渡辺優のレビュー一覧
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「行きたくない」がテーマのアンソロジー。
いやあ。
行きたくない、分かる分かる。
住野よると奥田亜希子が目に入って購入したけど、星四つか五つか迷うくらい、どれも印象に残るお話だった。
以下、ネタバレ含む注意。
「ポケット/加藤シゲアキ」
友達が不登校になって、周りからは浮いた存在になってしまう。
そんな彼に、優しく声をかける俺、という優越感が形になる後半が面白い。
実は自分には出来ないこと、知らない世界を開いていた友達に、自分自身の狭量さを感じさせられる主人公。その描写に、青春を感じる。
「ピンポンツリースポンジ/渡辺優」
ロボットが「したくない」と言うのはオカシイ、という着眼点が -
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文通友達さんとの読書会の課題本としていただいた本です。初めましての作家さん。
面白かったです。始めに収録されている「ラスト・デイ」の最初の一文から惹き付けられました。
消えたかったり、現実から逃避していたり、という、なんだか近しい病んだ人々…と思ってしまいましたが、「サメの話」「水槽を出たサメ」がとても好きでした。
「水槽を出たサメ」は、これがこの本の締めくくりのお話で良かった、と思いました。エーテルのサメが空中を泳ぐ様が綺麗で。そして涼香が前を向くのも。涼香も少女もサメを「サメ!」と呼んでいるのも好きです。
この作家さんの他の本も読みたくなりました。大森靖子さんの帯も良いです。 -
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ネタバレ16歳の女子高生・小峰りなのモットーは、どんな些細な出来事でも自分にとって不愉快であれば、絶対やり返すということ。
付いたあだ名は『復讐の申し子』
そう、彼女は復讐に取り憑かれているのだ。
ある日、りなを襲う通り魔事件が発生。
何者かが、夜道を歩く彼女を背後から切り付けたのだ。
りなは犯人を追いかけるも
激しい痛みと怒りで意識が混濁し、逃げられてしまう。
犯人が残した唯一の手掛かりは
『ラメルノエリキサ』という謎の言葉。
怒りに燃えるりなは、退院後、自らの手で犯人を捕まえ復讐するため、独自の捜査を始める。
そして、彼女がたどり着いた事件の真相とは…。
第28回小説すばる新人賞受賞の、痛快青春ミ -
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SMの女王様をデリバリーするお店の電話番となった志川が、美織女王様の行方を捜しながら、性的なことができない葛藤を見つめていくストーリー。
セクシャリティを扱っているように見えて、「自分の理解の範囲外の人がいること」を扱っている1冊。
アセクシャルを告白した志川に、吉野が「そんなひといるわけないじゃん」と発したシーンは、『性欲』のワンシーンを思い出した。
あなたに理解できないからと言って「ない」わけではない。
あなたの世界で「見えていない」だけだ。
そう伝えたくなる。
そんな理解できないものを「ないもの」として扱い、尊厳を傷つける人に対して、相手を傷つけないように接しようとする志川にはグ -
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オーディブルで。この世界はスーパーセックスワールドだ。この定義だけで、この小説は勝ちだ。本当に、男女が集うところであれば、セックスが絡まない場所はない。ないふりしてても、ビームが出ているのだ。この人とつがいになりたいという。でもその欲求は人間も動物であるために、しごくまっとうなもの。それが、ない、と自覚した女性が、この小説の主人公。「そういうキャラづけ、いいって」と、信頼をおいていた同僚に唾棄され、前職を去ることになり、そしてついたのが、デリヘルの電話受付。キャストの一人(五十歳のおばさん)と、友達になりたく、なれそうな感じだったところで、そのキャストが失踪する。
アセクシャル。ほんとにそう -
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ネタバレ読み終えて、なんとも形容しがたい妙な気分になった。
正直なところ、「変な小説だったな」という感想。
性的マッサージサロンという、他人の欲求が渦巻く場所で電話番をする志川さん。
彼女が前の会社を辞めることになったのは、ただ「身体の接触が無理」だと伝えたから。好きだけど、それはできない。そう正直に言っただけで、職場の同僚からは悪女扱いをされて居場所を失う。世の中の「普通」から少しはみ出しただけで、勝手な理屈で追い詰められてしまう息苦しさが、どこまでもリアルだ。
何故か惹かれてしまう美織さんの行方を追ってみても、見えてくるのは勝手に抱いていたイメージとは違う、生々しくて格好悪い彼女の横顔ばかり。 -
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どうにもとらえどころのない、とても不思議な小説だった。初めは、クラゲに夢中なミサキがクラゲと心を同調させていく物語かと思っていた。なのにミサキはいきなり死んでしまい、友人のナツオの1人語りが始まる。ナツオは自分の考えを持たないどうにもはっきりしないキャラクターで、気弱な善良さだけでできている人間だ。ミサキの死をめぐっていろいろと話は展開していくが、語り部のナツオがこんな調子なので、どうにも盛り上がらない。最後に真相は明かされるものの、その真相を受けてのナツオの感情にもいまひとつ共感しきれないところもあった。僕たちを繋いでいるものとはいったい何だろう?技術の発展とはいったい何だろう?
岩手県沖