池内紀のレビュー一覧
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フランツ・カフカ著。20篇収録の短編集。
これまでカフカの小説は「変身」しか読んだことがなかったのだが、予想通りシュールな話ばかりだった。簡潔で不可解な設定、哲学や暗喩を感じさせる文章、様々な解釈を生む謎を残した結末。これが、いわゆる「カフカ的」ということだろう。
だがそういうこと以上に、私はカフカに深いシンパシーを覚えた。それはカフカの小説が、単に「カフカ的」であることのみならず、あくまで庶民・労働者目線で書いているからだ。そして物語の背後に確かに感じる、強い諦観。笑えるようで笑えない話が多いのは、それを創作のエネルギー源としていたからだろう。
こういった特徴はカフカの生活が影響して -
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「のちの世の人々は、きっとこの二十世紀を支配した拝金主義の猛烈さに驚くだろう。金銭はすべてのものから、ものの個性と象徴性を奪い取る。つまりはその「魂」を剥奪する。これは何であれ姿を変えることはできるし、すべてに入りこむこともできる。しかし、何ものでもない。金銭はすべてを支配して、何ものも愛さず、すべてを知っていて、しかし、何ものも信じない」 ー 81ページ
最近の若者はあまり金に執着しないという言論が形成されつつある昨今ですが、皆様お元気にお過ごしでしょうか。
挨拶はともかく、もし仮に人が金に執着することを嫌がるのだとしたら、このへんが一番の理由なのだなとは思う。その非人間的な質感に対 -
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[ 内容 ]
カフカ初級クラス・十二回講義。
しめくくりは修了祝いのプラハ旅行つき。
[ 目次 ]
サラリーマン・カフカ
カフカ家の一日
虫になった男
メカ好き人間
健康ランドの遍歴
手紙ストーカー
性の匂い
ユダヤ人カフカ
独身の選択
日記のつけ方
小説の不思議
カフカ・アルバム―プラハ案内とともに
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読 -
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[ 内容 ]
見知らぬ町の朝は、いいものだ-旅とエッセイの名手である池内紀が、独自の嗅覚で訪ね歩いた、日本各地の誇り高き、十六の町の旅の記憶。
[ 目次 ]
北から南へ(フクロウの知恵-斜里町(北海道)
日本一巡り-上川町(北海道)
金の帯-岩内町(北海道)
木組みと流水-金山町(山形県) ほか)
東から西へ(カニのハサミ?渥美町(愛知県)
おもかげゾーン-朝日町(富山県)
湖北の知恵-木之本町(滋賀県)
ひいふみつよつ-岩美町(鳥取県) ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセー -
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ネタバレ[ 内容 ]
ひとり旅が自由気ままと思うのは早計というもの。
ハードな旅の「お伴」は、厳選された品々でなければならない。
旅の名人はみな、独自のスタイルをもっている。
山下清の下駄や寅さんの革トランクにしても、愛用するには立派なワケがあるのだ。
疲れにくい歩き方や良い宿を見つけるコツから、温泉を楽しむ秘訣、さらには土産選びのヒントまで、達人ならではのノウハウが満載。
こころの準備ができたら、さあ旅に出かけよう。
[ 目次 ]
出かける前―まえがきにかえて
島に渡ると
海辺は冬がいい
札所をまわる
坂のある町
キョロキョロする
歩き方のこと
足かクルマか
わが専用車
ステッキをお伴に〔ほか〕