あらすじ
「三十六歌仙絵」を狙った連続強盗殺人事件が発生。不可解な事件の手がかりは意外にも日光東照宮にあった。「陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」「摩多羅神」「北斗七星」。桑原崇が東照宮に鏤められた謎を解き明かした時、天海僧正が仕掛けた巨大な「深秘」が時空を超えて浮かび上がる。好調シリーズ第4弾!
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Posted by ブクログ
今回は、歌仙絵をねらう連続窃盗強盗事件から、日光東照宮の謎に迫る。
日本史に明るくない私には、今回のような有名なテーマでも、途中zzz…となる場面もあった。
というか、日光東照宮に歌仙絵が飾られていることからこの窃盗強盗事件についての話が及ぶものの、テーマが遠くないかい?
犯人は警察官というのは意外でしたが、動機がこれまた奇想天外というか、崇にしか解き明かせないよね?という動機。
日光山と月山をむすぶルートにホテルを建設されると脈が途絶えるから…とは。
しかも本命以外はカモフラージュでABC殺人事件方式、事件を隠すなら時間の中というもの。
脈という本来見えないようなもの、建物があっても分断されることはないんじゃないかと思うが、はたして。
この本が書かれたのはだいぶ前だと思うが、現在(2025年)でもその脈は分断されずにいるのだろうか。
Posted by ブクログ
つくづく和歌というものは侮れない。
表面に見えている言葉と、言葉の中に隠された裏の真意。
『百人一首の呪』の時も思ったけれども、歌を曼荼羅図のように並べて意味を問うという発想がなかったものだから、今回も三十六歌仙の歌を並べ替えて閉じた環を作れることに驚いた。
藤原公任は本当にそこまで考えて選出したのだろうか。
だとしたら平安時代の貴族の和歌に対する情熱は、私が思っている以上のものなのだな。
そしてもし、そこまで考えていなかったものを、作者が強引に作り上げたのだとしたら、作者の情熱に頭が下がる。
そして今作は、「三十六歌仙絵」から始まる家康の呪だ。
なんとしてでも天皇家を押さえて徳川家を上に、という野望。
いつから家康はそんなことを考えていたのだろう。
でも、家康と後水尾天皇との確執は知っていたから、まったくの絵空事ではない説得力を感じてしまった。
金食い虫の貴族社会は縮小し、天皇の権威は徳川将軍家に移行させるために天皇家の面子を潰しまくった家康。
そして日光東照宮は天皇家ににらみを利かすために、数々の仕掛けを施した。
それを実行したのが天海僧正と言われている。
が、天海僧正にはさらに隠された野望があった。
…僧正にまで上り詰めながら、野望は捨てられないの?
悟りは開けなかったの?
歴史は好きなんだが、宗教が絡むと途端に難しくなってしまう。
まあ、これからもボチボチ勉強するとして。
いきなり明かされた犯人の動機が突拍子もなさ過ぎて。
犯人にとって100年ほど昔の歴史と、今現在の自分の恋愛とでは、歴史のほうが大事だったんだね。
それから事件とは全然関係ない話だけど、最初の被害者の息子である慶一。
親の敷いたレールの上しか動けない人生。
でも、それが楽だと思っている。
選択しなくていい、責任を持たなくていい人生。
これが、自分のことのようによくわかる。
私も「好きなようにしなさい」と言われると困ってしまうので。
正解がないと不安になる。
だから『あつ森』も『マンクラ』もできない。
決められたゴールがないと、どうやってスタートしたらいいのかわからないのだ。
慶一の狡さは、私の狡さと同じだな。