内田康夫のレビュー一覧
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静岡県寸又峡で起きた2件の殺人事件を追う老新聞記者が、事件の謎を追った先の秋田の大曲で殺されてしまう。
老新聞記者の活躍が浅見探偵に刺激されたという事情があって、どうあっても犯人を突き止めなくてはならない立場でしたが、つきつめると犯人には悪人というには忍びない事情もあって、犯人探しがうやむやに終わってしまったのは、最近の浅見ものに見られる傾向でしょうかね。
それにしても、行き当たりばったりというか、浅見探偵がふらっと思いついて立ち寄った先で、重要人物との出会いが生じてしまうという展開が本書でもありましたが、プロットなしで書いているからこうなるんでしょうかね。
また、本書の中で、豪華客船「飛鳥 -
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浅見光彦シリーズの11作目。
1986年に出版されたそうなので、39年前になりますか。
随分昔の作品になるので、今読み返すと、色々と古いです。
ワープロとかフロッピーとか、勿論、スマホなんて出て来ませんし、概念というか、思考も古いかなと思われます。
例えば、大手銀行の重役が父親なら良縁だと母親が喜んだり。
今回も、ヒロインが出て来て、ほんのり甘い雰囲気になりますが、そこは浅見光彦らしい不甲斐無さで、発展する事はなく、愉快。
物語自体は複雑なトリックというものではなく、謎を一つ一つ根気良く解いてゆく、という感じでしょうか。
東野圭吾や有栖川有栖を読んだ後だったので、余計に、全体的に古さを感じてし -
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名探偵浅見光彦シリーズです。
高村幸太郎や知恵子の事をよく知っていたら、物語をもっと楽しめたかな、と思います。
物語の中で、なんとなくいつも思うのですが、女性の浅はかさ故に、浅見光彦の推理を邪魔し、解決を遅らせる、といった感じ。
女性は、理性よりも感情を優先させる…そういう意識が作者にはあるのか、或いはそういう女性像を敢えて書いているのか。
ヤキモキさせるところが、また物語に深みを出しているのかもしれません。
今回のマドンナは、さっぱりとした小気味の良い女性で、私的には良いコンビになるのではと思うタイプ。
終わりもちゃんと匂わせているのだけど、でも永遠の三十三才で独身の浅見光彦なので、上手くい -
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以前に読んだ「多摩湖畔殺人事件」の実質的な主人公である河内刑事と、推理力抜群な車椅子の美少女橋本千晶が再登場する短編集ということで、手に取ってみた。
旅情漂う話や怪談じみた話など、バラエティに富んだ4編が収録されている。提示される謎がどれも魅力的で、尚且つキャラ立ちしたふたりの活躍がとにかく面白い。
お気に入りは「踏まれたすみれ」と「少女像(ブロンズ)は泣かなかった」の2編。
前者はラジオに混線した奇妙な声から推理を巡らせ、殺人事件との繋がりを見出す過程が本格ミステリしていて面白かったし、車椅子の千晶に迫る危機にハラハラさせられページを捲る手が止まらず、一息に読んだ。
後者は夜な夜 -
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浅見光彦シリーズ7作目。
あらすじを見た時、薄っすらと記憶があり、以前読んだ事があるような気がしました。
読み進めていくと、案の定朧げながら覚えていたのですが、結末までは覚えていなかったので、再読という形で読み終えました。
結末としては、すっきりしない終わり方になってしまい、偉そうな警察にギャフンと言わせられなくて残念。
トリックは、知っていたので、知らなかったらなるほど、と感心したのだろうなと思います。
兄の陽一郎さんは、やはり天才で頼もしく、浅見光彦が頭が上がらないというのが分かるエピソード。
尊敬しつつも、嫉妬もしてたり、でもやはり出来る兄が誇らしくもあり。
そして、その弟の優秀さ -
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ネタバレ【浅見光彦⑩】「首の女」殺人事件
美術展で高村光太郎の彫刻「首の女」が登場し、智恵子の紙絵や純愛物語が紹介され、これが事件の背景として繰り返し言及されて作品全体を象徴的に覆い纏う
「首の女」は犯人の心理や事件の引き金、愛と執着を象徴するキーアイテムであり、高村光太郎が智恵子を想う一方的な狂気(純愛?)と、犯人の動機(愛情の歪みや嫉妬)が二重写しに見える伏線として機能する
文化的要素のモチーフが表面的な飾りではなくて自然に織り交ぜられ作品に深みを与える内田康夫先生にしては珍しく成功している(笑)
光光コンビが光太郎に関わる事件を扱う光の三重奏w -
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1990年に初版が刊行された浅見光彦シリーズ。
舞台は奈良。
奈良博の前に実在していた「日吉館」や戦時中に盗まれた新薬師寺の「香薬師仏」など奈良と仏像、歴史好きにはわくわくする設定でした。
仏像好きはその仏像のフォルムうんぬんだけではなく、自然災害や戦争などの人災を乗り越えて人々の祈りの対象として守られてきた仏像の歴史にロマンを感じるということを内田さんはわかっているのだなぁ。
そのような時代を超えた多くの人々の思いがこもった仏像を自分だけのものにしたいという独占欲の強い人間は歴史上何度か現れているし、今もそういうヤツがいてもおかしくない。節度って大事だし、そいうい自己中心的な人って犯罪