渡辺優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第174回直木賞候補作。
受賞作含む候補作の中で読むとしたらこれかなぁと、なんとなく思っていた本と新刊の棚で出会えた。
飛んだ美織女王様を探していくうちに、彼女像のような物のカタチが変わっていく。
最終的に美織女王様が悪い人ではなくて良かった。
そして自身のセクシュアルと向き合うにつれ、少しずつハッキリとカタチが見えてくる感じ。
積もる違和感や周囲からの「普通」の圧だったり、善意のズレや理解されるされないことへの曖昧さのモヤモヤだったり。
アセクシャルについて、とりあえず感覚として触れられる距離感みたいなものとして、300ページくらいの小説はちょうど良かった。
テーマというか物語の芯になってい -
Posted by ブクログ
自分の確固たる判断力を持たず、流されるままにふらふらと生きる平和ボケな現代人(?)日本人(?)への痛烈な皮肉のこもったロードムービーな1冊。
他人の意見や感想を聞いては「なるほど」とそれに共感し、また別の意見や感想を聞いてはそちらにも「なるほど」と共感する。ほめられれば喜び、けなされれば怒る。ネットや端末に情報だけでなく、感情までもを依存する僕らは深く考えることもなくただ当たり前に生きているけれども、その主体性とは何か、と問われたような気持ちになった。
サメへの憧憬はあんなに前向きに描かれていたのに、カラスへの依存はこんなにも辛辣に描かれ、思わずカラスに同情してしまった(笑)
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Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の志川は前に勤めていた会社で大好きな先輩と付き合う寸前に性的なことは無理と思ってしまい、人間関係がこじれて辞めてしまった過去を持ちます。その後、資格を取るために勉強をしながらバイトを始めます。それが女王様マッサージ専門店「ファムファタル」の電話番です。風俗にそれほど偏見がない志川はわりと楽しく仕事をしていたのですが、憧れの女王様の美織が突然音信不通になったことを心配して —— 。
他人に性的な興味を持たないアセクシャル、自分がそうかもしれないと気付いた志川。でもそれを他人に理解してもらうのは難しく、前職ではそれが元で大好きな先輩も友達も失いました。
突然会いたいと連絡してきたその友達の -
Posted by ブクログ
ある日、カラスが話しかけてきた。
人違い。そして、謎のワードを告げるカラス。
いつの間にか、カラスと旅をしている主人公。
最後まで不思議な話のまま、幕を下ろす。
よく、「他人事」の対義語のように「自分事」という言葉が使われる。
「自分事として受け止めなさい」みたいな。
でも、自分の外側で起きた出来事に対して、他人事と自分事の境界ってどう設けたらいいのだろう。
結局は、興味を持ちなさいという話なんだろうか。
作中にある「死」に対する態度もそうかもしれない。
真正面から写真や動画で撮って流すことが冒涜なのだとしたら、その場を見て見ぬフリをして後にすることが正しい態度なのだろうか。
見た