あらすじ
「三十六歌仙絵」を狙った連続強盗殺人事件が発生。不可解な事件の手がかりは意外にも日光東照宮にあった。「陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」「摩多羅神」「北斗七星」。桑原崇が東照宮に鏤められた謎を解き明かした時、天海僧正が仕掛けた巨大な「深秘」が時空を超えて浮かび上がる。好調シリーズ第4弾!
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『俺たちは皆、籠の中の鳥にすぎないよ。『今、生きている時代』という籠の、ね。
現在という力場からは、どうしたって逃れようもないんだ。そして現在は、過去から未来への流れの一部分だ。
縛られたくなくても、知らず知らずのうちにきちんと縛り付けられている。色々な、呪いによってね。ただ、それに気づいているかいないかの違いだけだよ。』
QEDシリーズ、やっぱ面白いなぁ。
トンデモミステリで動機のぶっとんでる度合いははんぱないけど、歴史と現在の事件がうまく繋がっていて、謎解きも素晴らしい。
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例によって小松崎良平によって持ち込まれた事件に祟くん、奈々ちゃんが巻き込まれていく。話の本筋とは別に奈々ちゃんと祟くんのこれからの関係も気になるところ。
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殺人事件なんかどうでもよくなるくらい東照宮の「謎」が凄かったです。圧巻でした。今まで疑問に思っていたことが全部説明されて、なんだかすっきりした気分です。
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学校薬剤師会の親睦会への参加を外嶋から強要された奈々は日光へ赴いていた。そこで崇と小松崎に偶然遭遇する。三十六歌仙絵巻盗難と殺人事件とかごめは崇の守備範囲だと豪語する小松崎に苦笑しつつ奈々は再び東照宮を見物する羽目となる。
小松崎より有無を言わさず事件の全容を聞かされる奈々と崇。それは先日起きた二子玉川の事件だった。
八重垣リゾートの社長・八重垣俊介は寝室で何者かによって手足を不完全に切り落とされたまま第一発見者の妻に「かごめ」という不可解なメッセージを残して絶命する。傍らの金庫はこじ開けた形跡無く、中に入っていた三十六歌仙絵巻が無くなっていた。
そして第二の殺人が起こる。それは三十六歌仙絵巻を所有する花坊才蔵。彼は文字通り手足を切られバラバラにされていた。
犯人は意外な人物なので読み解きたい方は心してトライしてください。
という感じで事件の方も楽しめますが、この作品は何と言っても東照宮の謎。
面白いを通り過ぎて凄いとしか言い様が無い。
歴史ミステリー好きの方は是非読んで頂きたいですね。かごめの歌もこれに掛けて読み解いてます。歴史に埋もれてるので、正しい正しくないの判断はできませんが、こういう推論がたつという面白さに酔って下さい。大いに酔えます。
このシリーズでは今のところこの作品がイチオシ。
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今回は、歌仙絵をねらう連続窃盗強盗事件から、日光東照宮の謎に迫る。
日本史に明るくない私には、今回のような有名なテーマでも、途中zzz…となる場面もあった。
というか、日光東照宮に歌仙絵が飾られていることからこの窃盗強盗事件についての話が及ぶものの、テーマが遠くないかい?
犯人は警察官というのは意外でしたが、動機がこれまた奇想天外というか、崇にしか解き明かせないよね?という動機。
日光山と月山をむすぶルートにホテルを建設されると脈が途絶えるから…とは。
しかも本命以外はカモフラージュでABC殺人事件方式、事件を隠すなら時間の中というもの。
脈という本来見えないようなもの、建物があっても分断されることはないんじゃないかと思うが、はたして。
この本が書かれたのはだいぶ前だと思うが、現在(2025年)でもその脈は分断されずにいるのだろうか。
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つくづく和歌というものは侮れない。
表面に見えている言葉と、言葉の中に隠された裏の真意。
『百人一首の呪』の時も思ったけれども、歌を曼荼羅図のように並べて意味を問うという発想がなかったものだから、今回も三十六歌仙の歌を並べ替えて閉じた環を作れることに驚いた。
藤原公任は本当にそこまで考えて選出したのだろうか。
だとしたら平安時代の貴族の和歌に対する情熱は、私が思っている以上のものなのだな。
そしてもし、そこまで考えていなかったものを、作者が強引に作り上げたのだとしたら、作者の情熱に頭が下がる。
そして今作は、「三十六歌仙絵」から始まる家康の呪だ。
なんとしてでも天皇家を押さえて徳川家を上に、という野望。
いつから家康はそんなことを考えていたのだろう。
でも、家康と後水尾天皇との確執は知っていたから、まったくの絵空事ではない説得力を感じてしまった。
金食い虫の貴族社会は縮小し、天皇の権威は徳川将軍家に移行させるために天皇家の面子を潰しまくった家康。
そして日光東照宮は天皇家ににらみを利かすために、数々の仕掛けを施した。
それを実行したのが天海僧正と言われている。
が、天海僧正にはさらに隠された野望があった。
…僧正にまで上り詰めながら、野望は捨てられないの?
悟りは開けなかったの?
歴史は好きなんだが、宗教が絡むと途端に難しくなってしまう。
まあ、これからもボチボチ勉強するとして。
いきなり明かされた犯人の動機が突拍子もなさ過ぎて。
犯人にとって100年ほど昔の歴史と、今現在の自分の恋愛とでは、歴史のほうが大事だったんだね。
それから事件とは全然関係ない話だけど、最初の被害者の息子である慶一。
親の敷いたレールの上しか動けない人生。
でも、それが楽だと思っている。
選択しなくていい、責任を持たなくていい人生。
これが、自分のことのようによくわかる。
私も「好きなようにしなさい」と言われると困ってしまうので。
正解がないと不安になる。
だから『あつ森』も『マンクラ』もできない。
決められたゴールがないと、どうやってスタートしたらいいのかわからないのだ。
慶一の狡さは、私の狡さと同じだな。
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日光東照宮の存在意義に迫るという、今回も壮大なスケールの謎解きでした。
半分はこじつけかもしれないけれど、よくもここまで関連付けて理論を展開できるものだと関心するし、ある程度は真実かもと思ってしまいます。
その高田理論の真実味の加減が絶妙なんですよね。
ただ、かごめかごめは流石に飛躍しすぎかな。遊女説に軍配を上げたいです。
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徳川幕府嫌いの後水尾天皇の書のおかげで、倒幕の官軍から東照宮が守られた事。
動物、奇獣盛りだくさんの東照宮にいない、馬の秘密。今回も、盛りだくさんで楽しかったです。
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東照宮に展示されている三十六歌仙絵の歌が通常の物と異なるというタタルの発見から物語が始まるので、今回も和歌にまつわる話になるのかと思いましたが、メインの謎はタイトルどおり日光東照宮についてでした。
天海僧正が京都を模したり風水や陰陽道に基づき寺社を配置して徳川の時代が長く繁栄する様に江戸の町を設計したという話は聞いたことがありましたが、その要となる東照宮を脇役に据える様な仕掛けとしていたなんて、その発想のスケールの大きさに圧倒されました。
こんな謎の前には殺人事件さえ瑣末に思えます。
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今回は蘊蓄がバランスよく盛り込まれていて、読みやすかったように思います。毎回の事ながら行ってみたくなりますね。話の中心は自分にとって大事に思うものは必ずしも他人も同じように思うとは限らない。今回の犯人はタタルくん並に土地の歴史を重んじるひとだった為に、分断される事に耐えられず次々と関連したひとを殺していく。正直その気持ちは理解出来ませんが、もし今回うまくいったとして一旦流れても、分断する話はまた今後あるかと思うのですがそのたびに殺すつもりだったんでしょうか、うーん。
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日光東照宮へ旅行に行くときは本作を復習しております(笑)
新たな発見もあり、楽しいのです。
最近、QEDの使い方が旅ガイドになってきてるな(笑)
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一瞬「狂っている」と思った犯人の動機ですが、現代に生きる我々が行動する基準も似たり寄ったりなのかもしれません。日光に行く楽しみが増えました。秋頃に行ってみよう。
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巨大な謎の複合体(コンプレックス) 東照宮に挑む、桑原崇
「三十六歌仙絵」を狙った連続強盗殺人事件が発生。不可解な事件の手がかりは意外にも日光東照宮にあった。「陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」「摩多羅神(またらじん)」「北斗七星」。桑原崇が東照宮に鏤められた謎を解き明かした時、天海僧正が仕掛けた巨大な「深秘(じんぴ)」が時空を超えて浮かび上がる。好調シリーズ第4弾!
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天海が日光東照宮に隠した呪術が幾重にも折り重なっている様相が本当に面白かった!
事件との関連は飛躍しているように感じたけど、これもその人の視ている面の違いかと思うと納得はできた。
この1冊で深秘の魅力に惹かれたのも、気の成せる業なのかもしれない……
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東照宮の秘密がおもしろい。一度は行ってみたいな。
殺人の動機がそれとはね。
まあ人それぞれ。動機もそれぞれ。そんな殺人も歴史の中にはあるのかもしれない。
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久し振りのQED。きたぜ南光坊天海。行きたいぜ日光東照宮。胡散臭さも含めて納得したような気になる安定のお楽しみ蘊蓄。主人公たちの人間関係も健全な学生集団のように安定してる。作者はいじる気ないのかな。いつもはおまけでしかない事件も今回は唖然。これはバカミスの括りでいい気がする。ちょい役にはもったいない外嶋の出番増を期待したい。数年前、京博で「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」をやってたな。和歌自体はようわからんけど観たかった。
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最高傑作との呼び声も高い第4弾。 今回のテーマは「三十六歌仙絵」と「東照宮」。そして、とある有名な童謡・・・今回の事件はおこるべくして起こった、と言ってもいい(くらいに歴史薀蓄とマッチしている)と思います。 このシリーズの犯人や重要な人物って、自分だけの世界、と言うか使命を持っている人が多いようです。なんにせよ、今回も歴史薀蓄の雨霰。覚悟してお読みください(笑)
Posted by ブクログ
読書録「QED東照宮の怨」3
著者 高田崇史
出版 講談社文庫
p246より引用
“ 色々な知識は、持っているに越したこと
はないが、持っているからといって、それ以
上先に進まなければ、何の意味もない。自分
が、辞典やCD-ROMになるのではなく、それを
活用してこそ、その人間にも資料にも、初め
て価値が出てくるのだから。”
目次より抜粋引用
“阿形
其の市
其の爾
其の惨
其の死”
博学な変人薬剤師とその後輩を主人公とし
た、長編ミステリ小説。同社刊行作文庫版。
シリーズ第四弾。
忙しい夏場を乗り切り、少し落ち着いて薬
局の仕事に励む主人公・棚旗奈々。次に来る
風邪のシーズンに備え、気持ちを整えている
時期のはずが、人の入れ換わりが起こり…。
上記の引用は、日光東照宮についての主人
公・桑原の説明を受けた、棚橋奈々の胸の内。
活用できる知識を持って何かを成すのは、大
事な事なのでしょう。しかし、何の役にも立
たない知識が増えることに喜びを覚えるのも
人の営みらしいですから、隣に居たら便利な
辞書のような人になるのも、面白いかもしれ
ません。ネットで検索する時代になって、も
う必要ともされないのかもしれませんが。
歴史上の出来事とそこに隠された人の思惑、
それが回り巡って現代で事件となる。ミステ
リ好きでなくても面白いシリーズではないで
しょうか。
ーーーーー
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東照宮に行く前にこの物語に出会っていたらもっと違う視点で見ることが出来ただろう。
何気なく観光していたけれど、東照宮には観光案内に載っていない見所がこんなにもあったとは!!
東照宮にまつわるタタルの話は本当に面白かった。
たとえそれが、学問的には「そういう見方も出来ないことはないよね」などと言われるようなものであったとしても、東照宮に対する認識を変えるだけの内容だった。
QEDシリーズはミステリーとしての謎解きよりも、タタルの語る「うんちく」目当てに読んでいるようなところがある。
Posted by ブクログ
東照宮をからめた天海の壮大すぎる仕掛けは、
シリーズ特有の大胆さとトンデモさがありつつ
面白いし知識が乏しい私にとっては
突っ込みどころもなく楽しめたんだけど…。
ミステリと歴史の謎、
今までの同シリーズほどしっくり絡みあってる印象がなくて
妙に事件が淡泊に感じてしまった。
淡泊…ちょっと違うかも、
全然感情的に理解のできないドラマに思ってしまった。
(それは作中の登場人物らも同じだったけど)
トリックもさして驚くべき内容がなかったのも
物足りなさの原因かもしれない。
ともあれ、これを読むと無性に観光にいきたくなる!
そういう意味で歴史エンタメ物としては推したいところ。
Posted by ブクログ
蘊蓄長いのと、犯罪の動機があまり馴染まない、そういう人もいるってのはわかるし、それによってこんなことをするのもわかるけど、あんまり小説の犯罪の理由としてしっくりこないので、こんなものかな、と。
蘊蓄はかなり読み飛ばした。が、ちゃんと流れをつかめる程度には理解した。世界遺産に登録されるだけのことあるわ、東照宮、と思った。
Posted by ブクログ
まてしても仕事を押しつけられて行った先で
ばったりと出会った、いつもの2人。
なぜこんな所にいるかといえば、またいつもの理由。
豆知識として、神社と大杜と神宮の違いが分かりました。
後は宮、がついた所の例外が2つしかない、という事。
その片方が、今回の副題になっている東照宮。
しかし、実際の所として、どんな所かさっぱり…w
今回の犯人は驚きの! という感じがありましたが
それよりも動きが驚きです。
まぁ本人にとっては大事な事です。
他者には理解できなくとも、本人の意志が一番ですから。
今回の話は苦手な方でした。
和歌が駄目なのか、その時代が駄目なのか
さっぱり分かりませんが。
しかし大事な人のポジションにいたはずなのに
教えて貰ってないんだな、と思いましたが
そういえば最初の方に家族の秘密、みたいな事が。
本文中にも、言う事でもない、な文章があった気がします。
おかげで無事でしたし、結果良ければすべてよし?
Posted by ブクログ
再読。事件解明の展開より、日光東照宮の謎解明の壮大な展開の方に驚かされる。タイムリーな会津の歴史も顔を出していたのは再読の儲けもの。
次はどんな歴史の謎を解いてくれるのか楽しみになるシリーズ。
Posted by ブクログ
QEDシリーズ4作目。
今回はバラバラにされた三十六歌仙の絵巻と日光東照宮に纏わる謎について。薀蓄は相変わらず面白かった。少し今回はハードル高かったけど。薀蓄に熱が注がれている分、事件の真相の方は、、、もう、どうでもいい(苦笑)。事件のミステリを追及すると、このシリーズはもう読めない、と割り切ることにする。ただひたすらタタルの薀蓄を楽しむべし。
Posted by ブクログ
雑学満載!興味ない人には耐えられないでしょう。興味はあっても頭の悪い私は、混乱しました。。。歴史上の人物に、仏達・・・最近やっと如来と菩薩の違いを知ったワタクシにはハードルが高かった。。。物語自体は・・・まぁまぁかな
Posted by ブクログ
今回も歴史ミステリーと現代の事件がタタルの頭脳によって証明される。
毎回、感想に書いてる気がしますが、またもや知らないことをタタルに学ばさせて頂きましたね
しかし、読んでると思うのが、この『東照宮の怨』の時点では、タタルと奈々は頻繁どころか前回の事件の後はほとんど会ってない模様。そして、会うと何か事件に巻き込まれる
オカルト研究会の会長だったのと字が似てるってことであだ名になった『祟る=タタル』でも、今や奈々も祟られてるのではと思ってしまいます。
今回の「三十六歌仙絵」??恥ずかしながらよくわかりません。まぁ、4作目まで来たら、いつものことです、奈々と共に学びましょう!