル(紙の本)は2014年秋に、第57回日経・経済図書文化賞を受賞したほか、主要経済誌、全国紙の書評などで高い評価を得ています。
  • 私が見てきた日本経済
    -
    【問題解明に挑み続けてきたエコノミストの証言】 枕詞は疑うべし――。ニクソン・ショック、石油危機から経済摩擦、バブル崩壊、デフレまで40年以上にわたって日本経済の課題に対峙してきたエコノミストは、タブーを恐れずにいかに問題の本質を突き詰めていったのか。経済白書完成までの攻防、経済計画作成の舞台裏、経済分析をめぐる論争などの知られざるドラマを、小宮隆太郎、根岸隆、金森久雄、香西泰など名だたる研究者・エコノミストのエピソードも交えて明らかにするユニークな日本経済論。
  • 私の履歴書 金融はまだまだ面白い
    3.0
    逆風下の平成金融界で難題に挑み続けてきた著者が、ITとの融合により新たな局面を迎えたいま、若者へのメッセージも込め、苦闘の30年の道筋を語る。 第1部は、1999年8月、神楽坂の割烹での一室に端を発した「三井」と「住友」の歴史的合併の話に始まり、安宅産業の破産、イラン革命時の債権処理、ゴールドマン・サックスへの出資、赤字決算、バブル崩壊、金融再編、リーマン危機、ニューヨーク証券取引所への上場など、稀代のバンカーとしての経験を綴った「私の履歴書」。当時の貴重なエピソードを日経記者が新たに執筆したコラムと、連載時にはなかった写真も追加して掲載。 第2部は、2015年7~12月に日本経済新聞夕刊連載の「あすへの話題」と新たな写真とで構成。生まれた信州上田と出身地である京都のどちらの縁も大切にし、京都大学OBの縁で大阪フィルハーモニー交響楽団理事長も務める著者と各界の人々との温かな交流も描く。 巻末に「主な金融データと出来事」として1970~2019年の金融関連の数値グラフを掲載。
  • 私の履歴書 始まりは「子ども銀行」
    -
    ★著者は激動の金融界に身を置いて55年。 本書では、歴代日本銀行総裁に仕えた著者が、世界の金融の流れと日本の金融界に起きた様々なことを述懐。 森永貞一郎総裁が国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行の総会出席には香港駐在した著者が随行。また金融政策を担当する調査役時代の上司は後の福井俊彦総裁。 第2次オイルショックでインフレ懸念が深まり公定歩合の引き上げがテーマとなり、前川春雄総裁が国会に参考人として呼ばれる。その際に随行し、目前でそのやり取りを体験した。その後の三重野康総裁時代など、それぞれの総裁とのやり取りが描かれている。 ★バブルの予兆も早くから感じ、バブルの崩壊の渦中に身を置いた。アジア通貨危機、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券と立て続けに破綻し、日本の金融危機が訪れる。日銀理事を退任する意向を福井俊彦総裁に伝えると、目の前に迫っている日本長期信用銀行の経営危機を担当する信用機構担当にと依頼される。この処理を担当すべく私心をすてて頭取に就任することになる。 自助努力だけでは困難と判断し、売却先を探し、決定となる。それらのことも記載されている。 ★長銀の処理を終え頭取退任後、縁あってイトーヨーカ堂がATM銀行を新設する計画に誘われることになる。新銀行のアイワイバンク銀行誕生となり、社長就任。ビジネスが軌道に乗る見通しが厳しいながらも徐々に提携先銀行も増加する。社名を変えセブン銀行となり、10年後、東証に上場を果たす。後継者も決まり、一応の区切りとした著者からは、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏とコンビニATM事業の生みの親ともいえる鈴木敏文氏のことも語られている。 ★一般外部に発表されていない原稿も収録。FRBのポール・ボルガー氏とのやり取りも描かれ、著者の人となりが垣間見える。 ★新規に「教育が開く日本の未来」についてインタビューしたものを収録。

最近チェックした本