あらすじ
「陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、30年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾!
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安倍晴明と式神を中心に取り扱っているけど、解釈が面白かったし、決して摩訶不思議でない当時の日の目を見なかった存在に対する思いを垣間見れて、むしろ世間一般で流布している陰陽師系の話より、より興味を強く持てた。
今まで晴明神社に敢えて行こうと思わなかったけど、この話を読んで俄然行ってみたいと思った。
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シリーズ五冊目。
式といえば陰陽道。陰陽道と言えば安倍清明。という事で、桑原と小松崎が事件を回想すると共に清明が使役していた式の存在に迫る作品。
個人的にはシリーズの中で一番好き。
式の解釈についても、私としては非常に納得がいく。
つくづく卒論を書くまでにこのシリーズを知っておきたかったと思う。
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桑原崇が歴史と事件の謎を解き明かす、好評シリーズ第五弾。
2002年講談社のベルズ主宰で「メフィスト賞作家による密室本」の競作を行った内の一冊。
式神の定義にはそういう見方もあるかと驚嘆w
密室に関しても…。
短いながら、このシリーズ一のお気に入りだったりします。
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今回は、三十年前の殺人事件の被害者の孫が、その密室の謎を大学生時代の桑原崇に解いてもらったという、過去の事件の話。
しかも飲み会での話題。
弓削家という陰陽師の家系であることから、被害者の孫である和也は、犯人は式神を使って祖父を殺したのだと主張する。
「そんなものあるはずはない」という大方の人たちと意を異にするのがタタルで、「見えないだけで存在している」と言う。
それはいったいどういう意味か?
平安貴族からすると、官位五位未満は人ではないのだ。
とはいえ、実際には貴族の世話をしたりする庶民もいる。
そして、さらにその下には、賤民がいた。
朝廷にまつろわぬ民の末裔。
それは人ではなく、鬼や蝦夷やキツネや河童のように別のものとして扱われ、身分も住処も与えられることはなかった。
流れ者として芸を売ったり身を売ったり。
そういう一族が、華やかな都に確かにいたのだ。
人ではないのだから、当然目には見えない。
そんなことがあるのだろうか。
目に見えないといっても、現にそこに彼らは存在しているのに。
しかし、例えばいつも通る道に不意に現れた更地を見て、ここには依然何が建っていたのだろうと思うことがしばしばある。
絶対に目にしているはずなのに、思い出せない。
私にはそこが見えていなかったのだ、きっと。
今回はちゃんとした密室殺人だなあと思って読んでいたのに、やっぱりちゃんとした密室ではなかった。
人の心が作った階級が、同じ人間たちを見えない存在にしてしまう。
今も、学校や地域で村八分という、見えない扱いを許す行為は残されている。
それは愚かな行為であると、皆が自覚しなければなくならないのだろう。
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式を陰陽師が使役する実情や山に住む鬼や狐の本当の意味などがわかって、昔は差別が当たり前で人のほうが少ないとか今ではとても考えられないですね。私たちはひとではなくて鬼の子ってことになりますね。今でも人なのは天皇?とかになるのかな。あ、でも天皇は神の子かな。蘊蓄は相変わらず一度読んだだけだと把握しきれません。
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今回は毎度お決まりの薬局で働く奈々の描写はない。いきなりいつものバーで三人そろった所から始まる。
…いつもこうならいいのに。正直薬局のグダグダはいらない。今回みたいにバーでの会合から始まるってのを毎回のパターンにしてほしい。
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「百人一首」「六歌仙」「日光東照宮」「シャーロックホームズ」そしてついに「陰陽師」。
これならわたしも知ってるよ~
夢枕獏さんの本を読みまくってるから、晴明が葉っぱで蛙を殺しちゃった話とか、晴明の家には人がいなくても自然と火が燈ったり戸が開いたりするって逸話も知ってたし。
でもその真相を知ってびっくり!!
そういうことだったのか。
確かに、全ての謎は解けた。
でもそんな真実、悲しいなぁ。
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QEDシリーズ5作目。
今作の薀蓄は、「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体について。過去に起こった密室事件を、大学1回生の祟が解き明かす。
これまでのシリーズ作品よりかなり本が薄いが、薀蓄のクオリティは高し。どっちかというと、これくらいの長さの方が読みやすいかもしれない。人あらざるモノである「鬼」やら「河童」やらの正体、人から見えざるモノである「式神」の正体には、衝撃が走るほどの真相が。この説には思わず唸らされました。
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古代史の謎が、現代の殺人事件と融合する物語。
旧家の殺人事件の謎もどこか不気味で、面白かった。安倍晴明、陰陽師、古来からの鬼や狐信仰の印象も少し変わったかも。“人になれなかった”人達の悲しい歴史がそこにはあったのかもしれないなと思うと切ない
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今回のテーマは安倍晴明と式神。
かつて朝廷がまつろわぬ人々を利権のために迫害し、彼等に鬼や獣の蔑称を付けて自らの行動を正当化していたという説は知っていたし、海外にも数多く見られることから恐らく本当だったのだろうとおもう。だけど、陰陽師が使役していたという式神が目に見えない理由が人間以下の存在だったからという説は目から鱗でした。
ただ、地名に関する解釈はやや深読みしすぎな気がします。
Posted by ブクログ
『人々がその喧伝を信じるか信じないかなどということは、二の次だ。次元の違う話なんだよ。つまりここで彼ら ー 朝廷の貴族たちが言いたかったのは『鬼と接触した者は、鬼と同様であると見做す』ということなんだ。』
古代日本社会に蔓延る差別の歴史を明らかにし、鬼ごっこの起源まで説明してくれるなんてさすがだな。推理が遠回りすぎて誰もついてきてくれないところが最高に面白い。
Posted by ブクログ
ちょっと薄目の本だったので少々物足りないかな。でも、夢枕獏の陰陽師を読んだばっかりだったので解説知識がかなり面白かった。
特に式神の正体は、解釈でこんな風になるのかと。まあ、冷静に考えればそうか。
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大学時代、学部も違う彼らがどこで知り合ったのか。
それは一冊の本がきっかけだった。
一冊の本を犠牲にして知り合った彼ら。
染まってしまった本には茫然としてしまうものがありますが
知り合って間もない人だからこそ、の濃い話?
話を聞いただけで、ここまでですから
今回は安楽椅子探偵状態。
確かに嘘はないし、全て真実ではある。
がしかし…それは確実に現実見てないって事では?!
それを言ったら、今回の下敷きになっている陰陽師。
確かに『式』がそれだったら、話は通じます。
今と違って、下々の者は人というくくりにすらなかったと言われると
全てがきれいに繋がります。
鷹揚にして、上の人達は下の人達に支えてもらっているとは
気が付いてませんから…。
事件よりも何よりも、その説明の方が気になりました。
Posted by ブクログ
本の厚さが薄くなって不安だったが、予想に反して内容は濃かったと思う。式神の正体の解釈と雑草の例えには説得力があった。
謎解きの主役は歴史に名を残した偉人たちから歴史の闇に葬られたその他大勢の民たちへ。
歴史をより身近に感じる。
Posted by ブクログ
コンパクトにまとまっているのに内容は濃いですね。
語られ騙られた歴史の謎解きは鮮やか。
陰陽師や鬼に関する言及はホントすごいと思います。
相変わらず、カクテルは美味しそう♪
いいなぁ、適度に音量を落としたスロージャズが流れる中で、ミモザとかギムレットとかホワイトレディとか静かに傾けたり、、、
でも、話題は(猟奇)殺人とマニアックな歴史、民俗学談義^^;
Posted by ブクログ
珍しく、薄いです。そして、大好きな鬼の話^^結果は見えていましたが、鬼談義がものすごく楽しくて、特殊機関の隠密任務とか空想しながら楽しく読ませて頂きました。
Posted by ブクログ
今回謎解く歴史の真相とは、安倍晴明伝説!自分の知識はやはり2作作られえたあの映画ですがそんな内容とは全然違う真実!式神の正体などタタルの説を聞くことができます。
なぜでしょう、タタルのいつも証明することはなんとも説得力があるんですよね~
実際の事件よりタタルのこの証明の方が毎回気になります。
起きた事件のほうは、なんとなく明治・昭和ミステリーのような雰囲気が漂うんですよね
なんか、結末が解る時も、今の時代にはこの設定で小説書いたら古いと思うけど、設定は30年以上も前の事件、それもタタルが大学1年の時の30年以上前ですから、40年近く前の設定ですからこれはこれでありな?
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「陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。
シリーズ第5弾。
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「陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾!