池内紀のレビュー一覧
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購入済み
東京の旅行紀
東京以外の著者の旅行エッセイも読んでいるが、この作品は東京の居住者が一泊して東京を散策するというユニークなもので興味深く読了した。著者は東京大学のドイツ文学の教授という経歴のためか、文章が論理的であり、しかも簡潔な文体で、私自身、氏の文章を参考にさせて頂いている。近年はこれらの新作が発表されておらず、新たな発刊を期待したい。
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Posted by ブクログ
映画「永遠のジャンゴ」を
観てきたばかりです
ジプシージャズの神様とも言われた
ジャンゴ・ラインハルトの
ナチスからの受難の時代を
ジャンゴはギターという武器を携えて
乗り越えた
その足跡を描いた映画です
そして、
この一冊
トーマス・マンさんが
亡命させられた文学者の立場から
ペンという武器を携えて
ナチスの時代を生き抜いた
その苦難の足跡を
膨大な量の日記を読み通す中で
わかりやすく
興味深く
その時代の考証も交えて
博覧強記の文学者
池内紀さんが
トーマス・マンさんが
書き続け
生き抜いてこられた
その足跡を
「日記」から
ひも解いてこられた
その時の
トーマ -
Posted by ブクログ
「全体主義」への関心から、読んでみる。(最近、アーレントを読んでいるのは、もともと「全体主義」への関心が根っこにあったからで、逆ではなかった。今は、逆転しているかもしれないが。。。)
全10巻あるトーマス・マンの日記(約20年分)が、30年かけて翻訳されるのにあわせて、出版元の季刊誌に書かれたエッセイを集めたもの。(マンの日記が翻訳されているのはなんとなく知っていたけど、30年もコツコツと翻訳し、出版するという努力がなされていたことに驚く)
タイトルで言われるほど、「マン対ナチス」という本ではない。マンの日記を大まかな年代に分けつつも、時系列に沿って記述するのではなく、そこから浮かび上がる -
Posted by ブクログ
『蜘蛛の巣』
1923年に書かれた本作は、既にナチの脅威を的確に予知しています。ロートは予言者であり、シャーマン。アル中ゆえでしょうか。もしくは時代を感じとる神経過敏さがアル中へと繋がったのでしょうか。またこれがウィーンで新聞連載だったというのが凄い。
ヨーゼフ・ロートの何が凄いかまとめると、
・10年後のヒトラー台頭の予言と、ナチというものの原理を的確に描写
・「ユダヤ人に向けられた憎しみの心性」をユダヤ人が的確に描写
・当時の陰惨な世界を渇いた目で描写。ワイマール後は想像以上に地獄だったようで。簡潔な文体で、今でもありありとよみがえらせるところ
・亡命してアル中で死ぬ点
ここには、貧困と -
Posted by ブクログ
ネタバレたまに読みたくなり、読むとでかけたくなる。
牧水さんが、関東近郊に出掛けた紀行エッセイ。
その土地を知ってるから、楽しさも倍増、なのだが、とにかくアホっぽいのがとても楽しい。
子規の「病状六尺」も、患って寝ている子規の大食漢ぶりがアホっぽくておもしろいが
牧水も全く高尚な文化人を微塵もみせず(笑)
丸沼では「酒をくれ」ととなり村(って峠1つ越えますよ…)まで買いにいかせ
川原湯温泉から軽井沢まではバスに乗り遅れ、徒歩で強硬突破…も、遭難しそうになりくじけそうになる。
貴殿はアホでいらっしゃいますか?
と、つっこみたくなる。
このおバカさん加減が堪らなくおもしろい。