あらすじ
野沢光子は姉・伸子の紹介で知り合った宮田治夫と「高村光太郎・智恵子展」へ出かける。そこで光太郎の彫刻「蝉」を熱心に見ていた男が記憶に残った。ところがその男が福島県・安達太良(あだたら)山の麓で殺され、宮田も島根県・江川(ごうのかわ)で水死体で発見される。事件後、脅迫めいた「怪電話」に伸子は悩まされることになり、妹の幼なじみ・浅見光彦に相談を持ちかける。この二つの事件を結ぶものは?
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Posted by ブクログ
【浅見光彦⑩】「首の女」殺人事件
美術展で高村光太郎の彫刻「首の女」が登場し、智恵子の紙絵や純愛物語が紹介され、これが事件の背景として繰り返し言及されて作品全体を象徴的に覆い纏う
「首の女」は犯人の心理や事件の引き金、愛と執着を象徴するキーアイテムであり、高村光太郎が智恵子を想う一方的な狂気(純愛?)と、犯人の動機(愛情の歪みや嫉妬)が二重写しに見える伏線として機能する
文化的要素のモチーフが表面的な飾りではなくて自然に織り交ぜられ作品に深みを与える内田康夫先生にしては珍しく成功している(笑)
光光コンビが光太郎に関わる事件を扱う光の三重奏w