池内紀のレビュー一覧
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今日も居酒屋が方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。酒に食べ物店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。 そんなことを思い出しました。一人酒最高。
著者の経歴を見てみると、『ドイツ文学者、エッセイスト』とかかれており、僕自身はタイトルに惹かれて読んでいたので、こういうエッセイを読んでイイナと思うのは筆者と、偏屈だけど、心を開いた人間には優しい主人との交流。酒と肴。個人的には離れて久しいものがこの本にはあって、こういうものに出会いたいからこそ酒場を巡っていたんだよな、と。そんなことを思い出させてくれる一冊でした。
『飲み物は?』と聞か -
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これはドイツ文学者あるいはエッセイストや作家としても知られる池内さんが、これまで好んで読んできた12人の高名な作家、詩人、歌人の創作の源泉をいくつかのキーワードを元に探っていく作家論。作品を生みだしていく背景や創作の源泉となった「モノ」を、生い立ちや作品そのものから巧みに取り出し、それに著者独自の分析を加えている。著者によって言語化されたそれぞれの作家の「モノ」はキーワード化され、その作家の特性を見事に表している。取り上げられているのは、「織田作之助―夜店めぐり」、「稲垣足穂―ヒコーキとパノラマ」、「谷崎潤一郎―乳首憧憬」、「与謝野晶子―髪・髪・髪」、「宮沢賢治―お経の力」、「佐藤春夫―水辺の
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カフカってどんな人だったのか?を分かりやすく書いた本。
一般的にカフカは悪夢とか奇妙とかという言葉のイメージに繋がっているようだけど、実際に著作を読むと、やたらとへんてこな本だなあという感想をもっていた。その人間像はやっぱりへんてこだった。
保険公社のかなり優秀な課長で、恋多くストーカーのように手紙を書きつつ生涯独身で、むしろ婚約は何回か破棄していて、健康ランドによく行っていた。そして夜遅くまで、ひっそりと小説を書いていた。
この時代のユダヤ人が独身を通すのは世間的にかなり白い目で見られるところがあったらしい。けれど、どうやら小説を書くために結婚しなかった。それなのについ何度も婚約とかし -
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[ 内容 ]
月下の散歩者ムササビ、森の怪人ヒグマ、忍びの名人イワナ、幻の獣オオカミ―森のつつましい生き物たちは、人間よりもはるかに「紳士」である。
ドイツ文学者にして自然をこよなく愛する旅人でもある著者が、山歩きの道すがら、またさまざまな書物の中で出会った生き物たちの姿を、生き生きと描き出す。
著者自筆イラストも満載。
[ 目次 ]
1 早春・夜から朝(ムササビ;アカハラ・クロツグミ;ブッポウソウ ほか)
2 昼下がり・夏(サワガニ;カワガラス;イワナ ほか)
3 秋の到来(キノコ;アキアカネ;タヌキ ほか)
4 夜の世界(イノシシ;モズ;モグラ ほか)
[ POP ]
[ おすすめ -
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[ 内容 ]
山好きで知られる池内紀が、のんびりと出かけたひとり登山の二〇の山々。
ひと味もふた味もちがう山の味わい方。
[ 目次 ]
幻の魚―大雪山(北海道)
キリストの里―戸来岳(青森県)
別天地通信―乳頭山(秋田県)
同行二人―早池峰山(岩手県)
蔵王堂の杖―日本国(山形県・新潟県)
天狗のお土産―那須三山(栃木県)
体力測定―温泉岳(栃木県)
越後の旦那さま―八海山(新潟県)
岩峰天ヲ突ク―男体山(茨城県)
駿河姫の里―立処山(群馬県)
月もろともに―八丈富士(東京都)
にわか修験者―独鈷山(長野県)
山眠る―秩父御岳山(埼玉県)
中高年パラダイス―籠ノ登山・水ノ塔山(長野県・群馬県