高田崇史のレビュー一覧

  • QED 鬼の城伝説

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    『しかし犯罪の動機なんて、幽霊みたいなもんだ。実はそこに何もなくても、見方によってはきちんと存在して見える。霧の中に浮かび上がる自分の幻のようなものだよ。それは、目の前に起こってしまった事件を、自分の心に納得させるための論理武装だからな。』

    あいかわらず素敵なプロット。第9作目。19作まであるから、しばらく困らないな。
    お約束の謎解きは実に素晴らしい!

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    2016年12月17日
  • 試験に出るパズル 千葉千波の事件日記

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    千葉千波の事件簿がサブタイトル、いとこのぴぃくんが語り手。論理パズルの物語仕立て。
    森博嗣が解説担当。
    C0193

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    2016年12月28日
  • QED ~flumen~ ホームズの真実

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    ネタバレ

    QEDの3作目、『ベイカー街の問題』からのflumen(流れとうか河というか)で、タタルと奈々が緑川に呼ばれてシャーロキアンの展覧会出席するが、また事件が起こる。明らかにタタルと奈々の距離が縮んでいるし、外堀が埋まりつつある様子。大元のQEDシリーズに比べてカンナ的に短く軽く全く肩がこらない作品に仕上がっています。本作のウンチクは紫色について、源氏物語と大怨霊紫式部(導入篇っぽい)、ホームズ空白の2年を中心にコネタ満載。その他香道の源氏香などプチ蘊蓄EPも盛りだくさん。欲を言うと、もっとズッシリ読みたいですが、これからぼちぼち繋がって行く気配がぷんぷんしていてワクワクします。
    ともかく、次は月夜見へ突入しますが、並行して源氏を読もうと潤一郎源氏をフルセット入手しました。楽しみです。

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    2016年11月15日
  • 軍神の血脈 楠木正成秘伝

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    久々に高田崇史が読みたくなって、読んでみた。
    楠木正成とか足利尊氏に興味が湧いたから、次はそっちに進んでみよう。

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    2016年08月17日
  • 軍神の血脈 楠木正成秘伝

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    楠木正成の謎を追う歴史ミステリー。説得力があり大いに引き込まれてしまい一気読み。こういうのははまるな。

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    2016年04月28日
  • パンドラの鳥籠―毒草師―(新潮文庫)

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    今回の話は、いつもとはちょっと違っていて
    謎解きというよりは、浦島太郎伝説の蘊蓄の嵐ってところかしら?
    歴史は時の権力者によって、都合よく作られているってのは
    とっても納得いったわ。
    どうしても残したい事は、関係者だけがわかるように
    民話や伝説といったものに形を変えて、受け継がれる。
    まさに歴史民俗ミステリ!
    特に深いと思ったのが、浦島太郎の「玉手箱」と
    ギリシャ神話「パンドラの箱」だったりする。
    渡す側の意識というのを考えたことがなかったけど
    深いわぁ~!!大満足です。

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    2016年03月19日
  • QED ~ventus~ 鎌倉の闇

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    今回は鎌倉。
    北条氏や源頼朝何かについて話をしながら、鎌倉の街を回っている。
    殺人事件とかはどうでもいい。って感じで、ホントおまけ程度。
    このQEDで回ったお寺とかのガイドブック作ってくれないかなー。地図付き、ウンチク付きで。
    それを片手にお寺周りとかしてみたい。

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    2016年02月13日
  • パンドラの鳥籠―毒草師―(新潮文庫)

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    昔話に隠れている真実が、これでもかと語られて見えてくる。そこまで読むのか‥‥参ってしまう。事件に至る背景がここまで長い時間の果てとはムムム

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    2015年11月19日
  • QED Another Story 毒草師

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    たたるシリーズ読んでる人には、すでに知ってるウンチクもでてきて、読みやすかった。いつもよりミステリー度が強くて私は好きでした。

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    2015年10月10日
  • QED 諏訪の神霊

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    いつもより読みやすかったー

    物語をかき混ぜるさおりがいないからか?
    鴨志田くんや友達が沙織のちょっと歴史詳しいパートを担当の方って感じ。

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    2015年10月08日
  • QED ~flumen~ 九段坂の春

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    いいタイミングの短編集。

    祟さんの初恋!から始まり、奈々、くまつざき、御名形さんの過去、何処かでみんなが微かに繋がってること、みんな何処かですでに事件に関わっていたことwなどがわかった短編集。

    ウンチクも勿論あるけど、短編だから適度な量でよかったわー。

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    2015年09月27日
  • QED 伊勢の曙光

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    ネタバレ

    天照大神は何者か。歴史を震撼させる騙りがそこにあった。日本の神様はもうほとんど怨霊じゃねぇかよ!


     伊勢神宮に行くぞ!そう思いました。伊勢神宮から奈良県を経由して京都に行きたいですね。


     歴史薀蓄としては面白かったけど、ミステリ小説としてはやはり…。なんというか、不器用。結局最後は吊り橋効果でゴールインかよ。きっと高田さんもタタルのように不器用で、ある事柄に偏執しているんだろうな。でもそれだから面白かったよ。

     私も天照の存在には違和感を覚えていたんだよね。なんで神道って日本の祖先を祀っているのに、マイナーなんだろう。もっと騒がれないいんだろう。天皇陛下とか皇族の人が「天照大神が~」とか話題にすることもないし。なんだ、そういうことだったのかもな。と思いました。

     歴史薀蓄の新たな気付きに驚く!しびれる!感動する!ようなことはもう無いくらいに慣れてしまったが、やっぱり面白かった。ニギハヤヒとか猿田彦がここに繋がってくるとはね。やはり紀伊半島はヤバい土地だわ。

     もう慣れたけれど、見慣れない日本神話の神様の感じばっかの名前があって読むのつらい人も多いだろうなぁ。それもまた、歴史の秘密を隠すのに役立っているのかもしれないね。

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    2015年09月27日
  • QED 河童伝説

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    現代の殺人事件と祟さんが絡まなかったのは珍しく、切り取ってつけた事件のようにも思えるが、いつもよりは読みやすかったなぁ。
    毒草師の出し方が次のシリーズへの伏線みたいだなぁ

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    2015年09月23日
  • QED ベイカー街の問題

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    ネタバレ

    Q.E.Dシリーズの3作目。ずっと本屋で探していたのに見つからず、ようやく読むことができました。

    今回のテーマはシャーロックホームズで、いまや古典に域だとは思いますが、それでも百人一首とか六歌仙に比べればはるかに取っつきやすいお話です。(笑)
    ていうか、書いてあることがすべて理解できたのは初めてかも・・・
    まぁ、昔々にホームズは全部一通り読んでいて、それなりに知識があったから、かもしれませんが。

    僕はシャーロキアンではないので、この本で述べられた様々な説がどの程度説得力のあるものかは判断しようがないのですが、どれも興味深いです。

    たいして分量もないミステリの内容を巡って、世界中の人が研究をして、いろいろな説を唱えているということ自体がホームズという物語の魅力なんでしょうね。

    最近はホームズに限ったことだけでなく、様々な文学作品の内容(背景ではなく)について考察がなされ、ネット上でも激論が交わされます。どの説が正しいとか間違いとかではなく、本書の言葉を借りるなら、みんな「虹を見ている」んだろうなと、そしてそれは一見不毛だし、周りから見れば無意味っぽいけれど、素敵な楽しみなんだと思いました。


    それと、メインテーマではないですが、薬物って怖いし難しいなって強く思いました・・・
    このシリーズを読んでいると、少しずつ薬物への知識と理解が深まりそうです。

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    2015年09月17日
  • QED 出雲神伝説

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    ネタバレ

    出雲なのに奈良が関わる…。神が集まる土地とは体面上の説で、そこは流刑地としての聖域だったという見方。興味深い。



     今でこそ一大観光地の出雲大社。いや、昔から観光地として活動していた出雲大社。クーポン券を江戸時代から発行していた出雲大社。昔は杵築大社とよばれていた出雲大社。こないだブラタモリでやってたからタイムリー

     出雲大社には行ったけど、なにか変な感じがしていた。国譲りとか暗い過去があったのはパンフレットとかにもあって、納得はしたんだけれど、なんかやっぱり浅い感じはしていた。その更に奥行きがあったとは!!
     これはもう奈良県にも行ってきますは。たぶん楽しい物じゃなくてそーと―渋い旅行になるだろうけれど。



     ただ、意外と歴史薀蓄にはビビッとこなかった。慣れって恐ろしい。QEDの読みすぎですっかり怪しい人間になった。棚旗奈々さんもずいぶんタタルに毒されたが、その気持ちがよくわかる、それほど読み上げてきたんだな。
     次が最終巻か…。最後は刺激的な歴史薀蓄が読めるかなー楽しみにします。

     

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    2015年09月16日
  • 鬼神伝 神の巻

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    薄いのであっという間に読み終えてしまった。面白かったけど、あまりにもあっさりとさらっとしていて物足りない。

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    2015年06月23日
  • 鬼神伝 鬼の巻

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    現世に戻ってしまうの?!と最後は予想に反していたのだけど、伏線もあったし次巻も楽しみ。
    興味深くて一気に読んでしまった。

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    2015年06月16日
  • QED 神器封殺

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    ネタバレ

    日本の一宮の不思議に迫る。日本各地の神社を観光するなら事前に読むべき本である。三種の神器はやはり妖しい物だった。


     何も知らずに神社に観光にいってお参りをしている人。それは知らない間に封印のための魔力を朝廷に献上していることになっている。その祈りのエネルギーの総体は、封印されしあの人を閉じ込める。
     …そんな若干厨二病はいった歴史解釈がおもしろい。どうせ昔の人だってロマンにあふれた厨二病だったと思う。だから遠からずなんだと思う。

     読むよりも、まとめを書くのが大変な本。でも読んだらまとめをしないと理解できない本。まとめて初めて「わかる」本。




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    p55 二種の神器?
     三種の神器は『古語拾遺』では二種の神器と記されている。三種の神器は成立時期が文献によってまちまちである。
     そもそも三種の神器は天皇家の人々ですらその実物を見ることはない。だから本当にどんなものかはよくわからないのだ。

    p60 伊勢神宮
     奇妙な場所にある神社、熊野神社と伊勢神宮。このふたつは台風の多い日本の中でもその被害を受けやすい紀伊半島と伊勢湾にある。
     伊勢神宮に至っては都から移ってきている。(崇神天皇の頃に疫病が流行って遷宮を繰り返して垂仁天皇の時に伊勢に移った、その時の立ち寄った場所が元伊勢と言われる)わざわざこんな場所に移ってくる意味は…

    p103 蛇切の剣(ははきりのけん)の扱い
     八岐大蛇を倒したら尻尾から出てきた草薙の剣、これは天皇家に伝わる三種の神器の一つになるほど珍重されている。
     しかし、その八岐大蛇を倒した「蛇切の劍」は石上神社に祀られているが、有名ではなく扱いは低い。本来なら敵を倒した武器の方が伝説の武器になりそうなものを…

    p105 草薙
     八岐大蛇のしっぽから出てきた天叢雲劍は日本武尊が東征に出発した際、静岡で賊の焼打ちに遭った。その際にその天叢雲劍で草を薙ぎ払ってその炎から逃れたという伝説がある。その時から草薙の剣と呼ばれる。今でも静岡県清水市草薙に草薙神社がある。その名残。

    p107 天武と尾張
     天武天皇は草薙の剣の祟りで死んだという伝説がある。草薙の剣が熱田神宮から宮中に移された時期があったが、その祟りが天武に降りかかったというわけ。天武は壬申の乱で皇位を力づくで分捕った。正統な後継者じゃないから呪われたというストーリーの一部と考えられる。ということは、アンチ天武の派閥の作ったストーリーなんだろうな。
     天武天皇は壬申の乱で勝利したが、その勝敗を分けたのが熱田神宮のある尾張の国人の助けがあったからと言われる。尾張国司小子部連 鉏鉤(オワリコクジチイサコベムラジサイチ)が味方に付いたそうな。その尾張の衆が草薙の剣の返還を求めたのに聞かなかったから天罰が下ったという話が隠されているんじゃないかという説。

    p128 茅の輪くぐりはずるい
     七夕の「茅の輪くぐり」は素戔嗚を助けた蘇民将来の一族にだけ許された救済措置なのに、一般人は七夕の時だけその一族を偽って自分たちも素戔嗚の救済を受けようとする。そう考えると、ずるい。

    p144 日前と国懸
     和歌山市紀ノ川南岸にある神宮である。タタルが熊野三山に詣でる前に寄りたかったと言っていた神社な。
     日前(ヒノクマ)と国懸(クニカカス)神宮は不二一体といわれセットの神社である。そしてここには八咫鏡に先立ってつくられた日矛鏡(ヒホコノカガミ:国懸)と日像鏡(ヒガタノカガミ:日前)が祀られている。これらは八咫鏡と同義であるという、八咫鏡=天照大神だからこれら二つの神宮の祭神も天照大神に通ずると解釈できる。

    p150 日前と国懸②
     日前(ヒノクマ)は「前」という縁起の悪い字が使われている。前という字はミサキであり、それは怨霊を意味したり、猿田彦のような裏切り者を暗示する。
     国懸(クニカケ)は「懸」という縁起の悪い字が使われている。懸は首をひっくり返し糸で吊るす様子を表す。処刑後の晒し首のようだね。
     ヒノクマとクニカケという読み方も、「日の熊」「国欠け」の騙りだとタタルは言う。これらは饒速日命と高倉下命だともいう。饒速日命は神武天皇の東征で長髄彦を裏切って天皇の先導役を務めた男である。それが日前のイメージにピッタリあう。しかし彼も平定後に神武に用済みとされ屠られた。それが怨霊化しないように祀られているのだろうとタタルは言う。
     熊野三山の前にこの日前神宮らを回るのが正規ルートだというのは、神武に手を貸した饒速日命の方が熊野に祀っている神霊より格上に扱うための気遣いなのかな。

    p164 ひな祭り
     和歌山の淡嶋神社がひな祭りの起源とされている。この神社がこの地に移ったのが仁徳天皇5年の3月3日だった。今でもここで雛流しという儀式が行われている。雛流しは人に付いた穢れを人形に肩代わりしてもらって、それを遠くの海に流すという儀式である。まるで補陀落渡海。
     
    p191 イザナギは怨霊
     天皇家の史料では、イザナミとイザナギはあまり丁重に扱われてはいない。

    p194 伊弉諾神宮
     淡路島の一宮として伊弉諾神宮という日本創世の神の名前を冠した神社がある。イザナギとイザナミは淡路島を拠点に九州・四国へと平定を進めた感じかな。
     ここの本殿は禁足地になっている。タタル曰く、この禁足は立ち入り禁止ではなく、外出禁止の意味である。つまり、伊弉諾をこの神社に幽閉するためなのだという。

    p198 伊弉諾とイザナミとは
     日本創世のこの二人は架空の人物ではないかという考え。もともと日本という国は大國主と少彦名命が造った物を天照の一派が横取りしたのがぶっちゃけた話だ。でも公に他人の国を横取りしたとは歴史に残せないから、象徴的な存在としてイザナギとイザナミが日本を創り出したという神話を創り出した。そうタタルは考える。
     大國主の国譲りが終わって、象徴として使ったイザナギとイザナミは不要になると幽閉されてしまう。まさに「ミサキ」として用済みで捨てられたという解釈である。

    p213 三機能体系
     神話の分類法則、①王と祭祀・宗教・魔術、②武力・風雨雷嵐、③豊穣・愛欲・医療
     日本神話のこれに当てはめるなら①天照大御神②素戔嗚尊③大國主命である。
     この三体系の象徴として三種の神器があてはめられる。①八咫鏡②草薙剣③八尺瓊勾玉となる。それぞれの象徴だったんだろう。そしても、もともと鏡と剣の二種があって、そこに勾玉が加わった。大國主が加わったとタタルは言う。

    p216 蛇
     八咫鏡と草薙剣はともに蛇であるという。
     もともと蛇は人に忌み嫌われる。それは脱皮という特徴が「禊(ミソギ」という再生の象徴として畏怖されたから。他にも男性器に似た形状のため、性的ななにかとして敬遠されるものとなった。

    p220 鏡餅
     蛇の名称の変遷は「ナギ」「ハフ」「カカ」というように変わってきた。この名称は色んなところに見られる。酸漿は実が蛇の目のようだから「ハハツキ」といった。大蛇は「カガチ」という。そして鏡は「カガ身」蛇の体を模しているからきているという。鏡餅はそういえば蛇のカタチそっくりである。

    p224 虹
     古くは虹を龍だと考えていた。雄の龍が虹、雌の龍が蜺(ゲイ)という。

    p226 ナギ
     蛇の古称はナギという。草薙剣のナギもそうだろうし、イザナギのナギもそうだろう。

    p228 朝蜘蛛と夜蜘蛛
     諺の「朝出る蜘蛛は仇と思っても殺すな。夜出る蜘蛛は親に似ていても殺せ。」これをQED的に解釈すれば、
     蜘蛛は古代の反朝廷勢力の代名詞である。しかし、その中でも朝廷に通ずるものもいた。
     朝出る蜘蛛というのは朝廷に関係する蜘蛛と考えられる。夜出る、つまり朝廷の敵は殺せという暗喩と考えられる。なるほどね。

    p255 八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)
     八という字は捌とも書いて、分断する縁起の悪い字。尺(サカ)は逆という字の騙り。瓊は赤い玉という意味がある。赤いから「朱」「丹」つまり酸化鉄の事ではないか。勾玉は曲玉とも書く。読み方からして「禍々しい魂」と考えられる。この「匂」という字には逮捕という意味もある。ということは「捕われた魂」という解釈もできる。また曲は「くま」とも読む。熊は朝廷の逆賊の呼称である。
     これらをまとめると「鉄に関わる悪い逆賊の禍々しい魂を捕えた宝石」という意味になる。
     この「匂」という字は古事記では「三匂(ワ)」と使われる。これは三輪のことである。三輪山は大物主=大國主の鎮座する神奈備とされる。このことから、この勾玉には何が封印されているか、わかるね。

    p264 巴
     勾玉の形は不思議な形をしている。まるで胎児のような形。そしてその字は「巳」という漢字の形をしていると見ることもできる。巳はそのまま蛇である。また「巴」とも見える。巴という字は「像を飲み込むほどの大蛇」である。
     当然「己」といいう字にも見える。大己貴(オオムナチ)という神が日本神話に出るが、彼は大國主のことであり、つまり大物主である。大物主は三輪山の蛇であるから、大己貴の己という字も蛇に関連付けられているんだろうな。そして己という字は紀という字と同義である。そう考えると大己貴は「大紀貴」のことであり、紀州に住む貴族だったんだろうなと思われる。大物主は紀州に住む大物だったんだな。

    p266 神器の持つ意味
      神器は反王権の者の象徴だったんだろう。それを手中に収めるとは、対抗勢力を抑え込んでいるという騙りなのだろう。
     鏡=天照、剣=素戔嗚、勾玉=大國主、これらみんな朝廷の反抗勢力だったんだ。

     この神器の呪いが崇神天皇と天武天皇に降りかかったこともある。その恐れから鏡は伊勢神宮に、剣は熱田神宮に遠ざけられた。そして、その子供である大國主の象徴の勾玉だけ人質のように宮中におかれている。

    p276 鹿島神宮・香取神宮
     鹿島神宮は茨城の一宮。祭神は建御雷神。諏訪大社に祀られる建御名方神をいじめ追いやった神。この神社には「韴霊剣(フツノミタマノツルギ)」が治められている。
     香取神宮は下総の一宮。祭神は経津主大神(フツヌシ)である。別名:斎主神ともいう。この神も大國主の国譲りの際に降臨して攻め込んできている。この神は建御雷神と同義とされる説もある。
     この二つの神社は日本有数の剣の神を祀る神社である。

    p285 南方熊楠
     神社の救世主。明治初期の民俗学の始祖の一人。明治政府が出した「神社合祀令」(M39)で各地の社や鎮守の森が伐採されてしまった。それに一人敢然と立ち向かった。彼の活動が実って熊野の森は救われた。
     
    p318 鈴木梅太郎
     明治43年(1910)脚気の原因がビタミンB1の欠乏であると発見した男。「オリザニン」と名付けた農学者。しかし、当時の日本の学会は権威社会。医学博士でもない梅太郎の功績を医学界が認めることもなく、1911年にイギリスのカシミール=フランクがビタミンとして公表するまで世間にビタミンが広まって生かされることもなかった。

    p339 エリアス
     今回の殺人アイテム。ナッツに似た毒のある木の実。これをつまみに混ぜて服毒させた。しかし、この実は噛み砕かなければ毒性を発揮しない。だから自分だけ飲み込んで毒を食らわないようにしたという。
     実際はエリアスという名前じゃないらしい。でも、なるほどねー。

    p365 元三大師
     比叡山天台座主:元三大師良源。彼は角大師ともいわれる。鬼になって比叡山を護るという伝説から来ている。その鬼になったお札がある。そのお札の絵が実にユーモアのある曲線的な絵になっている。それはその画が梵語のイミテーションになっているからだという。
     阿吽の吽の字。この字は梵語の最後の文字である。そして大元帥明王の字でもある。そういった意味が込められてデザインされたに違いない、という説。

    p419 伊
     いろんな神社や地名に使われている「伊」という字、その由来は、中国殷の時代の名宰相:伊尹(イイン)を表すとされる。しかし、その字を解体すると尸(シカバネ)に一という字を足した字である。尸という字は、死者や神意の者や屈服者という意味がある。死して神となった服従させられた者。うーん、誰の事なんでしょうねぇ。
     この伊という字がついた場所は誰のことを表すんでしょうねぇ。

    p430 封印
     日本地図上に施された呪印のお話。日本の有名な神社のいくつかを線で結ぶと一直線上に並ぶ。
     伊勢神宮と伊弉諾神宮を結ぶと直線状の中点に飛鳥が来る。熊野本宮と貴船神社を結ぶと直線状の中点に飛鳥が来る。この四つの頂点でひし形ができて、対角線の交点に飛鳥が来る。これら四つの神社は禁足地、つまり封印の地である。
     「おっ魂げた。(沙織)」

     他にもある。
    ●京都から同心円状に三重の伊勢神宮、名古屋の熱田神宮、岐阜の伊那波神社、兵庫の伊和神社、淡路島の伊弉諾神宮がある。
    ●上の伊和神社は大國主が祭神だが、ここと熱田神宮は東西一直線上にある。そしてその線上の中点に貴船神社もある。貴船神社は闇龗神(クラオカミノカミ)と言われている。ここは龍神が祀られている。龍=蛇である。
    ●伊弉諾神宮と熱田神宮の直線の延長上には鹿島神宮と香取神宮がある。(p436)
    ●京都御所と伊弉諾神社の直線の延長線上には、土佐の土佐神社がある。ここは草薙の剣は盗まれたときに代わりの剣を朝廷に奉った神社である。祭神は大國主の御子神:味鉏高彦根神(アジスキタカヒコネノカミ)である。そして、その先に高千穂の都農神社がある。大己貴命=大物主が祀られている。このラインを北上させると、会津高田の伊佐須美神社に行きつく。祭神は伊弉諾尊と伊弉冉尊である。(p441)
    ●伊勢神宮と奈良の延長線上は島根に行きつく。そう出雲大社である。その手前には美作の一宮:中山神社がある。ここは天岩屋戸にこもった天照を導き出す鏡を作った石凝姥神(イシコリドノカミ)が祭神とされている。(p444)
    ●熊野ー伊弉諾神社ラインと伊勢神宮ー出雲大社ラインは交差する。美作の中山神社の点で。(p448)
    ●剣つながりで土佐神社と熱田神宮を結ぶと、福島の陸奥一宮に繋がる。ここには都々古別神社(ツツコワケジンジャ)という同名の一宮が三つもある。ここの祭神は土佐神社と同じ大國主の御子神:味鉏高彦根神である。そしてこの手前には上野の一宮である貫前神社がある。ここの祭神は香取神宮と同じ経津主神であり、このライン全て剣の祭神が祀られているのである。(p451)
    ●伊勢神宮と貴船神社を結ぶと、北京都の天橋立に行きつく。この側には播磨国の一宮の元伊勢籠神社(モトイセコノジンジャ)がある。ここは伊勢神宮創建のはるか昔に天照大御神が宮中から遷された地である。だから元伊勢。(p456)

    p432 一宮
     タタル曰く「どうして一宮というのは時として不便な場所にある。仮にも一宮と言われる神社がこれほど不便なのか。それはむしろわざとこういう地を選んだと考える方が妥当と思えてくる。」らしい。
     
    p461 八咫の鏡
     京都を中心にした同心円と、一直線上に並んだ一の宮たち。これらは地上絵ではないかと奈々は考えた。丸い形状は、地上に書かれた巨大な八咫の鏡を表現しているのではないか。
     その中心である貴船神社は、これはいよいよいかなければなぁ。

    _______

     面白かったです。(小並感)


     これで熊野編完結って感じかな。いつも通り殺人事件はオマケです。

     今回の解説は親切にも時系列を作ってくれた。見るとタタルは昭和42年(1962)生まれ、2015年現在はもう53歳ですよ。やばいな。

     

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    2015年06月09日
  • QED ~ventus~ 熊野の残照

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    ネタバレ

    日本史の深読みミステリーシリーズ。なぜ熊野詣というものがあるにか。熊野古道ってただの厳しい山道がどうして大事なんだ!?


     神武天皇の東征について詳しく書かれている巻。熊野は天皇家の発祥と大きく関わっていることが学べた。


     熊野古道にでも行くときにまた読むことになるだろう。まだ行く気がないから読むのに身が入らなかった。

     Ventusは事件が起きないらしい。解説されていた。今回の解説好きだな。

     次回の布石になるらしい。

    ______
    p26 くまの
     熊野は「隈野」と書いたと言われる隠国(コモリク)と呼ばれる土地だった。
     紀伊の国は「牟婁」と呼ばれることもあるが、「室」から来ていて奥まった場所と言う意味である。そういう土地の意味は…

    p28  「吉」「高」
     吉野という地名は良い感じの名前に見えるが、騙りがある。吉(ヨシ)=葦(ヨシ)、葦=芦(アシ)、芦=悪なのである。例えば、吉原と言う場所は葦ばかり生える不毛な地だったから開墾されずそういう場所になった。だから葦原=悪原だったのを吉原に変えていったのだ。こういう騙りは日本史の随所にみられる。
     高野(コウヤ)と言う場所も良くない所らしい。高=多賀=箍(桶などを締め付ける竹の紐)という騙りがあるという。多賀城は藤原宇合が蝦夷を討伐し磔の刑にするために作ったと言われる。「箍=縛り付け」なのだ、そして東国を平定したから多賀という当て字をした。滋賀にある多賀大社は東北平定の記念と戦勝祈願のために建てられた神社なのだ。で、高野と言う場所も箍から来ている土地と言う。

     熊野、吉野、高野それぞれの地には「野」という平野を表す字がつくが、その地に大きな平野はない。山ばかりの土地である。

    p31 「野」
     野=no=nu=「奴」であるという。この意味でとらえれば、吉野=悪し奴、熊野=隈奴、高野=タカ奴、である。「奴」と言う字は罪人を表す。
     また、野と言う字は死霊の赴く場所と言う意味でに使われる。野辺送りと言えば葬式である。昔は鳥葬とか風葬、火葬も行われるのは平野であった。

    p59  「童」
     熊野には九十九王子と呼ばれるほど王子社があった。
     童の字は「刺青された奴隷」の意味があった。この字は「辛」「目」「東」「土」がくっついて作られた字らしい。辛は刃物を表し、東は夷(野蛮人)でそれの目を土に着くまで突き刺した、という意味になる。
     奴隷のザンギリ頭が幼子の髪型にそっくりだから童を子供に使うようになったのではと言う。
     
     王子と言うのは童子が転訛したもの言われる。王子を祀る場所がたくさんある熊野、祀っているのは誰の死霊なんだろうか。

    p67  巫女
     江戸川柳に「熊野派(比丘尼)を ときたま婿は買いに行き 百文出すと とんだ牛王をだしてみせ」という歌がある。どうやら、巫女さんは性的なサービスに従事してもいたらしい。
     現代でも新興宗教が性行為を神聖な儀式と言って犯罪行為をしていたりあるが、それと同じようなことをしていたんだろうな。まぁ、神社の維持費がどこから出ているのか、それを考えればわからないこともない。巫女はいろんな意味で神社で神に仕えていたんだな。

    p74 祀られている者
     熊野三社の祭神は、本宮大社(家津御子大神)、新宮大社(速玉大神)、那智大社(夫須美大神)である。
     この三人、大事。

    p83 別離
     熊野本宮大社の社殿の配置は特殊らしい。昔は第一・二殿と第三~十二殿までを回廊で区切っていたという。第一には夫須美大神と伊弉冉(イザナミ)が、第二には速玉大神と伊弉諾(イザナギ)が祀られる。第三には家津御子大神と素戔嗚尊が、第四には天照大神が祀られている。
     謎の別離、これをタタルさんはこういう。
     家津御子は欠御子だったのが転訛したのだろうという。欠と言う字はマイナスのイメージだ。そして欠身御子だったのだろうという。体の一部や肉身を失った人の化身というか。そして、家津御子は素戔嗚尊の別名である。おそらく素戔嗚がイザナギとイザナミと別離しているのを表しているのだ。

     そして、熊野神社の所在地に言及していく。

    p84 出雲にも
     出雲にも熊野大社という一宮がある。ここから紀伊の熊野三社に勧進されたという説がある。祀っているのは素戔嗚尊。別名で櫛御気野命(クシミケヌノミコト)という。
    ー「クシ」は「奇」、「ミケ」は「御食」の意で、食物神と解する説が通説である。(Wikiより)ー

    p88 中州
      ー現在の社地は山の上にあるが、1889年(明治22年)の大洪水で流されるまで社地は熊野川の中州にあった。明治以後、山林の伐採が急激に行われたことにより山林の保水力が失われ、大規模な洪水が引き起こされ、旧社地の社殿は破損した。現在、旧社地の中州は「大斎原」(おおゆのはら)と呼ばれ、日本一高い大鳥居(高さ33.9m、横42m、鉄筋コンクリート造、平成12年完成)が建っている。(Wikiより)ー
     こんな川の中州に建てる奴があるだろうか。そんなわざわざ水害に遭う場所に社殿を建てるなんて、嫌がらせに決まっている。旧社殿があった場所は水葬の死体が上がる場所だったらしい。死に近い場所、つまり黄泉の国に近い場所だったんだろう。という。

    p105 ハンセン
     仏教ではハンセン病は「天刑病」といい前世からの報いであるといった。熊野の地はそういう人を受け入れた土地だった。小栗判官の話もそういうたぐい。地獄に墜ちたけど蘇り、ハンセン病になって熊野で治して、憧れる照手姫と最後に結ばれる。
     
     そういう点で、熊野詣では死出の旅だろうという。四国のお遍路同じ。


    p141 神武の東征
     瓊瓊杵尊の曾孫、彦火火出見命の孫である伊波礼毘古命(イワレヒコ)は45歳の時に日向から大和へ進出する野望を抱いて東征を開始する。しかし大和に来て長隋彦という地方豪族に苦戦して敗走している。そこで「自分は日御子であるのに太陽の方向に向かって戦ったのが間違いだった。これからは太陽を背負って進軍しよう。」といって紀伊の国に上陸してから東から大和を責め始めた。途中、丹敷戸畔という女酋長と激戦を交え勝利するが、土地神の「熊」が出てきて毒気を吐いてやられてしまう。そこに高倉下という物がイワレヒコのもとに来て、武御雷神の分身であるという太刀を献上し、それ以降イワレヒコの軍団は息を吹き返して連勝していく。また、天上から遣わされたという八咫烏が道先案内人としてイワレヒコ一団を先導した。そして長髄彦との最終決戦を迎える。その時、イワレヒコの弓に天から金色の鳶が降臨して留った。その光に目が眩んだ長髄彦は動けなくなり、その神々しい光景を見た長髄彦の義理弟の饒速日命(ニギハヤヒノミコト)がイワレヒコこそ正当な天孫だと悟り、長髄彦を殺してイワレヒコに帰順した。これによってイワレヒコの平定が完了したと。
     この饒早日命は物部氏の始祖と言われているが、謎が多い。
     そして紀元前660年に橿原宮に大宮を築いたイワレヒコは初代神武天皇として即位したという。

     ちなみに『書紀』によると長髄彦は殺されたことになっているが、『古事記』ではその記述がなく、東国に逃れて土着したという説もある。東夷になったのだ。


    p164 おめこ
     熊野にはゴトビキ岩という男根が、花の窟というオメコがある。昔からこういうのはよくある。

    p167 猿田彦
     天孫降臨で瓊瓊杵尊に敵対した男。天照大神に瓊瓊杵尊が中つ国の平定を命令されて、日向国の高千穂へ降り立った際、天宇受売命が猿田彦を懐柔して先導役にした。
     タタル曰く、猿田彦は天宇受売命に殺されたという。そして猿田彦の一族諸共根絶やしにしたのだという。それで、天宇受売命がすぐに伊勢地方を支配するようになったという。

    p170 三本足
     八咫烏の三本足の意味。おそらく杖を持つ者のことだろうとタタルは言う。熊野詣でにしろ、お遍路にしろ、巡業する人は杖を持っている。
     八咫烏について考察する。カラスは「ミサキ」と呼ばれることもある。御先とは先導役のことをいう。しかし、ミサキは祟り神のこともあらわす。先導役は用済みになったら殺されることが多い。まるでどこかの猿○彦のようにね。からすを「空衆」と書くこともあるが、不誠実なという意味になりやはり裏切り者とか悪いイメージである。
     八咫という言葉についてだが、古事記では八咫の部分を「八阿多」と書かれている。この「阿多」は憎らしいとか不吉とかそういう悪い言葉である。賊(アタ)と言う字もあり、古語の「逆賊ふ(あたなふ)」難かで使われる。また「八」という字は末広がりの縁起の良い字と言うのは騙りであって、元は捌と書いて分断するという残酷な字なのである。
     八咫烏は、賊(アタ)を分断した烏なのである。朝廷に反逆する集団を撹乱した裏切り者のカラ衆なのである。どういう人物像か読んでわかる。

    p177 徐福
     秦の始皇帝の時代に、不老不死の薬を求める皇帝に「中国を探してもありません。蓬莱山にあります」といって日本に探しに行けと言われた嘘つき。そして大船団を率いて日本に来航して、その際の技術集団が日本に稲作文化などの大陸文化を持ち込んだ最初と言われる。

    p198 鬼
     「鬼に金棒」という諺があるが、鬼と鉄はそれほど関係が深い。おもに産鉄民として山奥に籠って朝廷に服従しない部落を鬼と呼んだ。

    p225 那智火祭
     熊野那智大社で毎年七月十四日に行われる例大祭。熊野那智大社から御滝前の飛滝神社への年に一度の里帰りの様子を表したものである。那智大社で十二本の扇の神輿に神を移し、飛滝神社に向かう。神社では十二本の50kgもある松明が迎え乱舞する。
     タタルはこの火柱に疑問を持つ。滝を祀るこの神社で火の祭りはおかしい。それに山火事の可能性もある場所で火を轟々と焚くなんて整合性がない。特別な意味がある。丹敷戸畔という熊野の伝説の女酋長がいる。神武の東征の際に熊野で殺されるという記述がサラッと日本書紀に出るが、自分たちの土地を朝廷から守るために必死に戦った。熊野には彼女の遺跡や祀った神社がいくつかある。その様子がこの祭りに表わされているのではと言うタタルの説。
     那智大社が攻め込んでまたこの地を火の海にしてくれようか、という脅しを込めた祭りなのだろうか…。

    p234 牛王宝印
     熊野三山で配布される特別な神札。意匠に烏の絵が用いられ「おからすさん」とも呼ばれる。これは護符として使ったり、誓約書として使う。それが珍しい。これを誓約書として血判を押し、嘘偽りのないことを誓った。もしこれを破れば血反吐を吐いて死ぬと言われた。
     しかし、なぜこれの意匠が烏なのか。各社の神札はそれぞれデザインが違うが、すべて88と48と72と八の倍数だけ烏がいる。八の烏。タタルはこれを「決して八咫烏にならない誓い」を表す意匠だという。
     そして、この神札に誓約を一枚描くたびに「熊野の烏が一羽か三羽死ぬと言われる。」これも不思議である。Wikiでは約束を破ると烏が死ぬと書いてあったが、なぜ約束を破った本人だけでなく熊野にも死ぬ者が出るのか。まるで裏切りで死ぬ羽目になった烏が熊野にいて、約束を破るとそいつのようになるよ、と言っているようじゃないか。
     

    p235 ジョウモンジン、ウソツカナイ
     弥生人は嘘を武器にして縄文人を征服していったのだろうと考えられる。縄文人は八百万の神とか憑神とか純粋に超人的現象を神と崇める純粋な人種だった。そこへ大陸で競争によって嘘を鍛えられた弥生人にまんまと乗っ取られそうになったのである。

    p251 アラハバキ
     「炎立つ」に出てきた、東北の岩石信仰の神。長髄彦は八咫烏の裏切りによって神武の東征で敗れたが、彼は東国に逃れたという説がある。そこでアラハバキになったという。「バキ」の部分が「髄=脛(ハギ)」
     ちなみにこの長隋彦(ナガスネヒコ)も神武の東征に抵抗した地方豪族で、神武をボこっている。最後には敗れたけど。(p141)

    p275 八咫烏
     八咫烏=高倉下(イワレヒコに建御雷神の剣を渡した)=饒速日命の部下。つまり熊野の豪族である長髄彦を裏切ったものだ。


    p282 速玉大神
     熊野三社に祀られる速玉大神は饒速日命のことだろうという。「速」という字が共通しているしね。
     饒速日命は怨霊だという。彼が祀られる大阪の石切劍箭神社はデンボ(皮膚病や梅毒)の神として有名だからという。
     熊野本宮の別離されていた第一殿と第二殿にいたのは夫須美大神と饒速日命だった。この汚れた二人を別離するためだったんだな。二人が居るのが西御先とあったが、御先=「ミサキ」、カラスのとこであった怨霊のことである。
     

    p287 長髄彦
     彼の名前の髄=脛は脚という意味から「真っ直ぐ正直なこと」という意味に変節できる。だから真っ直ぐすぎて頑固で話の分からない奴だったのだろう。
     タタルは長髄彦が家津御子大神だという。家津御子が祀られるのは「証誠殿」と呼ばれている。証誠とは真っ直ぐ正直ということである。
     そして家津御子は「欠身」=素戔嗚だった。長髄彦も土地を追われ身を欠いた、素戔嗚と同じ境遇だった。

    p290 後から家津御子命
     熊野三山の祭神は時代とともに変わった。奈良時代にはヤツミコはいなかったが、平安時代になるとヤツミコが本宮に、本宮にいた夫須美大神が那智大社に移動している。(p73)
     後からヤツミコが加わったのは、ヤツミコ(長髄彦)が後から捕えることができたからだろう。平安時代には坂上田村麻呂を筆頭に東国の平定が進んだ。それが関わっているのかな。

    p291 熊野分社
     熊野大社の分社は日本全国に3000ほどあるが、その分布上位五県は岩手、宮城、新潟、千葉、熊本である。東北に多いのである。

    p293 那智=難地
     タタルは言う。那智火祭は神武が丹敷戸畔を倒した際の火の海を表しているという。その丹敷戸畔の怨霊慰撫のための祭りだと。そこから、この丹敷戸畔が夫須美大神だろうという。
     彼女ら地元豪族らの激しい抵抗にあった土地=難地だったのだろう。


    p313 陰陽五行説
     熊野詣の順番。本宮大社(金)→熊野川(水)→速玉神社(木)→那智大社(火)→熊野古道(土)となる円順列。昔の陰陽五行説は恐ろしいほどの効用があったのだ。
     よく見ると那智大社は火にあたる。火祭はそういう意味もあるんだね。

    p316 カコ
     水夫のことをカコと読むことができる。どうしてこれがそんな読み方ができるのか。
     鹿という字を「洲処」とすることもできる。水辺のことだね。水辺にすむ船乗りの子を「鹿の子」つまり鹿児(カコ)と呼んだから水夫をカコと読むようになった。だから鹿という字は水辺の地域に就くことも多いのだ。

    p319 逆うち
     熊野詣は陰陽五行の順番(金は水を生じ、水は木を生じ、水は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じると循環する)のとおり本宮大社(金)→熊野川(水)→速玉神社(木)→那智大社(火)→熊野古道(土)と回ることで、最終的に本宮に祀られる家津御子大神=素戔嗚が生じさせることができる。そういう願掛けになるのだ。
     時の政権に抗おうとする人はこのように熊野詣をして、反逆者のスサノオのゲンを担ごうとするのである。後鳥羽上皇とかがこうやったらしい。
     そして時の権力者はこれを防ぐために、あえて逆回りをして、陰陽道の気の流れを堰き止めようとしたのだ。



    _______


     ふぅ、今回も疲れた。難しかったね。でも神武がどうやって権力者になって天皇家を築いたのか、その謎を知れてよかった。
     
     ただ熊野大社に行ったんじゃきっとつまらなかっただろう。これを読んでよかった。今度、熊野に行こう。

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    2015年05月19日
  • QED 出雲神伝説

    Posted by ブクログ

    ”QED 出雲神伝説”高田崇史著 講談社文庫(2013/01発売)
    (2011/10発売 講談社ノベルスの文庫版。解説:真中耕平)

    ・・・ひき逃げと惨殺事件に共通して残されていたのは、古の忍び”出雲神流”の籠の目紋であった。
    また、”出雲神流”を追っていた人物の行方不明事件も発覚。
    事件の真相は。
    事件から九年後を描いた短編”QED ~flumen~ 出雲大遷宮”も収録。

    ・・・連続する事件と”奈良県の出雲”。
    それぞれがうまくマッチングした作品でした。
    ”QED ~flumen~ 九段坂の春”のキャラクターも登場。
    最終巻である次巻を前に大盛り上がりの一冊でした。

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    2015年04月14日