池内紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フランツ・カフカの魅力たっぷりの短篇を20篇収録した短篇集。途中で一気に雰囲気が変わる「判決」や文化の違いを見せつけられる「流刑地にて」。クスリと笑える「雑種」や「父の気がかり」など。
味付けの濃いフルコースみたいな一冊。最高。
カフカの短編がこんなにも面白いとは!!買って良かったー!!と思える一冊。
意味がわからない掌編もあるけど、それでも読ませる勢いが素晴らしい。少し長めの短編はどれも途中で話の流れが変わり、え?ん?と思っているうちに読み終わる。深い意味が私にはわからないけど、浅い部分を読むだけでも→
面白い。二つのボールと二人の部下の対比とか、おそらく何かの暗喩なのかもしれないこと -
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えーっ、カフカってこういう人だったん!? 全然変な人ではない。まさしく「となり」にいそうな人。
全12章。カフカの日常や職場に始まり、メカ好きだったこと、手紙魔だったこと、ユダヤ人だったこと、独身だったことなど……カフカという「となり」の人に惹きつけられる。そしてヤマ場は10章と11章、カフカがごくふつうの生活をしながら、一方で、小説のなかで不思議な世界を作り上げていた(しかもほとんどは未発表や未完成)という、その対比が際立っている。
最後の12章は、カフカに関係した写真43点を並べて、彼をめぐるガイデッド・ツアー。写真を途中に挿むのではなく、一括して最後にもってくるあたり、よく計算されている -
Posted by ブクログ
オイなんだよ!カフカめっちゃエンタメじゃん!
2年前、私がはじめて触れたカフカの代表作『変身』が思いのほかおもしろかったことと、保坂和志さんのエッセイにあった「カフカなんて難しくない」という文言が頭に残っていたのでこの岩波文庫版『カフカ短編集』を手に取りました。
またつい最近、批評家・蓮實重彦さんの言葉「批評するまえにまずは書かれていることを読め」を思い出したことも、カフカ作品に触れるにあたって天啓のようなものでした。「ハナから行間を読もうとする視点を確保しないで、書かれていることのみに集中し、展開に身をあずけてみよう」この気持ちがあったおかげでとても楽しい読書になりました。
「カフカ作 -
Posted by ブクログ
書店の平積みで見かけ、ウクライナ情勢がある中で気になり購入。
原書自体、ボリュームが少なく読みやすくして出版されたものとのことだが、本書の前半は文中に出てくる象徴的なキーワードを抜粋し世界各地の写真とともに掲載。
カントが意図しない意味づけがされてしまう!という批判もありそうだが、個人的にはとっつきやすくなる工夫は良いと感じました。
全体の後半は原書を翻訳した内容。
読みながら、1795年出版とは思えないほど現代に通じる、また解決できていない観点がほとんどを占めておりこの200年以上、人類が抱える問題は変わらないのだな‥と実感。文中にもあるように人類にとって敵意をむき出しにする状態が自然であっ -
Posted by ブクログ
ナチス政権台頭時、動乱の世界情勢に著名人が新たな権力に迎合する。音楽や作家への痛烈な批判。
凡ゆる事物への観察眼はジャーナリストよりも正確無比。
終戦後、晩年の限界を感じた哀切ある感情が印象的だった。
「私のいる所にこそドイツ文化がある」
マン自身の言葉である。
WWⅡ開戦後に国籍の剥奪、大学名誉職も除籍される。心中穏やかではなかった...
新聞の情報を信頼しない。思惑を込めた政府筋から流された報告、ガセネタ、記者の思い込みを避けるためだと云う。作家としてのポリシーが垣間見れる。
彼は終戦後、帰国先を祖国ドイツではなく、スイスを選んだ。愛国者というより、平和主義者ではなかったか。