池内紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
言葉もろくに通じず、特に親しいわけでもないオーストリア人との山行を淡々と描いた『羅臼岳』の最後のシーンがとても好き。
"声に出すと、何かが終わってしまうような気がしてならない。たぶん、同じ思いであったのだろう、私たちはともにソッポを向き合ったまま、しばらくのあいだ茫然と山頂の岩陰に座っていた。"
素晴らしい風景を目にした時、『きれい』とか『すごい』とか、そんな言葉で簡単に片付けてほしくないと思うことがある。ただ黙って、言葉にできない世界を全身でじっくりと味わっていたい。そんな時の感覚が自分と同じで、とても気に入った。
『登山』の本というより『山』についての本。もう少し