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欧州経済の危機は終わらない――ユーロが抱える「構造矛盾」を看破し、欧州崩壊のシナリオを予見した名著! 平和と経済統合の理想から出発したユーロは、当初からの構造矛盾を克服できず、南欧諸国の経済危機を拡大させている。この経済・金融危機は全世界を震撼させる大恐慌へと発展する勢いだ。独仏伊など欧州各国の利害対立や、国際機関の行動、深まる危機の様相を明快に解説。
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Posted by ブクログ
国際金融入門としても良書。 ユーロ危機とは何だったのか、まだその危機が去っていないどころか、ユーロ圏の限界までがロジカルに述べられている。 必読。
ユーロ危機が深まるに連れ、つねづね一番の課題はドイツが歴史上初めてヨーロッパ圏の筆頭国になったこと、にもかかわらずその覚悟に欠けると見受けられることだった。筆頭国になる(帝国システムの担い手になる)のはいろいろ物質的、精神的に大変なのに、周囲の二番手国民あたりはそんなことも知らずに、あれこれイチャモ...続きを読むンをつけてしまうわけである。というわけでドイツには同情を禁じ得ないが、そもそも英仏の覇権に挑戦して、筆頭国になるために二度も世界大戦を起こしたのはドイツ自身なんだから、こんなことになる前にもうちょっと心の準備をしておけよ、と指摘したい。ちなみに本書の結論はドイツが最終的に芋を引いてユーロが崩壊する、であるが、私個人の予想はドイツはそこまで思い切ったことが出来ずますます危機が長引くとしたい。それをもってドイツやフランスの政治家が日本のそれよりマシなんて言う幻想がさっぱりと消えて、日本国民に自分たちの課題に集中する気構えが出来ればそれだけでユーロ危機の価値はあったといえよう。
内容が結構濃いのでページ数の割に読むのに時間がかかってしまった。 共通通貨の問題点の分かる良書だと思います。
ユーロ危機について。 想定しているよりもずっと深刻な問題が最初から最後まで続きます。 ユーロ危機は劣等生のギリシャやポルトガルの財政危機によってもたらされた、のではなく、 ユーロが抱える本質的な欠点がリーマンショックによって信用市場(超短期市場)が崩壊したことで全面に出てきたことで生じたというもの...続きを読む。 ユーロ圏内の投資に国境を設けない取り組みを続ける一方で、優等生も劣等生も同じ通貨を使うようになったことで劣等生の為替リスクが消滅し資本が流入、リーマンショックによる短期市場の緊急停止により流入した資本が逆バブル的に流出したことでやばいーとなったと。 つまり実力の違う国が同じ通貨使っちゃだめだよ、と。 しかも各国が自由にその使い方決めれちゃ誰もコントロールできなくて危ないよ、と。 ユーロの運命を握るのは優等生のドイツ。 ドイツはユーロ維持により永遠にユーロ圏内の周辺国に財政援助を行うか、ユーロ崩壊により多額の損失をこうむり、かつ政治的な困難(対ヨーロッパ)を背負うか、どちらも地獄、という状況の中で方針を決めきれないでいる。 結果大胆な打ち手が打たれず危機は深刻化。 著者によるユーロの将来予測は、 ドイツはユーロ維持を選択。 ただし、ユーロ圏なひたすら緊縮財政を敷きまくって世界経済に対して多大なネガティブ効果を与えると。 そしてユーロにはドイツだけが残って後はひたすら債務国である周辺国になります。 「そしてドイツだけが残った」 というのが私がこの本を読んで理解した内容。 私にはちょっと難しい内容も多かったのでかなり大雑把な理解かもしれないけど。。。 もてはやされたユーロ。 ノーベル賞も与えて鼓舞してるけど。。。 こんなにユーロ危機が根深いとは。 難しいところもありますが、明晰な文章はとても読みやすいです。 おすすめ。
2012年出版。問いかけの後にすぐに回答を明示してくれない書き口も合わさって、EUの前提知識ゼロで読むにはやや難解。 金融と通貨について少しずつ理解が進んできたつもりであったが、 改めてユーロについて問われると、何もわかっていなかったのだと気付かされる。 そもそも、国ごとの経済力の差を為替や金利で...続きを読む埋めていたとすれば、 経済状況が異なる国々が単一通貨で共通の金融政策をとるときに、どのような調整が必要となるのか。 例えばある国で財政危機となり通貨の信用が失われれば、そこからの資本流出は加速する。 特にユーロ圏内であれば、共通通貨特有の流動性により、安全性の差がわずかであっても高い箇所に一極集中することとなる。 ギリシャが危ういとなれば、次に危ういスペイン・イタリアをすっ飛ばしてドイツに集まるということだ。 そんな事態の回避のため、EU加盟国で参加国家の財政危機が訪れた時、常に他の国が手を差し伸べなければならないようでは、 ドイツの一人損になってしまうが、何もしないでは、資本と一緒に膨大な移民が押し寄せる事態となる。 では、財政危機となった当事国の取りうる手段はなんだろうか。 本書では、不況のさなかに増税を行ったフーバーと、減税を行ったケネディの両者とも間違いではなかったとする。 ケネディの政策は、減税による需要と供給の活性化により雇用改善を行い、その結果としての市場活性化による税収増加で財政再建を狙うということであり、 フーバーの政策は、金本位制の中でドルの信用を維持するため、まず増税による財政の健全化を行うことで資本逃避を防ぎ、その結果としての安定した市場にて雇用改善を狙う。 これと現在のユーロの状況を見比べると、ギリシャもスペインも不況時に緊縮的な財政政策を採用したが、 これは国家として市場の信頼を回復するためであり、財政均衡を目指さなければさらなる資本逃避に見舞われるためであるとわかる。 ここまでが本書の半分程度であり、結局のところ、そもそもユーロはどのような設計であったのか、 2021年現在、観光業が大きな収入源であったギリシャがコロナ禍でも何故破綻しないでいられるのか、 本書のみから推察することは不可能だ。 事例と理論の両輪を学ぶことで学習効率が上がるとすれば、 本書での勉強も遠回りでなかったはずだと信じ、ユーロ設立当初の理論から学び直すこととしたい。
経済学の専門家によるユーロ危機に関する本。ユーロの現状について詳しく述べ、将来を予想している。ドイツのように経済的に強い国とギリシアのように弱い国とが同じ通貨を使うことの不具合がよくわかった。このままでは、ドイツが一人勝ちになり、富の分配が進まなければユーロは成り立たないことを理解した。 「経済の...続きを読むダイナミズムが失われていない中国では、日本と違い、金融緩和はインフレと住宅価格の上昇につながる」p21 「経済的国際競争力の格差は為替レートの変化、つまり国際競争力に劣る国の為替レート減価によって調整することができる。ところが各国が同一の通貨を使用するなら、そのような調整は不可能となり、最も優れた国が市場を席巻する事態は避け難くなる。現実に、ユーロ圏の現状を見るとドイツの独り勝ちに終わる見通しがますます強くなっている」p102 「本来ならユーロに加盟する17カ国について異なった政策金利が適用されるべきなのだが、共通通貨を使用しているために、17カ国に対して単一の政策金利しか選択することができない。そのため国別に見ると過剰な低金利や、過剰な高金利が選ばれてしまうのである」p141 「同一通貨を持つ地域間では、インフレ率の高い国に資本が流入する」p182 「財政が持続不可能な状態にある主権国家は、さらなる緊縮財政政策を実施するか、さもなければデフォルトもしくは債務リスケジューリングをするかの選択に追い込まれる」p242
難しい。ただ、ユーロのメリットやデメリットはわかりやすく書かれている。円高になった理由がなんとなくわかった。
知らないことが多すぎた。 ドイツの経済力はユーロ圏では圧倒的 経済が成熟した社会では製造業は銀行から金を借りず 社債などによって調達する。 そのためドイツの銀行はリスクのある 他の国の製造業に貸さざるを得ない。 同じユーロ圏でもインフレ率に差があるため、 通貨が同じになると インフレ率が高い国...続きを読む(南欧)の物が高くなるため 国際競争力が落ちる。 GIIPS(ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)が破綻しないのは、 自国でユーロを印刷できるから 破綻しかけの国でユーロを使いまくったツケは 自国では返済できるはずもなく 最終的にはドイツが間接的に負わなければならない。
ユーロの構造上の問題点をわかりやすく解説している。解決には実は程遠いこと、結局はドイツがどうするか(つまり一国の意志に委ねられるという点でEUの精神に反する)みたいなことも合わせて理解。僕みたいなマクロ経済専門に学んだことがない人間にもよね。わかる。
ユーロの欠陥、財政統合されていないこと、とかみたいなありきたりなことが書いているだけじゃなく、ターゲット、ユーロ崩壊の場合の過程についても書かれてておもろかった。多分また読み返すだろうね。
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ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った
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竹森俊平
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