池内紀のレビュー一覧

  • ニッポン発見記

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    日本国内16ケ所を紹介した旅行記。いずれも、観光地として有名な場所ではなく、むしろ、あまり名前を聞いたようなこともないような場所が多い。筆者は、そういうところに1日・2日出かけていくという旅を楽しんでいるようだ。
    旅行は読むものではなく、するものだ。
    この旅行記も充分に面白く、実際にここに紹介されている場所に行ってみたくもなるけれども、そういった機会が今のところつくれないことに、かえってフラストレーションみたいなものが溜まってしまった。

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    2012年05月29日
  • となりのカフカ

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    不可解にして不条理な小説を遺したフランツ・カフカの
    人物像に迫る、『カフカの生涯』のダイジェスト版的な新書。
    気難しい変人だったのかと思いきや、
    実は勤勉にして剽軽な、愛すべき人物だったらしく、
    目からウロコ。

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    2012年12月11日
  • 今夜もひとり居酒屋

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    今日も居酒屋が方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。酒に食べ物店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。 そんなことを思い出しました。一人酒最高。

    著者の経歴を見てみると、『ドイツ文学者、エッセイスト』とかかれており、僕自身はタイトルに惹かれて読んでいたので、こういうエッセイを読んでイイナと思うのは筆者と、偏屈だけど、心を開いた人間には優しい主人との交流。酒と肴。個人的には離れて久しいものがこの本にはあって、こういうものに出会いたいからこそ酒場を巡っていたんだよな、と。そんなことを思い出させてくれる一冊でした。

    『飲み物は?』と聞か

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    2012年02月03日
  • 今夜もひとり居酒屋

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    ネタバレ

    著者がお固い独文学者だけあって、タイトルほど気楽には読めなかった。
    まあ、たかが居酒屋・されど居酒屋といったところか。

    私たち以下の世代は居酒屋といってもほとんどチェーン店しか知らないのが普通だろうと思う。
    その点では馴染みにチェーンでない店を持っているのは私の世代がギリギリだろうか。

    とにかく、居酒屋に限らず、伝統的なお店についてその伝統的なアプローチをないがしろにしているのが私たち以下の世代なのだろう。
    良くも悪しくも。

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    2011年07月27日
  • 今夜もひとり居酒屋

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    バンコクにも居酒屋はあるのだけれども、僕が住んでいるエリアは、日本人が多く住んでいる場所ではないので、あたりに居酒屋はみかけない。他のエリアにある居酒屋には、日本人同士で行くことはあるけれども、それもあまり頻繁というわけではないし、まして、「ひとり居酒屋」ということをすることはない。
    でも、この本を読むと、それも悪くないな、と思えてくる。

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    2011年09月12日
  • 今夜もひとり居酒屋

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    書物や座学からは学べない大切なことを、居酒屋は教えてくれる――それを薀蓄的でも心得的でもなく、酒を呑む人のたしなみとして易しく諭してくれる本だ。それはつまるところ、人としてのりをこえず、他人との適度な距離感をつつましやかに保つ術をいうのであろう。p169の後ろから4行目からの1段落が光り輝いている。

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    2011年07月12日
  • 作家のへその緒

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    これはドイツ文学者あるいはエッセイストや作家としても知られる池内さんが、これまで好んで読んできた12人の高名な作家、詩人、歌人の創作の源泉をいくつかのキーワードを元に探っていく作家論。作品を生みだしていく背景や創作の源泉となった「モノ」を、生い立ちや作品そのものから巧みに取り出し、それに著者独自の分析を加えている。著者によって言語化されたそれぞれの作家の「モノ」はキーワード化され、その作家の特性を見事に表している。取り上げられているのは、「織田作之助―夜店めぐり」、「稲垣足穂―ヒコーキとパノラマ」、「谷崎潤一郎―乳首憧憬」、「与謝野晶子―髪・髪・髪」、「宮沢賢治―お経の力」、「佐藤春夫―水辺の

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    2011年07月16日
  • となりのカフカ

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    カフカってどんな人だったのか?を分かりやすく書いた本。

    一般的にカフカは悪夢とか奇妙とかという言葉のイメージに繋がっているようだけど、実際に著作を読むと、やたらとへんてこな本だなあという感想をもっていた。その人間像はやっぱりへんてこだった。

    保険公社のかなり優秀な課長で、恋多くストーカーのように手紙を書きつつ生涯独身で、むしろ婚約は何回か破棄していて、健康ランドによく行っていた。そして夜遅くまで、ひっそりと小説を書いていた。

    この時代のユダヤ人が独身を通すのは世間的にかなり白い目で見られるところがあったらしい。けれど、どうやら小説を書くために結婚しなかった。それなのについ何度も婚約とかし

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    2011年06月11日
  • 森の紳士録 ぼくの出会った生き物たち

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    [ 内容 ]
    月下の散歩者ムササビ、森の怪人ヒグマ、忍びの名人イワナ、幻の獣オオカミ―森のつつましい生き物たちは、人間よりもはるかに「紳士」である。
    ドイツ文学者にして自然をこよなく愛する旅人でもある著者が、山歩きの道すがら、またさまざまな書物の中で出会った生き物たちの姿を、生き生きと描き出す。
    著者自筆イラストも満載。

    [ 目次 ]
    1 早春・夜から朝(ムササビ;アカハラ・クロツグミ;ブッポウソウ ほか)
    2 昼下がり・夏(サワガニ;カワガラス;イワナ ほか)
    3 秋の到来(キノコ;アキアカネ;タヌキ ほか)
    4 夜の世界(イノシシ;モズ;モグラ ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ

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    2011年05月21日
  • ひとつとなりの山

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    [ 内容 ]
    山好きで知られる池内紀が、のんびりと出かけたひとり登山の二〇の山々。
    ひと味もふた味もちがう山の味わい方。

    [ 目次 ]
    幻の魚―大雪山(北海道)
    キリストの里―戸来岳(青森県)
    別天地通信―乳頭山(秋田県)
    同行二人―早池峰山(岩手県)
    蔵王堂の杖―日本国(山形県・新潟県)
    天狗のお土産―那須三山(栃木県)
    体力測定―温泉岳(栃木県)
    越後の旦那さま―八海山(新潟県)
    岩峰天ヲ突ク―男体山(茨城県)
    駿河姫の里―立処山(群馬県)
    月もろともに―八丈富士(東京都)
    にわか修験者―独鈷山(長野県)
    山眠る―秩父御岳山(埼玉県)
    中高年パラダイス―籠ノ登山・水ノ塔山(長野県・群馬県

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    2011年04月09日
  • カフカ寓話集

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    たいして理解もできず、ただ状況だけ漠然と浮かんだ。
    終わりがそこで終わりなのか、気になるものが多かった。

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    2011年01月13日
  • カフカ寓話集

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    作者の意図やストーリーをつかむのが難しい。なかなか文章が頭に入らず、後半は無理矢理一気に読んだ。しかし、全体として不思議な余韻が残る作品集で面白いものも中にはあった。特に、「断食芸人」「使者」が面白かった。一方で訳のわからないのも目立ったのだが。カフカ作の挿絵なかなかいいね。

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    2010年10月24日
  • となりのカフカ

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    前半が面白かったかな。ユニークな視点の入門書の体をきちんとなしていた。後半からはかなり上級者向けというか、資料が増えて統計的になり冗長な印象を受けてしまう。もうすこしきちんとした「結論」のかたちを提示してくれてもいいのではないか。全体的に中途半端。

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    2011年05月31日
  • となりのカフカ

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    手紙ストーカーぶりや婚約の解消を繰り返し創作のために独身の道を選んだカフカ。
    冒頭著者が書いている間違ったカフカのイメージ。
    読後多少親近感は覚えてもやっぱりブキミな人だし、そのイメージの方が魅力的。

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    2009年10月04日
  • となりのカフカ

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    『変身』すらいつ読んだのかも記憶は曖昧で、虫になるのは知っていても、結末も何もよく思いだせなかったけれど、
    「主人公のザムザはカフカだ」
    という言葉を聞いてから、気になっていた。
    カフカの日常から文学スタイルまで、浅く広く拾っている。
    プラハの街の地図と写真が付いていることがよかった。
    それがあるかないかだけで、随分違った「カフカ」になった。

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    2009年10月07日
  • カフカ寓話集

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    カフカの短編集。うーむ。なんだろうなあ、これ大学1年のときに読んだら、好きになってたのかなあ。これ全部、小説の体をなしてないんですわ。ほとんど独白。それが俺にはしんどくてねえ。「巣穴」とかの感じは分かる気がするんだけど、最後まで読むのがしんどくて。無理やり読み終えた感じ。とりあえず訳は巧い気がした。なんとなく。こなれていて読みやすい。

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    2009年10月04日