渡辺優のレビュー一覧
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自分は他の人と違って特別で、神秘的で無垢な女の子なのだと思っている女の子の話。
彩という「相棒」をもつ11歳の亜耶。
自分は他の人と違って特別だ、と思っていた時期には、私にも身に覚えがあって。
いつそれを卒業したっけな、と思い返した。
特別、神秘的、無垢、他の人と違う、って本当に素敵な響きだ。魅惑的。
そんな魅惑にばかりとらわれていて、
「普通」ってつまらない、と思っていたあの時期。
だけど本当は、普通が1番特別で尊くて輝いている。
普通でいることのほうが稀有で難しい。
ずっと特別だと思っていたものは、実は何の変哲のないものだった。
そう実感するようになることが、大人になっている証なのかな。 -
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ネタバレ
それぞれの感想をすこし....
*加藤シゲアキさん
シゲアキさんらしく、のめり込みやすく、読みやすい短編。
これで小説1本書いて欲しい、メキシコに行ったあとの条介の話も読みたいと思った。
*阿川せんりさん
タイトルの わたしの嫌いなセカイ をまさに感じてしまった。
短篇の終わる頃には千春にイライラしかしなかった。
先生も含め、人の気持ちを考えられない人しか出てこなくて理解しがたかった。
結愛ちゃんがむしろ先生の言う同類(?)なんじゃないかな。その言い方も嫌だけど......
ほかの阿川せんりさんの小説を読んで、私にとっての阿川せんりさんの本はどうなのか.....を知りたい。
*渡辺優さん
ロボットSF系のストーリーはあまり読んだことがなかったけれど、とても面白かった。
いつかこういう未来になるのかな..AIが人に勝てるのか。とか今多くやっているけれど、こんな風に平和に共存できる未来がくるといいなぁ.....
その時はストーリーに従って過激派もいそうだけど..
*小嶋陽太郎さん
独特の空気感。でもどこからほっとする。
とても良かった。
どこか私の知らないところで本当に生きていそうなストーリー。
*奥田亜希子さん
佳緒さん大丈夫...?終始そう思わざるをえないストーリーだった。
哲人さんと幸せになれますように..
*住野よるさん
独特な世界観。
でも嫌いじゃない。幸せって人それぞれだよねって、桃の偽物と言われている生活、羨ましいなぁと感じた
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Posted by ブクログ
ネタバレ地球温暖化など様々なリスクを回避するため、プロジェクトとして岩手県沿岸の海上にコロニーという名の町を作った。通称「楽園」。発足して7年。殺人や傷害など7つの項目で件数はゼロ状態だった。しかし、ナツオの友人・ミサキが自分の目の前で海に自ら飛び込んだ。でも楽園を管理するセントラルは、これを否定し、事故死として処理された。何故?
ナツオは死の真相を探るため、彼女の生前の行動を調査することに。次々と分かってくる空白の時間。そこにはクラゲがキーワードとなって明らかになっていきます。
一方、楽園では新種のクラゲが発生。毒で人を殺すという。ジワジワと楽園に襲いかかってくるクラゲや悪天候。
「楽園」としての理想が段々と剥がれていきます。
海上に「町」ができるという近未来的な話でしたが、現実の未来でもありそうな話で面白かったです。「楽園」としての理想と現実や本土との格差、二つの陸と海で見えてくるメリット・デメリット。同じ日本なのに住む所が違うことで生まれる比較に人間の欲望や嫉妬などが渦巻いていて、共存することの難しさを感じました。
また、人間が手を施すことで自然界のバランスが崩れていく現実に考えさせる場面がありました。
この作品のキーワードとなっているクラゲ。クラゲの描写が時に美しく、時に残酷に、時に幻想的に描かれていて、クラゲの様々な一面を味わえました。
登場人物に着目すると、主人公のナツオは最初は辿々しかった雰囲気だったのに終わる時には、芯のしっかりした青年に成長していくので、心の変化も楽しめました。
一応、ミサキの死の真相は分かったのですが、それ以外の「楽園」の今後の事などがわからないまま終わったので、モヤモヤ感満載でした。「え?ここで終わり?」とつい思ってしまいました。果たしてプロジェクトは継続するのか?ついつい続きが気になってしまいました。 -
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真っ先に抱いた感想は「メンヘラっぽい」。
この短編集の登場人物たちも、作者も、この本を気に入る読者たちも。
これは馬鹿にしているわけではない。
人間の心を描写する必要のある小説というものにおいて、「メンヘラ」というのはとても現代らしい扱うべき対象だと思う。
「メンヘラ」というネットスラングは最近では大分世間にもなじんできたと思うが、はっきりと説明するのは難しい。
一言でいえば「心の健康を損なっている人」を指すが、多くの場合、その病状が著しく重い人は含まれない。
希死念慮が中途半端に強いものの実行には移さない、いわゆる「かまってちゃん」のような人を揶揄する意味合いを含めて呼称することが多い。
ただ、重度にしろ軽度にしろ心が健康でないのは明らかで、現代の日本にはそういう人たちが一定数いる。
男女は問わないが、若者に多いイメージ。
彼らにとって、この短編集は少しの救いになるかもしれない。
メンヘラがメンヘラなりに納得できる一歩を踏み出した作品が揃っていて、過度な期待を持たせるような現実離れしたハッピーエンドではなくて、妥協点を見せてくれる。
もしかすると、自分を客観視するきっかけにもなるかもしれない。
「ラスト・デイ」
「さて、私は死にたい。」の一文から始まる本作の主人公は、強い希死念慮を抱いているものの、「一度しか死ねないからもったいない」とのたまう。
そんな主人公が、精神病院の退院日を最後の日と決めた。
自分の不安定な精神のせいで周囲の人間を振り回すわかりやすいメンヘラなのだが、終盤にかけて真意が見えてくると、清々しい物語に変わるのが面白い。
「ロボット・アーム」
不運な事故から右手が義手となった主人公は、力への憧れを刺激されて、その欲望がエスカレートしていく。
力を望むこと、力を手に入れること、その力を行使できることのそれぞれの間には大きな隔たりがあるな。
「夏の眠り」
主人公は幼馴染との出来事がトラウマになっていて、その記憶から逃れるために明晰夢を見ようとする。
悩みは人それぞれだとは思うが、悩み込みすぎておかしな方向にいってしまうのも病みがちな人の特徴か。
「彼女の中の絵」
絵の技術はあるのに絵を創造するセンスはないと悩む主人公のもとに、夢の中で見た絵を探しているという女性が現れ、主人公はその絵を再現することにする。
人それぞれにできることとできないことがあり、協力し合うという正しい人間の営みを見た。
この短編集の中で一番気に入った。
「虫の眠り」
学校でいじめられていた少女が、同級生をボールペンで刺す事件が起こった。
しかし、刺されたのはいじめの主犯格の生徒ではなく、いじめ被害者の少女に寄り添っていた生徒だった……。
「藪の中」のようでもありつつ、「人は自分が見たいように物事を見る」ということによりフォーカスした作品。
おもしろかったが、本当に病んでしまった人間は怖いなという感想が上回ってしまった。
「サメの話」
自分自身のコントロールもままならず、ぐちゃぐちゃな人生を歩みながらも、「サメを飼うこと」だけを目標に生きている主人公の物語。
強烈な欲望があっても、人生それだけではない、というか、環境が変われば望むものも変わる……。
「水槽を出たサメ」
サメ視点で語られる「サメの話」の後編。
「サメの話」の物語としてはすこし蛇足だったようにも感じるが、この短編集全体の総括のような位置づけでもあるので、不要とまでは言えないか。 -
Posted by ブクログ
行きたくない、そんなときが誰にでも。
立ち止まっていることに対して、マイナスのイメージがあるのはなぜだろう。「行きたくない」けれど、別にここにいたいとか、ここが好きとかではない。明確にことばにできないけれど、「行きたくない」ときがある。逃避と言われても、目をそらしていたいことがある。各短編の登場人物それぞれに、「行きたくない」理由がある。結末は、前向きに立ち止まるようなものが多い。進んではいないけれど、進んでいるような。決して、読後が暗い作品ではない。
渡辺優「ピンポンツリースポンジ」将来、もっとロボットが発展したら、なんとなく理由はないけれど行きたくないと言い出すロボットが出て来るかもしれない。そんな、ロボットに親しみがわく未来を想像しつつ。どうしてもロボットに感情移入してしまう人の話でもある。