あらすじ
好きだけど、触れあうことはできない。
そんな私は異端者なのだろうか。
主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。
ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて・・・・・・。
過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。
私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに・・・・・・。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。
アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す――。
小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。
【著者プロフィール】
渡辺優(わたなべ・ゆう)
1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ビックリするようなあらすじ紹介に興味津々で本作を手に取りました。いやぁ賛否両論あるとは思いますが、真面目なお話が、ここまでユーモア溢れる世界観で表現された作品は他にないかなぁと思います。
本作は、デリバリーヘルスの電話番を務める女性が主人公。その主人公は自分のセクシャリティに悩みを抱えていたが、とある女王様と出会ったことをキッカケに自分の性と向き合うというお話。
本作の1番の魅力は、ボキャブラリーかなぁと思います。それが現れているのはまさに本作の1行目かなと。「この世界はスーパーセックスワールドだ。」こんな強烈な1行目は見たことないですし、この1行目を読んだ瞬間、主人公の突飛な発想にすごくワクワクしました。そして物語を進めていっても、突飛さと語彙力が好みドンズバで、終始読んでて楽しかった作品でした。
内容としてはセンシティブよりですし、セックスワールドとか頻繁に出てくるので、嫌悪感を示される方がいらっしゃるとは思いますが、私は本作は非常に良かったかなと思います。
Posted by ブクログ
アセクシャル:性欲がない、もしくはわかないこと
アセクシャルの女性が派遣型のマッサージ風俗店の電話番のアルバイトを始める。マッサージ師を「女王様」と呼び、
さらに「この世はセックスに溢れている」ことを痛感する
わかっていつつも自分はセックスに対して理解ができず、他者にも理解されずに一人苦しむ。
性事情は人それぞれ。誰にも打ち明けられない苦しみが辛い。
Posted by ブクログ
会話や物語の進み方のテンポがよくとても読みやすい作品なのに、読み終えた後には胸に残るものがあるような作品であった。
主人公の志川は、自分が何者なのか言葉にできず、「アセクシャル」という言葉を知ってもそれで「理解した」とはならない。むしろこの作品は、「1つの言葉を知っただけで全てを分かった気になること」の危険性を何度も何度も読者に突きつけてくる。
性風俗の電話番という少し変わった仕事、職場で起こるささいな謎。切ってもきり離せない男と女という枠組みと、そこに入り込めない感情。読みながらそれらに思いを馳せることがきっと大切なのだなと私は思った。
Posted by ブクログ
村田沙耶香と似たテーマを扱っているが、村田作品のほうは現実世界と小説世界の境界線が分かりやすいので、あちらの世界のフィクションだよね、というある意味安心感がある。
一方でこの作品は現実世界と地続きになっているので、安心感よりも心をざわつかせるようなリアリティがあると思う。恐らく読者の共感度合いもこちらのほうが高いのではなかろうか。
マイノリティを扱った小説はいくつもあるが、性風俗(SMの女王様)の店を舞台にその電話番として雇われた主人公が、実はアセクシャル(無性愛者)で、あえて性描写を徹底して排除して物語を展開している点が、個人的には他に無いオリジナリティを感じられてとても面白かった。
主人公の心の声として現れる比喩やツッコミなどの表現も上手くて、読んでいてハッとさせられるような場面も多々あった。ちょっと説明しすぎなきらいがあり、物語の余白部分から読者が自由に想像する余地があまり無く、結果的に読後の印象が軽くなっているように感じられたのはもったいなかったけど、それでも全候補作を読んで一番楽しめたのはこの作品だった。
しかし直接的な描写が全然無いのに、こんなにもセックスセックスと連呼される作品もなかなか無いのではないか。極めつけは冒頭1行目に出てくる「スーパーセックスワールド」。何じゃそりゃって感じだけど面白いからまあいいや。
とにかく設定が素晴らしい。正直このテーマで本作を上回る設定はなかなか出てこない気がするので、もうこれで獲っちゃって欲しいんだけど果たしてどうかなあ。
Posted by ブクログ
第174回直木賞候補作
めちゃめちゃ面白かった
ストーリーも設定もテーマも描写も表現も言葉選びも全部好み
読んでて楽しすぎた
普通って、どこにもないんだよな
Posted by ブクログ
LGBTQ当事者かつ自分はアセクシャルなのではないかと思ったことのある人間なのですごく話がよく入ってきた。この世はスーパーセックスワールドなどのインパクトのあるワードにくすっとなりつつも、マイノリティの生きづらさ、マジョリティから排除されているという空虚感が詳細に描写されていると思う。
Posted by ブクログ
世間で求められる納得感や正当化をもつ理由に翻弄される。そして、その嫌いな理由というものを自分も求めてしまう苦痛。そのギャップで自分自身を愛せないし、素直になれないもどかしさ。全ての人に通ずるものがこの本に詰まってた。こんな本だったのか、、百聞は一読にしかずですな。素晴らしかった。
Posted by ブクログ
直木賞候補作という帯、タイトル、そして物語のインパクトの強い一文目から気になって手に取った作品です。
読みごたえがあり、作品としてもとても面白いものでした。
当たり前とは?
マジョリティの意見が正当で正解?
明文化されているものだけがルール?
読みながらそんなことを考えさせられました。
「人には人の天国と地獄がある」
この言葉を私はちゃんと甘受できるようになりたいです。
Posted by ブクログ
性愛のない愛を求める人に送りたい一冊
性の欲がよく分からないことってある
女王様も主人公も完全には分かること出来ないけど、そもそも私ってわたしのこと分かってるっけと我に帰った。
恋愛至上主義?!いやだ!と思う時に読みたい
Posted by ブクログ
直木賞候補になっていたので気になって読んでみた。
初めて読んだ作家さんだったが、面白かった。
タイトル通り派遣型マッサージ店で「女王様の電話番」として働く主人公が、自らの性自認(アセクシャル)と向き合いながら話が進んでいく。
女王様が失踪し、彼女の手がかりを求めて色々なお客さんなどにも接触していくのだが、やり取りがテンポよく展開していくので楽しく読めた。
アセクシャルというのも知識としては知っていたが、当事者目線での葛藤にはなるほどと感じられることも多かった。
主人公のまっすぐさと素直さは時に不自然なぐらいたが、ひたすら彼女の視点で語られるので、いつの間にか応援するような気持ちで読んだ。
「スーパーセックスワールド」に「スーパーセックスビーム」って…パワーワードすぎて笑う。
この世をそんな言葉で表現できちゃうセンスが凄いし、世の中に対する見方が変わるというか、新しい視点を得た気分。
Posted by ブクログ
新感覚
「スーパーセックスワールド」と、ちょっとピンク感たっぷりな書き始め。
女王様を探すストーリーと、自分の生き方と性を探すストーリーが絶妙に重なるセキララな書きぶりにひきつけられました。性自認と悪魔の証明の難しさ、共感。
Posted by ブクログ
冒頭1文目のワードが独特で特徴的で本書のキーワードだと思う。
自分と周りの人の感覚の違いに悩む気持ちに共感する部分があった。
私は女王様の人柄は素敵だと思った。
そして、主人公のお願いがとても綺麗だった。
Posted by ブクログ
この小説の冒頭部分です。
『でも、なんかもう一生懸命頑張ってきた大切な職を失ってやる気もぜんぜん湧いてこないし、なんだかなあという気持ちで求人サイトをだらだら見る。
そして私は女王様の電話番になった。』
人というのは、自己実現ができないと、その先の自分の在るべき姿が分からなくなってしまって、身動きが取れなくなる存在のような気がします。
例えば、この小説の主人公(志川さん)のようなアセクシャルの人が、それを一つの性的指向であるとキチンと認められないまま周囲から誤解を受け孤立してしまったら。。。
彼女はどこで自己同一性を保てばよいのでしょうか?
彼女は、女王様の電話番になりました。
「ご希望の女王様とコース」を聞いて、「日時」と「利用はホテルか自宅か」を聞いて、女王様に予約をLINEで連絡するお仕事です。
性的な触れ合いに関心を持てない彼女が、(特殊な?)性的サービスのビジネス現場に身を置くことになったのは、皮肉なことなのでしょうか、それとも必然と言えることなのでしょうか?
志川さんは、美織(みおり)女王様と仕事場であるクイーンズマッサージ ファムファタルで出会うのですが、美織さんはまさにfemme fatale(運命の女性)でした。(ずっと主人公が、志川と名字呼びで書かれている理由にも通じます)
その辺のところを味読してくださると嬉しいです♡
結末の「0 エピローグ」には、こう書かれています。
「自らのセックスについて悩んだことがない人間がどれだけいるだろう。みんな普通の顔をして歩いている。」
マジョリティとかマイノリティと区別されますが、よくよく考えてみると、皆がマイノリティなような気がします。つまり、似たような特質で大づかみに捉えれば良いようでいて、実は個々人は皆異なる、と。
何が「普通」で、何が「普通でない」とか荒っぽく考えるのではなく、個々人に丁寧に寄り添って、異なることを尊重する時代が来ているような気がします。(同性愛の人のことを「生産性が無い」などど口走る国会議員が存在するどこかの国でもです)
とっても良い作品だと思いました。
ジメジメしがちな性的な事柄を、心に痛みを抱えながらも、心地良くカラッとした雰囲気で描き切ってくれていると思います。
オススメです♡
〔作品紹介・あらすじ〕
好きだけど、触れあうことはできない。
そんな私は異端者なのだろうか。
主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。ある日、あこがれの美織さんと初めてごはんを食べに行く約束をして舞い上がるものの、当日にドタキャン。そのまま音信不通になってしまう。彼女の常連のお客さんなどにこっそり連絡を取り行方を探るうちに、どうも自分の知っている美織さんとは違う面ばかりが見えてきて……。
過去、志川が不動産会社を辞めた理由は、あこがれの男性社員・星先輩と付き合う寸前に、先輩が自分に求めている性的なことが一切無理だと気づいたからだった。好きだったのに。付き合えないと正直に言っただけで、志川は同僚に悪女扱いをされ、そのまま会社にもいづらくなり、退社することになってしまったのだ。
私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに……。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。
アセクシャルの自身に戸惑い、彷徨い、清爽と一歩を踏み出す――。
小説すばる新人賞受賞から10年。物語はしたたかに進化する。
【著者プロフィール】
渡辺優(わたなべ・ゆう)
1987年宮城県生まれ。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。他の著作に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『クラゲ・アイランドの夜明け』『アヤとあや』『カラスは言った』『私雨邸の殺人に関する各人の視点』『月蝕島の信者たち』などがある。
Posted by ブクログ
LGBTQIA+の+には無限の個性がつまっているんだと感じた。
他人を100%受け入れることも
自分のことを完璧に伝えることも
とてもむずかしい。
でもきっと寄り添うことはできるんだろう。
随分とフックが効いた言葉が頻発していた。笑
ひとつひとつを切り取ると重い話になりそうだけど
とても読みやすかったし読んでよかった。
Posted by ブクログ
直木賞候補作とのことで手に取る。自分がアセクシャル(他社に対して性的欲求を抱かないという性的志向)ではないかと悩む主人公が、デリバリー型SM風俗の電話番となることを通じて自己と向きあう物語。
ホットなトピックではあるが、ここまで誤解を恐れずに直接的な表現を試みた作品はなかなかないんじゃないかと思う。「この世界はスーパーセックスワールドだ。」という書き出しに始まり、少々面食らってしまうような単語もしばしば飛び出すが、それをものともせずにぐんぐんと物語を進めていく若さのある作品だと感じた。
そして不思議なことに、幾度も読者に投げかけられる問が無垢でストレートなものであるほど、いわゆる「当事者」だけのものではなく私たちみなが向き合うべき問題として、それは心に響くのだった。なぜ、恋愛感情とセックスがこれほど分かちがたく結びついてしまうのか。セックスがなければ愛ではないのか。それ以外の関係の形ってありえないのか。
消えた女王様である美織さんがどうやらあまり健全な人間ではないらしいというのは序盤から想像がついたものの、最後、真摯な対話を通して彼女のことを決して悪者にせず温かな形で着地させたのはちょっと意外で、いいなと思った。
Posted by ブクログ
直木賞候補作
星4.5
主人公は大手不動産会社の社員だったものの、好きな人から性的な振る舞いをされただけで、それが受け入れられず、会社を退職してしまった志川。
自分は、性を受け入れられない、「アセクシャル」ではないかと思い始める。
生活のため始めたのは、デリバリーヘルスで、女王様を派遣する電話番の仕事。
そこで、憧れの50歳の女王様(なぜか私の頭の中では鈴木保奈美)と知り合うのだが、女王様が失踪してしまい、禁じ手の捜索をするという物語。
アセクシャルという言葉について、主人公も周りの人たちも、Wikipediaなどで調べたりするのだが、確かな定義は分からない。そもそも、LGBTQにしたって、人それぞれなんだろうな。
ヘテロ(異性愛者)だって人それぞれなんだから。
直木賞候補作にならなかったら読まなかったかもしれないが、女王様の失踪をからめ、ページを捲る手が止まらなかった。
主人公の心のひだも、なかなかうまく書けていると思った。
Posted by ブクログ
第174回、直木賞の候補作。
泣けるようなお話かと思いきや、世の中の恋愛正当化にアンチした小説でした。
SMクラブのコールセンター で働くことになった28歳の女性が主人公。彼女は異性との恋愛はできるけど、触れ合うことが出来ない、性的欲求がないセクシャリティです。
世の中は様々な「何々セクシャル」で溢れていて、正しいのは何か、本当は自分はどれに該当するのか。愛情は大事にしたいのに、相手に愛を与えたいのにそれが出来ないもどかしさ。周囲の理解を得られない悲しさ。
そんな中で、性をビジネスの一環として働く周囲には、少し感情がズレている女王様や、お客様の存在があります。個性的な登場人物たちと、SMクラブというあまり聞きなれない職場、主人公の危なっかしい行動とセクシャリティとどのように向き合って生きていくべきか暗澹たる日々。
恋愛はこのように進めていくべきという世間の暗黙な常識を蹴り倒すような、力強い小説でした。
Posted by ブクログ
ことしもブクともさん、お世話になりました!
ありがとうございます♡
こちらのお話は、
不動産業を辞めて、何も詳細知らず応募した先は、マッサージサロンの電話番。
いきなり失踪する女王さまがいたり、この仕事でいいのかな、と友人との価値観に戸惑ったり、
今まで見たことない世界でした!
Posted by ブクログ
セックス出来ない主人公が働くデリバリー風俗のお店の電話番。面白い設定で本人の未来への暗い展望と一押しの女王様の行方不明の探索、ミステリーポイ所も楽しく一気読み。
Posted by ブクログ
スーパーセックスワールド‥って何それ?まずそのパワーワードに当惑する。
なぜ彼女が不動産会社を辞めて、女王様の電話番になったのかは明かされないままに物語は進む。姿を消した美織女王様を、好きだからと言う理由だけで探し始める彼女。彼女が美織を追うミステリーでもある。
彼女が探しているのは彼女自身でもある。自らをアセクシャルと自認するところから始まる、彼女の自分探しである。解答例もお手本もない孤独を、誰かに何とかしてもらうのは、確かに難しいことだ。他人事ではなくそう思う。でも結局のところ正解は誰も持っていないのかもしれない。
彼女はアセクシャルかもしれないが、人が好き。周りにいる人たちのことも、ほとんど善意でとらえている。それは彼女の生きる力となるはず。
美織さんの方が理解できないかな‥美織さんはそのままで生きてゆけると思うけれど。
Posted by ブクログ
難しかった。ハラスメントと一緒でいろんなセクションに名前がついていて自分が当たり前?と思って話してたことが相手を傷つけてることもあるんだなーと思った。誰もが皆それぞれの天国を持っているそう思える方が幸せだと感じた。
Posted by ブクログ
不動産会社を辞め、女王様のマッサージ店の電話受付を始めた志川。ごはんに行く約束をした女王・美織が無断欠勤し、仕事に来なくなった。美織の行方を追うが…
色々な人との付き合い方が書かれています。結婚していることを隠してW不倫している友人。彼氏が元カノと会うのが許せない友人。元風俗で働いていた友人。嬢を派遣してもらう老人。そして志川自身は…。
直木賞の候補作で、『女王様』というキーワードなので、もう少しドロッと性的なものを想像して読み始めたものの、性的な表現はなく、とても読みやすい。これから恋愛をする世代向けです。
人間そんなものだ、とおばちゃんの私は思うのですが、志川は人を疑いません。
小説の主人公は賢く冷静な人物像が多い中、この志川の駆け引きのない一直線な考え方と行動は、若くて新鮮だなぁ、と思います。
LGBTQについては、「そういうものなのね」と考えるようにしているので、私自身あまり心が動かされなかった。それよりも志川が美織の行方を追う時点から、それはやっちゃあかんやろ、と思うことが続出して、志川の行動と重要な主題のアンバランスさが気になりました。
でも爽やかに読み終わりました。
Posted by ブクログ
小説すばる新人賞の『ラメルノエリキサ』を本棚登録したまま放置していたら、いつのまにか最新作が直木賞候補になっていたので読んでみたもの。
なかなかどうして面白い。終盤戦で美織さんは実は”とっても悪い人”なんじゃないかと思わせるところ(彼女宛の遺書が出てきたところ)があってこれがオチだったかと思いましたが、結局、そういうことではなくて(そうかもしれないけれど)、天然だったことにホッとしました。
『ラメルノエリキサ』を読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
何が「普通」で、何が「普通じゃない」のか。
どうして「好き」の先には、
いつも身体の関係がある前提で語られてしまうのだろう。
『女王様の電話番』渡辺 優
「多様性」という言葉を、
最近は本当によく耳にするようになった。
朝井リョウさんの『正欲』を読んだときと同じで、
分かったつもりになっていただけで、
自分は何ひとつ噛み砕けていなかったのだと、
この物語を読んで思い知らされた。
✧
主人公の志川は、アラサーの女性。
世の中では、結婚や出産を
意識し始めるのが「当たり前」とされる年齢だ。
けれど彼女は、自分がアセクシャルであることを
静かに受け止めながら生きている。
風俗店で電話番のアルバイトをする志川は、
推しの女王様・美織さんと食事の約束をする。
ところが、ある日その美織さんが忽然と姿を消してしまう。
彼女の行方を追う中で、
志川は過去の記憶と向き合いながら、
あらためて「性」や「関係性」について
考えざるを得なくなる。
✧
「私はそういうのに全く偏見ないから大丈夫」
この言葉を、何度聞いてきただろう。
多様性が語られるようになってから、
理解者のつもりで、うなずく人は増えた。
でももし、志川と星先輩のような関係を
すぐ隣で目にしたとき、
同じ言葉が出るだろうか。
人は結局、
何かしらの型に当てはめて安心したがる生き物で、
そこから外れた瞬間、
簡単にマイノリティになってしまう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
ファミリー向けの間取りに納まることを想定された
無数の人生のひとつに納まり、
誰かと一緒にあの部屋灯りのひとつを
灯すことを望んだ。
でも私は、ただ一人で天井を見ていた。
私には誰もいなかった。(P230)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
美織さんの失踪の謎と、
志川自身が向き合う「性」の問題。
正直、この二つは
別々の物語でも成立したかもしれない。
それでも、迷いながら、もがきながら、
自分の居場所を探している今の時代の人には、
他人事だとは言い切れない人も多いはず。
自分は「分かっている側」だと思っていた人ほど、
立ち止まってしまう一冊です。
Posted by ブクログ
この世界はスーパーセックスワールドなのに性行為ができない主人公。
面白かった。
けど直木賞には弱いかも知れない。登場人物の描写がどうも薄く感じてしまった。
自分自身がLGBT当事者でそこそこ詳しいのでスッと入れたけど、知識がないヘテロの人が読んだら横文字に苦戦して没頭できなそう。どうなんだろ。
他の読者さんの感想を聞いてて違うんだよなぁと思ったのは、説明が圧倒的に足りないのかと。
アセクシャルもLGBTQの【Q】である。
登場人物の会話がアセクやノンセクはLGBTQじゃないと思わせてしまう気がした。実際にそこは複雑なのだけど。
あとSMクラブではなく、【SMの女王様のコスプレをした女性に性感マッサージをしてもらうデリバリーヘルス】なんだよね。
そんな違いどうでもいいようでわりと大事。
ストーリーに関しては志川さんに終始イライラ。
世間知らずで性行為以外には困らず生きてきたんだろうなぁと。それはとても良いことなのだけど。
両親とも仲良く、特に進学にも悩まず、多分お金にも困らず人生を送ってきている感じ。
新宿で風俗嬢なんてホストに貢ぐために若い子がやるイメージだろうけど、実は生活費を稼ぐ主婦とか学費を稼ぐ学生が多いんだよね。
その辺はうまく書かれているなとは思いました。
他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
わかったような、わからないような。
最後に、お店がなくなったのは終わりとしては良かったと思う。
何を語りたかったのか……愛について、セクシャリティについて、あまりピンとこないけど、この辺りだろうか。
主人公が美織さんと同じ名前だったことは、美織さんに対する執着に関係はなかったのだろうか……。
Posted by ブクログ
自分は25歳男性。
この主人公と同じような境遇。
恋愛対象は異性だが、性行為をしたいと思わない。
昔から自分は男性ホルモンが平均より少なく、性的欲求が低い。
だから、好きな人ができても彼女ができても性行為をしたいと思えない。
罰ゲームという感覚だ。
でも、人に話すと今まで経験がないからそう感じるだけでただビビっているだけだという人もいる。
自分でもそうなのかなと少し思う。
子供は欲しい。生殖行為のためなら性行為をせざるを得ないとは思う。そう思えるなら別に性行為できるのではとも思う。
結局、したことない話だから物語にもならない。
最近の多様性という言葉はネガティブな意味を持っている気がする。「今は多様性の時代だから」と言っている人はその相手に対して一線を画すために言っている。
白か黒か、あるかないか、そうかそうじゃないか、それかそれ以外か、多様性というものは本来その間の曖昧な部分のことなのに自分とは違う反対のものを指す言葉で使われている。
自分も主人公同様、自分の性的指向についてネットで調べる。でも、そこにピッタリと自分に当てはまる性的指向はない。
そもそも人それぞれの感情、感覚を区分けすることなんてできるわけない。いくらでもグレー(曖昧)な部分は存在する。
人には人それぞれの地獄が存在するように。
だからこそ、相手のことを思いやって相手を理解しようとする姿勢が必要になる。
Posted by ブクログ
直木賞候補作のようで、読書メーター読みたい本ランキング1位とあり読んでみました。
ある女王様がいなくなり、その真相が気になってページをめくる手が止まりませんでした。
アセクという言葉も初めて知りました。
自分自身のことですら、理解できない。
それでも『わからなさ』をあるがままに受け入れること。
ほんとに、その通りで自分自身のことなのに何でわからないんだろう。何がしたいんだろう。と思うことが今までにたくさんありました。いや、今でもそんなことあるかも…。
ましてや他人にもわからないし。
普通って何?普通じゃないって何?とか。
考え出したらキリないから、何となくこんなもん、きっと誰も(誰かも)似たようなこと考えてるよねと思うことにしてます。