池内紀のレビュー一覧
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ネタバレすごいトシヨリBOOK
トシをとると楽しみがふえる
著者:池内紀
発行:2017年8月15日
毎日新聞出版
有名なドイツ文学者だった彼は、冒頭で自分がいなくなる予定を三年ずつ延ばして、延長した時間の中で人生を生きていく、と書いている。2017年夏にあとがきを書いているが、他界したのが2019年夏。三年の延長の節目だったのだろうか。
55歳で東大教授を早期退官し、作家、翻訳家、ドイツ文学研究者などとして自由に生きていった姿が覗える快作だった。僕は著者が出ていたラジオ番組(日曜喫茶室)が好きで、著者のファンでもあった。もう新しい作品が読めないと思うと寂しい限りだ。
この本を読んでいると、著 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
第1章 水の都 東京
第2章 江戸の面影
第3章 明治、大正、昭和をたどる
第4章 東京生まれの東京育ち
第5章 小さな旅
第6章 味な散歩
<内容>
ドイツ文学者で旅行・散歩の達人による、他の作家の旅行・散歩本に載るところを旅する本。「散歩の達人」に連載をまとめたもの。明治期のものから平成のものまで、散歩したくなる内容。著者は、書棚に「行きたいところ」のファイルがあり、新聞や雑誌などで見かけて、面白そうだと感じると、片っ端からこのファイルに突っ込み、気が向くと出かけるらしい。ついでのときに近隣の地図もコピるらしいので、さすがに筋金入りだ。こっちは、興味を持ったところを -
Posted by ブクログ
「ひとり旅には手本がある。たとえば、若山牧水、山下清、寅さん・・(略)・・いずれも旅の名人である。それが証拠に、きちんと自分のスタイルを持っている・・(略)・・それぞれスタイルが決まっているのは、自分にぴったりのものを体験で学びとったせいである。厳しい条件の中で、一つまた一つとムダを省いた。
ひとり旅が自由気ままと思うのは錯覚である。それはひときわきびしい生活条件を自分ひとりで引き受けること。一つたりともムダを道づれにはできないのだ。
・・・よそへ出かけたからといって、べつに新しいことがあるわけではない。変化はしていてもあたらしくないのだ。旅先だからこそ新鮮でえがたい冒険になる。新しさと冒