渡辺優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの世はスーパーセックスワールドである、という衝撃的な文章で始まる。
そのとおりである。
好きという感情、おつきあいという過程、その先には性行為があり、結婚したら、レスであれば離婚理由にもなり得る。
自分はメジャーだと思っているので、そのような世界が普通だと生きてきたけど、そうではない世界もあり、そうではない世界で生きてきた人たちにとっては、スーパーセックスワールド自体がその人たちの存在を否定してしまう。
主人公はアセクシャルに分類されると自分では思っているけども、誰とも性行為ができないという悪魔の証明を世の中に求められている。証明できなければ、それは嘘なんでしょうと。
そんな不毛な世界、嫌 -
Posted by ブクログ
割り切れぬ「モヤモヤ」の奥に宿る、圧倒的な誠実さ
=====
渡辺優『女王様の電話番』は、一人称の語りを通じて人間の内面を深く掘り下げていく、非常に誠実な小説だった。だからといって読者に心地よい共感をさせてくれるような、分かりやすい作品ではない。
むしろ読み進めるほどに主人公の行動には納得がいかない場面が多く、戸惑いを覚えることも少なくない。
風俗店の客と簡単に会ってしまったり、亡くなった客の家に忍び込んだりと、その倫理観や行動原理には多くの疑問符が浮かんでしまう。
特に、吉野ちゃんとのダイニングでの会話は、率直にいって品を欠いている印象が否めず、読んでいてとても困惑した。
そうした違和感を抱 -
Posted by ブクログ
「いきたくない」
そう思っちゃダメなのかな。
自分は不出来なのかな。
そんな気持ちがなんだか浄化された1冊。
ピンポンツリースポンジ。ロボットと心。対極にあるものだと思ってたけど、実は違うのかも。ロボットが抱く気持ち。ほんとはあるのかも、と思うと、不思議な感覚となんだか心があったかくなる感じがした。
シャイセ。日常の少しずつのストレスは、まわりの人が包んでくれる感覚で緩和されてて、その感覚がなくなった瞬間、耐えられなくなる感じ。すごーく沁みる。「いきたくない」って当然だよ、のシャイセの言葉に救われた。
週末のアクアリウム。普通と普通じゃないの、境目。平常心と狂気の境目。人って、絶妙なバラ -
Posted by ブクログ
渡辺さんの小説を読んでいると、ああ、俺今小説を読んでいる!という気分になる。なんか、これこそが小説だよな!という気分になる。これ、ちゃんと褒め言葉になってますかね?どうやったらこんな設定が思い浮かぶのか?作家さんの頭の中はどうなっているのか、本当に不思議な気持ちになってしまう。この人にはジャンル分けなんて関係ないんでしょうね。
悪い姉に支配された世界からの脱出=生まれたときからの憧れだった姉からの精神的な自立、な物語。いわゆるストレートな親殺しのテーマなのだと思った。日常生活の中で麻友ちゃんの脳内で沸き起こる煩悶や苦悩や一喜一憂が軽快なリズムと言葉でひたすらに語られ続ける。いったいこれは何なん -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。
ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。
ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。
僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
*****
6人の著者による、「行きたくない」をテーマにした短篇集。「とりあえず気楽に暇つぶし程度に読めそうだな」と手にとったのだけれど、そんな安易な気持ちはいい意味で裏切られた。
●加藤シゲアキ「ポケット」
アイドル・グループ「NEWS」のメ -
Posted by ブクログ
新興宗教のプロモーションのために絶海の孤島に集まった運営と参加者。そこで繰り広げられる連続殺人。これは相当面白い。それぞれが持つ信念や信仰、思惑が絡み合い、不可解な状況はさらに折り重なっていく。次第に狭まっていく犯人の選択肢。正直、過去何作かを読んだ著者からして、ここまで正統派なミステリーを予想していなかった。もっと天の邪鬼な、ひねくれた物語を予想していた。その一点をして、少し拍子抜けしてしまった感はある。しかし普通にミステリーとして十分に面白かった。最初の登場人物紹介の連鎖はとても映像的で上手かった。
しかし連続殺人ミステリーっていうのは、納得できる動機の創造が最高に難しいんだろうなあ。とい -
Posted by ブクログ
直木賞候補作
星4.5
主人公は大手不動産会社の社員だったものの、好きな人から性的な振る舞いをされただけで、それが受け入れられず、会社を退職してしまった志川。
自分は、性を受け入れられない、「アセクシャル」ではないかと思い始める。
生活のため始めたのは、デリバリーヘルスで、女王様を派遣する電話番の仕事。
そこで、憧れの50歳の女王様(なぜか私の頭の中では鈴木保奈美)と知り合うのだが、女王様が失踪してしまい、禁じ手の捜索をするという物語。
アセクシャルという言葉について、主人公も周りの人たちも、Wikipediaなどで調べたりするのだが、確かな定義は分からない。そもそも、LGBTQにしたっ -
Posted by ブクログ
表紙とあらすじで気になり購入。
突然喋るカラスが現れて、そのカラスの目的とは?ってお話なんですけど、部外者って言葉たくさん出てくるんですけど、本当に、人間ってそうだよなって。
誰かの事を信じるってことは、その誰かが自由に考えたり感じたり行動する能力があるってことを否定してる。他人を信用しないっていうのは、他人の人格を認めることだ。
俺は自分の意志を持った自由な人間だから、嫌いになったら縁を切る。
そういう考えもあるのか!と思いました。
2つ目の文章はわたしも通ずる所があり、とても共感しました。
誰かに寄りかかって責任やら全てを崇拝、目標とすることはいい時もあるけど、される側は重責と -
Posted by ブクログ
2025年版 そして誰もいなくなった… 怪しい新興宗教の孤島ツアーで起こる惨劇 #月蝕島の信者たち
■あらすじ
かつて電子商取引の犯罪歴がある後藤望、彼は友人の天羽七希、金子千香と共に新興宗教を立ち上げた。彼らは礼拝施設を建設するためにクラウドファンディングを企画し、信者たちを月蝕島に招待する。翌日、信者のひとりが死体となって発見、なんと首が切り取られていたのだ…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい! スタンダードな孤島ものクローズドサークル。
追い込まれていく登場人物の描写や、男女や仲間同士の絆など、本家『そして誰もいなくなった』に近いですね。シンプルながらも丁寧なプロット、しっか