検索結果

  • クヌルプ
    4.0
    年上の娘への初恋が裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅職人となった彼は、まともな親方にはならなかったが、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の息苦しい生活に一脈の明るさとくつろぎをもたらす。最後に雪の中で倒れた彼に神さまはクヌルプは彼らしく生きたと語りかける……。永遠に流浪する芸術家の魂を描いた作品である。
  • 青春は美わし
    4.0
    何年ぶりかで家族の住む故郷に帰ってきた青年は、昔恋したことのある美しい少女に再会する。しかしその愛は実らず、その上、妹の友達への恋にも破れる。彼は孤独な、しかし清らかな思い出を胸に故郷を去って行く……。ふるさとを懐かしみながら放浪に心ひかれ、地道に生きようと願いながら浪漫的な憧れに駆られる青春の心を抒情性豊かに謳いあげた表題作。他に、「ラテン語学校生」。
  • メルヒェン(新潮文庫)
    4.3
    誰からも愛される子に、という母の祈りが叶えられ、少年は人々の愛に包まれて育ったが……愛されることの幸福と不幸を深く掘り下げた『アウグスツス』は、「幸いなるかな、心の貧しき者。天国はその人のものなり」という聖書のことばが感動的に結晶した童話である。おとなの心に純朴な子どもの魂を呼び起しながら、清らかな感動へと誘う、もっともヘッセらしい珠玉の創作童話9編を収録。
  • ヘッセ詩集
    3.9
    ひたすら詩人になりたいと願い、苦難の道のりをひとり歩み続けたドイツ最大の抒情詩人ヘッセ。仮借ない自己探求の賜物である淡々とし飄々とした風格は、われわれ日本人の心に深く共鳴するものを備えている。18歳のころの処女詩集より70余歳の晩年に及ぶ彼の全詩集から、その各期にわたる代表作をすべて抜萃し、ノーベル賞に輝く彼の小説に勝るとも劣らぬヘッセの詩境を紹介する。
  • 郷愁
    3.9
    豊かな自然に囲まれて育ったペーターは故郷を離れ、文筆家を目指すため都会生活を始める。彼はそこで多くの人と出会い、多くの事を学ぶが、心の底では常に虚しさを感じていた。文明の腐敗に失望し、故郷に戻った彼を待っていたのは、シンプルな暮らしと新たな出会いだったが……。叙情にあふれた美しい自然描写、青春の苦悩、故郷への思いを見事に描いた、著者の処女作にして出世作。
  • ゲーテ格言集
    4.0
    偉大なる詩人であり作家であると同時に、最も人間的な魅力にあふれたゲーテは、無限に豊富な知と愛の言葉の宝庫を残している。彼の言葉がしばしば引用されるのも、そこには永久に新鮮な感性と深い知性と豊かな愛情とが、体験に裏づけられて溶けこんでいるからである。本書は、彼の全著作の中からと、警句、格言として独立に書かれたものの中から読者に親しみやすいものを収録した。
  • 車輪の下
    4.1
    ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説。
  • 点子ちゃんとアントン
    -
    点子ちゃんはベルリンに暮らす小学生、幼いときすごく小さかったので点子ちゃんというあだ名がついた。家は裕福だが、両親は点子ちゃんをほったらかにして、世話は養育係にまかせている。アントンは男の子の友達だが、病気がちの母親との二人暮らし、そのためアントンは家事までこなして、街角でひそかに靴ひもを売っている。この二人を中心に、学校で、家庭で、街角で起こるさまざまな出来事に、点子ちゃんの家の家政婦、飼い犬、学校の先生らが試行錯誤の大奮闘。さまざまな困難を乗り越えていく。
  • 動物会議
    -
    主人公は動物たち。いつまでたっても戦争をやめない人間たちを嘆き、「子どもたちのために」大会議を開く。刊行されたのは、第二次世界大戦後の1949年。動物たちは世界中にすむ仲間に向かって参加を呼びかけ、ありとあらゆる動物たちが「動物ビル」に集まり、人間に対する要求をまとめあげる。これは人間に拒否されるが、動物たちは地上からすべての子供たちを隠してしまうという行動にでる。人間はついに折れて、国家の代表たちは恒久平和を実現するための条約に署名する。本書には、この作品のあとに、2編の教訓詩を収録した。
  • 五月三十五日
    -
    タイトルの日付は存在しないので、「何が起きてもおかしくない日」という意味だ。学校で行ったこともない「南洋」についての作文を書かされることになったコンラート少年は、35日の木曜日に、学校に迎えに来てくれた叔父さんに相談した。すると叔父さんは名案を考えついた。二人はローラースケートをはいた言葉のわかる黒馬に乗って、「南洋」をめざす。「なまけものの国」「過去の国」「さかさの国」「電気の国」などの珍しい国をめぐったあと、コンラートはぶじ宿題を書き上げることができたのだろうか。
  • 飛ぶ教室
    -
    「飛ぶ教室」とはそもそもなにか。これは作品中で、生徒たちがクリスマスに演じる予定の劇の題名だ。ドイツの寄宿学校(ギムナジウム)で、五人の少年たちが織りなすクリスマス前の数日間の物語。実業高校生たちとの決闘、上級生との確執、友情で結ばれながらもそれぞれが抱える悩みの数々。信頼できる大人「正義さん」「禁煙さん」がよりそい、涙と笑いが交錯する。物語の象徴としてクリスマス劇「飛ぶ教室」が登場するが、はたして劇の結果は? 「五年生」と呼ばれるジョニーやマルティンたちは、日本でいう中学三年生にあたる。ワルター・トリアーの表紙絵と挿絵入り。
  • 完訳 アンデルセン童話集 1
    -
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 「コンパクト版アンデルセン童話集」復刊! 著名なドイツ文学者、高橋健二先生の偉作を現代に蘇らせました。1986年初版の「コンパクト版アンデルセン童話集」をイラストをリニューアルして復刊したものです。 【1巻収録作品】 火打ち箱/小クラウスと大クラウス/えんどう豆の上にねたおひめ様/小さいイーダちゃんの花/親指ひめ/いたずらっ子/旅の道連れ/人魚ひめ/皇帝の新しい服/幸運のオーバーシューズ/ひなぎく/しっかりしたすずの兵隊さん/野の白鳥
  • ゲーテ詩集
    3.7
    向学心に燃え、たゆまぬ努力によって、生涯、自らの宇宙観を拡充していったゲーテの作品は、尽きざる泉にも似て、豊富多彩をきわめる。喜怒哀楽、叡智、恋……人間性への深い信頼にささえられ、世界文学に不滅の名をとどめるゲーテの抒情詩を中心に、物語詩、思想詩の代表的な作品を年代順に選び、彼の生活を背景に、その大宝庫を楽しむことができるよう編まれた独特の詩集である。
  • 幸福論
    3.8
    多くの危機を超えて静かな晩年を迎えたヘッセの随想と小品。はぐれ者のからすにアウトサイダーの人生を見る「小がらす」など14編。
  • 春の嵐
    4.2
    少年時代の淡い恋が、そりの事故を機に過ぎ去り、身体障害者となったクーンは音楽を志した。魂の叫びを綴った彼の歌曲は、オペラの名歌手ムオトの眼にとまり、二人の間に不思議な友情が生れる。やがて彼らの前に出現した永遠の女性ゲルトルートをムオトに奪われるが、彼は静かに諦観する境地に達する……。精神的な世界を志向する詩人が、幸福の意義を求めて描いた孤独者の悲歌。
  • 完訳 アンデルセン童話集 5
    -
    コンパクト版アンデルセン童話集」復刊! 5巻収録の作品は「ひとり者のナイトキャップ」「ひとかどの者」「年を取ったかしの木の最後のゆめ」「ABCの本」「どろ沼の王様のむすめ」「かけっこ」「鐘の淵」「悪い王様(伝説)」「風がワルデマル・ドウとそのむすめたちのことを話します」「パンをふんだむすめ」「塔の番人オーレ」「アンネ・リスベト」「子どものおしゃべり」「真珠のかざりひも」「ペンとインキつぼ」「墓の中の子ども」「農家のおんどりと風見のおんどり」「美しい」です。西本鶏介先生の解説「不幸を幸福にかえる童話」を収録しています。
  • シッダールタ
    4.2
    シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。――成道後の仏陀を讃美するのではなく、悟りに至るまでの求道者の体験の奥義を探ろうとしたこの作品は、ヘッセ芸術のひとつの頂点である。
  • デミアン
    4.3
    ラテン語学校に通う10歳の私、シンクレールは、不良少年ににらまれまいとして言った心にもない嘘によって、不幸な事件を招いてしまう。私をその苦境から救ってくれた友人のデミアンは、明るく正しい父母の世界とは別の、私自身が漠然と憧れていた第二の暗い世界をより印象づけた。主人公シンクレールが、明暗二つの世界を揺れ動きながら、真の自己を求めていく過程を描く。
  • 荒野のおおかみ
    4.1
    物質の過剰に陶酔している現代社会で、それと同調して市民的に生きることのできない放浪者ハリー・ハラーを“荒野のおおかみ”に擬し、自己の内部と、自己と世界との間の二重の分裂に苦悩するアウトサイダーの魂の苦しみを描く。本書は、同時に機械文明の発達に幻惑されて無反省に惰性的に生きている同時代に対する痛烈な文明批判を試みた、詩人五十歳の記念的作品である。
  • シッダールタ
    -
    シッダールタとは釈尊(仏陀)の出家前の名前である。本作はヘッセにおける「東洋の心」の結晶であり、深いインド研究と詩的直観の融合から生まれ出た。若き日の仏陀の求道者としての歩みを、格調高い文体で描き、みずからの精神のありかを明らかにしている点で、ゲーテにおける「ファウスト」に比べられる。
  • 完訳 グリム童話集 1
    -
    1~5巻660円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 本当のグリム童話、あなたはどれだけ知っていますか?さあ、すべてのお話を収めた、完全版ならではのグリムの世界へ。
  • ニーチェ ツァラトゥストラ
    5.0
    『ツァラトゥストラはかく語りき』ほど19世紀の思想に衝撃を与えた書はない。ヨーロッパ近代の精神的危機に対する、ニーチェ思想のすべてが盛り込まれた哲学的叙事詩を、難解な語句をさけ、物語風にまとめた労作。

    試し読み

    フォロー
  • ガラス玉演戯(上)
    -
    ガラス玉演戯――学問と、美の崇拝と、瞑想という三つの原理の融合――の名人ヨーゼフ・クネヒトの、芸術的香気の高い理想郷カスターリエンにおける活躍と現実世界でのさまざまな苦悩とを描いて、戦争と雑文的文化に明け暮れる二十世紀文明に対する反極として構成された、ヘッセの芸術と知恵との最高の結晶。上巻。
  • ケストナーの終戦日記
    -
    世界の子供達に愛されているケストナーの、ナチズムへの抵抗日記。広島・長崎への原爆投下を糾弾して、この日記は終えられた。戦争そのものが勝敗を問わず、どんなに無意味に悲惨であるかを、このくらい具体的に感じさせる本も少ないであろう。そしてそれについては、人類全体に責任があると、ケストナーはみんなの良心に訴えている。
  • ファウスト(第一部)
    -
    1~2巻770円 (税込)
    ファウストは学問と知識に絶望して、悪魔のメフィストフェレスと契約をかわして魂を売りわたし、その見返りにすべての地上の快楽を手に入れ、享受しようとする。ファウストは秘薬を手に入れて若返り、マルガレーテとの恋を成就するが…(第1部)。マルガレーテの処刑からくる自責の念からよみがえったファウストは、皇帝の城、古代ワルプルギスの夜、ヘレナとの家庭生活など、次々に生命の諸相を体験する。やがて人生の〈たそがれ〉を迎えたファウストは盲目のなかで自分の大事業を見とどけようとしながら、思わず「時よ、とどまれ」と口にする(第2部)。ゲーテが60年の歳月をかけて完成した欧米文学の記念碑。ゲーテも賛嘆したドラクロワのリトグラフ挿絵16点入り。

    試し読み

    フォロー
  • 知と愛
    4.3
    本来官能の子でありながら精神の人になろうとして修道院に入った美少年ゴルトムントは、若く美しい師ナルチスの存在によって、自分は精神よりもむしろ芸術に奉仕すべき人間であることを教えられ、知を断念して愛に生きるべく、愛欲と放浪の生活にはいる――。二つの最も人間的な欲求である知と愛とが、反撥し合いながら互いに引かれ合う姿を描いた多彩な恋愛変奏曲。一九三○年作。
  • 偶像の黄昏
    4.5
    ニーチェの最後の著作が流麗で明晰な新訳でよみがえる。近代の偶像を破壊しながら、その思考を決算したニーチェ哲学の究極的な到達であると同時に自身によるニーチェ入門でもある名著。
  • ガラス玉演戯(上)
    -
    精神的なユートピア「カスターリエン」にあこがれ、その指導者となる運命に導かれるクネヒトの伝記というかたちをとって、戦争と雑文文化の20世紀に対する文明批判を盛りこんだ未来小説。だが、「ガラス玉演戯名人」という最高位に昇りつめたクネヒトは最後に、現実遊離の精神性だけの生活に疑問をいだき、現実の世界のなかでの「教師」という奉仕の道を選びとる。……作家ヘッセの最後の長編。

    試し読み

    フォロー
  • グリム兄弟とアンデルセン
    3.0
    「ヘンゼルとグレーテル」や「赤ずきん」を伝えた勤勉な学者肌のグリム兄弟と、「人魚ひめ」や「マッチ売りの少女」を生んだ奔放な旅人アンデルセン。対照的な人生を送った童話の巨星たちのあいだには、しかし実際の接触のみならず、意外な共通点もあって……。 童話の最高峰と並び称される両者の著作と生涯を突き合わることで見えてくる、童話に秘められた深層、そしてそこに表れる深い人間理解とは? 全集の翻訳も手掛けたドイツ文学の第一人者による、共感溢れる、忘れがたい一冊。 [本書の内容] まえがき 1 アンデルセンとグリム兄弟との出会い 2 グリム兄弟の生涯 3 アンデルセンの生涯 4 学究者と作家――著作の比較 5 生の軌跡――愛と孤独 6 メルヒェンの語り手 7 グリム兄弟と私 8 アンデルセンと私 9 結び グリム兄弟とアンデルセンの年表
  • ツァラトゥストラはこう語った
    -
    「超人」と永劫回帰と価値の転換を主張する哲学的叙情詩。ゾロアスター教の始祖ツァラトゥストラは「ついに神は死んだ」と叫び、ふたたび人間のなかに帰り、宗教的な厭世主義を否定し、地上を讃美し生を肯定して「人間は征服するために生まれ、かつ生きる」と説く。
  • 幸福論
    -
    ヒルティの幸福論三部作から、第一部「幸福論」(初版昭和29年刊)と第二部の一部を「人生論」(昭和31年刊)としてまとめた新・抄訳版。新・解説/鷲田小彌太。 目次 幸福論  仕事の要領  エピクテートス  悪とたえず戦いながら、策略を使わないで 世間を渡ることが、どうしてできるか  よい習慣  この世の子らは光の子らよりも利口である  暇を見つける工夫  幸福  人間とは何か? 人生論  人生の諸段階  罪と憂い  超越的希望  教養とは何か 解説  一、ヒルティその生涯と思想  二、「幸福論」について
  • ニーチェ入門 永遠の言葉
    -
    永遠の哲学の巨人、ドゥルーズを始め構造主義以降の思想界への影響も絶大なニーチェの思想の核心をまとめたアンソロジー。H・マンの充実したガイドを付し、達意の名訳で、ニヒリズムを克服する。
  • 喜ばしき知恵
    5.0
    ニーチェの最も美しく、最も重要な著書が冷徹にして流麗な日本語によってよみがえる。「神は死んだ」と宣言しつつ永遠回帰の思想をはじめてあきらかにしたニーチェ哲学の中核をなす大いなる肯定の書。
  • ツァラトゥストラかく語りき
    4.0
    あかるく澄み切った日本語による正確無比な翻訳で、いま、ツァラトゥストラが蘇る。もっとも信頼に足る原典からの完全新訳。読みやすく、しかもこれ以上なく哲学的に厳密な、ツァラトゥストラ。
  • ガラス玉演戯(上下)合本版(新潮文庫)
    -
    ガラス玉演戯――学問と、美の崇拝と、瞑想という三つの原理の融合――の名人ヨーゼフ・クネヒトの、芸術的香気の高い理想郷カスターリエンにおける活躍と現実世界でのさまざまな苦悩とを描いて、戦争と雑文的文化に明け暮れる二十世紀文明に対する反極として構成された、ヘッセの芸術と知恵との最高の結晶。 ※当電子版は新潮文庫版『ガラス玉演戯』上下巻をまとめた合本版です。
  • 超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版
    4.2
    プロボクサー村田諒太選手、推薦! 119万部突破のベストセラーが待望の文庫エッセンシャル版として再登場! ニヒリズムや反宗教的思想といった独自の思想により二十世紀の哲学思想に多大なる影響を与えた、十九世紀ドイツの哲学者ニーチェ。 「神は死んだ」という主張やナチズムとの関わりを噂されるなど、様々な伝説に彩られた孤高の哲人だが、 実は彼は、ほとばしる生気、不屈の魂、高みを目指す意志に基づいた、明るく力強い言葉を多数残しています。 本書では、それらの中から現代人のためになるものを選別しました。 心ゆくまで、あなたの知らなかったニーチェの世界をご堪能ください。
  • 善悪の彼岸
    3.0
    「みんながそうしているから」の「奴隷のモラル」を笑い飛ばせ! 新訳でよみがえった晴れやかなニーチェが贈る、人間への比類なき応援歌。 「怪物とたたかう者は、そのとき自分が怪物にならないよう用心するがいい。長いあいだ奈落をのぞいていると、奈落のほうもお前をのぞき込む」――。 有名なこの言葉が収められた『善悪の彼岸』は、1886年に自費出版で刊行されました。 「畜群社会」や、キリスト教道徳、神、真理など「既得権益としてのモダン」という巨大な敵に独り対峙しつづけたニーチェの言葉は、刊行から150年近くを経た今もなお、読む者の心を世界中で強く揺さぶり続けています。 「愛によってなされることは、いつも善悪の彼岸で起きる」 「思い上がった善意というものがある。それは悪意のように見える」 「自分自身を軽蔑する者は、いつもそのとき、軽蔑ができる自分を尊敬している」 「生と別れるときは、オデュッセウスが〔スケリア島の王女〕ナウシカアーと別れたときのようにするべきだ。――惚れているのに、というよりは、祝福する気持ちで」 これまでのイメージを覆す、晴れやかで軽やかなニーチェ訳に定評がある訳者がお届けする、21世紀の『善悪の彼岸』!  【本書の内容】 はじめに 第1部 哲学者たちの先入観について 第2部 自由な精神 第3部 宗教的なもの 第4部 格言と間奏 第5部 モラルの自然誌について 第6部 私たち学者は 第7部 私たちの徳 第8部 いろんな民族といろんな祖国 第9部 高貴とは何か? 高い山々から――後歌 訳者あとがき
  • 愉しい学問
    -
    本書は、フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)が遺した主著、待望の新訳である。1878年の『人間的、あまりに人間的』で採用されたアフォリズム形式の集大成として1882年に出版された本書では、「永遠回帰」の思想が鮮やかに提示され、有名な「神は死んだ」という宣言が登場する。続く『ツァラトゥストラはこう言った』(1883-85年)と並び、ニーチェ思想の神髄を伝える本書を、清新かつ斬新な日本語で!
  • ツァラトゥストラはこう言った
    4.3
    本書『ツァラトゥストラはこう言った』がニーチェ畢生の書にして、ドイツ文学史上屈指の作品であることは言を俟たない。故郷を捨てて山に入ったツァラトゥストラは「私は惜しみなくあげたいし、頒かち与えたい。人間たちのあいだで賢者がもう一度愚かさを愉しみ、貧者がもう一度豊かさを愉しむようになるまで」という言葉とともに山から下り、人間たちの世界に入っていく。「神の死」を告げ、しかし人類は現状に甘んじることなく高みを目指して進んでいくべきだとする「超人」の思想を伝えるツァラトゥストラは、生きとし生けるものは現状以上を目指すという原理、すなわち「力への意志」の原理に「超人」が基づいていることを説く。しかし、没落を始めるツァラトゥストラは、この世に新しいものなど起こらず、すべては同じことの繰り返しであるという「永遠回帰」の思想にたどりつく――。 生田長江による最初の邦訳(1911年)以来、すでに本書の日本語訳は15種類を数える。そのすべてに目を通した上で作られた本訳書は、21世紀にふさわしい日本語で「声に出して読める翻訳」を実現するものである。学術文庫『愉しい学問』の訳者が満を持して送り出す、渾身の訳業! [本書の内容]  第一部 ツァラトゥストラの序説 ツァラトゥストラは語る 三段階の変身/徳の講座/背後世界論者/肉体の軽蔑者/情熱にひそむ喜びと苦しみ/青ざめた犯罪者/読むことと書くこと/山に立つ樹/死の説教者/戦争と戦士/新しい偶像/市場のハエ/純 潔/友/千の目標と一つの目標/隣人愛/創造者の道/老いた女と若い女/毒ヘビにかまれる/子どもと結婚/自由な死/惜しみなく与える徳  第二部 鏡をもった子ども/至福の島にて/同情者たち/司祭たち/有徳者たち/汚い奴ら/毒ぐもタランチュラ/有名な識者たち/夜の歌/舞踏の歌/墓の歌/自己克服/崇高な人/教養の国/純粋無垢の認識/学 者/詩 人/大いなる出来事/占い師/救 い/賢い世渡り法/最も静かな時  第三部 放浪者/幻影と謎/不本意な幸福/日の出前/卑小にする徳/オリーブ山にて/通り過ぎるということ/離反した者たち/帰 郷/三つの悪/重さの地霊/新旧の石板/快復しつつある人/大いなるあこがれ/もう一つの舞踏の歌/七つの封印  第四部・最終部 蜜の捧げ物/助けを求めて叫ぶ声/王たちとの対話/ヒ ル/魔術師/失 業/最も醜い人間/進んで乞食になった人/影/正 午/歓迎のあいさつ/晩 餐/高等な人間/憂鬱の歌/学 問/砂漠の娘たちのもとで/目覚め/ロバ祭り/夜の放浪者の歌/しるし 訳 注 訳者あとがき 索 引
  • ワイド版世界の大思想 第1期〈1〉プラトン
    -
    ヨーロッパ哲学が誕生してすでに二十数世紀、その間生まれた幾多の作品のなかでも、面白さの点で「対話篇」(国家)は抜群である。そこには知識学や存在学や人間学に関する現代的思索の帰りゆく故郷がある。「国家」の完訳の他、ソクラテスの精神を如実に伝える代表二作を収録。 〈収録タイトル〉 国家/ソクラテスの弁明/クリトン ※この電子書籍は、オンデマンド本「ワイド版世界の大思想」を底本としております。

最近チェックした作品からのおすすめ