池内紀のレビュー一覧

  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    著者は、かなりマメな人である。メモを取るにしても、コレクションをするにしても、それらを自分で楽しみながら実践されておられる。老いを楽しむ一つのヒントは、マメになることなのである。

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    2022年09月02日
  • すごいトシヨリ散歩

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    『望星』という雑誌で2016年9月号から2019年9月号まで連載されていた対談がまとめられています。対談が行われていた当時のお互いの仕事についても語り合われているのですが、池内さんが、のちに『ヒトラーの時代』としてまとめた仕事について語っているところは、その後の成り行きを知っている今から読むと切なくなります。東京・映画・旅といった話題はいきいきと楽しそうに語られていて、特にお二人が若い頃に経験した喫茶店や貸し本屋さんや学校の図書室でのお話は、情景が目に浮かびます。

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    2023年06月16日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    すごいトシヨリBOOK
    トシをとると楽しみがふえる

    著者:池内紀
    発行:2017年8月15日
    毎日新聞出版

    有名なドイツ文学者だった彼は、冒頭で自分がいなくなる予定を三年ずつ延ばして、延長した時間の中で人生を生きていく、と書いている。2017年夏にあとがきを書いているが、他界したのが2019年夏。三年の延長の節目だったのだろうか。

    55歳で東大教授を早期退官し、作家、翻訳家、ドイツ文学研究者などとして自由に生きていった姿が覗える快作だった。僕は著者が出ていたラジオ番組(日曜喫茶室)が好きで、著者のファンでもあった。もう新しい作品が読めないと思うと寂しい限りだ。

    この本を読んでいると、著

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    2022年03月01日
  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集

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    物語の中へようこそ。

    ミヒャエル・エンデの世界を存分に楽しめる短編集。お気に入りは表題作「魔法の学校」です。

    「魔法の学校」魔法を使えるようになるため「望みの国」の子どもたちの中で才能のある子は、魔法の学校に通う。招待を受けて魔法の学校を見学した「わたし」の報告。

    「レンヒェンのひみつ」両親の言うことを聞きたくないレンヒェンは、魔法使いに頼んで両親がレンヒェンの考えに反対すると身体が縮んでしまう魔法を授けてもらった。大抵このタイプの魔法は後で大変困ることになる。真相を知った両親の対処法がお見事。

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    2022年02月08日
  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇

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    過去に取り憑かれ、妄想に浸り、酒浸りになる男たちを淡々と語る短編集です。

    歴史の背景を振り返らないと話にのめり込めませんが、わかってくると当時のドイツ、オーストリアにどんな市民感情が流れていたのか知ることのできる作品に変わります。

    またそれ以上に、戦争や革命という特殊な状況下でどんな妄執に取り付かれていくのか、内面の語りが秀逸でした。

    語りが唐突にスキップする事があるので、その間を自分で補完するのが少し大変ですが、その行間がこの作者の良さなんでしょうか?

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    2022年01月08日
  • すごいトシヨリ散歩

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    トシヨリになるのも面白い。 同世代のエッセイスト二人が語り合う映画、読書、旅、そして老い支度。 親密感あふれるユニークな対談集。

    これもまた贅沢の極み。

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    2021年10月30日
  • きまぐれ歴史散歩

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    歴史小ネタは興味深いんだけど、ときどきエロおやじ視点が出てきて、ちょっと読むのがつらいときも、、
    恥ずかしながら、足尾の山が今も禿山というのは知らなかった。失った自然環境を取り戻すのは難しいんだな。

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    2021年08月10日
  • 幻獣の話

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    幻獣といってもいろいろな想像上の生物を集めた本ではない。そういう面もあるが、それにまつわる著者の考えを述べたエッセイ集とでもいったところ。最後は畸形からロボットまで及ぶ。著者は、あとがきにある「奇妙な生き物を生み出した人間」について語りたかったもののようだが、全体的にまとまりがないようにも感じられる。

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    2021年07月31日
  • 散歩本を散歩する

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    <目次>
    第1章  水の都 東京
    第2章  江戸の面影
    第3章  明治、大正、昭和をたどる
    第4章  東京生まれの東京育ち
    第5章  小さな旅
    第6章  味な散歩

    <内容>
    ドイツ文学者で旅行・散歩の達人による、他の作家の旅行・散歩本に載るところを旅する本。「散歩の達人」に連載をまとめたもの。明治期のものから平成のものまで、散歩したくなる内容。著者は、書棚に「行きたいところ」のファイルがあり、新聞や雑誌などで見かけて、面白そうだと感じると、片っ端からこのファイルに突っ込み、気が向くと出かけるらしい。ついでのときに近隣の地図もコピるらしいので、さすがに筋金入りだ。こっちは、興味を持ったところを

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    2021年04月10日
  • となりのカフカ

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    カフカの人物像と作品について、親しみやすい文章で解説している本です。

    「はじめに」には、本書は「カフカ初級クラス」にあたると書かれており、カフカの解説書として読まれることを想定しているのですが、エッセイの名手として知られる著者らしい文章で、カフカについて学ぶというよりも、カフカのひととなりを上品なユーモアをまじえながら語る著者の文章そのものをたのしんで読むことができました。

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    2021年03月05日
  • ひとり旅は楽し

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    読み物として面白い。書き口がシンプルで、無駄のない文章が読みやすい。
    ただ、年代の違うおじさまの旅は、どうも感覚が違って感情移入はできない。うーん、そうかなぁって何度も思いながら読んだ。

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    2021年02月02日
  • カフカ寓話集

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    カフカは『変身』で好きになったが、本書でも、みぞおちを撫でられるような感覚が味わえる。

    ただし、それぞれの話が何を伝えたいのかは、理解できなかったので、今後再読し考察したい。

    哀れ、やるせなさ、うしろめたさ、気味悪さ、欺き、なんとも癖になる。

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    2020年12月31日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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     著者は、ドイツ文学者で、カフカを読んだ本は池内氏のものだったのではないか。70歳をこえて、老いを見つめる目の確かさは、さすがと驚く。エッセイストの文章のうまさもさることながら、客観的な視点の持続を失わない。巷にはびこる老いの空元気と壮年時代の記憶の読み違えで、迷惑をまき散らす人々には無縁の境地である。最終章の”老いと病と死”は見事な覚悟です。

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    2020年04月11日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    故池内氏は著名なドイツ文学者。サラリと読め、素直に老いの境地が語られている良書。加齢により衰えてゆく自身の身体や頭を、面白く書き留めたもの。取り立てて新しいものはない。衰えることに抗わず、それを新しい経験として楽しむくらいでちょうどよいのだろう。やりたいこと、楽しみたいことがあれば、70歳までにやるべきで、先延ばしはやめようと思った。

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    2020年01月11日
  • カフカ寓話集

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    “生きていたければ出口を見つけなくてはならず、その出口は逃亡によってはひらけない。”(『ある学会報告』)

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    2020年01月08日
  • 東京ひとり散歩

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    先日亡くなられたドイツ文学者のエッセイ。川本三郎氏が追悼の記事を新聞に書いていたのを読み、書棚からこの本を取り出してみた。よく知っている界隈のエピソードは楽しい。斎場の話にはちょっとドッキリ。中公新書から出ている他のエッセイもさっそく購入。

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    2019年09月29日
  • カフカ短篇集

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    カフカ寓話集の冒頭に収録されていた皇帝の使者にしても、こうしてカフカ短篇集の最後を飾る万里の長城に収まったこそ、その意図が明確になるのでは、と思ってしまう。やはりカフカは面白い。

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    2019年09月05日
  • 海山のあいだ

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    著者は「普通の旅好き・歩き好き」という先入観があったが、意外と元々は山好きの人であったのを知った。
    若い時は、山で一人きりで寝袋で寝たり、そして今もジーンズを愛用したりと、意外とワイルドな面があるドイツ文学者である。
    好きなことをする以上に、「いやなことはなるたけしない」をモットーにしてきた著者の一人旅の魅力が詰まった一冊である。
    第一〇回講談社エッセイ賞受賞作。

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    2019年07月12日
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる

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    そうか、自分より下の年代は経験したといえるわけだ。それがいいかどうかは別として。いろいろ面白かった。

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    2019年04月27日
  • ひとり旅は楽し

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    「ひとり旅には手本がある。たとえば、若山牧水、山下清、寅さん・・(略)・・いずれも旅の名人である。それが証拠に、きちんと自分のスタイルを持っている・・(略)・・それぞれスタイルが決まっているのは、自分にぴったりのものを体験で学びとったせいである。厳しい条件の中で、一つまた一つとムダを省いた。

    ひとり旅が自由気ままと思うのは錯覚である。それはひときわきびしい生活条件を自分ひとりで引き受けること。一つたりともムダを道づれにはできないのだ。

    ・・・よそへ出かけたからといって、べつに新しいことがあるわけではない。変化はしていてもあたらしくないのだ。旅先だからこそ新鮮でえがたい冒険になる。新しさと冒

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    2019年03月26日