風野真知雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私の大好きな作家、風野真知雄。
この時代小説は、面白いだけじゃない。
室町幕府末期、唯一剣を極めることにだけ、人生を捧げた人物である。
物語はすでに60代半ばを過ぎ70歳に手が届きそうな剣豪の日常を淡々と物語る。
一度は領地を持つ殿様として過ごすも、全てを手放し剣の修行の旅を続ける。日本各地には彼を師匠と仰ぐ人物が何人も存在し、旅をしては弟子の住まいを尋ね、稽古をする。
まだ日本の国は統一なされず、軍割拠の状態。
まだまだ剣の腕は売り物にもなった時代だ。
この物語は、実は大きな主題は他にあり、
強いということは?生きること、死ぬこと。
常に自分の今を把握し、剣も戦い方も変えていた卜伝。
それは自分の今を知るという、実は難しいことを目を背けずに考え続けた人物だからこそ。
足捌きは、動きは胆力は?と自分を見つめ工夫を常の重ねる。何が必要で何が不必要か?
戦いは本当に必要なのか?
できれば、戦わない、できれば殺さない。
逃げることも厭わない。
決して見えとか体裁とか功名とかに惑わされない。
老いて死す。人も生き物も全て同じ。
自然でさえ、彼は学ぶ。
中高年齢に差し掛かった人にこそ、読んで欲しい。
なんとも平和で心穏やかにさせてくれる良書。 -
購入済み
倅の仁吾が負傷して…
…親父の桃太郎が一時現役復帰。
さて、「一時」とはいつまでだろうか?
こりゃ次のシリーズも読まねばなるまい。
それに、現役目付で爺様というのも、面白そうだ。 県警副本部長と孫、といったところか。 -
ネタバレ 購入済み
さて……
合間合間のエピソードが、まるで落語の人情話地味たのが多くて、ちょっと笑ってしまったりしたのだが、メインストーリーはだんだん佳境に近付いてきた。
さて、大砲までおでましとは、確かに気違い地味ている。どんな風にケリがつくのか、以下、次巻。 -
Posted by ブクログ
安定の面白さ。娯楽時代劇。
加えて小説の中に描かれる人の機微や、政治の本質に触れる何気ないフレーズが、風野氏の持ち味。
”お上に不満のあるものがいてはならないというのは、為政者の傲慢だ“という一文にハッとさせられる。政治家や管理職の立場にとって大切な視点だと思う。また、個人に引き据えても、自分のやっていることに、反対するもの、不満を持つものが居ることにイラついたり、傷ついたり、凹んだりするのは、自分の傲慢さなのかもしれないと気づかされる。他人から、受け入れられないことを、受け入れられないことは、自分は他人から受け入れられなくてはならないと言う傲慢さなのだろう。こうした偏屈さ、傲慢さを手放してこそ、自分と異なるものを受け入れて真に多様性を受け入れられる人間になれるのだろうと思う。
凹みがちな自分は、凹むのも傲慢の裏返しと言うことを心に留めて、多様性を受け入れられる度量のある人として成熟したいものである。 -
購入済み
さてもさても…
本シリーズを読み始めたのは59、主人公・愛坂桃太郎がヒロイン・桃子(0才)と出会った歳と同じ。ゆっくり読み進めていたので、今巻を読んだ時点で小生は61才なのだ。
だが、まだ隠居してはいない。現役で、末っ子を養っていたりする。孫はいない。
そんな小生だが、最近、桃太郎が桃子ちゃんを生活の中心に据えて生きている様に、納得し始めている。まぁ、幼少時から赤子をかまうのが好きな、根っからの子供好きなので、要するに子供が出て来るハナシは以前から好きだったのだが、「孫」が格別という感覚はまだ無かったのだ。
だが、自分の子供達が全員まだ独身とは云え、今は孫の顔が見たくてしょうが無い。
老人が赤ん坊をやたらと可愛がるのは、老化の一環として、脳細胞が壊れる際に生ずる快感物質の影響だという説を、どこかで読んだ。
どうやら小生も、いよいよ老人と成り果てつつある様なのだ。
さて、それはさて置き、前巻から登場の拷問師・啓蔵。長屋の住人だが、なかなか味のある人物である。桃太郎が大きな事件を解決する際に、重要な役回りを演じそうだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ時代小説を読みはじめた頃、知ったのがこの風野真知雄さん。かぜのまちおと、読む。戯作者になりたかった、、という作家だ。
そういうだけに、作風には面白みが必ず盛り込まれていて、ふっと笑ってしまったり、ホロリとしたりで、読んでいて心地いい作風。
かなりの多作で、シリーズ物も数多い。
このシリーズは、元目付の愛坂桃太郎という隠居が主人公。
芸者が息子に赤ん坊を連れて怒鳴り込んだことから、隠し子が判明。うち孫は男ばかり。初めての女の孫の可愛らしさに打ちのめされた桃太郎は、この可愛い女孫の安寧を守ろうと人肌脱ぐ。それが『わるじい秘剣帖シリーズ』それに続くのが『わるじい慈剣帖シリーズ』
4話があって、今回も面白い謎解きの事件。
この作家、文章と描写がいい。
目線が温かい!情が細やかで、背景になる驚くほどの知識の量が窺える。
是非一度はこの作家さんにハマって欲しい。