【感想・ネタバレ】海山のあいだのレビュー

あらすじ

好きなことをする以上に、「いやなことはなるたけしない」。いつも人恋しい思いがあるので、わざとそっけなく、へだたりをとって生きている。――そんなスタイルを貫く著者が、足の向くまま山へ、海へ。池内流「ひとり旅」の原点となった飄逸なエッセイ集。第10回講談社エッセイ賞受賞作。

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Posted by ブクログ

池内さんの旅エッセイは、ただの随筆ではない。人生は偶然のめぐりあわせの連続であり、それらはすべてむだなことばかりのようでいて、余分なものは何もないと感じさせてくれる。表題の章もだが、自伝的で虚実いりまじったような「自分風土記」の章が秀逸。

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2011年06月29日

Posted by ブクログ

著者は「普通の旅好き・歩き好き」という先入観があったが、意外と元々は山好きの人であったのを知った。
若い時は、山で一人きりで寝袋で寝たり、そして今もジーンズを愛用したりと、意外とワイルドな面があるドイツ文学者である。
好きなことをする以上に、「いやなことはなるたけしない」をモットーにしてきた著者の一人旅の魅力が詰まった一冊である。
第一〇回講談社エッセイ賞受賞作。

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2019年07月12日

Posted by ブクログ

言葉もろくに通じず、特に親しいわけでもないオーストリア人との山行を淡々と描いた『羅臼岳』の最後のシーンがとても好き。

"声に出すと、何かが終わってしまうような気がしてならない。たぶん、同じ思いであったのだろう、私たちはともにソッポを向き合ったまま、しばらくのあいだ茫然と山頂の岩陰に座っていた。"

素晴らしい風景を目にした時、『きれい』とか『すごい』とか、そんな言葉で簡単に片付けてほしくないと思うことがある。ただ黙って、言葉にできない世界を全身でじっくりと味わっていたい。そんな時の感覚が自分と同じで、とても気に入った。

『登山』の本というより『山』についての本。もう少し年を重ねたら、こんなふうに味わい深く山と付き合えるようになりたい。

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2012年08月25日

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