渡辺優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ面白いを通り越して放心。
志川さんに大共感の嵐吹き荒れまくってしんどかった。
自分でさえも分からない手に余る感情を、どう頑張ったって他人に分かってもらえるはずもなく。
けど誰か1人でも理解者がいて何の理由もなく隣にいて抱きしめてもらいたい時がある。
そんな時は、美織さんが言ってくれたお笑いコンビや歌謡曲のデュオでもなにか特別な関係が見つかればいいし、誰もが皆それぞれの地獄があるように、その反対に天国を見つけることができればいいな、と思った。
この小説を読んで、まだ輪郭はぼやけててはっきりしてないけど、自分にはもう天国がたくさんあることに気付かされた。
志川さんの他者に向ける純粋な「好き」という -
Posted by ブクログ
「スーパーセックスワールドってなんなんだよ」と思ったコミカルなスタートだったが、テーマは意外と重いものだった。アセクシャル——たしかに無味無臭で、なんとも実感が湧かない定義ではあったが、それと向き合うことがこれほど深い悩みを抱えるということなのだな、とあらためて感じたし、勉強になった。
総じて心理描写がわかりやすく、気楽にスイスイ読めて、それでいて味わい深い箇所もいくつもあり、読後の満足感は高い。
> 「自分には帰る場所があり、愛してくれる家族がいるということに。でも、生まれながらに与えられたそれらの愛は尽きていく。来年、再来年、いや、明日にだって親は倒れ、死ぬ。」
>
この一節 -
Posted by ブクログ
女王様の電話番
渡辺優
集英社
友だちが浮気をされたときはヘビーでセンシティブでお通夜か裁判みたいな深刻な空気になるけれど、友だちが浮気をしたときはポップでライトでちょっとしたパーティーみたいな空気になる。どちらも世界に発生した事象は同じなのに。なぜ?
この世界はどこまでもスーパーセックスワールドなのだ。こういう世界で生きているのに、そういう世界には耐えられないというのはどうしてだろう。
『誰もがそれぞれの地獄を背負っている』ーって、ウェルギリウスだったかな。ほんとね、その通りだなって思うの。ひとにはひとの地獄がある。
やがてお湯が沸いた音だけが聞こえ、美織さんはキッチンに消えた。空調 -
Posted by ブクログ
スーパー◯◯◯ワールド。何回と出てくるワードなんだけど始めはギャグみたいで笑えていたけど、大事な言葉に感じてくる。
アセクシャル、今まで知らなかった。そして他にも知らないマイノリティーな人等がいるのだろう。
当然の様に異性を恋愛の対象とする大多数、当たり前に考えてしまうのも仕方ない気がするが、改めて色んな人がいる事を認識しないとな。
一般的でないと将来も不安になるって気持ちもよく分かる。大丈夫って言葉も多用されているが、ホントに少数派は多数派に押しつぶされてると思う。
それでも人は人の温もりを求めているのが共感できた。必要なんだ。
悪魔の証明ってなるほどと思わされた。そりゃないものの証明 -
Posted by ブクログ
自分だけの地獄と、お気楽な天国
最近、『女王様の電話番』という本を読んでいて、ハッとする言葉に出会った。
「人には人の地獄がある」
……。
あぁ、もう、本当にその通りである。
今までの私は、あろうことか「みんなが抱えている地獄なんて、だいたい似たようなもんだろう」なんて、おこがましいことを思っていたのだ。
そのせいで、「あんたの地獄はこれだろ? だったらこうすればいいじゃない」なんていう、余計なお世話を焼きまくっていたのである。今思えば、顔から火が出るほど恥ずかしい。
本の中では、別の登場人物がこうも言っている。
「人には人の天国がある」と。
これまた、膝を打つような名言だ。
私は自分の地獄 -
Posted by ブクログ
感動した。最後は泣きそうになった。華やかなステージはやっぱり夢のようで、でもそこを離れればやっぱり厳しい現実があって、でもやっぱり夢を見ていたくて、みんなにも夢を見てもらいたくて、打ちのめされそうになりながらも続けることはやっぱり簡単ではなくて、でもステージにはやっぱり夢のような瞬間がたくさんあって。
僕はいわゆる現場オタクではなかったけれど、かつてNGTの中井りかさんと小越春花さん、ももクロの有安杏果さんに魅了されていた時期がありました。もしかしたら、それがこの物語に深く感情移入できる片鱗になっているのかもしれません。
渡辺さんの小説は、いつも思いがけないところから思いがけない言葉が飛んでく -
Posted by ブクログ
ずいぶん前に読みました。
サメの話が好きでした。スタンド・バイ・ミーのエンドロールと同じくらい泣きました。個人的な体験なので、その程度がどれほどかが誰かに伝わるかは、わからないですけど。
記憶もおぼろげです。自分にもサメがいれば良いなと思ったはずです。色々順応していくことに疲れたときに、何がダメで何が良いかもわからなくなったような人間をぺちんと叩いて顔を向かせて、話を聞いてやる姿勢を見せてくれるような感じがしました。
学校帰りに時間を潰している時、古本屋で背表紙に惹かれて手に取りました。この題名が気にかかるような人の多くはそもそもきっとこの本に特別な思い入れを持てるような性質をしているんだろう -
Posted by ブクログ
だいすき。ものすごくすき。
元々この手の題材は、ファンではなくアイドル当人の心持ち、打ち込み方、熱狂の仕方にとても共感をするからすきだ。
華やかな世界を覗き見ることが楽しいのはもちろんのこと、他の青春的題材よりも感覚としてかなり頭抜けて自分を重ねられるので、贔屓してしまう。
卓越した技術云々よりも自分の身を使った全身全霊の体当たり感が、ある意味では近しく感じられる隙で、でも気持ちは物凄く熱くて、その燃え盛り様が良い。
すきなことって、そういうものだ。
とはいえ本書では四十代半ばにして電撃的に地下アイドルにハマってその日のうちにプロデューサーに乗り出す夏美の視点に一番親近感を抱いてしまって、