萩尾望都のレビュー一覧
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人の思惑から自由に生きたい、下心のある親切心は受けたくない、感謝なんてしたくない、感謝知らずの男になりたいんだー。
それがその話の結論だった。ずいぶんへんてこな結びだけど、タイトルにもなってしまうくらいなので主題だ。
主人公は「いつも少しだけ生きるパワーが足りない」と友人に称される、ローテンション省エネタイプのダンサーの男。どうやらバレエの才能はあるらしいが、人との関わりが苦手で、一人で静かに過ごしたい。しかし周りの人間はそんなのお構いなしにおせっかいや世話を焼き、放っておいてはくれない。ああ嫌だ嫌だと思いながら差し出される親切に乗って"あげて"いると、やがて親切を焼いてきた人たちから糾弾されるのだ、おまえはなぜ恩を仇を返すようなことをするのだ?私たちがこんなにあなたを想っているのにこの仕打ちはなあに?
…ああ苦しい。わかる、この親切の押し売り。彼らの期待通りに反応を返せなかったことに対して怒られてしまう感じ。主人公よ、あなた私?
なんでこんなこと取り上げてわざわざ作品にするの、と思うような気持ちや出来事を描いている漫画です。連作短編集で、他にもいくつかお話があります。少しだけ気持ちがザラッとする、しかし誰もが体験したことがあるようなことが、低温のユーモアと共に描かれます。
ちなみに主人公はレヴィという、同じくバレエ漫画の「ローマへの道」で脇役で登場した人物。本作はスピンオフ作品なんですね。「ローマ」では先輩ダンサーだったレヴィの若い頃の、ナイーヴな体験を垣間見れます。
レヴィの友人シグがいい!
アーチーとの間の友情の変化、オトナになる過程であるよね…
などなど、楽しみ方が幾通りもある…
本編の「ローマへの道」より好きかも。
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Posted by ブクログ
2巻目。文庫版で、この巻で完結。
一巻目はまだ不思議な学園生活ものぽかったのに、だんだん話が壮大になってくる。
ある惑星に生息する「楽器」の結晶、自分と共鳴する「楽器」の結晶と出会えれば、世紀の演奏家として宇宙で活躍できる…とか。
宇宙の音大で競ったライバルがいるが、ある試練のために別の惑星に行ったところ、恐ろしいことが起こった…がどうやら記録が抹消されて隠されている…とか。
宇宙警察的な人が地球に来て…とか。
どんどん広がっていく話なのだけれど、最後は、「やっぱこいつは俺がいないとダメなんだ…」と逗子の海辺で二人で並んで座って終わる。緩急がいい。話のたたみ方が見事。
でもほんと、一巻の冒頭の、沖縄の歌手とのあの情緒的なお話のくだりはどこ行っちゃったのさ…てっきりメインキャラの一人だと思ったのに…て読み返すたびに毎回思います。あの冒頭以降、沖縄組のキャラクターたちは一人も本編に再登場しない。この方向転換は、意図したものだったのか、成り行き任せに描いていったらそうなっちゃったのか?!萩尾望都にしては珍しいチグハグ巻が味わえる作品です(笑) -
Posted by ブクログ
萩尾望都さんに関する評論本を読んで勢いづき、再読ブームが来てしまった(何度め?)。
70年代の本は実家のほうが揃ってるのだけど、80年代後半の作品以降は、私の家にも少しずつ揃えられていて。1番手前にあった海のアリアをまずは手に取り再読。
この作品は結構もうモダン望都の雰囲気が漂っていて、トーマの心臓時代の初期の高尚な文学的でおしゃれで儚い雰囲気は消えかけてる。代わりに少し砕けた、日本の学校生活を送る高校生たちが出てくる。もちろんSFで、宇宙から来た人などが紛れてくる。
冒頭千葉で海で事故に遭った主人公の高校生男子が、沖縄の海岸で発見される。何も知らない赤ん坊のような様子。この子は本当にあの事故で行方不明になった男の子なのか?不思議に思う弟と学友たちと、不思議な学園生活が始まる…。そこへ新任の音楽教師が来るのだけれども、なぜか主人公を知ってる様子…。
という展開。そう、このあと、めくるめく展開が待っている。冒頭で、主人公を拾った沖縄の歌手マリア、なにかドラマが始まりそうな設定と周りの登場人物だったけど、いつの間にかすんとも登場しなくなる…のだが、そんなことにも気が付かないほどのめくるめく展開…! -
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いろいろなものがつまっている。
逗子で遭難し、その後遠く沖縄で発見された見た目はアベルの少年。
親と子、兄弟のそれぞれの葛藤や性的虐待やSF的要素など盛りだくさん。
今まで知らなかった。凄い作品だ。 -
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50年代のモノクロ映画をみているような気分。
親子でありながら隔たりがありうまくいかない。
憎しみながら、ただただ優しく声をかけて抱きしめてくれたら・・・。 -
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1974年から「週刊少女コミック」連載作品
ドイツのギムナジウムが舞台
春近い雪の日 誰からも愛された少年寄宿生トーマが 陸橋から転落死
トーマは 先輩のユーリに遺書を残す
「これが ぼくの愛
これが僕の心臓」
ユーリは 品行方正成績優秀な美少年
しかし、ある過去のトラブルから感情を隠し友人とも一線を保ち学生生活を送っていた
トーマの気持ちを知りつつも
それを拒否していた
遺書さえも 受け入れようとはしない
ユーリが自分の出自やトラブルを受け止めて
トーマの死の真意を受け止めるまでの物語
ユーリと同室で自分の気持ちを表現することなく支えるオスカー
亡くなったトーマにそっくりの転校生エーリックは ユーリへの気持ちを隠さずに包みたい
亡くなったトーマは 死んでユーリの記憶の中で生き続ける
彼らは家庭にそれぞれ悩みを持ちながら ギムナジウムという場所で 友人であり家族でありそれ以上の感情をも持ちながら大人になっていく
ほぼ半世紀前の伝説的コミック
思春期の美しい少年達をめぐるストーリーと詩的なモノローグ
嫌いな部分が見つけられない
なんだけど ひまわり師匠の「聖書の壁」的なものも感じてしまう作品なんですよね
ユーリは羽をもがれた天使的に表現されるし
ユーリが神学校に転校していく際
「ルネッサンスとヒューマニズム」がプレゼントされる これにはトーマの手紙も挟まれているのだけれど このあたりの意味合いを理解できていないんですよね しかもユーリはギリシャ系のミックスという設定だったと思う
それでも 傑作です!