あらすじ
後藤は大学サークルの女友達・金子とネットで活動する新興宗教BFHを立ち上げ、大バズりした。礼拝施設を建設するためのクラファンツアーを実施し、岩手の無人島・月蝕島に重課金信者を集める。上陸翌日、信者のYouTuberが首なし死体となって殺され、その後も次々と信者が殺されていく。犯人はいったい誰なのか? 船は3日後まで来ない。極限状態で信じるべき神の存在とは? そして最後は、誰も――。『私雨邸の殺人に関する各人の視点』で話題となった探偵不在のクローズドサークル・ミステリー、再び!
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Posted by ブクログ
新興宗教と孤島の掛け合わせにテンション上がりつつ読んでいたら序盤で大勢の死が示唆されてクローズドサークル開幕!期待が高まる。金持ちの親戚がいる大学生がいなくても、ファンタジー要素入れなくても孤島クローズドサークルってできるんだ、と感動した。
トリックもロジックも綱渡り部分があって緩めだけどしっかり作られてて、まさかそれが伏線ってところもあって面白かった。ミステリ部分も盛り盛りで好きだけど、自分の変化を嗤うような犯人の独白が刺さった。登場人物の描き方が好きなので、またこの著者の作品を読んでみたい。
Posted by ブクログ
2025年版 そして誰もいなくなった… 怪しい新興宗教の孤島ツアーで起こる惨劇 #月蝕島の信者たち
■あらすじ
かつて電子商取引の犯罪歴がある後藤望、彼は友人の天羽七希、金子千香と共に新興宗教を立ち上げた。彼らは礼拝施設を建設するためにクラウドファンディングを企画し、信者たちを月蝕島に招待する。翌日、信者のひとりが死体となって発見、なんと首が切り取られていたのだ…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい! スタンダードな孤島ものクローズドサークル。
追い込まれていく登場人物の描写や、男女や仲間同士の絆など、本家『そして誰もいなくなった』に近いですね。シンプルながらも丁寧なプロット、しっかりとした筆致で書かれた作品で読んでて安心。
またクローズドサークルの面白味を分かりやすく書いてくれてるので、普段本格ミステリーを読まない人におすすめしたいです。
まずキャラクターがいいすね~、ひとりひとりの背景が大変分かりやすい。新興宗教の運営側は、いかにも怪しい奴らで、思想や考え方もそれっぽい。対して信者側も動画配信者、モデル、会社員、主婦など。こんな宗教にお金を出すという残念な人たちばかり。見るからにひと悶着ありそうな面々で、読む側としては期待しちゃう。
特に推したいのは、葛西ミアですね。いい役どころで、ずっーと目が離せない。計算なのか、天然なのか、真面目なのか、狂ってるのか、はたして何者なのか気になってしょうがないよ。
また本家同様、スリラー感もしっかりあります。徐々に死体が増え、当然犯人も限定されていく。連絡も取れず助けもこない、果たしてどうなってしまうのか… 久しぶりに手に汗を握ってしまいましたね。
本作「そして誰もいなくなった」のオマージュと分かるようなタイトルのほうが売れたんじゃないかなー。そのくらい読み味が近いですし、PRもしやすいんじゃないかと。
あと人物が多いので人物表は絶対入れたほうが良いです。これから読む人のために、ご参考までに書いておきます。
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■人物表
後藤望 :新興宗教BFH 運営
天羽七希:新興宗教BFH 教祖
金子千香:新興宗教BFH 運営
新堂譲司:新興宗教BFH 医師・投資家
塙 悠一:信者 配信者
葛西ミア:信者 アルバイト
桃木円華:信者 モデル
不破 翔:信者 学生
増田友恵:信者 主婦
野々村圭吾:信者 会社員
田中 :信者 ?
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著者が以前書かれた『私雨邸の殺人に関する各人の視点』も好きでしたが、本作はまっすぐミステリーでさらに好感が持てました。ゴリゴリの本格謎解きが展開されるわけではありませんが、真相はかなり強烈で読み応えがありましたよ。
今後の作品にも期待しております~、ぜひもっと本格ミステリーを書いてくれると嬉しいですっ
■ぜっさん推しポイント
犯行のきっかけと動機が現代的でしたね、ラストはしんどかったなぁ。あまり詳しくかけないので、ぜひ読んでみてほしい。
勝とうと思いすぎない、正解を出そうとし過ぎない、結論を出そうとし過ぎない。
どんなことでも逃げる姿勢は良くないんだけど、ただ真面目すぎるってのも良くなんだよね。人間って機械じゃないし、だからこそ心の寄り処として、宗教ってのがあると思うんだ。