あらすじ
新型コロナ問題が象徴するような、何が起こるかわからないVUCAの時代を生きる人間に必要なのは、問題を発見する力。問題解決はもはやAIにまかせ、問題発見の思考回路を獲得しなければならない。
自分の頭で考えて、課題を見つけるにはどうするか?
「具体と抽象」「アナロジー思考」「メタ思考」などを平易に解説してきたコンサルタントによる、これからの時代の思考法の基本レッスン。
●「なぜ」をくりかえすことで次元が上がり問題発見になる
●具体的に教えてと言われたら抽象的に考えてみよう
●常識を疑え、多数派を疑え、経験はむしろ邪魔
●「常識にとらわれるな」という人が常識を覆せない
●「変える」ことに価値がある
●アイデアは「遠く」からパクってこよう
●コミュニケーション上の問題は「具体と抽象」のギャップから生まれる
●知識力+創造力で将来の問題を発見せよ
●認知の歪みがあることを常に意識せよ
●自分の頭で考えるとは「具体と抽象」を往復すること
●すべてのものを疑ってかかることを考える
●「こうなればもっとよくなるのに」と考える習慣をつける
●とにかく「なぜ?」と問い続けよう。「Why」は何度も繰り返せる
●「偏在」「ギャップ」を見つけるのが問題発見のコツ
●できるだけ「遠く」から、できるだけ「意外な領域」からパクれ
●それは具体なのか、抽象なのかという問いを常に持つ
●そもそも問題とは、ギャップであり歪みである
●「そんなの常識だ」と言う前にその理由を考える
●自分が見ている風景と他人が見ている風景のギャップを見る
●物事を一つ上の視点から、自分自身を上空から見てみよう
●見えない抽象観念に上がっていくのが「自分の頭で考える」ということ
●問題発見力は「鍛える」より「必要以上に殺さない」ほうが重要
●どんな子供も問題を見つける思考回路を(最初は)持っている
●会議中スマホを見る人、時間を守らない人を怒ってはいけない
●文句ばかり言っている人は意外に貴重
●「何か考えて提案して」と上司や顧客に言われたら上位目的を考える
●新しいビジネスの多くは「偏りの解決」がヒントとなる
など、VUCAの時代に人間力を高める考え方を指南する。
目次より
第1章 なぜ問題発見力が問われる時代になったのか
第2章 問題発見は常識を疑うことから始まる
第3章 問題発見とは新しい「変数」を考えること
第4章 「ギャップ」に問題発見のヒントあり
第5章 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える
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Posted by ブクログ
「文句をつける」という問題発見に対して「こうすればもっとよくなる」という問題発見は常にこのバイアスを意識して、「文句を言いたくなったときにそれをぐっと我慢してポジティブ側に変える」という思考の習慣を持つことで実現できます。
別の表現をすれば、「文句ばかり言っている人」というのはある意味「問題を見つける」ことのプロフェッショナルなわけで、これをポジティブに変えることで、さらに前向きで普通の人ができない問題発見ができるようになる。
Posted by ブクログ
前に研修でいただいて未読だった本。今度読もうと掘り出したところ、パラパラめくるうちに面白くて結局そのまま読み切ってしまった。
2020年初版。コロナ渦真っ只中に書かれたものなので今とは状況が少し違うが、今もVUCA(予測困難)の時代というのに変わりはない。それは新型コロナだとか地震のような天変地異よりもむしろ、情報や仕事のスピード・回転数が上がり続けていることによるものなのだと思う。このスピードが落ちることはもうそうそうないのだろう。
さて、本書に書かれている内容そのものでいうと、実際のところそこまで目新しいことはなかった。問題解決だけでなく問題発見型の思考「も」大切にしようという主張に基づいた解説。ただ、その根拠や手法に関する抽象化した語り口が抜群にわかりやすく、自分の知識と経験に関する経験学習サイクルをグイグイ回してくれる。
Whyの重要性は要はロジカルシンキング・ロジックツリーの話だし、問題発見とは変数を決定する行為だというのはKPIマネジメントの根底にある思想といえる。本書はそれについてあえて一言で終わらせず、平易な言葉できちんと腑に落ちる道筋を辿らせてくれる。
後半の方に論調としてある、問題(あるべき姿と現状のギャップ)のターゲットを、過去だけでなく未来に向けていくことには深く頷いた。目先のトラブル対応ではなくBPRや中期経営計画を目的とするなら、見据えるべきは最終的にどうなりたいのか、となる。そのギャップに潜む問題は何か。
また、ChatGPTがリリースされるより2年ほど前の出版だが、冒頭にあるAIの活用方向に関する話も今でも十分通用する内容だった。
うちの会社にも当てはまる、当てはめるべき話が多い本でした。敷居が低いので、皆にリコメンドしたい。
Posted by ブクログ
行動する際、常に抽象と具体を意識することで、より深く物事を理解できる。抽象的に見るためには、疑問から入ることが大事。
他にも、無知の無知を意識し、疑問に対して否定ではなく、自身には見えてない認識を意識し、疑問から入ろうという部分に特に感銘を受けた。
Posted by ブクログ
「常識を疑え」とよく聞きますが、正直ピンときていませんでした。
しかし、この本の中で、「常識」という言葉は「自分では正しいと以前から信じているが、実はその理由を説明できない」状況において発せられる言葉、とあり「なるほど!」と腹落ちしました。
また、問題を発見するには「具体と抽象」という座標軸を頭に入れた上で、それは具体なのか抽象なのかという問いを常に持つことでそのギャップを見つけることが重要だと知り、今後に活かしていきたいです。
Posted by ブクログ
問題を解決する能力よりも、問題を発見する能力が今の時代では求められている。
頭の使い方次第で、問題発見力を磨き上げることができる。その指南書。
綺麗にまとまっているので、わかった気分になるが、こういう本は何度か繰り返し読んだ方が身につくのだと思う。しばらく、時間を置いて、再読したい一冊。
Posted by ブクログ
問題とは具体と抽象、感情と論理など対極世界に潜むギャップ=変数の集合体であり、その解決=最適化はヒトよりAIやDXが得意。能動的な問題発見によるゲームチェンジで、VUCA時代に革命を起こす。
Posted by ブクログ
自分は本書で言う典型的な問題解決型の人間です。いきなり問題発見型になろう、というのは人格が変わる勢いで振る舞いを変えないといけないので難易度が高いですが、このままではいけないという漠然とした危機感もあります。本書から1つでも習慣に取り入れ、改善したいと思います。
Posted by ブクログ
・「問題発見力」の概念や、昨今重要視される理由、「問題解決力」との対比
・組織におけるボトルネックは「問題解決力」ではなく「問題発見力」になりつつある
・「問題発見力」があるのは、非常識・型にはまらない・問題児なタイプの人。「問題解決力」とは相反する特性。
女性活躍が進んでいる企業はそうでない企業より業績好調、という海外の調査結果があるそうですが、本書の「問題発見力」からその理由を説明できそうだなと思いました。
企業内での女性というのは多数派である男性と比較で相対的に「非常識で型破りで問題児」でしょうから、女性が多い=問題発見力が高い=業績好調という理屈が通りそうじゃないですか。
アラフォーワーママの私、大学を卒業してから20年程、男性とほとんど同じ仕事をしてきましたが、現代はやっぱりまだ「男性の、男性による、男性のための社会(会社)」であるなぁと肩身の狭い思いがあります。
狭くする必要なんてないんでしょうけど「お邪魔しててごめんなさいね」という気持ちが未だに残っている私です。
けれど本書を読んで「女性」という特性にこういう活用方法があるのだと知ることができ、会社(社会)に居場所がある気がして、嬉しく思いました。
Posted by ブクログ
AIなどに代替されがちな与えられた問題を解くことではなく、そもそも問題が何かを考えたり見極めたりすることの重要性を知ることができた。
日頃からアンテナを貼ることが大事だ思う。情報収集を大事にしたい。
Posted by ブクログ
無知の知
知らないことを自覚
問題に無自覚な人は問題の解決策も考えられない
非常識
すぐには否定しない
なぜその行動をとるのか
常識を疑う
どういう条件のときに成立するのか
環境の変化や技術革新で前提条件が変わらないか
なぜ
過去
原因
未来
目的
問題
変数の集合
問題発見とは新しい変数を見つけること
問題解決とは各変数を最適化すること
変数が少ない方が問題は単純
現状とのギャップ
マイナス面は目に見える
プラス面は想像が必要
理想的な状態とは何か
感じ方は相対的
顧客の期待値をコントロール
一度受け入れられるとあとは楽
偏在/差の解消
季節や曜日毎の稼働率の偏在等
アナロジー
別のサービスの特徴を流用して当てはめる
遠いところからパクる
意外な領域からアイデアを流用
抽象度を上げて捉える
抽象化
カテゴライズして考える
分類しようとするとしきい値の問題で歪みが発生
歪みに着目
コミュニケーションの問題
抽象化レベルのミスマッチ
認知の癖
レッテルとは抽象化の一例
知識がある領域は細かく、ない部分は大雑把に
認知のバイアスを意識することで歪みを発見
生存者バイアス
上手くできたことを都合よく解釈
自分だけが~
ダニング・クルーガー効果
能力が低い人ほど自分の能力を過大評価
無知の知の重要性
確証バイアス
金槌を持っている人には全てが釘に見える
見たいものだけが見える
主観と客観を意識
フレームワークを用いて問題を発見
QCD
4P
メタ認知
バイアスの逆方向に意識を向ける
自分は特別だ→共通点は何か
Posted by ブクログ
広義の問題解決を、「問題“発見”」と「問題“解決”」に切り分け、不確実性の高まる現代では、後者の重要性が高まると論じています。
常識力や知識力を高めると同時に、常識を疑い「なぜ」と問いかけ続けることも重要と認識。
「具体と抽象」や「具体・抽象トレーニング」の発展版としておすすめです。
Posted by ブクログ
「与えられた問題を解くこと」から「自ら能動的に問題を発見すること」の重要性が高まっているとの主張に全く異論はないが、いつも課題解決にばかり意識が行ってしまう。
そんな自分にとって、本書は問題発見の重要性から具体的な実践方法まで提示してくれて、とても参考になります。
・Howではなく、Whyで考える。
・先進事例から学ぶのではなく、誰もやっていないことを考える。
・ポジティブな文句を言う。
・他人に見つけた問題を自分の問題として改善につなげていく。
簡単でないけれど、このような思考にチェンジしていくことを意識したい。
Posted by ブクログ
よく社会に出てから「学生の時にもっと勉強していれば…」と後悔する人が大勢いると言われますが、この本に書かれているギャップや思い込みをしっかり受け止めて、「問題を発見する」考え方を持つことが出来れば、「無知の知」を知れ、これから改めて勉強、または何かしらを経験したくなる人が増えるのではないかと考えられました。
とても参考になるため、著書の他の書籍も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
大学時代によく読んでた「地頭力を鍛える」の著者の細谷功さんの新作が出たということで読んだけど良い頭の刺激になる。
しかし、問題を解く力より問題を発見する力が重要であるというのはホントまさしくで、
ここの差が今後さらに重要になるだろうなと。
常識を疑う事と具体⇄抽象の使い方が出来る事の重要性を再認識。
20代のビジネスマンは特に読むことをお勧めしたい。
Posted by ブクログ
確かに(私を含めて)前例のない中で、課題形成が出来る人財って本当に限られてると感じています。
これって教えてできるようになるものじゃなく、センスもあるかと思います。
とは言っても著者の通り、VUCAの時代は課題形成(もちろん課題解決も)ができない人財は勝ち抜けないのは間違いない。
Posted by ブクログ
問題発見力とは、問題と言われるもの自体や常識と言われるものを「なぜ」と問い、背景や経緯から見直す考え方のできることである。先の不透明さが増し、変化が激しい世の中において、大切な力だと思う。常に、今や自分の考え方を当たり前と思わず、静かに、自省の念を持つことも同じことだと思う。
Posted by ブクログ
Web上の投稿記事をまとめ直したもの。
あっという間に読めて、中身は一読して理解出来るので、細谷さんの著作が好きな人には復習として丁度良い。
P54
「悪気のない」ことは短期的かつ単発的には許すことができても、長期的にはこれを放置することは根本的な問題を放置することになる。
P55
非効率な会議をやっていると傍から見えるひとは、本人は大まじめに職務を全うしているだけなのです。
Posted by ブクログ
V=Volatility(変動性)
U=Uncertainty(不確実性)
C=Complexity(複雑性)
A=Ambiguity(曖昧性)
先の読めない“VUCA“の時代に必要とされる『問題発見力』について書かれた本。これまで重要視され、日本の教育の中で育まれてきた『与えられた問題』を解く『問題解決力』はAIの得意分野。複雑多様化し答えがない時代では『そもそも何が問題なのか』『どこに問題が潜んでいるのか』を突き詰める力が求められる。
常識を取り払うこと
“なぜ”の姿勢を常に持つこと
世の中は知らないことばかりであることを認識すること
問題とは『新しい変数を考える』こと
問題とは『ありたい姿(もしくは改善すべき姿)と平時のギャップ』であること
問題を正確に捉えられれば解決したもの同然であること
などなど、『問題』の捉え方や『問題発見型』人間になるためのヒントなどが、コンパクトにまとまっています。
コロナに振り回される昨今、次から次へと予測のできない、これまでに対応したことのない事態に立ち向かわなければならない事が多いように思います。問題を的確に捉え、1つ1つ、丁寧且つスピーディに解決していくことが今後も求められていくのでしょうか。
まずは『ネガティブなシーンをポジティブに』捉えられるようになろうと思いました。
問題発見の入門編的な位置付けかと思うので、サッと読めるところがグッドです。
Posted by ブクログ
コミュニケーションギャップ辺りの話は筋道立っていてわかりやすかったです。
「問題発見型」と「問題解決型」の違いについても、新たな整理として捉えることができました。
Posted by ブクログ
問題発見の重要性と問題発見力を高めるための思考法について述べた本。著者はコンサルタントで、「地頭力を鍛える」をはじめとした思考法に関する著書を多数執筆している。
問題を与えられたとき、解くべき問題を見極めることは言わずもがな重要。でもwhyを繰り返してたどり着く程度の話は、問題発見というより問題定義くらいのレベルかな。常識を疑ったり見えない不満を見つける問題発見は尊い。問題発見を抽象化して定義したところは参考になったが、肝心の問題発見力を高めるための思考法については浅いように感じられた。それだけ問題発見が一朝一夕ではできない難しいことだから価値があるのかもしれないが。
以下、備忘録。
■問題発見とは
・問題発見は新たな変数を探す取組み
・あるべき姿を想像し、現状とのギャップを問題として定義する
・偏在も問題と定義できる
・アナロジー思考による問題発見
■問題を発見するには
・常識を疑う、多数派を疑う、経験に頼らない
・具体と抽象、主観と客観、感情と論理といった対極のものを行き来しながらギャップを認識することが問題の認識・解決に繋がる
■その他
・常識はある環境や条件下において成立している場合が多く、未来永劫変わらないとは限らない
・常識とは自分は正しいと以前から信じているが、実はその理由を説明できない状況を説明する言葉
Posted by ブクログ
問題解決力より、問題発見力が重要であるとの説は、あまたのビジネス書で語られている内容ということもあり、手に取ってみた一冊。あまり目新しいことが語られているわけではなく、無知の知など、すでにあるネタが多く並んでいる印象。「まぁ、その通りだよね」ということを再確認したといったところでしょうか。
Posted by ブクログ
問題を解決するには、そもそも問題を発見して定義する必要がある。
問題も答えもない領域を、問題はあるが答えがない状態にするのが問題発見。
問題はあるが答えがない領域を、問題も答えもある状態にするのが問題解決。
自覚がある悪は長期的には自然に解決できるが、
自覚がない悪は解決するのが困難。
無知であることを自覚できるかが重要。
自分の理解できないことに遭遇した際、否定するのではなく自分に知らないことがないかを疑うこと。
他人がいけないのではなく、自分自身に知らないことがないかを問いかけることが自覚する一歩。
むやみに相手を否定するのではなく、今の自分やルールがおかしいのでは?と考えることが必要。
5W1Hで、whyだけが繰り返せる。また、一言で終わらない。whyは関係性が対象となり、それ以外は個別事象が対象となる。
問題解決は変数の分解だが、問題発見は変数の拡大。新たな変数を探すこと。
問題発見には、今とネガティブのギャップもそうだが、よりも良くなった状態を思い浮かべて、その状況との違いを問題として定義する力も必要。
問題はギャップから生まれる。具体か抽象か、という捉え方の差で生まれやすい。
他者とのバイアスを把握するためにフレームワークは使える。自由な思考ではなく、枠組みを作ることで、どこが互いに違うか理解できる。
アイデアを見つける際(解決の話)は、アナロジー思考が効果的であるが、遠い領域からの類推のほうが他との差別化もしやすい。
そのために、抽象化する。カテゴリー分けや線引きをする。
ただし、線引きなどによって、問題が必ず生まれる。そしてそれは避けられない。そのことを意識すると、次の問題が見えてくる。
問題発見と問題解決は求められる能力が真逆であるが、発見能力を育むには、必要以上に思考や行動を抑圧しないこと。
能動的な思考・行動からしか、問題発見は生まれない。問題発見するためのノウハウなどの受動的なやり方はない。