細谷功のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「まずい、このままでは…」
本書を読み進めるうちに、私は焦り、思わずそう呟いていた。
年齢を重ねるごとに、私たちは「陳腐化したストック」の中で生きる時間が長くなっていく。学び、経験を重ね、知識を増やせば増やすほど、それらは“正しさ”の名のもとに積み重なり、やがて私たちの視野を狭めてしまう。もちろん、知識は武器であり、ストックの世界で生きることは、決して悪いことではない。むしろ、論理的で素早い判断力を身につけ、知的な成果を出せるようになる点で、現代社会では大いに求められる能力だ。
だが一方で、そうした「ストック思考」が私たちから確実に奪っているものがある。
それは“新鮮さ”だ。
たとえば人と出会ったとき、私たちは無意識にストックに基づいたフィルターで相手を見てはいないだろうか。
「優しい人は断るのが苦手」、「金髪でサングラスをかけた若者は無愛想」…。こうした“あるある”は、確かに一定の確率で当たることもある。その話を共通認識として他者と共有できれば、共感や安心感を得られる場面もあるだろう。けれどもそのたびに、私たちは目の前の“その人”を、たったひとりの存在として見ることを忘れてしまっているのではいないか?
細谷氏が提唱する「フローとしての具体」という視点は、まさにこの問いかけに光を与える。
本来、人間は子どものころ、誰もがフロー感覚の中で世界を生きていた。「なぜ?」「どうして?」と目の前の現象に純粋な驚きを持ち、全身で世界を感じていたはずだ。そこには知識による枠組みやパターンはなく、ただ目の前で起きていることを“ありのまま”に見る姿勢があった。
この「フロー感覚」を持ち続けることが、いかに難しく、同時にいかに大切か。
私自身、この一年を振り返って、何度このフロー体験を味わっただろうかと思いを馳せた。
目の前の出来事に、知識ではなく感情で反応できた瞬間。誰かの言葉に対し、論理ではなく直感で共鳴できた瞬間。そんな時間こそが、私にとって心が動く、生きている実感のある時間だったのだと思う。
本書の中で「フロー感覚を持てる人は少数派」と述べられている。だからこそ、それを自分の中に灯しておける人は希少であり、価値ある存在なのだと感じた。
知識や経験というストックに支えられつつも、目の前の人や出来事を過去の枠組みに当てはめることなく“今この瞬間の出来事”として受け取る。それはまさに、新鮮な共感を交わせるコミュニケーションのあり方であり、その人ならではの若々しさを維持することに繋がると思う。
フロー状態とは究極的には、「他者の目」からも解放されている状態と言えるのではないだろうか。
あなたの中にもきっとある、あなただけの“フロー感覚”。
それをぜひ、胸の中に留めず言葉にしてアウトプットしてみてほしい。うまく言おう、うまく書こうとしなくていい。ただ、感じたままを自分の言葉で述べること。そうすることで、「面白い」と感じる体験が、いつまでもあなたの心に残るはずだ。
私もこの読後感を、そのままに綴った。
これは、知識ではなく“私自身”のゆらめく感情そのものだ。
-
Posted by ブクログ
問題解決ではなく、「問題発見」。こちらの方が重要、そのためのツールが「Why」と問う思考である。
本書には、その思考習慣を磨くための情報が詰まっている。
具体的な活用法や定義などに紙幅の多くが割かれているため、驚きに満ちているとはいいがたい。
私のこの感想の最初の一文で主張はほぼ完結している。
『具体⇔抽象トレーニング』と『有と無』の2冊を読んでおけばこの内容は充分カバーできるだろう。
一点気になったのは、安宅さんの『ISSUEから始めよ』と同根でありながら、ISSUEの方では「WhyではなくWhatやHowが大事」と述べられているのに対し、本書では徹底的にWhyの方を推していることである。この違いはなんだろうか。
ISSUEから始めるためにも、当然火種としてWhyが必要なはずだ。
しかし、「なぜだ…なぜだ…」と思考が発展せず思い悩むのが良くない、ということをISSUEの方では言っているのだと私は理解している。
ファクトとしてのWhatやHowでパーツを集めたり、具体的なアクションに落とし込んだりすることで、課題への対応は実行動に移されていく。
しかし当然、問題解決にも問題発見にも、
「なぜそうなのか、本当なのか、他の方法無いのか、それは本当に必要なのか」というWhyの思考が欠かせない。
そういう意味で、抽象思考度が既にある程度の高さに達している人であればWhyから始めてWhatで結実させるのが早いのだろうし、
抽象思考では足を絡めとられてしまう段階の人であれば、
まずWhatで整理し、Whyで深め、またWhatやHowで行動に移す。
そしてそのPDCAを回すためにまたフィードバックを元にWhyを提起する。
こういった構造が有効と仮定できるだろう。
いずれにせよ、仕事や家事などWhatなタスクに忙殺されていてはWhy思考を引っ張り出す暇がない。しかしそのWhy思考こそが、今のタスクの贅肉を落として、必要なISSUEに絞り込むための武器でもある。
Why思考を常に装備しておくためにはトレーニング、習慣作りが必要で、そのために本書のエクササイズは有効だと思う。 -
Posted by ブクログ
前に研修でいただいて未読だった本。今度読もうと掘り出したところ、パラパラめくるうちに面白くて結局そのまま読み切ってしまった。
2020年初版。コロナ渦真っ只中に書かれたものなので今とは状況が少し違うが、今もVUCA(予測困難)の時代というのに変わりはない。それは新型コロナだとか地震のような天変地異よりもむしろ、情報や仕事のスピード・回転数が上がり続けていることによるものなのだと思う。このスピードが落ちることはもうそうそうないのだろう。
さて、本書に書かれている内容そのものでいうと、実際のところそこまで目新しいことはなかった。問題解決だけでなく問題発見型の思考「も」大切にしようという主張に基づいた解説。ただ、その根拠や手法に関する抽象化した語り口が抜群にわかりやすく、自分の知識と経験に関する経験学習サイクルをグイグイ回してくれる。
Whyの重要性は要はロジカルシンキング・ロジックツリーの話だし、問題発見とは変数を決定する行為だというのはKPIマネジメントの根底にある思想といえる。本書はそれについてあえて一言で終わらせず、平易な言葉できちんと腑に落ちる道筋を辿らせてくれる。
後半の方に論調としてある、問題(あるべき姿と現状のギャップ)のターゲットを、過去だけでなく未来に向けていくことには深く頷いた。目先のトラブル対応ではなくBPRや中期経営計画を目的とするなら、見据えるべきは最終的にどうなりたいのか、となる。そのギャップに潜む問題は何か。
また、ChatGPTがリリースされるより2年ほど前の出版だが、冒頭にあるAIの活用方向に関する話も今でも十分通用する内容だった。
うちの会社にも当てはまる、当てはめるべき話が多い本でした。敷居が低いので、皆にリコメンドしたい。 -
Posted by ブクログ
良書!!!!
具体:個別知識の深度が深まる。がそこに自由な選択肢がなくなる。
抽象:俯瞰的な視点で、様々に具体事例を鑑みて本構成、グループ化へと理解促進に繋げる。
⚫︎引用:同じ領域の情報量だけを圧倒的に積み上げるのは横の世界に置いて価値あること。しかし、縦の世界でより重要なのは、多様な領域での知識や情報を持っているかどうか。
自分用メモ:
・社会的関係、組織・グループ、人権等々は抽象的概念であり、皆が認知する共通理解の元で成り立っている。※頭では想像できているけど、上手く言葉にできない時に、頭のイメージを添付送信みたいに相手に伝われ!と思うが、ある種それが抽象を生かした伝達方法。
具体と抽象の認識が相手とズレていたら噛み合わない不毛の会話になる。お互いに立ち位置を同レベルにする必要がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった、文庫本ではあるがなるほどが沢山。
・始まり方が終わり方を決める
➡︎金で繋がった関係は金で終わったりする。
・インプットによる。
➡︎1ページのレポートをつくるのに、1ページ分しか読まないのと、100ページ文読んで1ページにまとめるのでは雲泥の差
・作用反作用の法則
➡︎部下からの報告がないのは、報告しづらい自分のせいもある。ダメ部下はダメ上司による
・人生もドップラー。
➡︎10歳から見ていた二十歳と40歳から見てる二十歳は全然違う
・侵食する、される
➡︎テレビがつまらないのは、わかりやすい流れに乗った。信号機はなくせない
・フラクタルは人にも。
➡︎中小企業の社長と大企業の社長も違う大変さがある
・メリットデメリット
➡︎有名人は有名になると顔を隠す。有識者はチャレンジできない
・成功の反対は何もしない。対立軸を折り曲げる
・パック旅行と自由旅行どっちが新発見あるか?
➡︎パックだと自分の想定外のところに行く。 -
Posted by ブクログ
---------------------------------------------------------------
asis→一度白紙に+問題点→モデル化→具体化(tobe)
ゼロベース、全体俯瞰、構造化
問題を解くのではなく、発見する
変数を最適化するのではなく、新たな変数を定義する
情報をかき集めるのではなく、少ない情報から仮説を立てる
完璧ではない生煮え状態から実験をする
"業界"という単位→デジタル化で崩れつつある。業界というフレームを超える抽象化能力が必要
言葉→抽象化能力の産物
物々交換→石、貝、貴金属→貨幣→電子マネー
抽象化の進化
鶏口牛後
大企業サラリーマン→牛後
個人事業主ー→鶏口
アーキテクトの価値
→構想そのものだけでなく、白紙のキャンバスに何かを書いてみようというリスクテイク、能動性
ITゼネコン
言われたものを完璧な作る
顧客要求を抽象化してなぜ?や経営上の効果は?は考えない。
開発工数が売り上げだから=個別カスタマイズ大歓迎
川下
ゲーム→アート 意匠性、希少性、非再現性、属人性
基幹システム→サイエンス
川上、アーキテクト→一人で考える、幸福の最大化を目的
川下、政治家、官僚→不幸の最小化、コンセプトが骨抜き
人物(具体)と役割(抽象)を分離して考える
思考=具体と中小の往復により知的成果を生み出すこと
手段と目的の往復
全体と部分の往復
非アーキテクトがすること
・まず情報をあつめる
・詳しそうな人を呼ぶ、聞いてみる
・専門家を集める
アーキテクトがすること
・仮説を立てる
フレームワーク
→埋め切るものではない。
→埋めるべきところの濃淡を俯瞰、判断するのに使う。全体感を抑える
戦略→何をやらないかを決めること
バイアスリセット→観察→構造抽出、CSF抽出→具体化
バイアスを産むもの
担当者、担当部署、業界、国・地域、前例、専門家、部門間連携、法律、慣習、忖度、規則
専門家→違いがわかる人.具体的
よそ者、わか者、ばか者はではない
バリューチェーン、経営資源、時間軸
経営資源=ヒトモノカネ情報
b2b商売=経営資源の代替
商品価値=機能的価値、情緒的価値、サービス価値
地上戦と空中戦